平成23年7月29日

自見金融担当大臣挨拶
(平成23年7月29日(金)財務局長会議)

金融担当大臣の自見庄三郎でございます。財務局長会議の開催にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。

このたび、東日本大震災の発生から4か月半が経過したところであります。この間、各財務局におかれましては、幅広い対応を真摯に努めていただいていることに感謝いたしております。

財務局長の皆様におかれましては、今回、人事異動があったとのことでございますが、東北財務局長と沖縄総合事務局長は留任と聞いております。東日本大震災の発生後、私も仙台と石巻に行かせていただきましたが、東北財務局の岡部局長は、カンパンと水で三日間過ごしたということで、本当に孤軍奮闘され、あるいは財務局の職員を力づけながらやられたということでございまして、留任ということは、極めて時宜を得たことだろうと思っております。

金融庁といたしましては、大臣、副大臣、政務官あるいは長官をはじめとして、しっかり思い切ったバックアップをしてまいりたいと考えております。財務局におかれましても、千年に一度の津波でございますから、国民から与えられた公の責務をしっかり果たしていただきたいと思うわけでございます。

はじめに、「東日本大震災への対応」について申し述べます。

これまで我が国は、バブル崩壊をはじめとする金融危機を乗り越えてまいりました。このたびの震災に対しましても、いわゆる「二重債務問題」への対応等の課題がございますが、まさに政府一丸となって乗り切っていくときであると考えております。

「二重債務問題」については、6月17日に政府による「二重債務問題への対応方針」が策定・公表され、現在、それに基づき、次に述べる金融機能強化法の改正をはじめとする支援策を検討あるいは実施しております。

また、今後、震災の直接的な影響にとどまらず、風評被害や電力問題等を通じ、間接的な影響が広域で顕在化することが懸念されております。財務局におかれましては、地域の状況の把握に努められ、適切な対応をお願いしたいと思っております。

次に、「金融機能強化法の改正」について申し述べます。

このたびの震災により、今後、金融機関に様々な影響が生じうることを踏まえ、万全の枠組みを設けることが適切であると考え、金融機能強化法の改正法案を国会に提出いたしました。同法案は、連休も返上し、まさに金融庁一丸となり作成したものでございますが、6月22日に他の震災関連法案に先駆けて、全会一致で可決・成立し、一昨日、7月27日でございますけれども、施行されたところでございます。

具体的な改正内容につきましては、先般の財務局長会議でも申し上げましたので、ここでの説明は省略いたしますが、今回の法改正において震災特例を設けることにより、地域における金融機能の確保と、預金に対する万全な保護が図られるものと考えております。

財務局長の皆様におかれましては、金融機関に対し、震災地域をはじめとする地域経済の下支えに万全を期す観点から、また、自らの将来を見据えた資本政策の観点から、金融機能強化法の活用の積極的な検討を呼びかけていただくようお願いいたします。

次に、「IFRS適用に関する検討」について申し述べます。

我が国におけるIFRSの適用に関しましては、2009年6月に、企業会計審議会から中間報告が示され、2010年3月期以降、任意適用が認められておりますが、その後、米国のSECによるIFRS適用に関する作業計画案の公表、東日本大震災の発生など、国内外で様々な状況の変化が生じております。

6月21日に私から申し上げましたとおり、金融庁といたしましては、IFRSの適用に関しまして、1.少なくとも2015年3月期についての強制適用は考えていない、2.仮に強制適用する場合であっても、その決定から5~7年程度の十分な準備期間の設定を行う、3.2016年3月期で使用終了とされている米国基準での開示は使用期限を撤廃し、引き続き使用可能とする、という考えを明らかにしたところであります。

企業会計は経済の基本であります。したがって、IFRSの適用に関する議論にあたっては、単なる会計の技術論ではなく、会計制度は国における、歴史、経済文化、風土を踏まえた企業のあり方、会社法、税制等の関連する制度、企業の国際競争力などと深い関わりあいがあることを踏まえて、きっちりと考えていく必要があると考えております。

次に「国際関係」について申し述べます。

先般の金融危機を受け、これまでG20や金融安定理事会(FSB)等において金融規制改革の取組みが行われてきました。

我が国としては、国際的な金融規制改革については、中長期的に金融システムの健全性の向上に資するものとなる一方、1.各国の金融システムの実情の違いを十分に踏まえたバランスのとれたものであること、2.実体経済への影響に十分配慮していくことが極めて重要であると考え、国際的な論議の場において主張を行ってまいりました。

我が国のこのような考えは、これまでのG20首脳声明、銀行の自己資本・流動性の新たな枠組み(バーゼルIII)、7月19日に公表されたシステム上重要な金融機関(SIFIs)に関する市中協議文書等にも反映されております。

特に、SIFIsに係る施策につきましては、本年11月のカンヌ・サミットまでに最終的な結論をまとめる予定であります。金融庁といたしましては、引き続き積極的にこれらの国際的な論議に参画してまいりたいと考えております。

最後になりますが、財務局長の皆様におかれましては、今後とも、国民の信頼に応える金融行政を遂行していただくようお願いを申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。

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