佐藤金融庁長官記者会見の概要

(平成19年10月22日(月)17時03分~17時25分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

私のほうからは特にありません。

【質疑応答】

問)

本日、自民党の金融調査会と財政金融部会の合同会議で保険の窓販が了承されました。今後、金融庁として保険窓販に向けてどのように取り組んでいくかお聞かせ下さい。

答)

本日、自民党の合同会議に対しまして全面解禁にあたっての所要の手当についてご報告をし、予定通り全面解禁を実施することについて、ご了承いただいたものと承知しております。この全面解禁の実施によって、国民にとっては様々な販売チャンネルを通じて、多様な保険商品を選択できるようになるといったことで、利用者からみた利便性の向上に繋がることを期待しているところであります。同時に、銀行等、および保険会社においては、今回新たに加わることとなる所要の手当の趣旨を十分理解し、保険契約者等の保護の観点から、適切な保険募集に努めていただきたいというふうに思っております。金融庁としては、保険契約者等の保護の観点から、全面解禁後においても引き続き銀行等の保険募集について、しっかりとモニタリングを行ってまいりたいと思っております。この所要の手当については、内閣府令の改正であるとか、あるいは、監督指針等の改正も含まれておりますので、その具体案について、なるべく早く作業を了して、できるだけ早く公表したいというふうに思っております。

問)

週末に開かれたG7で、サブプライムローン問題が議論されました。サブプライム問題については、金融機関のリスク管理とか、格付会社の監督等について、今後検討していくことになりましたけれども、今後金融庁としてこうした問題などにどのように取り組んでいかれるのでしょうか。

答)

G7そのものについては財務省の所管でございますので、詳細についてはコメントを差し控えるべきだと思いますが、サブプライムローン問題に関しては今回のG7のコミュニケにおいて、最近の金融市場の動きと関連して、以下の点が盛り込まれているというふうに理解しております。第一は、世界的な金融市場の混乱があったわけですが、この金融市場の機能は少しずつ回復しつつあるということ。第二は、世界経済の力強いファンダメンタルズと資本の充実した金融機関というものが健全性と抵抗力の基盤となっているという認識が一方でありますが、他方で市場によってばらつきのある状況というのは、今後なおしばらく続くと見られるので注視が必要という認識であります。それから、第三にはG7の要請によって設置された金融安定化フォーラム(FSF)のワーキンググループです。この金融安定化フォーラムが、混乱の背景にある要因を分析し、今後の市場強化に向けた提言を行うよう要請をされているということであります。その中には、流動性を含む金融機関のリスク管理の問題、また金融派生商品あるいは証券化商品の会計処理や価格評価、さらには、こういった仕組商品、証券化商品等に対する格付機関の格付、およびその格付の手法、あるいはその格付を活用する仕方、さらにはオフバランスの投資手法の扱いを含む金融機関の監督に関する基本原則、こういった項目が含まれているということでございまして、このFSFにおける作業については、次回以降のG7会合で報告を行うことが期待されているところでございます。金融庁といたしましては、今後、コミュニケにある金融安定化フォーラムにおける分析提言等の作業にできるだけ積極的に貢献したいというふうに思っていますし、またこのような国際的な動向も含めて、幅広い観点から、リスク管理の状況や、あるいは金融市場の動向等について国内外の関係当局とも連携しつつ、十分に注視していきたいというふうに思っております。

問)

ファイアーウォール規制が議論される中で、みずほ証券の行政処分が、証券取引等監視委員会から勧告されました。この問題についてどうお考えですか。

答)

先週、19日金曜日に証券取引等監視委員会から、みずほ証券に対する検査の結果、法令違反の事実があったとして、行政処分を求める勧告書を受け取ったところでございます。金融庁としては、今般の監視委員会からの勧告を踏まえて、法令に則って厳正に対処していくことになると思います。

他方で、ご案内のとおり、ファイアーウォール規制については、金融審議会において、議論が進行中ということでございます。このファイアーウォール規制の議論に関しては、一方で利用者利便の向上や、金融機関の業務の効率性の向上といった観点、他方で利益相反や優越的地位の濫用等の観点から検討をしていくということでありますけれども、その他、本件を含む弊害の起こる蓋然性、それを防ぐための予防措置の実効性、さらには海外規制の動向等、幅広い観点からこの制度の在り方の問題として検討を行っていくものであります。

これは、改めてごく一般論でございますけれども、その時点、その時点で存在している法令やルールというものは、それぞれその時点における趣旨や狙いがあるわけでございまして、これをきちんと遵守していただく必要があるということは当然であり、これは、各金融機関におけるコンプライアンスの基本であると思いますし、また金融機関同士の間の競争条件を不公平なものにしない、という観点からも重要であると思います。これも一般論ですけれども、規制緩和というものが行われていきますと、その進捗の度合いに応じて個々の金融機関の自己責任や、自己規律というものの重要性がますます高まっていくということが言えようかと思いますし、また先ほど申し上げました、利益相反をチェックするとか、あるいは優越的地位の濫用を防止するといった、個々の金融機関の中における態勢、枠組みというのは、いずれの制度的フレームワークの下でも重要なものであるというふうに思っているところであります。

問)

札幌のFX業者が、取引を停止して顧客への支払いを今のところしていないという話がありますが、これに対して、金融庁の認識、現状把握と対応をお聞かせください。それと、サブプライムローン問題があって以降、投資家の一部、特にFXを使っているような人達に損失が出ているかと思いますが、業者の最近の動向、以前、金融先物取引法が改正された時かなり潰れたと思うのですが、現状はどうなっているのか、その点について、ご認識をお聞かせください。

答)

金融商品取引業者であるエフエックス札幌という会社が、支払い不能を理由に札幌地方裁判所に破産の申立てを行い、本日付で破産手続き開始の決定がなされたという報告が、当社から北海道財務局に対してあったと聞いております。当社においては、債務超過の状態にあることに加え、自己資本規制比率の事実と異なる届出や分別管理違反など、多数の法令違反が認められる状況であります。当社のこうした不適切な業務運営の結果として、多数の投資者に被害が及びうる状態に陥ったことは、誠に遺憾であります。当社に対しては、債務超過の可能性がある旨などの報告があった10月16日の段階で、以下の5点を内容とする業務改善命令を発出しているところであります。第一、委託者や証拠金等の正確な把握。第二、委託者間の公平と委託者保護への万全の措置。第三、債務超過を速やかに解消するための具体策の策定。第四、区分管理の徹底。第五、会社財産を不当に費消することの禁止。こういった内容でございます。また、本日、法令違反行為の認定を行ったうえで、全業務の停止命令、そして、更なる投資者保護策等を求める業務改善命令を発出したところであります。今後、金融庁としては、破産管財人の下での処理を注視していきたいというふうに思っております。

被害を受けられた方々においては、大変お気の毒であるというふうに思っております。今後の法的な手続きにおいて、できる限り、損失の最小化が図られることを切望しております。金融先物取引業者の登録審査におきましては、最低資本金、純財産額、自己資本規制比率といった財務規制が課されておりまして、当社の登録申請、これは、昨年の3月でございますが、この登録申請の時点においては、こうした財務の健全性、あるいは分別管理など業務管理の態勢についても、審査を行ったところでございます。しかしながら、当社につきましては、平成19年9月末に事実と異なる自己資本規制比率を届け出るなど、規制の実効性を担保する情報を報告しておりませんでした。また、利用者等からも目立った苦情等が寄せられておりませんで、結果的に当社の債務超過や法令違反行為を発見するには至らなかったということでございます。あと、8月の段階で、為替レートが大きく変動したということがございました。この状況の下で証券取引等監視委員会とも連携しながら、金融先物取引業者やその顧客に対する影響についてのモニタリングを実施したところでございます。当社に対しましては、8月下旬に北海道財務局から、会社や顧客への損害は生じていないかどうか、顧客からのクレーム等は生じていないか、また、財務の健全性は確保されているかといった点についてヒアリングを行ったところ、特段の問題は生じていないという旨の回答があったわけでございます。いずれにいたしましても、今般のこの出来事は大変遺憾でございますが、金融庁としては、引き続き、利用者保護のための行政対応について、当社の件に限らず、努力をしていきたいというふうに思っております。

問)

この件に関してですが、本日あった破産管財人の会見では、負債23億3千万に対して、資産がわずか1億4千万しかないという状況であった。やはり、顧客の中からは、一体どういう検査が行われていたのか、監督が行われていたのかという疑問の声も上がっているのですが、そのことについてどのようにお考えですか。

答)

先ほども少し申しましたが、昨年の3月の当社の登録申請にあたっては、財務の健全性、あるいは分別管理の方法、さらには、業務管理の態勢についても審査を行ったところであります。金融庁としては限られた行政資源の下で、これは財務局も含めてですが、多数の業者について、業務の適切性、財務の健全性の確保という目的に沿って、可能な限りの対応をしているということでございますけれども、改めて、今後も金融商品取引業者のモニタリングには、努めてまいりたいというふうに思っております。

問)

やはり、足元のモニタリングというのは、なかなか行政資源的には難しいと言えるのでしょうか。

答)

立入り検査に関して申しますと、検査部局の限られた人員の中で、それを全体のニーズ、他業態のニーズもあるわけですけれども、それを踏まえて、検査計画を作って立入り検査を実行していくということかと思います。立入り検査とは別に、登録後においては、自己資本規制比率のチェックというのは、月に1回、届出が出てくるということでございますが、そういったオフサイトモニタリングを通じて、財務の健全性等についてのモニタリングをやっているということでございます。ただ、大変残念なことではございますが、当社に関しては、その報告に虚偽が含まれていたということでありました。

問)

一般に同様な業態で、大きな損失を被っているようなところというのはございますでしょうか。

答)

現時点において、私のところにそのような報告は、特段上がってきていないということであります。

(以上)

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