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佐藤金融庁長官記者会見の概要

(平成21年1月5日(月)17時03分~17時23分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

【質疑応答】

問)

今日から新しく始まりました株券電子化とゆうちょ銀行の他金融機関へのシステムの接続ということに関して、今日時点での実施状況と、また改めて注意を喚起したようなことがあればお伺いしたいのですが。

答)

まずゆうちょ銀行のほうですが、本日予定通り全銀システム(全国銀行データ通信システム)に接続が行われまして、これまでのところ特段の問題は生じていないと承知をいたしております。金融庁としては、利用者に混乱なく振込みサービスが提供されているかどうか、あるいは振込みの手続の際に混乱が生じていないかといったようなことを含め、顧客保護の観点から引き続き注意深くフォローしていきたいと思っております。

それから、本日は株券の電子化が実施されたという日でもございます。これまでのところ概ね順調に推移をしていると思っております。なお、ほふり(証券保管振替機構)の中のバッチ処理の過程で本日午前に、一時ですけれども、ほふりのシステム内のファイル容量の設定に不具合が発見されましたけれども、午前11時45分までに修正されて、本日の決済は予定時刻までに滞りなく処理されたということでございます。この株券電子化につきましても、金融庁としては引き続き実施状況を注意深く見ていくと同時に、改めて投資家等に対して必要な情報の提供に努めるなど、株券電子化制度の円滑な運営に万全を期してまいりたいと思っております。

問)

昨年の暮れのことで恐縮なのですけれども、一部報道で三井住友海上(グループホールディングス)、あいおい(損害保険)、ニッセイ同和(損害保険)の3損保が経営統合を交渉しているということが報道されましたが、現時点で金融庁が把握していることや、現状損保業界がおかれていることに長官が何か認識されていることがありましたら、お考えをお聞かせ下さい。

答)

ご指摘のような報道があったことは承知いたしておりますが、三井住友海上ほか計3社は、昨年12月29日及び30日に「現時点において公表すべき決定した事実はない」という旨の発表を行っていると承知をいたしております。もともと経営統合など経営再編につきましては、個々の金融機関の自主的な経営判断に基づくべきものでござまして、個別のケースについてコメントすることは差し控えたいと思います。

あくまでも一般論として申し上げれば、各保険会社がそれぞれ直面する課題を適切に抽出し、将来を見据えた経営に取り組まれるということは大変重要なことだと思います。こういった、将来を見据えた経営戦略の構築や、経営基盤の強化に向けて真剣に取り組む、自らの経営判断の下で、こうした取組みを通じて、競争力の強化や利用者利便の向上が図られることが重要であると思っております。

問)

これも(昨年12月)26日の件でちょっと恐縮なのですけれども、新銀行東京に対して、金融庁としまして業務改善命令を発出されたということなのですが、この点につきまして、改めて長官のご見解と、この銀行に期待することはどういうところがあるのか、改めてお話を伺えればと思います。

答)

ご指摘のとおり、昨年の12月26日に新銀行東京に対して銀行法第26条に基づく業務改善命令を発出いたしました。新銀行東京は過大な事業規模の追求、スコアリングモデルのみに依存した融資審査・管理などに起因して、大規模な損失を計上してきました。これに対して同行は、経営陣の大幅な交替、業務の重点化、大幅なリストラなどの対応をしてきたところでございます。しかしながら、昨年10月に通知いたしました検査結果及びそれに係る同行からの報告に基づいて検証を行った結果、経営管理態勢、法令等遵守態勢、及び与信審査管理態勢などに今後更なる改善を要する問題点が認められました。こういった認識に基づいて業務改善命令を発出したところでございます。同行が、今般の業務改善命令を踏まえた改善策を策定し、実行していき、着実に経営改善に取り組んでいくことを期待したいと思っております。

問)

議員提案の件で恐縮ですが、今日、自民党が銀行の保有株の買取りを再開する改正法案を衆議院に提出したわけですが、一部で、今回の株価の下落の要因は銀行と企業の持合い株の解消ではない、ということで、法律を作ってもあまり活用されないのではないかという厳しい見方もあります。金融庁として、今回の法案を出されたことについてどう受け止めておられるのかといった点について、また20兆円という巨額の政府保証枠をつけたことが株式市場に与える影響等を含めてご見識をお願いします。

答)

銀行等保有株式取得機構の活用につきましては、先の経済対策の中で与党において検討して、この機構を活用・強化していくということで盛り込まれたものでございまして、本日、与党の代表の皆様から(法案が)衆議院に提出されたというふうに承知いたしております。

このスキームの存在というのは、株式市場の全体に対して一つの大きな安心感を与えるものであろうかと思います。ご質問の中で少し触れていただきましたようなご指摘が一部にあるということも承知いたしておりますが、保有している株式をどのように処分していくかということは、それぞれの銀行なり当該銀行株を保有している事業会社なりのそれぞれのポートフォリオの状況にもよるでしょうし、それぞれの銀行なり企業なりの経営方針にもよると思いますので、多様であると思います。そういった中で、そういったポートフォリオの状況やあるいは経営方針に則って、保有している株式を売却しようという判断をなさったときに、それが株式市場に対して売り圧力にならないためのスキームとして効果を発揮することが期待されているわけでございまして、そういう意味では先ほど申し上げましたように、株式市場の安定を期する上で安心感を提供するものであろうかと思っております。

問)

今日、株価は上がっていますが、昨年12月末時点の株価水準・マーケット水準に照らし合わせて、各金融機関の昨年10‐12月期の四半期決算において、自己資本が大きく目減りするとか、金融システムが揺らぐとか、そういったご懸念はございませんでしょうか。

答)

各金融機関が保有している株式について、その価格変動がございますと、そのことが評価損益に反映され、あるいは極端な下落があった場合には減損処理が必要になるといったことで、金融機関の財務に影響を及ぼすということは、皆様ご存知のとおりでございます。ただ、おそらくその影響というのは、金融機関ごとに、その保有している株式の規模であるとか銘柄であるとか、様々な状況がそれぞれあるであろうと思っております。

以前にもお答えしたことがあるかと思いますが、こういったグローバルな市場のボラティリティ(変動)が非常に高まっている、その一環として、我が国の株式市場の変動も大きくなってきている、こういった状況に対して各金融機関がきちんとしたリスク管理を行いつつ、そういったショックを吸収しつつ財務の健全性を維持していくための努力が重要であると思っております。そういったリスク管理をきちんと行うことによって、金融機関としての金融仲介機能の発揮という務めを十全に果たしていっていただくということが重要であろうかと思っております。

問)

金融機能強化法ですが、各金融機関に説明されていると思いますが、今説明されている状況と、それを受けた各金融機関の反応みたいなものを、もしご承知の点があれば教えてください。

答)

昨年12月17日に改正法が施行されたわけですが、この法律の趣旨であるとか制度の内容であるとかについては、これを速やかに幅広く周知することが重要であるという認識に基づきまして、それ以降昨年末までに全国の財務局において、金融機関向けの説明会を開催いたしました。また、これと併せて関係団体などに対してもこの制度の活用の検討について積極的な呼びかけを行ってきたところでございます。

金融機関においては、中小企業をはじめとする借り手企業が期待する金融仲介機能を十分に果たしていくために、いわば先を読む経営の中で、資本増強という経営判断をする際には、現下の市場の状況も踏まえ、この制度の活用について是非ご検討いただくことを期待しているところでございます。もとより、中小企業に対する貸出しなど、金融仲介機能を果たすということは金融機関の最も本源的な役割であると思いますので、その役割を十全に発揮していただくための、これも重要なセーフティネットでございますので、是非積極的にご検討いただきたいと思っております。

問)

是非使ってみたいという反応というのは聞こえてきていらっしゃるのでしょうか。

答)

その辺の反応について言及するのは、時期尚早かなと思っています。

問)

財務局で開催された説明会というのは、イメージでいうと、一つ一つやるのではなくて、大広間みたいな所に希望者を呼んで審査の概要とか今回の改正の特徴とかというのを説明されたということでよろしいのですか。説明会のイメージと、全国でどれくらいの数の金融機関が説明会に参加されたかということは把握されてますでしょうか。

答)

具体的に金融機関とのやりとりについては、コメントは差し控えたいと思いますが、まず一つのやり方は、地域ごと、財務局ごと、各県単位でやっているケースもあると思いますが、当該地域の金融機関に一堂にお集まりいただいてご説明をし、質疑応答をさせていただくというのが一番標準的であろうかと思います。それから、金融機関のカバレッジに関しては、厳密に詳細に100%把握しておりませんが、ほとんどの金融機関をカバーしているはずだと思っております。この一堂に会して説明をさせていただき、質疑応答をさせていただくという形以外の、いわばもう少し個別色の強い接触の仕方というのも、日常の監督行政の中では当然ありうるわけでございます。そういった、一堂に会してのやり方以外のやり方も存在はしているということだけ申し添えておきたいと思います。

(以上)

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