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佐藤金融庁長官記者会見の概要

(平成21年2月2日(月)17時00分~17時16分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

どうぞ。

【質疑応答】

問)

公的資金の資本注入なのですけれど、今日、福邦銀行が申請の検討を正式に発表したのですけれども、これは、札幌(北洋)ホールディングス、南日本銀行に続いて3件目になると思いますけれども、これはいずれも第二地方銀行なのですけれども、そういった地方の有力企業というものが地方銀行とかに押さえられて、景気が悪化する中、第二地方銀行の経営というものが、かなり今後厳しくなるのではないかという見方もあるのですけれども、長官の見解をお願いします。それと、一部報道で、金融庁が地域銀行に対して、定款を変更して優先株が発行できるように要請する方針を固めたというような報道もありましたけれども、その点についての事実関係と併せてお願いします。

答)

ご承知のとおり、これまで札幌北洋ホールディングス、南日本銀行に続いて、福邦銀行が、地域の中小企業等への安定かつ円滑な資金供給の強化を図るという目的で、国の資本参加についての検討に着手する旨の公表を行っているということでございます。

ご案内のとおり、グローバルな金融市場の混乱は、株価であるとか実体経済の動向を通じて、地域銀行の経営環境にも影響を及ぼしているところでございます。先週末までに公表を行った地域銀行の平成20年12月期決算というものを見てみますと、これは地方銀行であるか第二地方銀行であるかを問わず、不良債権処理費用や有価証券の減損処理費用の増加といった要因で、大幅減益又は赤字になっているという銀行が多いわけです。金融庁としては、地域金融機関を取り巻くこうした状況について、引き続き高い警戒水準を維持しながら注意深くフォローしていく必要があると思っております。他方、各金融機関においてもこうした状況の下で、金融仲介機能を適切かつ十分に果たしていくということが重要でございまして、このために、いわば、いつも申し上げている「先を読む経営」の中で、資本増強という経営判断をされる際には、改正金融機能強化法の活用についても積極的にご検討いただくことを期待しているというところでございます。

定款の変更に関しましては、一般論として申し上げれば、今申し上げたような趣旨、金融仲介機能の安定的・持続的な発揮というための経営基盤の強化という狙いで、優先株式の発行に係る定款変更等の手続き面の検討を含めて、今後の資本政策について自発的に経営判断をしていっていただくということは重要なことだと思っております。金融庁としては、こうした経営判断が適切になされ、我が国金融機関の健全性と金融機能の強化が図られることを期待しているということでございます。速やかに優先株式を発行できるような枠組みを整備しておくというのは、いわば、いざという時の備えを十分なものにしておくということでございますので、有意義なことであると思っております。

問)

今の、特に金融庁の方から何かお願いして、優先株の枠を定款変更してやってくれ、というようなことは考えていないのでしょうか。

答)

従来から申し上げておりますように、改正金融機能強化法の、法の目的、財務の健全性を確かなものにして金融仲介機能をしっかり果たしていっていただくという目的を十分踏まえていただいて、各金融機関において、それぞれの経営判断として資本増強ということが選択肢に入ってくる場合には、この機能強化法の活用ということも併せて考えていただきたいという期待を従来から申し述べさせていただいておりますし、全国で説明会を開催し、またこういった検討についての金融庁としての期待を表明してきているということでございます。そういう大きな取組みの中の部分集合として、先ほど申し上げた手続き面の話ということが含まれてくるということは、会社法制等についてご存知の方は、いくつかある検討項目の中に、そういったことが含まれてくるということは、それぞれの銀行が経営判断としてそういった点を検討される際には、視野に入ってくる話であろうかと思います。

問)

東京証券取引所が先週、プロ向け市場の概要を発表しまして、上場基準については特に数値基準を求めないとか、四半期開示も年2回でよいなど従来の市場よりも大幅にルールが簡素化されていますが、プロ向け市場は金融庁がまとめた市場強化プランの中にも盛り込まれていまして、東証のプロ向け市場について今後期待する点と、上場会社の質の面の維持が課題になると思いますが、長官のお気づきの点があればお願いします。

答)

東京証券取引所が概要を公表したプロ向け市場については、プロ投資家の自己責任に立脚した取引の場を整備することにより、内外の企業やプロの投資家に資金調達及び投資運用の機会を提供し、そのことを通じて我が国の資本市場の魅力を高めることが期待されているところでございます。その一方で今ご指摘いただいたように留意点もあるわけでございまして、プロ向けの市場であっても、当然のことながら、市場の透明性・公正性等の確保は極めて重要なことであります。また国際的に見ても、今般のグローバルな金融危機を受けて、市場の透明性の必要性がますます重要な課題として浮かび上がっていると思います。こういったことも踏まえて、取引所においてプロ向け市場の上場審査・管理などの運営は的確になされることが重要だと考えています。

金融庁としては、このプロ向け市場について今後、取引所の免許申請などが行われた段階で具体的な審査を行うことになりますが、その際には金融商品取引法の規定に則って適切に対応していきたいと思っています。

問)

先ほどの金融機能強化法の定款変更の件ですが、分かりやすく言って、地域銀行に今年の株主総会に向けて定款変更を求めるのか、ある種一斉的な形になるかもしれないがそのようなものを求めるのかどうかという点ではどうでしょうか。

答)

金融機能強化法を活用する、しないということ自体が個々の銀行における経営判断であるということは以前から申し上げているわけでございます。いわば手続き面の準備、備えとしての定款変更ということであるのならば、今申し上げた各銀行による経営判断の一環として検討されるべきことでございますので、お尋ねのような一斉に定款変更すべしというような要請をするという考え方は持っていないということです。他方で、先ほども申し上げたように、いざというときの備えとして、速やかに増資ができる、優先株の発行による増資ができる、これは別に公的資金に限らず市場ベースあるいは第三者割当といった民間ベースでの増資の場合も同様であると思いますが、そういった定款上の備えをしておくことは、いざというときの備えとして速やかな対応を可能にするという意味で意義のあることだと思います。

問)

日曜日の読売新聞の社会面に、中川秀直元(自民党)幹事長の公設秘書に紹介を受けた金融庁幹部が特定企業の投資家に対して、その企業が上場廃止になるかどうかの問合せを受け、「上場廃止になるケースではない」という見解を伝えていたという内容ですが、これに関する長官の受止めと、こういう行為が何がしかの問題になるかどうかの見解を伺えればと思います。

答)

大変個別の話ですので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。まったくの一般論として、個別上場企業の上場維持・廃止といった判断は、各取引所の取引所規則に則って取引所が判断することであります。

問)

取引所が判断するものだから、金融庁幹部がそういうことを伝えても問題はないということですか。決定する権限がないから、そういうことを言っても問題ないと受け止めてよろしいですか。

答)

個別の上場企業の上場維持・廃止については、取引所が責任を持って判断すべき事柄です。

(以上)

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