与謝野内閣府特命担当大臣(金融・経済財政政策) 記者会見要旨

(平成18年5月19日(金) 9時49分~9時57分 於 金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

今日は、閣議は案件どおりでございましたが、道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案が、今日、閣議決定されまして、総理からは、その国会対応につきましては与謝野内閣府特命担当大臣にお願いすることとしますという御発言がありましたので、閣議決定を経て国会に提出されましたら、私の仕事となると。

今日は、8時50分から平成18年1-3月期のGDP一次速報値について発表があったはずですが、閣僚懇で総理から、予想していた数字とどうなのだと、こういうお話でしたので、その場で数字を持っていませんでしたので、閣僚懇が終わったときに、17年度の実質成長率は3.0と。これは、見込みは2.7でございましたので、0.3見通しを上回ったと。名目成長率は、見込みは1.6でしたが、1.7でございましたので、0.1プラスとなりまして、いずれも名目成長率、実質成長率ともに見込みを上回ったというのを、表を書いてお渡ししておきました。

以上です。

2.質疑応答

問)

先ほどの1-3月のGDPですけれども、伸び率が若干鈍ったのですが、大臣の御所見をお願いします。

答)

色々な要因で鈍ったわけですけれども、日本経済に対する基本的な見方、日本経済の基調が何か変化したという話では全くない。すべての分野は、依然好調さを保っているというふうに考えるべきだと思っております。これは、昨年の例えば個人消費などは、色々な天候の影響もあった。それが今年はなかったとか、分析していけば色々な要因はありますけれども、トレンドとしての日本経済の好調さというのは維持できている。そのように考えております。

問)

GDPデフレーターですけれども、依然マイナス1.3%とマイナスですが、縮小しました。それで、国内需要デフレーターは0.0になったのですけれども、デフレ脱却に向けた大臣のお考えを改めてお聞かせ願えますか。

答)

いわゆる原油の輸入ということを考慮しないでデフレーターを考えれば、デフレーターは限りなくゼロであるという状況です。ただ、原油の輸入というのはマイナスに勘定されますので1.3ということですが、それでも1.6よりは0.3改善されたというふうに私は解釈しております。

問)

先ほどの道州制特区法案ですけれども、将来の道州制の本格導入に向けて、今回の法案がどの程度の意義を持つのか、見解をお伺いいたします。

答)

もともと党からは、小さく産んで大きく育ててほしいという御要望があって、党の公約でもあるので、初めから壮大な構想で法案を作っても時間がかかる。実験的な考え方を含めて小さく産んで大きく育てる、こういうことがこの法案作成の前提だったわけです。

ただ、補助金を交付金に直したり、渋る各役所を説得して幾つかの権限を北海道に渡したり、実験としての第一歩としては、高橋知事の御要望にお答えできたのではないかと思っております。

ただし、これはもとより完璧なものではないということで、これをスタートに、更に北海道の自主性・自立性を強めるように、我々もお手伝いしていくということでございます。

問)

デフレ脱却に向けた考え方について、重ねてお伺いしたいのですけれども、デフレーター全体が0.3%改善されたと。この0.3%改善されたということをもって、デフレ脱却に向けて一歩前進したと見ることができるのかどうか。内需デフレーターがゼロになっているということも加えて考えると、デフレ脱却は間近だというふうに判断できるのか、その辺をお伺いできますでしょうか。

答)

デフレという言葉をどう定義するかによって、お答えが全く変わってくるわけですけれども、国外要因を除いたデフレーターというのは、ゼロ近傍にあると。ですから、原油の輸入等の国外要因を除いた場合には、ゼロ近傍にあるということは事実です。

海外要因による、すなわち原油の輸入価格が上がったということによる所得移転の発生によって、デフレーターがマイナスになると。その部分は、国内経済政策では取り扱えない部分であって、全く日本国政府の経済政策とは独立した部分ではないかと私は思っております。デフレ、デフレとオウム返しにものを言っていることよりは、分析的に日本の経済を捉えた方がいいのではないかというのが私の立場です。

問)

ここのところ、株価がやや調整局面に入っていると。アメリカ市場でも、ちょっと株価が低落する局面が起きていますけれども、これについて大臣はどのように御覧になっていますでしょうか。

答)

株は、上がることもあるし、下がることもあるというものでして、下がったからといって、そうびっくりはしておりません。なぜ下がったのだろうか、どういうことが投資家の心理に影響したのだろうかと、そういうことを考えますと、1つは一本調子で上がってきたので、買い疲れが多分見られるのだろうということはあるのでしょう。これは、国内の要因、或いは国内で投資をしている外国人、いずれもそういう一本調子で来た買い疲れ。

しかし、それが主な原因ではなくて、やはりアメリカにおける長期金利が一体、先般のFRBの措置で打ちどめなのか、更にいくのかということについて、アメリカ国内の解釈が分かれている。それから、具体的に背景としては、先月0.6%、物価が上昇した。当然、上昇すれば、インフレ懸念があるということを論ずる人も出てきて、引き締めになるのではないかという観測も当然出てくるということで、むしろアメリカの経済、アメリカの金利水準について、ヨーロッパの国々、或いは日本、この市場関係者が確たる見通しを持てないという状況が、株価の不安定さを生んでいるわけです。いずれ、この問題は一月ぐらいで片がつくと思いますけれども、日本の経済が悪いから株価が下がっているというのではなくて、全体、長期金利、為替レートが落ち着くまで買い控えておこうという心理が投資家に存在するのではないかというふうに私は想像しております。経済は好調ですから、経済のファンダメンタルズだけを考えれば、日本は株価が上昇してきたときの環境とは全く変わっていないと。ただ、海外に不安定要因がある。また、ヨーロッパの市場もそれに反応していると、そういう中での東京市場だと思います。

問)

昨日、委員会で総理がいわゆるグレーゾーン金利の議論について、もうちょっと慎重に考えた方がいいのではないかというような御発言をされているのですが、改めて大臣のお考えを伺えますでしょうか。

答)

あの答弁のどの部分を読むかということで、解釈は変わってくるのだろうと思います。前半の部分は、当時、私も所属していたのですけれども、小泉純一郎総理は大蔵委員会の筆頭理事をされていまして、私は末席の委員をしておりましたけれども、そのときにちょうど利息制限法、出資法の問題が出てきて散々議論した。その中に小泉総理はおられたわけで、かなりそういうことをよく御存知なわけですから、借りたい人がいるということもよく御存知です。そういうことも考えながら、よく話し合って決めたらいいのではないかと。この最後のところが大事なので、よく話し合って決めたらいいのではないかということなので、ただ、その話し合うときに、借りたい人という者も社会的に存在するのだという自分の認識も知っておいておくれよということだろうと思います。

問)

GDPの速報値ですけれども、今後、4-6月の見通しなのですが、いざなぎ景気超えに向けて、今後の動向についてはどんなふうにお考えでしょうか。

答)

先ほど申し上げましたように、日本経済の基調は全く変わっていないと。季節的要因で、季節と言うか、天候要因と言った方が正確なのですが、若干、思ったより伸びが低いというふうに皆さんお感じになったかもしれませんけれども、トレンドとしては今までのトレンドを外れていないと。

(以上)

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