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衆議院財務金融委員会における自見金融担当大臣の所信表明
(平成24年2月22日)
(はじめに)
金融担当大臣の自見庄三郎でございます。引き続き、御指導、御鞭撻のほど、宜しくお願い致します。
本日は、現下の金融行政について、一言申し上げます。
(東日本大震災からの復興について)
間もなく東日本大震災の発生から一年を迎えますが、本年は、まさに「復興元年」とも言うべき重要な年であり、官民の総力を結集して、被災地域における本格的な復興を着実に進めていかなければなりません。
金融庁としても、復興に向けた取組みを金融がしっかりと下支えするべく、金融機関等に対して、震災特例を設けた「金融機能強化法」や「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」等、各種の復興支援策の積極的かつ効果的な活用を促すなど、引き続き、被災地の復興支援に最大限努めてまいります。
(我が国金融システムを巡る状況について)
次に、我が国金融システムを巡る状況について申し上げます。
いまだ予断を許さない状況にある欧州の債務問題や歴史的な円高等を背景に、中小企業者や金融機関等を取り巻く環境は、依然として厳しい状況にあります。
このような状況の下、金融庁としても、金融システムの健全性が確保されるとともに、金融仲介機能が円滑かつ積極的に発揮されるよう、的確に対応してまいります。
(金融の円滑化について)
次に、金融の円滑化について申し上げます。
金融機関には、実体経済を支えるという金融の基本的役割に鑑み、顧客企業等の資金ニーズに的確に応えるとともに、コンサルティング機能を積極的に発揮し、顧客企業等の経営改善等を最大限支援していくことが求められております。
金融庁としては、このような役割を金融機関がしっかりと果たすべく、「中小企業金融円滑化法」の施行をはじめ、金融の円滑化に向けた様々な施策を講じてまいりました。
こうした施策により、基本的には金融機関による金融円滑化の取組みは定着してきていると考えておりますが、このところ貸付条件の再変更等が増加している、或いは貸付条件の変更等を受けながら経営改善計画が策定されない中小企業者も存在しているなどの問題も指摘されております。このため、金融規律を確保するとともに、「出口戦略」として、中小企業者等の真の意味での経営改善支援を強力に推し進める必要があり、事業再生等の支援に軸足を円滑に移していくため、「中小企業金融円滑化法」の期限を今回に限り一年間再延長することが適切と判断いたしました。
(国際的な金融規制改革について)
続きまして、国際的な金融規制改革の動向等について申し上げます。
世界の金融システムを強化する観点から、これまで、銀行の自己資本等の新たな規制枠組みや、昨年十一月のカンヌ・サミットにおけるシステム上重要な金融機関に関する包括的な政策パッケージ等につき、国際的な合意がなされました。この他、店頭デリバティブ市場の改革等の多様な施策も進展しているところです。
我が国としては、引き続き、こうした国際的な議論に積極的に参画し、各国と協調した取組みを進めてまいりたいと考えております。
(提出法律案の概要)
最後になりますが、提出法律案の概要について申し上げます。
現状、本国会で御審議をお願いすることを予定している法律案は、四件であります。
既に国会に提出された各法律案の概要について、御説明いたします。
第一に、先ほど御説明いたしました「中小企業金融円滑化法」の期限を一年間再延長する、「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案」でございます。
第二に、本年三月末までとされている「銀行等保有株式取得機構」による銀行等からの株式等の買取期限を五年間延長する、「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律の一部を改正する法律案」でございます。
第三に、「保険業法等の一部を改正する法律案」でございます。同法律案は、本年三月末までとされている「生命保険契約者保護機構」に対する政府補助の期限の五年間の延長、並びに保険会社の子会社の業務範囲及び保険契約の移転等に関する規制の緩和等を行うものであります。
以上に加え、「金融商品取引法の一部を改正する法律案」の提出を予定しております。同法律案は、店頭デリバティブ取引規制及び企業の組織再編に係るインサイダー取引規制に関する所要の制度整備並びに課徴金制度の見直し、更に関係者の合意が得られれば総合的な取引所の創設に関連する規定等を措置するものであります。
これらの法律案については、速やかに所要の施策が講じられるよう、できるだけ早期の成立が求められるところであります。御審議の上、御賛同いただきますよう、お願い申し上げます。
(結び)
以上、金融担当大臣として、一言御挨拶を申し上げました。今後とも、皆様のお力添えを得て、金融行政の運営に全力を傾注する所存です。海江田委員長をはじめ、委員各位におかれましては、御理解と御協力をお願い申し上げます。