佐藤金融庁長官記者会見の概要

(平成19年11月5日(月)17時03分~17時18分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

冒頭、私の方から一点ご報告がございます。IOSCO東京コンファレンスの開催についてでございます。今週の後半、11月8日木曜日と9日金曜日の2日間にわたり、金融庁の主催で、証券監督者国際機構、IOSCOの国際コンファレンスが東京で開催されますので、紹介させていただきます。

このコンファレンスは、2004年から毎年開催されておりまして、これまでニューヨーク、フランクフルト、ロンドンという主要な金融センターで開催されてきているということです。これらと並ぶ市場として今年は東京で開催されることとなりました。今回の東京会合では、世界46の国又は地域から400名を超える証券監督当局者や民間の市場関係者が一堂に会し、「市場規制:競争、収斂、そして協調」というテーマで、グローバル化が進む今日の資本市場における諸課題を議論することとなっております。このような大きなイベントを金融庁が主催できることを光栄に感じております。

各国地域の資本市場の相互連関が進み、市場や市場参加者がグローバルな舞台で競争する時代となっております。こうした中で、金融庁を含む市場規制当局も、実効的な投資家保護や公正・透明で活力ある市場の構築を目指して規制環境の改善に努めるとともに、グローバル化する市場に対応するための国際協力を強化しております。

金融庁としては、このコンファレンスが資本市場における諸課題についての活発な議論の場となり、世界の資本市場の健全な発展と当局間の協力関係の更なる強化に資することを期待しています。また、今回会合の主催を通じ、世界の多くの当局者や市場関係者に我が国を訪れていただき、我が国の市場を直接目にしていただくということは、グローバルな金融における我が国のプレゼンスの向上にもつながっていくのではないかというふうに考えております。

私からは以上です。

【質疑応答】

問)

IOSCOについて、今回の会議は日本で初めてですが、今回、どんな話題がテーマになって、どういった議論になるのでしょうか。また、日本の金融庁としての役割ですとか、今、話題になっております格付機関・格付会社の規制のあり方についてはどういった議論になっていくのか、この辺をお聞かせください。

答)

今回の全体の共通のテーマというのは、先ほども少し申し上げましたけれども、市場規制、副題として、競争、収斂、そして協調。こういうテーマが掲げられているわけであります。具体的には、以下のような論点について、議論が行われる予定であります。第一、会計監査のコンバージェンス。第二、取引所間の競争と統合。第三、金融コングロマリットに対するアプローチ。第四、規制当局間の協力の新たな展開。第五、オルタナディブ投資に対するアプローチ。第六、IOSCOの当面及び将来の課題ということでございます。

この中で、金融庁としての役割ですが、様々な小委員会が開かれてディスカッションが行われる、そのための準備をこれまで相当な時間をかけてやってきたということでございますが、小委員会にパネリストとして参加する、あるいは、全体の議事を進行させる役回りを担うという部分があろうかと思います。金融庁からは、渡辺大臣、山本副大臣、そして、私がスピーチをする予定になっております。証券取引等監視委員会の佐渡委員長もスピーチをする予定です。また、丸山審議官が総合司会と総括討論のモデレーターを担当するということでございます。

その中で、格付機関についての議論がなされる可能性というのはあると思います。特に、現下の市場の動揺ということとの関連でも、その議論がなされる可能性はあると思いますが、IOSCOとして、この会合において格付機関への対応について、具体的な方針を決める予定はないというふうに理解をいたしております。ご案内のとおり、格付機関による格付けのあり方については、金融庁としても、IOSCOや各国の証券市場の当局と連携しながら、幅広く調査・研究を行っているというところでございます。

問)

議論があるとしますと、先ほどの小委員会ごとに分かれている6つのテーマなのでしょうか。これは、どの部分で議論がある可能性があるのでしょうか。

答)

そこは、おそらく予断をもってそういうことを申し上げるよりは、それぞれのパネルで、それぞれの部分の中で出てくる可能性があるということではないでしょうか。

問)

先週末から株が大きく下落しておりまして、上がったり下がったりと値幅も非常に大きい状態がここのところ続いております。株価の個別のことについては、コメントはできないかと思いますが、ここのところの不安定な値動きをしているこの要因として、どういったものが考えられるのか。そして、また、今後の見通しについて、少しお考えをお聞かせください。

答)

ご案内のとおり、株価は様々な要因を背景として、マーケットにおいて決まってくるというものでございますので、その変動要因を特定するということは困難でございます。当局としてのコメントは、差し控えさせていただきたいと思います。我が国の経済の動向を見れば、全体としては、企業部門の好調さが持続するといったことを含め、ファンダメンタルズはしっかりしているというふうに認識をいたしております。ただ、いずれにせよ、今後の株式市場の動向については引き続き注意深く見てまいりたいというふうに思っております。

問)

ノヴァの問題ですけれども、ノヴァの監査法人、アクティブ監査法人のこれまでの監査のあり方について問題はなかったのかという議論になっておりますけれども、例えばゴーイング・コンサーンの記載状況なども含めて、今後金融庁としてこの監査のあり方がどうだったのかということを調べていく予定はありますでしょうか。

答)

いずれも個別事案に関することでございますので、具体的なコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

その上で、あくまで一般論でございますけれども、まず監査法人の監査については、公認会計士、監査法人の監督を行う中で、仮に法令上問題となる事柄があれば、適切に対処していくことになると思います。それから、有価証券報告書の記載についても、あくまで一般論でございますけれども、金融庁としては、仮に提出された財務諸表に法令に照らして問題があれば、法令に基づき厳正に対応していくということは当然であろうかと思います。

いずれにいたしましても、金融・資本市場の信頼性を確保するためには、企業財務情報等の開示が適切に行われることが極めて重要だと思っております。

問)

金商法のスタートからおよそ1ヶ月ということで、中には金融機関が慎重姿勢になっているのではないかというところを指摘する声もあるのですが、1ヶ月経ってどのような感想をお持ちでしょうか。

答)

金融商品取引法という横断的な利用者保護、投資家保護の枠組みがスタートし、一つの大きな枠組みが具体的な実施に移されたということで、これに対応するための各金融機関における準備であるとか、あるいは実際に施行後の様々な対応上の工夫であるなど、各金融機関においてもそれぞれご努力をいただいているということだろうと思います。先般、大臣からもお答えがあったかと思いますけれども、当初金融庁への問合せ、一部苦情のようなものの件数が相当多かったわけですけれども、それも件数的に落ち着いてきて、これからこのような新しい枠組みの下で、しっかりとした情報を、金融商品を販売する側が、それを購入する側に提供するという枠組みが定着していくことを期待しているということであります。この枠組みが定着するということを大前提として、リスク性商品を含めた投資というものが活発になっていくということを期待しているということでございます。

一時的に、金融機関の側が金融商品の販売にある程度手間取るというか、時間がかかるという局面があったかと思いますけれども、これが段々と定着をしていって、円滑な形でリスク性商品についての適時適切な情報提供というものが投資家に対してなされるということが定着していくことを期待したいと思います。

問)

投資信託の販売高が、調査によると8月に比べて大幅に減少しているという点について、これは金商法に絡んで何か影響というものはあるのでしょうか。

答)

その辺の因果関係を明確に見極めるというのは難しいかと思います。ただ、おそらく以前に比べて丁寧な説明というのを各金融機関で取り組んでいただいたと思いますので、そういう意味で、1件当たりの所要時間が長くなったということはおそらくあるのだろうと思います。そのことがこの件数とどういう関係があるのか、どの程度直接的な因果関係があるのか、そのあたりを具体的に申し上げるのは差し控えたいと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、こういったものが定着していくことによって、投資家がより経済合理性に沿った投資判断をできるようになっていくということが重要ではないかと思います。

(以上)

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