参議院財政金融委員会における麻生財務大臣兼金融担当大臣の所信表明
(令和2年3月5日)
(はじめに)
財務大臣兼金融担当大臣の麻生太郎でございます。
本委員会の開催に当たり、財政政策及び金融行政等の基本的な考え方について申し述べさせていただきます。
(日本経済の現状と財政政策等の基本的な考え方)
日本経済につきましては、海外経済の減速等を背景に外需が弱いものの、雇用・所得環境の改善、高水準の企業収益等により、内需を中心に緩やかな回復を続けております。一方で、昨年は、自然災害が相次ぎ、広範囲にわたり甚大な被害が発生をいたしております。また、通商問題を巡る動向をはじめ、様々な不確実性が存在しており、海外発のリスクには留意していく必要があろうと存じます。こうした経済認識の下、昨年十二月五日に「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」を閣議決定し、十三兆円規模の財政支出を講じることといたしました。総合経済対策は、自然災害からの復旧・復興を加速するとともに、経済の下振れリスクを確実に乗り越え、日本経済の生産性・成長力の強化を通じて民需中心の持続的な経済成長の実現につなげていくことを目指しております。
また、急速な高齢化等を背景として、社会保障給付費が大きく増加している中、国民の安心を支える社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすためにも、財政の持続可能性を今後とも維持することも重要であります。引き続き、「新経済・財政再生計画」に基づき、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化と同時に、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指してまいります。
更に、新型コロナウイルス感染症による経済への影響等を注視しながら、引き続き、経済財政運営に万全を期してまいります。
(令和二年度予算及び税制改正の大要)
次に、令和二年度予算及び税制改正の大要を御説明申し上げます。
令和二年度予算におきましては、全世代型社会保障制度の構築に向け、消費税増収分を活用し、幼児教育・保育の無償化や高等教育の無償化を着実に実施するほか、勤務医の働き方改革の推進をはじめ、社会保障の充実を行うこととしております。
また、総合経済対策を実行するため、「臨時・特別の措置」を講じ、キャッシュレス・ポイント還元事業、マイナンバーカードを活用した消費活性化策や、「防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策」等を実施することといたしております。
同時に、歳出全般にわたり見直しを行い、一般歳出等について、「新経済・財政再生計画」の目安を達成するなど、歳出改革の取組を継続しております。
これらの取組により、経済再生と財政健全化の両立を実現してまいります。
令和二年度税制改正につきましては、持続的な経済成長の実現に向け、オープンイノベーションの促進及び投資や賃金引上げを促すための税制上の措置を講じるとともに、連結納税制度の抜本的な見直しを行うこととしております。
また、経済社会の構造変化を踏まえ、全てのひとり親家庭の子どもに対する公平な税制を実現するとともに、NISA制度の見直しを講じることとしております。このほか、円滑・適正な納税のための環境整備等を行うこととしております。
令和二年度予算におきましては、全世代型社会保障制度の構築に向け、消費税増収分を活用し、幼児教育・保育の無償化や高等教育の無償化を着実に実施するほか、勤務医の働き方改革の推進をはじめ、社会保障の充実を行うこととしております。
また、総合経済対策を実行するため、「臨時・特別の措置」を講じ、キャッシュレス・ポイント還元事業、マイナンバーカードを活用した消費活性化策や、「防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策」等を実施することといたしております。
同時に、歳出全般にわたり見直しを行い、一般歳出等について、「新経済・財政再生計画」の目安を達成するなど、歳出改革の取組を継続しております。
これらの取組により、経済再生と財政健全化の両立を実現してまいります。
令和二年度税制改正につきましては、持続的な経済成長の実現に向け、オープンイノベーションの促進及び投資や賃金引上げを促すための税制上の措置を講じるとともに、連結納税制度の抜本的な見直しを行うこととしております。
また、経済社会の構造変化を踏まえ、全てのひとり親家庭の子どもに対する公平な税制を実現するとともに、NISA制度の見直しを講じることとしております。このほか、円滑・適正な納税のための環境整備等を行うこととしております。
(今後の金融行政の在り方)
金融行政につきましては、多様な利用者の視点に立ち、いわゆる金融処分庁の印象から金融育成庁への転換を一層進めてまいります。デジタライゼーションの進展も踏まえ、金融サービスの仲介や決済に関する制度整備を行います。国際的にも、暗号資産を含め、金融技術革新に伴う諸課題の解決に向けた取組に貢献してまいります。これらの取組を通じ、利用者保護に配慮しつつ、イノベーションを促進してまいります。
また、国民の安定的な資産形成に向けて、金融経済教育の推進やNISA制度の普及等の施策を包括的に進めます。併せて、顧客本位の業務運営の取組の深化を図るなど、家計の資産形成に資する資産の好循環を実現してまいります。
更に、金融を巡る環境が変化する中、将来にわたり金融システムの安定性が維持され、金融仲介機能が発揮されるよう、金融機関の幅広い関係者と、経営理念の浸透、経営戦略の実行やガバナンスに関して、より深度のある対話を行ってまいります。加えて、かんぽ生命の不適正な保険募集事案については、先般の行政処分を踏まえ、適切にモニタリングしてまいります。
(提出法律案の概要)
今後、御審議をお願いすることを予定いたしております財務省関係の法律案は、「所得税法等の一部を改正する法律案」、「関税定率法等の一部を改正する法律案」、「国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案」及び「株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案」であります。また、金融庁関係の法律案は、「金融サービスの利用者の利便の向上及び保護を図るための金融商品の販売等に関する法律等の一部を改正する法律案」であり、以上、五法律案であります。
法律案の内容につきましては、今後改めて御説明をいたしますので、よろしくお願い申し上げます。
(むすび)
以上、財政政策及び金融行政等の基本的な考え方について申し述べさせていただきました。今後とも、皆様のお力添えを得て、内外の経済情勢を注視しつつ、政策運営に最善を尽くしてまいる所存であります。中西委員長をはじめ、委員各位の御理解と御協力を切にお願い申し上げます。