五味金融庁長官記者会見の概要

(平成18年5月15日(月) 17時02分~17時13分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

中央青山監査法人の業務停止命令に関係して、業務停止期間中に企業が一時会計監査人を選べない場合というのが出てくるかと思われるのですが、その場合、金融庁としてどのように対応されるか教えてください。

答)

まず仕組を御説明しますと、今回の業務停止処分に伴いまして、株主総会で会計監査人の変更を決議しない場合には、多くの会社で中央青山監査法人が7月に会計監査人の資格を失うということになるのは事実であります。その場合、会社法の規定によりまして、遅滞なく会計監査人が選任されないときは、監査役は一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければならないということになっております。基本的には一時会計監査人の選任を通じた監査の委嘱と申しますのは、民間における契約の問題でありますから、民間における話し合いの中で円満に解決されることが望ましいと考えております。ただこの一時会計監査人の選任というのはそう頻繁に起こる話でもないわけですから、今回、日本公認会計士協会におかれても相談窓口というのが設けられております。一時会計監査人の選任が必要な場合、こうした窓口等も十分活用していただいて、各企業において努力をしていただく必要があると考えております。

当局としての対応というお話でございますけれども、当面はこうした各企業の動向というもの、これを十分注視をするということになります。

問)

13日に一部の都銀でATMやインターネット取引で、現金の引き出し、或いは振込みができなくなるというトラブルがあったのですが、このトラブルの把握状況と金融庁としての対応を教えてください。

答)

13日土曜日にございましたシステムトラブルというのは、三菱東京UFJ銀行でございます。この銀行におきまして旧東京三菱銀行の口座を有します顧客のATM取引等の一部にエラーとなる事象が発生したということでございまして、誠に遺憾な事態であると考えています。このシステム障害についての実態把握というお話ですが、システム障害が発生しました場合には、平成14年2月の包括的な24条報告命令によりまして、詳細な事実関係と障害の原因、或いは事後の改善策等についての報告の提出というものを求めております。今回発生しましたシステム障害につきましても、この報告が提出をされてまいります。現状、調査中の部分もございますので、この報告によって実態を確認したいと思っております。いずれにしても銀行におかれましては業務遂行は勿論、利用者利便に支障が生ずるということがないように万全を期していただきたいと考えております。

問)

先週の12日に福岡銀行と熊本ファミリー銀行が経営統合の検討を開始するということで発表がありました。公的資金を注入している熊本ファミリー銀行の300億円を福岡銀行が肩代わりする形で今回、提携することになりましたが、このような提携を長官はどのように受け止めておられるのでしょうか、御所見をお願いします。

答)

原則として平成19年春を目途に持株会社を設立することについて検討を開始すると、こういう御発表が先週金曜日に福岡銀行と熊本ファミリー銀行からあったと承知しています。この内容的には業務資本提携、或いは将来的な経営統合というようなことによって、顧客サービスの向上や、地域社会への貢献、企業価値の持続的成長を実現すると、こういった目標だというお話です。経営統合と申しますのは、優れて当事者の経営判断によるものでございます。当局といたしましては、こうした取組が初期の成果を上げて、経営管理の改善、或いは経営基盤の強化というものに結実していくということで、具体的な成果に結びついていくことを期待したいと思います。経営統合の具体的な効果と言いますのは、それぞれの企業の持っております特質ですとか、或いはその取り巻く環境によって異なるものでございますから、一概にこの両者の統合がどのようなことに結実していくかということは中々申し上げ難いでしょうし、また特定企業の話ですからこういう場で申し上げるのも適当でないかもしれませんが、いずれにしても経営統合というものはそうした特長を持っておりますから、中長期に亘って安定した金融機能を確保するという観点からは、この統合の効果というものを当事者が最大限に発揮するように運営をしていただくのであれば、金融機能を安定させるという意味で有力な選択肢の一つになると考えております。

問)

中央青山の件ですが2300社が会計監査人を換えるという非常に大きな影響を与える処分だったわけですが、中央青山を放置した監査業界の責任は勿論ですが、監督官庁としてもうちょっと影響を小さくできるように、事前から何かできなかったのかという声があるかと思うのですが、それについて一言いただけますか。

答)

影響と仰るのは処分の影響というお尋ねでしょうか。

問)

そうです。2300社のような大量の、上場企業に限れば相当の影響になるわけですので、それをもうちょっと小さくできるように事前に何らかの芽を摘むような対策はできなかったのでしょうか。

答)

監査というものが資本市場にとって極めて重要な役割を持っているという認識は、我々は当然のことながら持っておりまして、そのために行政としての取組も累次行ってきていることは御承知のとおりだと思います。公認会計士法の改正といったようなことも行ってきておりますし、公認会計士協会とも自主規制ルールについてのお話し合いもしてきている訳でございます。そうした中で勿論、執行面では公認会計士・監査審査会というものも立ち上げて、監査の質というものについての監視といったものについても、最近立ち上がったばかりではございますけれども、十分な目配りをしてきているというつもりであります。こうした監査法人や公認会計士のチェックを行うということによりまして、監査の質を向上させるという視点から、この中央青山監査法人を始めといたしまして、公認会計士、或いは監査法人に対する不適切な監査があった場合の処分といったものも実行してきております。こうした中で今回の事態というのが最終的に発覚してきたということは大変残念なことでありますが、当局としてやらなければいけないことはやってきたつもりであります。そしてこうしたことが露見した以上はその内容に相応しい、またその原因に相応しい行政処分というものを以って、この法人を正しい道に戻っていただくように指導するということは大事なことであろうと思っております。影響が大きいということは私共は認識しておりますけれども、影響が大きいような処分に値するような実態があったということで、これは止むを得ない話であります。我々としてはこれまでこの法人も含め、きちんと監督はしてきたつもりでおります。

(以上)

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