参議院財政金融委員会における麻生財務大臣兼金融担当大臣の発言要旨

(平成25年10月31日)

(はじめに)

財務大臣兼金融担当大臣の麻生太郎でございます。

本委員会の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げますとともに、今後の財政政策及び金融行政についての基本的考え方を申し述べます。

(日本経済の現状と財政政策等の基本的な考え方)

発足から十ヶ月、第二次安倍内閣は、長引くデフレ不況からの脱却と経済再生を果たすため、これまで、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」からなる「三本の矢」を一体的かつ強力に実行しているところであります。

これら一連の政策の効果が現れ、景気は緩やかに回復しつつあり、デフレ状況ではなくなりつつあります。先行きについても、景気回復の動きが確かなものとなることが期待されます。

こうした状況の中、十月一日の閣議決定において、経済再生を進めつつ、社会保障の財源確保と財政健全化を図る観点から、「税制抜本改革法」等の規定に基づき、来年四月一日より国・地方の消費税率を八%に引き上げることを確認いたしました。

これに伴い、消費税率の引上げによる反動減を緩和して景気の下振れリスクに対応するとともに、その後の経済の成長力の底上げと好循環の実現を図り、持続的な経済成長につなげるため、経済政策パッケージを決定いたしました。五兆円規模の新たな経済対策の策定及び民間投資活性化等のための一兆円程度の税制改革を含む経済政策パッケージに着実に取り組んでいくことで、デフレ脱却と経済再生に向けた道筋を確かなものとしていく決意です。

また、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のため、先日施行された転嫁対策特別措置法等に基づき、関係大臣と協力しながら実効性のある対策を進めてまいります。

(持続的成長と財政健全化に向けた取組)

民需主導の持続的な成長を実現するためには、財政健全化を通じて、家計や企業の財政に対する不安を払拭するとともに、より多くの民間貯蓄が民間投資に向かう環境を整備し、個人消費や設備投資の拡大を促すことが不可欠です。

また、金融緩和を円滑に推進していくためには、国債に対する信認を確保し、長期金利を安定させる必要があります。そのため、政府が財政規律を堅持していくことが求められます。

このように、「三本の矢」が持続的に効果を発揮するためにも、財政健全化への取組は極めて重要です。六月十四日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針」に示されたこのような基本認識に立って、同日に閣議決定された「日本再興戦略」と、八月八日に閣議了解された「中期財政計画」を推進し、持続的成長と財政健全化の双方の実現に取り組んでまいります。

そうした取組の下、財政健全化目標として、国・地方を合わせた基礎的財政収支については、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べ赤字の対GDP比を半減、二〇二〇年度までに黒字化、その後の債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指し、努力してまいります。

(平成二十六年度予算)

平成二十六年度予算は、こうした財政健全化目標を達成するための試金石となる予算でもあります。「中期財政計画」で示した一般会計の基礎的財政収支について、四兆円程度の改善を確実に達成することを念頭に、民需主導の経済成長と財政健全化目標の双方の達成を目指して、予算の中身を大胆に重点化し、メリハリのついた予算としてまいります。

また、消費税率引上げに対応する新たな経済対策を実施するための平成二十五年度補正予算を、平成二十六年度予算と併せて編成してまいります。

(今後の金融行政の在り方)

続いて、現下の金融行政について申し述べます。

冒頭に申し上げた安倍内閣の「三本の矢」を一体的かつ強力に推し進めていく上で、金融機関が、さらに一層、金融仲介機能を発揮し、企業の再生、成長と地域経済の活性化に取り組んでいくことが重要です。このため、金融機関に対し、中小企業等に対する新規融資を含む積極的な資金供給や経営改善・事業再生等の支援に取り組むよう促してまいります。

また、十月一日、日本経済再生本部にて決定した「成長戦略の当面の実行方針」を踏まえ、日本の金融・資本市場の総合的な魅力の向上策や、アジアの潜在力の発揮とその取込みを支援する施策を年内に取りまとめるなど、日本経済のデフレ脱却と、力強い成長の実現に向けた取組を、金融面からもしっかりと支えてまいります。

いずれにせよ、現在、日本の金融システムは、総体として健全であり、安定しておりますが、内外の経済・市場の動向や、それが日本の金融システムに与える影響につきましては、引き続き、高い関心を持って注視してまいります。

(臨時国会提出法案の内容について)

今後、御審議をお願いすることを予定している財務省関連の法律案は、「特別会計に関する法律等の一部を改正する等の法律案」であります。

法律案の詳しい内容につきましては、今後改めて御説明をいたしますので、よろしくお願い申し上げます。

(むすび)

以上、財政政策及び金融行政に関する、私の考えの一端を申し述べさせていただきました。今後とも、皆様のお力添えを得て、政策運営に最善を尽くしてまいる所存であります。

塚田委員長をはじめ、委員各位におかれましては、御理解と御協力をお願い申し上げます。

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