佐藤金融庁長官記者会見の概要

(平成19年9月13日(木)17時01分~17時20分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

会見の日程を調整いただきましてありがとうございました。

そのほかは、私の方から特にはございません。

【質疑応答】

問)

安倍総理が辞任表明いたしまして、政局は今後、混乱してくるかと思いますが、金融行政に関してはいかがでしょうか。

答)

ご案内のように、金融行政の行政目的はしばしば申し上げておりますように、金融システムの安定、そして、利用者保護ないし利用者利便の向上、そして、透明・公正で活力のある市場の構築という三つでございまして、その点については変わることはございませんので、こういった大きな目的を踏まえて、当面の諸課題にしっかりと取り組んでいくということだろうと思います。行政の停滞が起きないように、通常の案件、或いは事務的に処理できるような事案については、粛々とやっていくということで努力していく必要があると思いますし、また、大臣、副大臣、政務官にご判断を仰ぐような案件についても、できるだけ粛々と、または、必要な準備を抜かりなく進めていくということが大事だというふうに思っております。

問)

先般も大臣が何度もおっしゃっているかと思いますが、格付機関のヒアリング等されているかと思いますが、仮に監視や規制をするとなると、どういった規制が考えられるでしょうか。もう一つは、現在ヒアリングをされていると思いますが、ヒアリングの経過と状況等について教えてください。

答)

金融庁では、これまでもある程度、日常的にヒアリング等によって格付機関の実態というものの把握に努めてきているということであります。この議論は国際的な動向もよく見極めることが必要であると思いますので、そういった点にも十分目配りをしながら、格付機関を巡る制度、仕組み等のあり方について、幅広い観点から研究していくという必要性を認識しております。また、こうした実態把握であるとか、研究を基に、IOSCO等の国際機関を中心とした国際的な議論も進行すると思いますので、そういう国際的な議論にも積極的に参画していきたいというふうに思っています。

具体的な内容については、まだ、これから、むしろ幅広く、よく研究していかなくてはいけないテーマですので、現時点で中身について言及するということは差し控えたほうがよろしいかと思います。ひとつ言えますのは、このIOSCOの会議というのが、近々、開かれるという報道もございましたけれども、この会議で、いわゆるこのストラクチャード・ファイナンス商品についての格付手法といったようなことは、テーマになると言われております。

問)

関連ですが、格付会社の中での利益相反というのはよく言われますけれども、たくさん売れた方が類似商品も出てきて儲かる。そのあたり、今までヒアリングをされてきたとおっしゃいましたけれども、そのようなヒアリングはあったのでしょうか。

答)

その辺は、まだ、ヒアリングの途上でありますし、我々も研究を進めている途上にありますので、具体的なテーマについては、現段階ではコメントを差し控えた方がよいと思います。

問)

金融審議会の今後の予定ですが、こういう国際的な問題も出ておりますので、少し幅広にお話しできる範囲であれば、教えていただきたいと思います。

答)

金融審議会については、今月中に第一部会、第二部会、それぞれの所管の部会が本格的な議論をスタートするということになると思います。それぞれの部会の具体的な運営、或いは取り上げるテーマについては、手元に詳細がございませんので、総務企画局にお問い合わせいただければと思います。

問)

関連しまして、その二部会の方で、保険窓販の全面解禁、モニタリングの結果の公表というテーマがありましたが、これについて、現状、集計度合いといいますか、どういった結果かというのを、わかる範囲でお答え願います。

答)

いわゆる保険商品の銀行窓販の全面解禁につきましては、これまでやってきましたモニタリングの結果を十分に踏まえて、保険契約者保護の観点から適切に判断していくという基本的な立場でございます。ご案内のとおり、今年12月の保険窓販の全面解禁に向けて、銀行等における保険募集の実施状況、また、弊害防止措置の実効性についてモニタリングを行ってきたところであります。このモニタリングの結果につきましては、現在、精査を行っているところでございまして、当面は来週18日火曜日に開催される金融審議会第二部会に報告するべく、準備を進めているという状況でございます。その段階で、第二部会の場で報告をしたいと思っております。この段階で、これまでのものを、皆さんにもお知らせできるのではないかと思います。

問)

証券税制、優遇税制についてなのですけれども、先日の会見でも質問がありましたが、昨年延長されて今回も同じように延長というのでは、数千億という非常に財政が厳しい中で大きな額でありますので、なかなか難しい情勢にあるかと思うのですが、そうした際に、今回、「貯蓄から投資へ」の流れが進んだら、将来的にこういうように税収が増えるなど、財務省に対して将来の見通しとしてこういうようにプラスになるという何かしらのプランがなければ、反対する人が多いので難しいかと思うのですけれども、将来のビジョンとして国のプラスになるというような説得力のあるものがあれば教えていただきたいと思います。

答)

この話は、これから年末に向けて関係当局と様々な議論をしていくという課題でございますので、これから更により説得力のある議論をしていきたいと思っています。今のお尋ねで、証券優遇税制によってどういうプラスがあるのかという点に関して言えば、一番大きく我々が意識しているのが、「貯蓄から投資へ」ということで、幅広い裾野を持った投資家層が育成されることによって、証券市場全体が活性化する、或いは、広く薄くリスクが分担されることによって、全体としての金融システムが安定するという効果が考えられるのではないかと思います。

折しも、我が国の金融・資本市場の国際競争力を強化するというテーマが、優先課題として位置付けられているところでございますので、この税制上の措置というものが、我が国の金融・資本市場の活性化に繋がって、そこから大きな付加価値が生まれる、金融セクターが、いわば産業としてより大きな位置を占め、そこから付加価値が生まれるということになりますと、そのことによって結果的に日本経済全体に寄与する、或いは税収にも何らかのプラスになる可能性はあるのだろうと思います。

問)

その際の一つの方法として、課税対象額をフランスやドイツのように半分にするというようなことや、一体課税とするなど色々あるのですが、一体課税にした場合、非常に煩雑になる恐れがあるという問題があると思うのですが、現段階の長官のお考えで、今回仮に優遇税制措置を何らかの形で続行するに当たって、どういう措置が現実的かということについてお聞かせ下さい。

答)

現段階におきましては、先般公表させていただきました私どもの税制改正要望というのが全てでございまして、ご質問のような様々なバリエーションについては、今後、折衝の過程で議論の対象になるかもしれませんけれども、現時点で私どもの要求内容というのは、先般お示しした税制改正要望、これが全てであるということであります。

問)

税制のところで追加なのですけれども、恒久的施設のライン引きというのを人数で見ていくのか、取扱い金額で見ていくのか、その辺りの目処、方向性というのは出ているのでしょうか。

答)

パーマネント・エスタブリッシュメントの課題も、我が国の金融・資本市場の国際競争力強化、市場の活性化という意味で非常に重要な要素の一つだろうと思っています。いわば、地理的に見て、日本の国内で様々な投資判断が行われる、或いは金融仲介が行われるということが、先ほど申し上げたような意味で全体としての我が国の金融・資本市場の活性化に繋がるということですので、そういう位置付けで要望をさせていただいているということであります。その具体的な仕切り方、ご質問のような話については、まさに今後の折衝過程で話題になる話であろうかと思いますので、現段階ではコメントできないことをご承知下さい。

問)

足利銀行ですけれども、秋口に第三段階というような予定でしたけれども、そろそろ9月の中盤に入りますけれども、その後の予定について教えて下さい。また、安倍総理の辞任表明で、政治情勢が不透明化していますけれども、それが受皿選びに影響してくるかということについて教えて下さい。

答)

まず後段のご質問に関して言えば、これまでもしばしばお答えしているところでございますけれども、足利銀行の受皿選定に関しては、三つの判断基準を設定し、それに則って今選定作業が進んでいるということであります。一つは、受皿移行後においても足利銀行がきちんとした経営管理を行い、十分なサステナビリティー、存続可能性を保持し得ること、そして二つ目に、栃木県を中心とした地域において、地域の利用者の信頼をしっかりと得て、しっかりとした金融仲介機能を発揮すること、またそれに対するコミットメントが存在すること、そして三つ目には、公的負担を極小化し得ること、この三つの基準に沿ってこれまでも作業をしてきておりますし、今後もこういった基準に則って作業を進めていくということでございまして、この点については今後も変わることがないというように思っております。

前段のご質問に関しては、冒頭に申し上げましたように、大臣、副大臣、政務官等のご判断を仰ぐ、ご相談を申し上げるべき事案についても、事務方の怠りによって作業が停滞することのないように準備をしっかりと進めていくということで対応をしていきたいと思っております。いずれにいたしましても、そういう努力をしつつ、できるだけ早い段階で次のステップに進み、最終的な受皿の選定に辿り着けるように努力をしてまいりたいと思っております。

問)

第三段階に移行するというのは、大臣、副大臣、政務官の判断を仰ぐべき事案の中に入るのでしょうか。

答)

一般論として、ご相談を申し上げたり、ご報告を申し上げたり、或いはご判断を仰ぐといった様々なコミュニケーションがあるわけです。そういったコミュニケーションという意味で申し上げたのであって、何を申し上げたいかというと、大臣、副大臣、政務官等にお話をしないで決めるということはあり得ないということであります。

(以上)

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