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佐藤金融庁長官記者会見の概要

(平成20年6月2日(月)17時03分~17時23分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

こんにちは。どうぞ。

【質疑応答】

問)

先週、金融庁で集計された地方銀行の決算についてですが、特にこの中で役務取引の大幅な減少が目立ちました。投信販売手数料の減少が主な要因と見られますけれども、投信の販売に関しては昨年9月の金融商品取引法施行で金融機関の販売手控えがあったと一つには言われているわけですけれども、法施行から半年以上が経って、現状、こうした販売を手控える状況は改善されたと見ていらっしゃるのか、また「貯蓄から投資」という掛け声がある一方で、相変わらず貯蓄の指向が高いという指摘もあります。この点についても併せてお聞きしたいと思います。

答)

地域銀行の役務取引等利益や金融機関による投信の販売につきましては、ご指摘のとおり前期を下回る状況となっております。この要因については、市場の状況など様々な要因があると考えられますので、単一の要因だけを特定するというのは困難だろうと思います。

他方で、ご指摘のとおり昨年9月30日に金融商品取引法が施行されて以降、金融機関には、金融商品の販売・勧誘にあたり、この法律の趣旨を踏まえた適切な対応をしていただくという流れの中で、一部の金融機関においては、過剰とも言える事務的な対応が行われているということで、そういった指摘がいくつかなされているということでございます。

こうした状況を踏まえまして金融庁としては、今年の2月に金融商品取引法に関する質疑応答集を公表し、金融商品の販売・勧誘にかかる法令の考え方の明確化を図ることをさせていただき、また、私ども当局の検査・監督においても、当局サイドの担当者が同法の趣旨を十分にわきまえた対応をするということが重要であるということで、そのための対応にも努めているということでございます。

また更に、先般4月に各種金融業界との間で、ベター・レギュレーション(金融規制の質的向上)の一環として「プリンシプル」の合意ができたわけでございますが、その第一番に「創意工夫をこらした自主的な取組みにより、利用者利便の向上や社会において期待されている役割を果たす」というのがありまして、金融サービス業の一番中心的な心構えというものが書いてあるわけであります。まさにこれを金融業界と監督当局との間で合意をしたということで、いわば新しいフェイズ(局面)に入ってきているということであろうと思います。ベター・レギュレーションの基本的な認識としても、各金融機関の自主性を尊重する、自助努力を尊重するという局面に入ってきているということを繰り返し申しあげてきているわけでありまして、そういう新しい局面での金融業のあり方ということを今、目指している段階だろうと思っております。

銀行経営者の皆様におかれては、当局向けのアリバイ作りのようなことに注力するよりは、顧客のニーズというのがどこにあって、その探りあてた顧客のニーズに的確に応えると、そういう商売の仕方をしていただいて、顧客の信頼を勝ち得ることを通じて収益の向上につなげていただき、企業価値の向上に努めていただくというような努力の方がはるかに生産的なことではないかと思っているわけであります。これらの取組みの成果がどういうふうに出てくるかについては、今後の状況の推移を注意深く見守っていきたいと思っておりますが、こういった様々な努力、あるいはベター・レギュレーションの基本的な考え方というものが一層浸透していくことを期待しているところでございます。

もう一つ、相変わらず貯蓄指向が高いというご指摘につきましては、ご案内のとおり1,500兆円におよぶ我が国の個人金融資産の過半が現金・預金という形態になっているということで、国民一人一人が豊かさを実感できる社会を構築するためには、この個人金融資産に対して適切な投資機会を付与することが極めて重要だと認識をしておりまして、金融庁としてはこれまでも個人投資家がリスク資産に投資しやすい環境整備-税制であるとか取引所における商品の多様化であるとか-といった各般の施策の実施に努めているわけでございますが、引き続き「貯蓄から投資へ」の流れを推進していきたいと思っております。

問)

少し気が早いのかもしれませんが、金融商品取引法の改正案について、既に衆議院の方では可決されて週内に参議院でも可決成立の見通しと言われております。国会情勢で若干審議入りが遅れたという状況もありましたけれども、改めてその改正案成立に目処が立ったことについて、ご感想といいますかお考えをお聞きしたいと思います。

答)

この法案につきましては、先週衆議院本会議で可決をされまして、現在参議院でご審議をいただいているところであります。ご案内のとおり、この法案は我が国金融・資本市場の競争力強化のために必要な制度整備を包括的に盛り込んだものでございまして、その早期成立を心から願っているということでございます。現在、参議院で審議をしていただいている最中でございます。早期成立に向けて、立法府の先生方へのご説明等、引き続き早期成立に向けての最大限の努力を金融庁としても続けていきたいと思っております。

それから、先ほども少し申し上げましたベター・レギュレーションの実現など、昨年12月の「金融・資本市場競争力強化プラン」の中に盛り込まれておりますが、直接法律事項ではない事項もたくさんあるわけでございます。これらにつきましても、金融庁としては着実に取り組んでいるところでございます。例を申し上げれば、ベター・レギュレーションに関わる一連の施策、更には金融専門人材の育成、また、英文開示の有価証券の対象範囲の拡大、更にはETF(上場投資信託)の多様化といったこと、更には海外ファンドマネジャー誘致のためのPE(恒久的施設)リスクの排除と、こういった項目があるわけですけれども、こういった項目についても粛々と積極的な取組みを続けているということでございます。これら非法律事項と、今般ご議論いただいている金融商品取引法の改正案とが相まって全体として「金融・資本市場競争力強化プラン」が大きく前に前進するということを強く願っているということでございます。

問)

今日、野村證券のインサイダー事件に関して、元社員と友人が起訴されたのですが、改めてこの事件についての所感と今後の行政対応についてお聞かせください。

答)

本件につきましては、先週5月30日に証券取引等監視委員会が東京地検へ告発を行ったわけであります。証券取引等監視委員会においては、証券取引の公正の確保のために市場ルールの遵守状況については、元より厳正に監視をしていることでございます。その一環として、悪質な行為については告発をし、刑事訴追を求めるという対応をしてきているわけでございまして、これら一連の当局としての取組みが証券市場の健全な発展に資することを期待しているということでございます。

今般の話は、特に市場仲介者として公共的な役割を担っている証券会社の元社員が関わっていたということでございまして、改めて、このようなことが起きたことについては、極めて遺憾であると思っております。証券会社の役職員は、証券会社の公共的な役割を個々に深く認識をしていただいて、高い法令遵守意識、高い職業倫理と自己規律を持って業務に取り組むことが求められていると思います。

また更に、今回のケースを振り返りますと、金融取引あるいは業務が非常に多様化・国際化しているということでありますので、そのような新しい流れに即した形で実効性のある社内の管理態勢を整備していただくことが重要だと思います。

ご案内のとおり、4月の末だったと思いますが、全ての証券会社宛に金融庁から内部管理態勢の検証等についての早急な対応を図るように要請を行ったところでございまして、今後とも自主規制機関とも連携しながら、業界全体としてこのような事案が発生しないような態勢を整えていただくことが重要だと思っております。

問)

今回の起訴は、野村(證券)の元社員個人の起訴ということだったのですが、金融庁として、法人としての野村證券への行政対応あるいは行政処分について、この起訴を受けてどのようなご見解でいらっしゃいますでしょうか。

答)

野村證券としての内部管理態勢等のあり方については、本件が確認されて以降、随時ヒアリング等を行っているところでございます。証券会社の市場仲介者としての高い公共性に着目したときに、それに即した金融庁としての問題意識があり、それを踏まえた証券会社のあるべき態勢整備が必要になってくるということだろうと思います。

個社に対する具体的な行政対応の有無あるいはその時期等については、コメントを差し控えたいと思います。いずれにいたしましても、実効性のある経営管理態勢、先ほど申し上げた業務の多様化・国際化が進展する中で実効性のある管理態勢が求められているという認識であります。

問)

NHKのインサイダー取引をめぐって第三者委員会の調査報告が先週出されたのですけれども、一部自主調査に応じない、インサイダー事件とは確定できないまでも疑いのある案件等が出てきたわけですけれども、第三者委員会の調査ではありますが、長官のご意見といいますかご所見をお願いします。

答)

元より、一般論としてインサイダー取引というのは、市場の公正性を歪める行為ということで、証券市場全体の健全な発展にとって放置することのできない事項であると思っております。そういう意味で、関係者において法令遵守意識の再確認、職業倫理の確保ということが改めて重要であるという認識を共有していく必要があると思っております。

今般の第三者委員会の報告書というのは、NHKご自身の責任において今後の再発防止を図る観点からまとめられたものと承知をしておりまして、そのものに対するコメントは差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げれば、インサイダー取引事案につきましては、市場監視当局が法令に基づいて対処することが必要であることは言うまでもございませんけれども、より基本的には、先ほども申し上げましたように一般投資家を含む市場参加者の自己規律、市場関係者による社内ルールの整備や啓蒙活動が不可欠だと思っております。このようなことで、今般の事案も踏まえまして、改めて様々な職種があろうかと思いますが、それぞれの職種の特性に応じた自己規律の強化を行っていただくことを期待したいと思います。

問)

野村(證券)の件に戻りますけれども、実効性のある管理態勢の整備が必要だというお話なのですが、これは裏を返せば実効性がなかったということだと思います。野村證券は過去にも一度インサイダー事件を起こしておりますが、経営陣の経営責任というものをどのように示すべきだとお考えでしょうか、行政庁として、トップとしてどのようなご所見を持っていらっしゃるかということを伺えればと思います。

答)

先ほどお答え申し上げましたように、個別事案についての将来における行政対応の有無あるいはその時期、内容等についてコメントすることは差し控えるべきであると思います。一般論につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。

(以上)

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