参議院財政金融委員会における麻生財務大臣兼金融担当大臣の所信表明

(令和2年11月17日)

(はじめに)

 財務大臣兼金融担当大臣の麻生太郎でございます。

 本委員会の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げます。
 

(日本経済の現状と財政政策等の基本的な考え方)

 日本経済につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にありますが、各種政策の効果等もあり、持ち直しの動きがみられます。政府としては、令和二年度第一次補正予算及び第二次補正予算を着実に執行するなど、雇用の維持や事業の継続、国民生活の下支えに力を尽くしています。さらに、十一月十日、総理より、ポストコロナに向け、経済の持ち直しの動きを確かなものとし、民需主導の成長軌道に戻していくため、新たな経済対策を策定するよう指示がありました。今後とも、新型コロナウイルス感染症の収束に向けてしっかりと取り組みつつ、感染拡大の防止と経済活動の両立を進めてまいります。

 また、今回の危機を乗り越え、次の世代に未来をつないでいくことは、我々に課せられた責任です。少子高齢化に伴う構造的な課題に直面している日本の財政は、新型コロナウイルス感染症に対応する中で、より厳しい状況にあります。令和三年度予算については、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二〇」を踏まえ、「新経済・財政再生計画」の枠組みの下、これまでの歳出改革の取組みを続けてまいります。そして、二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化目標の達成に向けて、経済再生と財政健全化の両立を図ってまいります。

 さらに、経済社会の構造が大きく変化する中、持続的な経済成長を維持・促進するとともに、経済成長を阻害しない安定的な税収基盤を構築する観点から、引き続き、税体系全般にわたる見直しを検討してまいります。
 

(今後の金融行政の在り方)

 金融行政におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響への対応と、ポストコロナの新たな経済社会の構築に、取り組んでまいります。
 
 そのため、金融機関による資金繰り支援、経営改善や事業再生、事業転換の支援等に資する施策を、全力で進めてまいります。また、地域金融機関をはじめとする金融機関が、事業者支援を通じて地域経済に貢献し、自らも持続可能なビジネスモデルを構築していくよう、適切な対応を促してまいります。あわせて、大手銀行等の専門経験を有する人材と地域企業のマッチングを促してまいります。

 加えて、金融機関に対する検査についても、日本銀行との連携を深化させ、金融機関の負担の軽減と効果的なモニタリングにつなげてまいります。

 また、日本の金融資本市場を国際金融センターの一つとして発展させ、海外から金融事業者・高度人材を呼び込みます。企業の更なる成長のため、女性、外国人、中途採用者の登用を通じ、多様性の確保を促すなど、コーポレートガバナンス改革も進めてまいります。
 
 さらに、金融デジタライゼーションを推進してまいります。昨今の資金移動業者の決済サービスを悪用した不正出金事案等を踏まえ、安心・安全や信頼の確保に努めるとともに、東京証券取引所において発生したシステム障害についても、原因究明と再発防止策の検証を行ってまいります。
 

(むすび)

  今後とも、皆様のお力添えを得て、政策運営に最善を尽くしてまいる所存であります。

  佐藤委員長をはじめ、委員各位におかれましては、御理解と御協力をお願い申し上げます。

 
 

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