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佐藤金融庁長官記者会見の概要

(平成20年6月30日(月)17時02分~17時19分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

こんにちは。どうぞ。

【質疑応答】

問)

新事務年度の体制についてなんですけれども、先週27日に幹部人事の内示がでました。今回の人事異動に込めた長官の意図、ねらいについてお聞きしたいと思います。長官も続投されるということで新事務年度の課題や抱負も併せてお聞かせ願えればと思います。

答)

まず今般の人事でございますけれども、金融庁はご案内のとおり、制度の企画立案、金融機関等への検査やマーケットにおける様々な取引の監視、-この検査と監視は非常に近いと思います、-そして金融機関等への監督と、大きく三つの機能をもった部門が存在しているわけですけれども、この三つの部門がますます連携を強化して、一体として機能するということが重要になってきているということだと思います。組織上、金融庁の内部部局、いわば狭義の金融庁本体と、証券取引等監視委員会という区分があるわけですけれども、内部部局と証券取引等監視委員会の連携の強化ということも一層強まっているということでございます。なぜ必要性が高まっているかと言えば、サブプライム・ローン問題に典型的に現れていますように、21世紀型の金融危機というのは市場発のものになる蓋然性が非常に高いということでございまして、市場を的確にモニターして、大きな動きを抽出し、それを検査、監督、そして制度の企画立案等にタイムリーに反映していくことが必要になってきているわけでありまして、いわばマーケットに対する感覚、センスというものを金融庁全体として結集して、効果的な行政に臨んでいくという趣旨が大きなものでございます。こういった状況を踏まえつつ、各人の知識、経験、専門性といったことも踏まえまして適材適所の観点からそれぞれのポストに最も相応しい人材を配置する考え方で臨んだものでございます。

それから、この一年間の事務年度、そして新しい事務年度に向けての課題ということでございますけれども、端的に申し上げますと、この一年間、個別のテーマとしては、我が国の金融・資本市場の競争力強化というテーマ、そしてその一部を構成いたしますけれども、ベター・レギュレーション(金融規制の質的向上)というテーマ、そして世界中に広がったサブプライム・ローン問題を契機とするグローバルな市場の混乱への対応、この三つが非常に大きなテーマであったと思っております。ご案内のとおり、金融庁には三つの大きな行政目的、すなわち「金融システムの安定」、「利用者の保護・利用者利便の向上」、そして「公正・透明な市場の確立」というものがございますけれども、新しい事務年度においてもこうした目的、任務の実現に向けて尽力していきたいと思っております。先ほど申し上げた我が国の金融・資本市場の競争力強化、ベター・レギュレーション、サブプライム・ローン問題への取組み、それぞれかなりの進捗をみていると思いますし、ある程度効果が出てきているというふうに感じておりますし、サブプライム・ローン問題に関しても、それなりの対応をしてきていると思っておりますけれども、これらのテーマは新しい事務年度においても引き続き的確な対応を求められていくということでしょうし、特に金融・資本市場の競争力強化ということと、それからベター・レギュレーションへの取組みというのは継続的に、強力に推進していく局面に入っていくことだろうと思いますので、引き続き注力をしていきたいということでございます。もちろん、個別の問題としては、様々な取組みがこの一年間もあり、今後もそれぞれの分野で発生する問題について、タイムリーで的確な対応に努めていきたいと思っております。

問)

一時国有化中の足利銀行についてですが、明日、特別危機管理銀行を脱して再スタートするという予定となっております。一時国有化した2003年11月から今日まで振り返ってどのようなご感想をお持ちなのかということと、新生足利銀行について期待する点等あればお聞きしたいと思います。

答)

足利銀行につきましては、ご案内のとおり平成15年11月に同行から債務超過となる旨の報告および破綻の申入れがなされまして、同行が栃木県を中心とする地域において果たしている金融仲介機能の維持が必要不可欠であるというふうに総合的に判断をいたしまして、金融危機対応会議の議を経て預金保険法第102条第3号措置、いわゆる一時国有化の措置、特別危機管理という措置が講じられたということでございます。その足利銀行におきましては、新しい経営陣の下で抜本的な経営改革の推進、中小企業等の再生支援、又銀行自身の経営改善に向けた様々な取組みを実施してきていただいたということでございます。

その結果、足利銀行においては、例えば法人取引先数の増加、健全債権の増加、あるいは中小企業等の再生支援の取組みによって不良債権残高が減少し、例えば不良債権比率で言いますと、平成16年3月末に20.6%あった不良債権比率が平成20年3月末では4.5%まで下がっているということでございます。また、更に収益力の面でも、実質業務純益で年間400億円といった水準を確保しておりまして、かなり安定的な収益力を確保しています。更に申しあげますと、債務超過額が大幅に減少しているということでございまして、例えば平成16年3月末に6,790億円あった債務超過額が平成20年3月末では2,637億円まで減少しているということでございまして、これらの成果が着実に現れているというふうに認識しておりまして、地域における金融仲介機能の持続的な発揮、また更に公的負担の極小化を図るという大きな目標にも応えるものになってきているというふうに思っております。こうした成果は、池田頭取をはじめとする経営陣並びに行員の皆さんのご努力によるものが大きかったというふうに考えております。

足利銀行につきましては、明日7月1日に同行の全株式が預金保険機構から足利ホールディングスに譲渡され、これにより一時国有化が終了し、同行は通常の地域銀行として再スタートすることになります。足利銀行の持株会社となる足利ホールディングスは、その事業計画において、一時国有化の下での経営陣による経営方針やビジネスモデルを承継する、あるいは地域密着型ビジネスのモデルや事業の継続可能性(サステナビリティー)の確保といったことを重視して経営を行っていくといった方針を示しているところでございます。

私自身振り返りましても、この一時国有化のきっかけともなりました検査について、当時検査局長として関わりを持った、その検査局長としての後半の1年間、そして監督局長としての3年間、更には長官としての1年間、合わせて約5年、この足利銀行の問題には関与させていただいたわけでございまして、こういう形で出口にたどり着いたということにつきましては、それなりの感慨を抱いているというところでございます。

ご案内のとおり、受皿選定に際しましては、金融仲介機能の持続的な発揮、そして銀行としてのサステナビリティーの確保、そして公的負担・国民負担の極小化という3つの基準を掲げて選定作業に取り組んだわけでございますけれども、最終的な結果として、先ほども申し上げましたように、一定の収益力を持って持続可能性が展望できる、更には栃木県を中心とする地域において将来へ向けた持続的な金融仲介の機能というものを期待できる、更には最終的な処理における預金保険機構からの金銭贈与というものもペイオフコストの範囲内に納まった結果、納税者・国民負担がゼロという形で最終的な出口にたどりついたというふうに思っておりまして、それなりの成果が出たものであろうかと思っております。

問)

足利銀行に関しては、当時地元では何とか(預金保険法)第102条の第1号(資本増強)でと言う声もあったかと思いますが、5年間過ぎてみてこういった形で出口を迎えたということで、やはりその第3号(特別危機管理)で対応したというのはベストな選択だったという評価なのでしょうか。

答)

その第102条第1号措置か第3号措置かということについては、行政サイドに何らかのそういう裁量があるわけでございません。しばしばその誤解に基づいた主張等がなされているわけでございますけれども、足利銀行は大幅な債務超過の状況にございましたので、その場合には第2号措置(資金援助)か第3号措置と言う選択肢しかございませんでした。第2号措置か第3号措置かという選択肢の中で、足利銀行が栃木県を中心とする地域において占めている役割の大きさに着目して、法人格の継続、また業務の継続ということを重視して第3号措置を取ったということでございます。第1号措置か第3号措置という選択ではなかったということでございます。

(以上)

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