五味金融庁長官記者会見の概要

(平成18年7月24日(月)17時01分~17時12分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

私からは特にございません。

【質疑応答】

問)

先日、長官の留任が発表されましたけれども、3年目に向けた抱負をまずお聞かせください。

答)

3年目だから何か特別ということはありません。むしろちょうどこの人事異動期は役所の事務年度の開始の時期でもあります。7月からのですね。従いまして、この新しい事務年度の間に金融庁が果たすべきとされる課題に一つ一つ着実に取り組んでいくということに尽きると思います。また、併せて長官としては、金融庁職員の一人一人がその自分の任務というものを誠実に果たしていくように、これを督励をいたしまして、そして限られた人員でありますけれども、その効力が日本の金融の仕組みなり、或いはその便益を享受すべき利用者の皆さんの方なりのため最大限に発揮される、ということに全力を尽くしていきたい、こういうふうに考えております。

問)

少し日が経ちましたけれども、ゼロ金利解除について改めてお聞きしたいと思います。解除後ですね、民間金融機関では預金金利の引き上げですとか、短プラの引き上げですとか、各種動きがありますけれども、この一週間ちょっとの動きも踏まえて御所感を。

答)

そうですね、いくつか動きがありました。預金受入金融機関に関して主にご関心のご質問と受け止めましたので、そういう点で申し上げますと、まず資金調達サイドでは、お話がありましたように預金金利の引き上げが逐次発表されております。この預金金利の引き上げというのはマクロ的に見ますと、金融システムの安定と経済再生の成果というものが預金者にやっと還元されるという、こういう動きにつながってくると考えられるわけです。これは望ましいことであるというふうに考えています。また、資金の運用のほうの状況としては、これもお触れになりましたが、貸出金利の引き上げというようなことも見られます。この点については、一般論で申し上げますと、ゼロ金利解除の背景というのがデフレの脱却ですとか、企業収益の改善といったような経済物価情勢の変化、そういった方向での変化によるものであるというふうにも考えられます。であるならば、それは金融機関にとっては信用リスクの低減であるとか、あるいは収益性の高騰であるとか、といったことにつながり易いものであると思いますが、他方で、個々の貸付ということに着目して見ますれば、その貸付先は金利の上昇によって収益が悪化するというケースも場合によってはあり得るわけでして、こういうような場合には、その貸付先に対しては信用リスクがむしろ高まるし、金融機関にとってはそれだけ収益の負担になるというようなことで、なかなか貸付という運用サイドについて申し上げますと、一般的に、一概にこうということが言いにくいような状況かとも思います。なお、さらに預金受入金融機関は、株式ですとか、あるいは債券ですとか、有価証券を保有しておりますから、こうした点ではもし金利が上昇していくということになりますと、有価証券の性質にもよりますけれども、それが有価証券の評価にプラス、或いはマイナス、それぞれの方向に働き、ということがなかなか一概に申し上げかねるということであろうと思います。概略申しますと、そういうような分析ができると思いますが、いずれにしましても、この金融機関、こういう環境の下で経営をなさっていくについて金融庁として期待したいことといいますのは、まずは金融機関の基本的機能、適切なリスクテイクをしていただいて、そしてそのリスクを適切に管理をしていただいて、それによって金融仲介機能を発揮をする。そして日本の経済、或いは日本の金融機関利用者の人達に貢献していただくということでございます。特に今回はゼロ金利政策という、いわば例外的な政策から脱却をしたということで、そうしたいわば通常の経済運営へ戻っていく、戻りつつある、そういう過程に入ったということでありますから、そういう環境変化ということを金融機関は認識していただく、ビジネスモデルというものを捕らえて、金融機関間で適正な競争をしていただく、それによってさらにその向上を図る。これに努めていただきたいし、またそういう環境になっているはずだと思いますので、この点を期待したいし、そうなればこれは好ましいことだというふうに思います。利用者による金融機関、あるいは金融商品の選別というものが本格的に行われ得る環境に移ってきたということですので、それはすなわち、金融の仲介機能というものがより多様に、より効率的に発揮できる環境になってきたということですので、この環境を踏まえた経営を是非お願いしたいと思います。また、監督者としての立場では、引き続きこういう環境の下で、利用者保護という観点から金融機関のリスク管理の体制、あるいは法令遵守の体制、こういったものを検証をいたしまして適切な監督に努めていきたい、こういうふうに考えております。

問)

先ほどの、留任に関してなんですけれども、五味長官は3年目に入りますけれども、2年目は利用者保護の金融行政を本格化して、かなり重い行政処分、異例ともいいますか、業務停止処分をたくさん出したと思うのですけれども、この方針は3年目はどう維持されていくのかという点についてお聞きします。

答)

金融機関の利用者を保護するというのは、金融庁の基本的機能なわけですね。金融の仕組みの安定、効率、活力そして公正という要素を確保することで、金融機関が持つ可能性を最大限、利用者、消費者、国民のみなさんが享受できるよう、そういう環境もつくり、またそれを守るためのさまざまな行政上の行為も措置も採ると。利用者を保護するという考え方が昨事務年度に初めて登場してきたわけではございません。また、処分に関しまして言えば、法令に違反するような重大な問題のある行為があれば、それを是正してもらうための行政処分というのは、確認された事実と法令に基づいて厳正に行っていくということについても、これは何ら変わるものではございません。向こう1年ということになりますれば、こうした利用者保護という考え方が特に変わることはないわけでございますが、そのことは、何か闇雲に行政処分を乱発するとかそういうことを意味するわけでは毛頭ございませんで、そういった処分を受ける金融機関が少しでも少なくなるような、そういう環境を早くつくりたい、こういう姿勢で行きたいと考えています。

問)

課長級以上の人事が発表されたわけですが、今回の人事についてお考えなどお聞かせください。

答)

私が責任を持ちます人事につきましては、以前から同じ考え方でございまして、適材適所でございます。その都度要求されると思われる課題をきちんと認識をいたしまして、その上でその課題にあたる人間として、どのような職員が望ましいかという視点を限られた人材、或いは人員という中で工夫をして配置をしたということでございます。

(以上)

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