平成23年6月7日

自見金融担当大臣挨拶
(平成23年6月7日(火)財務局長会議)

金融担当大臣の自見庄三郎でございます。財務局長会議の開催にあたり、一言申し上げます。

南は沖縄から北は北海道まで、今日は全員11人の局長がお集まりでございます。

本年3月に発生した東日本大震災から3ヶ月が経過しようとしております。この間、東北・関東をはじめ各財務局におかれては、金融上の措置の周知に向けた取組みや、被災者への相談業務など、幅広い対応に努めていただいていることに心から感謝申し上げます。

今日は、岡部東北財務局長もおいでですが、私も4月15日、16日と東北の仙台・石巻に行かせていただきました。岡部局長は3日間電気が付かなくて、3日間カンパンを食べて生きていたという話を聞きまして、それにも関わらず叱咤激励していただきまして、金融機能を維持していただいたということに本当に感謝いたしておりますし、また、各局においても、災害有事でございましたが、それぞれの任務・責任をしっかり果たしていただいたということを心から感謝いたしております。

はじめに、「東日本大震災への対応」について申し上げます。

今般の大震災を受け、金融庁では、いち早く、3月11日、大震災が起きたその日の夜に、私と白川日銀総裁との連名で、東北地方と茨城県に本店のある72の金融機関、2,700の支店・営業所がございまして、そこに、金融機関あるいは生損保に至るまで、あらゆる金融機関にお願いをしていただいたわけでございます。特に、災害があった日が金曜日でございましたが、土曜日、日曜日、金融機関はお休みですから、お金を持ち出す暇もなかったという方もたくさんおられるわけでございまして、特例措置として、是非、金融機関の店を開けていただきたいと、そして、預金通帳あるいは貯金通帳がなくなりまして、本人確認と言いましても、判や運転免許証が流されるという方がたくさんおられるわけですから、氏名・住所・生年月日・電話番号くらいでも本人確認をしていただきたいと、それから判がございませんから、拇印でいいと、こういったことも小さい事いろいろ金融庁あるいは日本銀行と連絡を取りながらお願いをさせていただいたところでございます。

災害有事の時には有事の考え方が政治・行政にはございます。東副大臣は金融担当副大臣であるとともに防災担当副大臣でもありますから、いの一番で東北6県に行っていただきました。和田政務官、三國谷長官とも連絡を取りながら、つかさつかさで全力を挙げてやらせていただいたつもりでございます。

特に、3月31日には、中小企業金融円滑化法の期限を1年延長するための改正法が公布・施行されました。大震災の影響を直接・間接に受けておられる方々においては、同法により、その経営改善・事業再生や生活の安定につながることを期待しております。災害時の金融行政、貸付条件の変更や個人の住宅ローンの変更に積極的に応じる努力をしてくれということが法律として延長してありましたので、私としては、被災地の気持ちに立って行政をさせていただけることが、法的根拠に基づいてやっていただくことができたのではないかなと思っております。

次に、「金融機能強化法の改正」について申し述べます。

これは、東日本大震災により、今後、金融機関に様々な影響が生じうることを踏まえておりまして、ご存知のように、今、東北6県の地方銀行・信金・信組、自己資本比率、全く十分あって正常でございまして、全く健全でございますけれども、今から中小企業に融資をしたら、工場も土地も機械も何もかも流れたという方がたくさんおられますし、また、住宅ローンを組んで新しい住宅を作ったけれども、借りたその日に、3時間後には家が全部流れたという人も実際おられるわけですから、そういった方々のことを踏まえて、地域における面的な金融機能を維持・強化するとともに、預金者に安心していただける、万全の仕組みを設けることが適切と考え、先般、5月27日に金融機能強化法を改正するための法案、これはなかなか法律上難しい法律でございましたが、金融庁の方々、連休を全部潰して作っていただきまして、国会に提出させていただいたわけでございます。

具体的な改正内容としては、国の資本参加の申請期限を5年間延長するとともに、震災の影響を受けた金融機関が国の資本参加を受けようとする場合に、経営責任が問われないことを明確化する等の震災の特例を設けることとしております。

また、協同組織金融機関、信金・信組・労働金庫等でございますが、限定された営業地域を基盤として、人的に結合した会員組織である一方、中央機関が一定の指導的役割を担っているといった特性があることから、その特性に応じた特例を設けることとしております。

私も岡部局長と仙台では地方銀行でしたが、石巻では石巻信用金庫、石巻商工信用組合の理事長をはじめ幹部の方とお会いしました。あの地域は水産加工業が盛んでありまして、まさに長靴を履いて石巻の水産加工業を育てたんだという誇りを持っておられます。そういった方々は石巻の水産加工地域として一定の地域に集積しておりまして、ご存知のとおり協同組合組織ですから、特徴もあると同時にこういった時には非常に難しいところもあるわけですけれども、このような特例を設けることにより、地域における金融機能の確保と、預金に対する万全な保護が図られるものと考えております。

我々は、東北6県、あるいは茨城県における金融機関をしっかりお助けする。これは誤解を招きやすいのですが、金融機関を助けるということも大事ですが、その先には中小企業・零細企業が融資の対象として生きるか死ぬかの契りを結んでいると言っては言い過ぎかもしれませんが、金融機関は大災害の中でも地域の仲介機能を低下させてはならないという強い決意でこの法律を作らせていただいたわけでございます。

次に、いわゆる「二重ローン」問題について申し述べます。

これはよく衆・参の予算委員会でも私、金融担当大臣としてこの「二重ローン」問題の答弁をするわけですけれども、ご存知のように、我々金融庁が所掌しているのは民間金融機関でございますから、原資は預金者から預かってきた預金でございまして、これに適当な利子を付けてお返しするというのが民間金融機関の原理の一つですから、我々には一定の限度がございますが、私としても、政治的には大変重要な課題と認識しているところであり、今申し上げた金融機能強化法に基づく資本参加により、金融機関の財務基盤を強化することは、貸付債権の条件変更等、金融機関が被災地の実情にあった対応を行いやすい環境を作ること、あるいは強化することに資するものと考えております。

このほか、金融庁では、金融機関が債権放棄を行う上で障壁とならないよう、金融機関が債権放棄を行った場合の無税償却の容認について、国税当局と協議しているところです。

いずれにいたしましても、二重ローン問題は、民間金融による対応だけではなく、政府系金融機関、これは利子補給を歳出でできるわけでございまして、そういったこととも組み合わせをしながら、また、政府の財政支出そのものですが、被災地の生活再建、住宅金融の支援として300万円を支給するという制度もございます。あるいはまた、官房長官のもと、金融庁でも二重ローン問題をどうするかということを各府省庁とも連携を取りながら鋭意やらせていただいておるところです。

最後になりますが、地域金融は地域経済の基盤であり、最前線で金融行政にあたる財務局の役割は極めて重要でございまして、今後とも、「国民のための行政」という原点を忘れずにご尽力いただくようお願いさせていただく次第です。

私も6月11日に亀井静香大臣の後任ということで引き受けさせていただきまして、今日で362日になりました。いつまで続くか分かりませんけれども、最後の1分1秒まで、この災害の時に与えられた本当に重たい任務を皆様の力をお借りしながら、全力で、政治家として、金融行政を預かる者として、東副大臣、和田大臣政務官共々責任を果たしていきたいとお誓い申し上げまして、日頃の皆様方のご活躍に対する敬意と感謝を申し述べて挨拶に代えさせていただきます。

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