衆議院財務金融委員会における麻生財務大臣兼金融担当大臣の所信表明

(令和元年10月23日)

(はじめに)

 財務大臣兼金融担当大臣の麻生太郎でございます。
 
 本委員会の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げます。

(日本経済の現状と財政政策等の基本的な考え方)

  日本経済につきましては、雇用・所得環境の改善、高水準の企業収益など内需を支えるファンダメンタルズはしっかりとしており、景気は緩やかな回復を続けております。

  このような状況の下、最大の課題である少子高齢化に対応していくため、経済再生と財政健全化に着実に取り組んでいく必要があります。

  消費税率については、今月、八%から一〇%への引上げが実施されました。この引上げは、全世代型社会保障の構築に向け、社会保障の安定財源を確保するものであり、重要な意義があります。併せて、低所得者への配慮のために導入された軽減税率制度を円滑に実施するとともに、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するほか、需要変動を平準化するための十二分な対策を実施することで、経済の回復基調を確かなものとしてまいります。

  また、令和二年度予算については、「経済財政運営と改革の基本方針二〇一九」を踏まえ、引き続き「新経済・財政再生計画」の枠組みの下、手を緩めることなく本格的な歳出改革に取り組んでいく必要があります。二〇二五年度の国・地方を合わせたプライマリーバランス黒字化目標の達成に向けて、経済再生と財政健全化の両立を図り、計画に沿った歳出改革を進めてまいります。

  先般、日本は、G20議長国として最後のG20財務大臣・中央銀行総裁会議をワシントンで開催しました。この一年間、G20議長国として、国際課税制度の見直しを始め、国際経済秩序の維持・強化に努めてまいりましたが、今後とも、世界経済の持続的で包摂的な成長に貢献してまいります。
 

(今後の金融行政の在り方)

  金融行政につきましては、多様な利用者の視点に立ち、「金融行政のこれまでの実践と今後の方針」に沿って、いわゆる金融処分庁の印象から金融育成庁への転換を一層進めてまいります。

  デジタライゼーションの進展に伴い、金融業のあり方そのものが大きな変革期を迎えています。G20においても、暗号資産を含め、金融技術革新に伴う諸課題の解決に向けた取組を主導してまいりました。引き続き、利用者保護に配慮しつつ、イノベーションの促進に取り組んでまいります。

  国民の安定的な資産形成と金融リテラシーの向上については、少額からの長期・積立・分散投資を促す「つみたてNISA」の普及や金融経済教育の実施等の施策を包括的に進めます。また、引き続き顧客本位の業務運営の取組の深化を図るなど、家計の資産形成に資する資金の好循環を実現してまいります。

  金融を巡る環境が変化する中、将来にわたり金融システムの安定性が維持され、金融仲介機能が発揮されるよう、金融機関の幅広い関係者と、経営理念の浸透、経営戦略の実行やガバナンスに関して、より深度のある対話を行ってまいります。加えて、かんぽ生命の不適切な保険販売事案については、顧客保護の観点から、適切に検査・監督を行ってまいります。
 

(臨時国会提出法律案)

 今後、御審議をお願いすることを予定している財務省関係の法律案は、「外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案」でございます。
 法律案の詳しい内容につきましては、今後改めて御説明をいたしますので、よろしくお願い申し上げます。

 
(むすび)

   今後とも、皆様のお力添えを得て、政策運営に最善を尽くしてまいる所存であります。
   田中委員長をはじめ、委員各位におかれましては、御理解と御協力をお願い申し上げます。
 


 

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