参議院財政金融委員会における麻生財務大臣兼金融担当大臣の所信表明

(平成30年11月20日)

(はじめに)

 財務大臣兼金融担当大臣の麻生太郎でございます。

 本委員会の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げます。

(日本経済の現状と財政政策等の基本的な考え方)

 日本経済は、景気回復が長期にわたり続いていることにより、デフレ脱却への道筋を確実に進んでいます。しかし、中長期的な視野に立つと、少子高齢化が経済再生と財政健全化の両面での制約要因となり続けます。少子高齢化という最大の壁に立ち向かい、持続的な経済成長を実現していくため、成長と分配の経済の好循環を拡大させることが重要となります。

 こうした状況を踏まえ、「経済財政運営と改革の基本方針二〇一八」における「新経済・財政再生計画」においては、引き続き、「デフレ脱却・経済再生」、「歳出改革」、「歳入改革」の三本柱の改革を加速・拡大することとしております。

 平成三十一年度予算は、「新経済・財政再生計画」をもとに編成する初年度の予算であります。二〇二五年度の国・地方を合わせたプライマリーバランス黒字化目標の達成に向けて、計画に沿った歳出改革を確実に実現していかねばなりません。

 消費税率については、法律で定められたとおり、来年十月から十%となる予定です。併せて、税率引上げに伴う低所得者への配慮として軽減税率制度を実施し、引上げ前後の消費を平準化するための十分な支援策を講じるなど、経済・財政運営に万全を期します。

 足元においては、本年発生した一連の災害被災地の復旧・復興や、公立小中学校等へのエアコン設置、ブロック塀改修等に対応するための平成三十年度補正予算が成立したところです。被災者の方々が一日も早く安心して生活できるよう、速やかな執行に努めてまいります。

(今後の金融行政の在り方)

 続いて、現下の金融行政について申し述べます。

 金融面でも、経済の好循環の確立に向けて、先般公表した「金融行政のこれまでの実践と今後の方針」に沿って、デジタライゼーションの進展等の課題に的確に対応するとともに、いわゆる金融処分庁の印象から金融育成庁への転換を一層進めてまいります。

 金融を巡る環境が変化する中にあっても、将来にわたり金融システムの安定性が維持され、金融仲介機能が発揮されるよう、内外の経済・市場動向を注視するとともに、金融機関の経営者等と、適切な経営戦略の策定・実行、また、ガバナンスの発揮に関して、深度のある対話を行ってまいります。加えて、投資用不動産向け融資を巡り、スルガ銀行において顧客保護の観点から問題のある事例が発生したことを踏まえ、更に適切な検査・監督に努めてまいります。

 人生百年時代を迎える中、国民の生涯を通じた安定的な資産形成の推進に向けて、少額からの長期・積立・分散投資を促す「つみたてNISA」の普及を図り、金融事業者による顧客本位の業務運営の取組を深化させるとともに、高齢社会における望ましい金融サービスのあり方についても、検討を進めてまいります。

 また、近時の暗号資産・仮想通貨を巡る諸問題も踏まえ、利用者保護の確保に向けて、仮想通貨交換業の適正化を図ってまいります。

 このほか、国際的な議論については、今後も、国内外共通の新たな課題について、各国と知見を共有しつつ、解決に向けて貢献してまいります。 

(むすび)

 今後とも、皆様のお力添えを得て、政策運営に最善を尽くしてまいる所存であります。
 
 中西委員長をはじめ、委員各位におかれましては、御理解と御協力をお願い申し上げます。

 

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