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参議院財政金融委員会における亀井金融担当大臣の所信表明
(平成22年3月9日)
(我が国金融システムを巡る状況について)
はじめに、我が国の金融システムを巡る状況について申し述べます。
我が国の景気は持ち直してきていますが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にあります。こうした実体経済の状況が金融システムに与える影響など、引き続き状況を注視する必要があります。
(金融の円滑化について)
只今申し上げたような厳しい経済情勢の下、中小・零細企業等からは、依然として資金繰りが厳しく、かつてない深刻な状況にあるとの声が上がっております。
先の臨時国会で成立した中小企業金融円滑化法については、年末の資金繰りに間に合わせるべく、監督指針や金融検査マニュアルの改定と併せ、昨年十二月四日に施行されました。同法により、金融機関は、中小企業又は住宅ローンの借り手の方々から申込みがあった場合には、できる限り、貸付条件の変更等に努める義務を負うこととなりました。
本法の施行を受け、各金融機関においては、金融円滑化推進のための専門部署の設置等の体制整備が行われましたが、来たる年度末に向けて、引き続き中小企業等の厳しい資金繰りの状況が続くことを懸念する声も聞かれております。このため、今後とも、金融機関に対し、自らの社会的責任を改めて認識した上で、借り手に対して適切なコンサルティング機能を果たすなど、円滑な金融仲介機能を発揮するよう促してまいります。
(国際的な議論への参画について)
次に、一昨年来の欧米発の金融危機に関し、危機の再発防止と強固な金融システムの構築に向けて、国際的に連携していくことも重要な課題となっています。
こうした中、銀行の自己資本及び流動性の強化に関し、昨年十二月、バーゼル銀行監督委員会より市中協議文書が公表されました。厳格な規制を求める声が多い中、我が国は、中長期的に自己資本等の強化が必要との認識は共有しつつ、規制見直しが、実体経済や金融仲介機能に悪影響を及ぼさないよう配慮するよう主張してきました。市中協議文書では、こうした主張が反映され、具体的な規制内容は、市中協議や定量的影響度調査を十分踏まえて決定するとともに、経過措置等を十分に長期に亘り設定するとされております。
金融規制改革については、その後、欧米で様々な新たな提案がされております。こうした改革にあたり、各国が可能な限り協調することは望ましいと考えておりますが、各国がその実情に応じ主体的に取り組むことも重要です。今後とも、国際的な議論の場において、我が国の立場を積極的に主張してまいります。
(金融・資本市場に係る制度整備について)
さらに、昨年九月に米国ピッツバーグで開催された首脳会合において、店頭デリバティブ取引について清算機関を利用すべきことや、当該取引を取引情報蓄積機関に報告すべきことについて合意されております。こうした国際的な議論や一昨年秋以降に我が国金融・資本市場において見られた問題等にかんがみ、我が国の実情を踏まえながら、我が国金融システムをより強固なものとするために必要な制度整備について迅速に対応していくことが喫緊の課題です。
このため、我が国金融・資本市場において早急に対応すべき諸課題について検討し、本年一月二十一日に、「金融・資本市場に係る制度整備について」を公表しました。引き続き検討を進め、このうち、法改正が必要な事項について、本日、「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」を国会に提出させていただくこととしております。本法案は、金融システムの強化及び投資家等の保護を図るため、店頭デリバティブ取引等に関する清算機関の利用の義務付け、金融商品取引業者のグループ規制の強化等の措置を講じるものであります。