五味金融庁長官記者会見の概要

(平成18年6月12日(月) 17時00分~17時10分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

先週の金曜日だったと思いますが、地域金融機関の17年度の決算の結果がまとまったということですが、それに対してどのような評価をしておられるかを教えてください。

答)

決算の概要は既に御存知と思いますが、私なりの捉え方でもう一度申し上げてみますと、18年3月期の地域銀行決算全体として見ますと、銀行の本業収益力を示す指標であります実質業務純益、これは微増ということでございましたが、不良債権処分損が減少したというのを主な要因として、当期純利益が大幅な増益となった。その水準は過去最高ということでありました。

また、不良債権比率でございますが、これが4.5%ということですから、17年3月期から1%ポイントの低下ということで、全体として着実な低下をしているということでありました。地域銀行の不良債権比率のピークは、統計を取り始めましてからは、平成14年9月期の8.3%でございましたから、これから3年半経って、この間一貫して低下を続け、ピーク時の約半分程度にまで低下をしたと、こういう状況でございました。

評価ということになりますが、こうした指標の動き、これは各地域銀行が平成15年度以降、地域密着型金融の機能強化に向けた取組み、これを進められた。その結果として地域の再生、活性化、或いは中小企業金融の円滑化という流れができてくるとともに、金融機関自身の健全性の確保や収益性の向上というものに着実に結びついていったと、こういうことであろうと思っております。当局は今後ともこうした地域密着型金融の機能強化に向けた取組みというものを各行が着実に実施をしていただいて、確実にそれを経営の成果に結びつけていただくことを期待したいと考えております。

問)

村上ファンドの村上容疑者の逮捕を受けて、改めて証券取引等監視委員会の人員を増やしたほうがいいのではないかという議論がありますけれども、これに対する考え方を教えてください。

答)

市場における有価証券取引というのは拡大を続けておりますし、またその商品の内容、或いは取引の内容、こういったものが複雑化してきております。更に当然のことですが国際化、ボーダレスの取引ということがどんどん広がってきていると、このような状況でございますから、市場の信頼度というものを維持向上させるという観点からは、証券取引等監視委員会の任務というものはますます重くなってきておりますし、人員を増加する必要があるという認識を私は持っております。この点は与謝野大臣が色々なところでも強調して仰っているところでございます。大臣と認識を全く一にしております。

更に今申し上げた以外に、証券取引等監視委員会は去年の7月からですけれども権限が広がっております。従来の不公正取引の分野だけでなく、ディスクロージャーの分野についてもその任務に付け加えられまして、更に課徴金という新しい行政手段も付与されたということがございます。こうした権限の拡大、そして新しい行政手段の活用、こういったことをフルパワーで実行していくためにも、人員の増強ということ、或いはその人員を有効に活用するための体制の整備といったようなこともますます重要になってきていると思います。

今後ということを申し上げれば、更に御承知のように金融商品取引法において、ファンド全般を規制の対象とするということになってきておりますから、そうなりますとますますその業務の内容というものはこの施行にともなって増えてまいります。そればかりでなくて、先程の課徴金の話とも関連しますし、金融商品取引法の分野では特にそれが顕著になってくると思いますが、監視委員会におけるオンサイトの検査ですとか犯罪捜査の部分だけでなくて、こうしたことの受け手となります監督分野での人員の増強、或いは企画分野での人員の増強といったところもこれから喫緊の課題になってくると私は考えております。金融庁、証券取引等監視委員会が持っております市場関連の機能といったものを担う人員全体の増強というのは、これから非常に重要な組織上の課題だという認識でおります。

問)

中央青山監査法人から処分に係る業務改善計画の提出があったのではないかと思いますが、あと提携先のPwCが受け皿と言ってよいのかどうか、新法人の器を作るという動きも併せてありまして、その点の事実認識と改善計画への評価等、お聞かせいただきたいのですが。

答)

改善計画については、その内容を着実に実施していただきたいということに尽きます。監査の信頼を取り戻すということのために計画に盛り込まれました様々な内容といったもの、これは中央青山監査法人の方からある程度公表されていると思います。そうした内容について着実な実行をしていっていただきたい。

また新たな監査法人を設立する動きという点につきましては、個別監査法人の設立というお話でありますから、コメントは適当でないと思いますが、いずれにしても現時点では新たに設立される法人についての具体的な姿というのが、まだはっきりした形で世の中に公表されているわけでもないということでありますので、具体的なコメントは控えさせていただきます。ただこれも以前大臣が仰った通りでありまして、どのような監査法人であっても監査の質というものがきちんと確保される、そういう監査法人であることが重要だと。この点は監督当局として申し上げておきたい。特にこうした流れの中でこうした事件を受けての動きということで、もしあるのであればなおのこと、この点についてはマーケットに対して明快な説明をできるものであってほしいと考えております。

(以上)

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