令和2年12月8日
金融庁

「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」を踏まえた事業者支援の徹底等について
(麻生金融担当大臣談話)

 新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴い、金融庁においては、これまで金融機関に対して、事業者等への迅速かつ円滑な資金繰り支援等が実施されるよう、累次にわたり要請してまいりました。金融機関におかれては、こうした要請等も踏まえ、事業者等への支援にこれまで着実に取り組んでいただき感謝申し上げます。
 しかしながら、足下、感染症の拡大や長期化に伴い、経済活動の抑制等による事業者等への影響が懸念されますところ、事業者等に対する資金繰り支援や経営改善・事業再生・事業転換支援等の必要性が更に高まっていると考えております。

 本日(12月8日)「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」を決定し、民間金融機関による「実質無利子・無担保」融資制度の延長等の措置を講じることとしたことなどを踏まえ、金融機関における事業者支援の徹底等の観点から、以下の事項を重ねて要請いたします。
 
  1. 民間金融機関による「実質無利子・無担保」融資制度の申請期限が来年3月に延長されることとなったことも踏まえ、年末・年度末を含め事業者の資金繰りに重大な支障が生じることのないよう、事業者からの相談に丁寧に対応することに加え、返済猶予等の条件変更やプロパー融資、保証協会保証付き融資など様々な方策を組み合わせ、引き続き、事業者のニーズに合った支援を迅速かつ積極的に行っていくこと。
     なお、条件変更や新規融資を行う場合の債権の区分に関して、新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前に正常先と認識していた事業者について、感染拡大前と同一の評価とすることを含め、金融庁は、引き続き金融機関の判断を尊重する。
  2. 「実質無利子・無担保」融資制度に基づく融資を受けている事業者に対しては、その据置期間が終了するまでの期間において、継続的な業況把握を通じて返済能力の変化を適時適切に捉えるとともに、十分な本業支援を通じ、返済に支障を来さないよう、きめ細やかな対応を継続的に行うこと。
  3. 新型コロナウイルス感染症の長期化に伴い、資金繰りだけでは収まらない課題に直面する事業者に対し、経営改善や事業再生、事業転換支援等の取組を進めていくため、事業者としっかりと対話を行い、地域経済活性化支援機構等が出資するファンドや、日本政策金融公庫等が提供する資本性劣後ローンも活用しつつ、迅速かつ実効的な支援策を講じること。
  4. 事業者支援に当たっては、地方自治体、信用保証協会、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫等の政府系金融機関、中小企業再生支援協議会、税理士等の地域の関係機関と緊密に連携するとともに、事業者支援のノウハウや知見を金融機関の現場職員の間で共有することにより、実効的に支援を進めていくこと。
  5. 「経営者保証に関するガイドライン」及び、事業承継時の保証の二重徴求を原則禁止した同ガイドラインの特則の積極的な周知を行うとともに、金融庁が公表している新規融資に占める経営者保証に依存しない融資の割合等の指標群(KPI)や同ガイドラインの活用に係る各金融機関の取組事例も参考にしながら、経営者保証に依存しない融資に一層取り組むこと。
  6. 大企業から地域の中堅・中小企業への人の流れを創出し、地域企業の経営人材の確保を後押しするため、経営陣の適切な関与のもと、地域経済活性化支援機構に整備する人材リストの活用を進めるとともに、地域企業の経営課題や人材ニーズの調査・分析を踏まえた人材マッチングサービスの提供等に積極的に取り組むこと。
  7. 12月のボーナス返済を設定している顧客からの返済猶予等の相談が寄せられることなども踏まえ、引き続き、住宅ローンやその他の個人ローンについて、顧客の状況やニーズに応じた返済猶予等の条件変更の迅速かつ柔軟な対応を行うこと。
  8. 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた個人債務者を支援対象に追加した「自然災害債務整理ガイドラインの特則」について、同特則の個人債務者への積極的な周知や丁寧な相談対応に加え、同特則の運用に際し、自由財産の拡張や債務整理の対象債務についても、個人債務者の生活や事業の再建のため、可能な限り柔軟な支援に努めること。
  9. 国民がマイナンバー制度のメリットをより実感できるデジタル社会を早期に実現するため、政府において、マイナンバーカードの普及に取り組んでいることを踏まえ、各金融機関において、その普及に協力すること。

 新型コロナウイルス感染症への対応において、今まさに、金融機関の取組みの真価が問われる局面であります。要請内容は多岐にわたり恐縮ですが、いずれも必要なものばかりです。引き続き、我々も金融機関とともに、事業者等の実情に応じた適切な支援がなされるよう、取り組んでまいります。

 

 



 

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