衆議院財務金融委員会における麻生財務大臣兼金融担当大臣の発言要旨

(平成26年10月15日)

(はじめに)

財務大臣兼金融担当大臣の麻生太郎でございます。

本委員会の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げます。

(日本経済の現状と財政政策等の基本的な考え方)

第二次安倍内閣においては、これまで、長引くデフレ不況からの脱却と経済再生の実現に向け、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」からなる「三本の矢」を一体的かつ強力に実行しており、その効果は確実に現れてきております。足元の経済状況は、このところ一部に弱さが見られるものの、緩やかな回復基調が続いており、また、近年にない賃上げの動きも広がっております。

こうした動きを持続的な経済成長につなげていくためには、成長戦略の着実な実行により、企業収益の改善を、賃上げ・配当を通じた所得の拡大と雇用の拡大につなげていかなければなりません。それが消費の拡大、そして更なる投資を生んで収益拡大につながるという「経済の好循環」を更に拡大して実現していくことが重要です。

(持続的成長と財政健全化に向けた取組)

民需主導の持続的な成長を実現するためには、財政健全化を通じて、国債に対する信認を確保し、長期金利が急上昇するリスクに対応することが必要です。また、家計や企業の財政に対する不安を解消し、個人消費や民間投資の拡大を促していくことも重要です。

このためにも、国・地方を合わせた基礎的財政収支について、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べ赤字の対GDP比を半減、二〇二〇年度までに黒字化、その後の債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指すという財政健全化目標の実現に向け、引き続き歳出・歳入両面における取組を進めてまいります。

(平成二十七年度予算)

平成二十七年度予算は、二〇一五年度の財政健全化目標を確実に達成しなければならない予算となります。あわせて、民需主導の経済成長を実現するとともに、人口減少克服、地方創生に取り組んでいかなければなりません。このため、社会保障支出を含め、聖域を設けずに見直しを行い、予算の中身を更に大胆に重点化・効率化していきます。

消費税率の引上げは、国の信認を維持するとともに、社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡し、子ども・子育て支援を充実していくためのものです。消費税率十パーセントへの引上げについては、経済状況等を総合的に勘案しながら、本年中に適切に判断してまいります。

(今後の金融行政の在り方)

続いて、現下の金融行政について申し述べます。

デフレ不況脱却・経済の持続的成長に向けた取組を強力に進めていく上で、地方をはじめ、日本全体で資金が円滑に供給されるよう、直接金融と間接金融のそれぞれが、適切に資金仲介機能を発揮していくことが重要です。

このため、金融機関に対し、事業性を重視した融資に取り組むこと、更に、関係者と連携して融資先企業の経営改善支援に積極的に取り組むこと等を促してまいります。

また、六月に改訂した「日本再興戦略」を踏まえ、千六百兆円を超える家計金融資産が成長マネーに向かう好循環の確立、アジアの潜在力発揮・日本との一体的な成長、起業の促進・企業の競争力強化という考え方のもと、NISAの普及促進やアジアの金融インフラ整備支援、コーポレートガバナンス・コードの策定などの施策に取り組んでまいります。

現在、日本の金融システムは、総体として健全であり、安定しておりますが、内外の経済・市場動向や、それが日本の金融システムに与える影響につきましては、引き続き、高い関心を持って注視してまいります。

(臨時国会提出法案の内容について)

今後、御審議をお願いすることを予定している法律案は、財務省関連の「関税暫定措置法の一部を改正する法律案」及び「経済上の連携に関する日本国とオーストラリアとの間の協定に基づく申告原産品に係る情報の提供等に関する法律案」であります。

法律案の詳しい内容につきましては、今後改めて御説明をいたしますので、よろしくお願い申し上げます。

(むすび)

今後とも、皆様のお力添えを得て、政策運営に最善を尽くしてまいる所存であります。

古川委員長をはじめ、委員各位におかれましては、御理解と御協力をお願い申し上げます。

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