英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

佐藤金融庁長官記者会見の概要

(平成21年1月26日(月)17時01分~17時21分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

私の方から特にございません。

【質疑応答】

問)

先週23日に、三井住友海上、あいおい、ニッセイ同和の損保大手3社が、経営統合することで基本合意したと発表しました。この件についてのご所感をお聞かせください。

答)

三井住友海上、あいおい、ニッセイ同和の損害保険会社3社が、先般1月23日に、平成22年(2010年)4月の経営統合を目指すということで合意したと発表したわけでございます。経営統合等の経営再編につきましては、個々の金融機関の自主的な経営判断に基づくものでございまして、個別のケースについて逐一コメントすることは差し控えたいと思います。

一般論として申し上げれば、各保険会社においては、それぞれ直面する課題を適切に抽出し、将来を見据えた経営に取り組むことが重要だと考えております。その中で、自らの経営判断の下、将来を見据えた経営戦略を構築する、あるいは経営基盤を強化する、こういった課題に向けて真剣に取り組み、こうした取組みを通じて、競争力の強化であるとか、あるいは利用者利便の向上が図られるということを期待したいと思っております。

問)

週末の報道で、政府・与党が、銀行だけではなく一般企業に公的資金注入制度を検討するという報道がありましたけれども、その中で、保険や証券会社も対象に含めるべきだという議論があるようですが、保険会社や証券会社に対する資本注入の必要性や緊急性など、この報道についてのご所感をお聞かせ願いたいのですけれども。

答)

ご指摘の報道は、多分、現在経済産業省において今通常国会に提出すべく作業を進めておられる産業活力再生特別措置法、いわゆる産活法の改正案についてのものではないかと思います。この新たな制度については、制度上特定の業種が排除されるものではないと承知しておりますけれども、基本的には、この金融危機の影響によって特に自己資本が減少したことにより、金融機関からの資金調達が困難となった企業というものを念頭においているということだそうでございまして、現段階で具体的に特定の業種への適用を想定しているわけではないと聞いております。

これはあくまでも一般論でございますけれども、保険会社、証券会社を含めて、各金融機関においては、それぞれの経営判断の下で、これまでも資本増強など、財務基盤の強化に向けた各種の取組みを行っているところと承知をいたしております。

問)

先ほど、四国の香川銀行と徳島銀行が、平成22年4月をめどに経営統合をすることで基本合意したと発表がございました。県境をまたいだ第二地方銀行同士の経営統合になるわけですけれども、ご所見をお聞かせ下さい。

答)

香川銀行と徳島銀行が、先ほど今ご質問のようなご趣旨の公表をしたということでございます。もちろん、経営統合、個別金融機関の経営判断に関する事柄でありますので、個別のケースについて逐一コメントすることは差し控えたいと思いますが、両行が発表したところによりますと、「経営統合により、より強固な経営基盤、幅広いネットワークを実現し、・・・地域のお客さまと共に成長する金融グループを形成すること」としているということでございまして、言わば、将来を見据えた取組みの一環であろうと受け止めております。

先ほど申し上げましたけれども、一般論として、金融機関においては、自らの経営判断の下で、将来を見据えた経営戦略の構築、あるいは財務基盤の強化などに向けて真剣に取り組んでいただいて、こうした取組みを通じて金融仲介機能を適切かつ積極的に発揮していっていただくということが重要だと思っております。

問)

今日午後、新銀行東京の方から業務改善計画が提出されていると思うのですが、この内容についての評価、ご所見をお願いいたします。

答)

ご案内のとおり、新銀行東京につきましては、昨年12月26日に金融庁が業務改善命令を発出したところでございまして、本日同行から業務改善計画の提出があったということでございます。この業務改善計画におきましては以下のような項目が盛り込まれております。第1に、改善計画の策定、改善に当たっての取締役会の積極的関与、第2に類似問題事案の徹底した調査、問題事案を踏まえたチェックリストによる確認を通じた再発防止態勢の強化、第3に、執行役自らが個別案件を検証し、与信判断能力を向上させる、月1回以上顧客と接触することを義務付けるなど、顧客とのリレーションの強化、第4に、問題事案の未然防止、早期発見の監査の強化といった点でございます。

今後金融庁としては、四半期毎に同行による実施状況について報告を受け、フォローアップを行っていくこととなります。フォローアップに当たっては、計画の具体的項目毎にこの改善に向けた取組みが実効性のあるものになっているかどうか確認していきたいと思っております。

問)

証券会社と保険会社については、公的資金の資本注入のような制度はあまり必要ないのではないかというお考えなのでしょうか。

答)

先ほど申し上げましたように、この産活法というのは、特定の業種を排除しているわけではないわけです。ただ、現在の段階で特定の業種への適用を想定しているわけではない、というふうに承知をいたしております。私が先ほど申し上げたのは、それぞれの保険会社、証券会社において、それぞれ置かれた状況に応じて、それぞれのタイミングでこれまでも資本増強等の取組みをやってきているということでございます。そう意味では、マーケットベースと申しましょうか、個々の金融機関がそれぞれの経営判断で市場において必要な資本調達を行うということが、いわば本来の姿でございます。そういった観点から、これまでもそういった取組みがなされてきているということをご紹介したということでございます。

問)

今の質問に関連して、地域金融機関については、市場で調達するのは難しいということで金融機能強化法の意味があったかと思いますが、保険会社、証券会社については、現在の市場の環境についてはどのように見ていらっしゃいますか。

答)

地域銀行についても、別に市場での調達が難しいというふうに決め付けているわけではございません。しっかりとした金融仲介機能を発揮していくために十全な資本基盤を持とうとしたときに、必ずしもマーケットだけでは十分に資本調達ができないケースもあろうかということで、セーフティネット(安全網)として機能強化法の枠組みができているということでございます。

証券会社、保険会社については、いわゆる預金取扱金融機関に対するセーフティネットの張り方とは別の枠組みになっていることはご案内のとおりでございますが、これまでのところ、証券会社、保険会社においても、いわば本来の個々の会社による自助努力による経営基盤の維持・強化という取組みがなされてきているというふうに現時点では認識をしております。

問)

香川銀行と徳島銀行の統合の話ですが、四国のような経済状況が厳しい所での金融機関の統合という背景をどのように捉えるのかというのと、四国のように金融機関がそれぞれ地方銀行と第二地方銀行が一行ずつというところで統合が行われた場合の借り手側への影響とか、波及効果みたいなものが悪い意味を含め出てくるのかどうか、そのあたりをどのようにお考えでしょうか。

答)

一つは、経営統合というのは先ほど来申し上げていますように自主的な経営判断によるものだと思いますが、その自主的な経営判断の中で、統合することによってシナジー(相乗)効果を出す、あるいは業務の効率化を行うことによってより強固な収益基盤に結び付けていく、その収益基盤に基づいてより積極的な金融仲介機能を発揮していくということが、望ましい方向感ということであろうかと思います。そういう意味では、是非そういったネットワークを実現していただいて、顧客の利便性向上、顧客から見たサービスの質の向上ということに結び付けていっていただきたいというふうに思っております。その際に、金融機関の数が減ることによって利用者の側から見たときに選択肢の幅が狭まるのではないかというお尋ねであろうかと思いますが、その辺は様々な業態、様々な金融機関がそれぞれの地域に存在しているというふうに思っておりますので、いわば独占的な地位を利用した、優越的地位の濫用にあたるような、そういうことがないようには心掛けていただきたいというふうに思いますが、顧客の側からも、顧客の側から見た選択ということが可能になるような、そういう競争がなされることは当然大事なことだろうというふうに思っております。

問)

先日、最高裁の判決で消費者金融の過払い金の時効の開始のところについて新しい判断がなされ、場合によっては請求対象を拡大するということになるということですが、消費者金融など金融各社の健全性に与える影響をどう見ていらっしゃるかというのを伺いたいのと、弁護団の中には金融庁の監督責任を問うべきだ、もしくは問いたいという声もあるようですが、実際提訴されるかは別にして、こういう見方に対してどう受け止めていらっしゃるのか、この2点を伺えればと思います。

答)

お尋ねは、過払い金返還請求の消滅時効に関するものという理解でよろしいですか。

最高裁の判決が先週の22日に示されたというふうに理解をしております。これは、貸金業者のいわゆるリボルビング契約に基づく貸付により生じた過払い金返還請求の請求権の消滅時効というのは、特段の事情がない限り、個々の弁済時、つまり過払い金の発生時からではなくて、リボルビング契約の終了時から起算されるという旨の判断であったというふうに承知をいたしております。

この過払い金をめぐる判断そのものは民事上の問題であって、金融庁として過払い金の消滅時効にかかる司法判断についてコメントすることは差し控えたいと思いますが、金融庁としても貸金業者の過払い金の支払いにつきましては、一方で利用者保護をしっかり確保するという観点、他方で貸金業者に及ぼす影響という観点の両方の観点から引き続き注意深く見ていきたいというふうに思っております。いずれにいたしましても、現下の貸金業者の経営環境については、過払い金返還請求の増大等によって厳しいものとなっているということは事実であろうかと思いますが、当局として今回の判決が直接貸金業者へどの程度の影響を及ぼすかということにつきましては、一概に申し上げることは困難であろうかと思っております。

金融庁の責任云々につきましては、これまでも金融庁としては、財務局を含め与えられた組織・人員の中で、法令に則ってできるだけの利用者保護のための様々な対応をしてきているというふうに認識をいたしておりますが、利用者の保護というのは金融行政のもともと大きな柱の一つでございますので、利用者保護の重要性ということを踏まえて引き続き的確な対応に努めていくということであろうかと思います。

(以 上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る