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与謝野内閣府特命担当大臣(金融・経済財政政策) 記者会見要旨

(平成18年7月4日(火) 10時24分~10時38分 於 金融庁会見室)

1.発言要旨

閣議は、案件どおりで、特に変わったことはありません。

以上です。

2.質疑応答

問)

ゼロ金利解除についてなのですけれども、昨日の諮問会議後の会見で、大臣の方から、ゼロ金利を解除するための環境について、「整いつつある」と「整った」というのは違うと。大臣としては、「整いつつある」というお立場だというお考えを聞かせていただきましたけれども、そこについて、「整いつつある」ということについて、詳しく状況について説明していただきたいのですが。

答)

過去、例えば半年間ぐらいのCPIの動向、あるいは雇用情勢、企業の設備投資の動向、あるいは日銀の短観等、いずれも日本の経済はベクトルが強い方向に向かっているわけです。内閣府の文書では、デフレという言葉をずっと使ってまいりましたけれども、そのような言葉が引き続き適当な言葉として日本経済を表す言葉なのかということは、一度考えなければならないと思っております。

私が今申し上げましたような数字がいずれも数字として強い方向を目指しているということが、環境が整っているということの一つです。ただ、それだけで物事を判断していいのかどうかということは考えなければいけない。それはやはり日本の市場、あるいは世界の市場の動向というものを気を付けなければならないし、またアメリカの金利政策の方向、或いはECBの方向、或いはアメリカ、ヨーロッパの市場の雰囲気、こういうものを総合的に判断するべきものと考えております。

そういうものをそれぞれとりましても、環境は整ったとは申し上げられませんけれども、明らかに整いつつあるというふうに思っております。

なお、私が2~3週間前に心配していた色々な新興市場を含めた世界市場の動向というのは、予想されているよりもはるかに落ち着きを取り戻していると。それから、バーナンキ議長も、バーナンキ議長のやり方というものがアメリカでも理解され始めたのではないかと私は思っております。

問)

7月解除では早過ぎるという認識でよろしいでしょうか。

答)

7月にやっていただいても、8月にやっていただいても、それはもう日銀が国の機関としての独立性を持ってやる判断でございます。従いまして、自らの責任と見識で判断して下さるものと信じております。

問)

東京証券取引所の西室社長が先週の金曜日の懇談会で、一旦凍結されていた上場の方針を改めて打ち出されたかと思うのですけれども、取引所の上場というと、かつて急に大株主が現れたりですとか、公益性が保てるかどうかと色々な議論があったところかと思うのですけれども、大臣として現段階で東証の上場方針について受け止めはいかがですか。

答)

東証が上場することは理屈の上では全く差し支えないことだと私は思っておりますが、やはり東証自体は極めて強い公的な性格を担っていると。その上での上場ということですから、大株主制限を初め一体海外の投資家をどうするかとか、一連の問題はきちんと考えた上でやっていただかないといけないと思っております。

それで、上場会社になった時に、いわば東証は強行規定として規則制定権を持っているわけですから、その株式会社と規則制定権の両立というものをどう図っていくかということもまた重要な問題だろうと思っています。

問)

先程おっしゃられたことでちょっと頭の整理をさせていただきたいんですが、日本経済がデフレという言葉を使うことが適当かどうかもう一度考えたいとおっしゃられたということは、かつて2000年代に入って月例経済報告で一度、日本経済はデフレであるというデフレの認定という判断をして、その状態が続いていると思うのですが、その判断を変更するということと同じ意味でよろしいのでしょうか。

答)

今、御質問にあった2000年代の初頭にデフレと言った時のデフレというのは、いわゆるデフレスパイラルの意味を持っていたと私は思っています。これは、やはり物価が限りなく下落していくことによって、日本経済が縮小していくと。縮小がまた縮小を生むと、こういうことに対する大きな懸念を国民は持っておられた。その時使っていたデフレと、現時点で使っているデフレという意味は全く違っていて、今使っているデフレという言葉は、物価が0.何%上がったり下がったりという世界を言っているので、前のデフレスパイラルと今使っているデフレという言葉が混同して使われているおそれがあるというふうに私は思っております。

デフレ、デフレと言いながら、上場企業の大宗が史上空前の決算をしているということはあり得ないわけでして、そういう意味ではやはり今の経済の状況を正確につかまえる言葉、表す言葉というのは、その一言でいいのかという問題があると私は思っています。

問)

つまり、確認ですが、当初2000年に使っていた意味でのいわゆるデフレスパイラルの意味でのデフレというのは今もう既に終わっているという認識で。

答)

とっくの昔に終わっていると。

先ほどの7月か8月かという話をもう一言申し上げますと、やはり国内の経済の動向だけでなく、世界市場の動向も注意深く慎重に見ていただきたいというのが私の真意でございます。

問)

デフレスパイラルから抜け出たということと、デフレから抜け出たということの意味が違うというのは、明確にした方がよろしいでしょうか。

答)

もちろんそうです。デフレスパイラルというのは、例えば需要と供給が供給過剰になっていて、物価を破壊するというような状況もありますし、また消費を手控えることによって供給力の過剰が判明してしまうとか、非常に大きな需給ギャップがあった状況。また、雇用も喪失されて、賃金も下落していく状況、色々な悪い状況、またそれから国も税収が落ちていく、それからそれぞれの会社を経営しても売り上げが名目で落ちていく状況、そういうデフレに伴う色々な症状が、ドラマチック、劇的に現れてくるのがデフレスパイラルだろうと思いますが、今はあっちの物価がちょっと下がったとか、こっちがちょっと上がったとかという0.何%の範囲内の話なので、恐らく働く人にも年金受給者にとっても、物価がそうは上がらないという、恐らく国民生活にとっては快適な状況ではないかと私は思っています。

問)

明確にデフレから抜け出すというところまで、そこまで至ったというふうに見ていらっしゃるのか、限りなく白に近づいて来ているというふうに見ているのか。

答)

デフレスパイラルという意味で使っていたデフレはとっくの昔にもう抜け出しているわけです。ただ、デフレが何で起きているかというのはまた難しい話で、生産性向上に伴って起きる物価下落というのもありますし、輸入物価が下落することによって起きる物価下落もありますし、さまざまな要因で物価というのは下落するわけです。

従いまして、現在のデフレというものは日本経済や会社の経営に打撃を与えるようなデフレ状況では全くないと私は思っています。殊さら、デフレ脱却宣言をするかどうかというのは、そういう遅行指標を使って物事を言うことが適当かどうかというのはまた別の判断があるのだろうと私は思います。

ただ、私が住んでいる自宅の周辺では、バブルが起きているのじゃないかと思う心配もあるので、デフレ、デフレと言っていて急にインフレですと言わなきゃいけない状況というのは、やはり避けなければいけないのは前に申し上げたとおりです。

問)

消費税の関係で、最近、中川政調会長が各方面で上げ幅として1%から2%という数字を挙げられていますが、それに対してのお考えをお聞かせください。

答)

竹中さんの数字より低いというので注目をしております。それは冗談でありまして、やはり何らか税制改正でこの状況に対応しなければいけないというメッセージを中川政調会長は国民に発信されていると私は思っております。

問)

つまり今後の上げ方について、小刻みか、あるいはある程度まとまって1回でというその辺での違いということではないと。

答)

大事なのは、税制改正なしでプライマリーバランスを達成できないというメッセージを政調会長は世間に発信しておられるのだろうと思います。

一方では、「骨太方針」の原案の中の歳入改革の部分をよく読んでいただくとおわかりいただけるんですけれども、単に2011年を通過するということではなくて、その後の状況にも対応できるような構造的な体質を持った税制改正が必要なのだということはあそこに実は注意深く書かれていると。この点は、注目をしていただければと思っております。

(以上)

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