参議院財政金融委員会における麻生財務大臣兼金融担当大臣の所信表明

(平成29年11月30日)

(はじめに)

 財務大臣兼金融担当大臣の麻生太郎でございます。本委員会の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げます。

(日本経済の現状と財政政策等の基本的な考え方)

 日本経済につきましては、安倍内閣のこれまでの取組によって、雇用・所得環境の大幅な改善を達成したことを背景に、経済の好循環は着実に回り始めております。このような経済の好循環をより確かなものとし、持続的な経済成長を実現するためにも、「生産性革命」と「人づくり革命」を車の両輪として、新しい経済政策パッケージを十二月にはとりまとめ、少子高齢化という最大の壁に立ち向かってまいります。

 「人づくり革命」については、二兆円規模の政策を取りまとめます。その財源には、消費税率十%への引上げに伴う増収分の一部等を充てますが、財政再建の旗は決して降ろすことはありません。プライマリーバランス黒字化を達成するという目標自体はしっかりと堅持いたしてまいります。その上で引き続き、歳出・歳入両面からの改革を続ける中で、達成に向けた具体的な計画を策定してまいります。
 
 足元においては、災害対応を始めとする追加的な財政需要への対処、「生産性革命」や「人づくり革命」のうち緊急性が高いものへの対応。防災・減災対策、また、「総合的なTPP等関連政策大綱」に基づく農林水産業の強化等を行うため、平成二十九年度補正予算を編成いたします。

 また、平成三十年度予算は、「経済・財政再生計画」の集中改革期間の最終年度にあたる予算であります。一般歳出の水準等の目安を踏まえ、歳出全般にわたり、安倍内閣のこれまでの歳出改革の取組を強化しつつ、安倍内閣の優先課題にしっかりと重点化したメリハリのある予算としてまいります。

 税制につきましても、「骨太方針二〇一七」に基づき、経済社会の構造変化を踏まえた構造的な見直しについて、政府税制調査会における議論等を踏まえ検討を行ってまいります。
 

(今後の金融行政の在り方)

 続いて、現下の金融行政について申し述べます。
 
 金融面でも、経済の好循環の確立に向けて、将来を見据えて新しい課題に的確に対応するとともに、いわゆる金融処分庁の印象から金融育成庁への転換を一層進めてまいります。

 検査・監督のあり方についても、金融行政を巡る環境の変化を踏まえ、見直しを進めてまいります。

 また、人口減少等が進む中にあっても、将来にわたり金融システムの健全性が維持され、金融仲介機能が発揮されるよう、内外の経済・市場動向を注視するとともに、金融機関と深度のある対話を行ってまいります。
 
 さらに、国民の安定的な資産形成の実現に向けて、少額からの長期・積立・分散投資の定着を促すため、来年一月から開始する「つみたてNISA」の普及を図るとともに、顧客本位の業務運営の確立・定着に向けた金融機関の取組を促してまいります。
 
 

(提出法律案の概要)

 金融庁関係の法律案は、「保険業法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案」です。少額短期保険業者が引受け可能な保険金額に関する特例措置の期限が来年三月末に到来するところ、その期限を延長するものであり、保険契約者等への影響に鑑み、御理解よろしくお願い申し上げます。

(むすび)

 以上、財政政策及び金融行政等に関する、私の考えの一端を申し述べました。今後とも、皆様のお力添えを得て、政策運営に最善を尽くしてまいる所存であります。

 長谷川委員長をはじめ、委員各位におかれましては、御理解と御協力をお願い申し上げます。

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