与謝野内閣府特命担当大臣(金融・経済財政政策) 記者会見要旨

(平成18年7月25日(火) 10時29分~10時43分 於 金融庁会見室)

1.発言要旨

閣議は、案件どおりでございました。

以上です。

2.質疑応答

問)

一部報道で、今日、日本経済新聞社の社員がインサイダー取引の疑いがあるということで、証券取引等監視委員会が地検に告発する模様という記事が出ていまして、これに関して事実確認と、大臣の所見があれば伺いたいと思います。

答)

インサイダー取引というのは、証取法上、古くから規定のある行為でございます。これは、3つの段階に分けてお考えいただいたらいいと思うのですが、1つは、インサイダー取引が見つかった場合、課徴金で済ますかどうかという判断、それから、告発をして司法当局に公判請求をするかどうかを決めてもらう段階、また、公判請求がなされた場合、裁判所がどういう判断をするのかという3つの段階に分かれていると思いますが、今日11時から、事実関係を証券取引等監視委員会から皆様方に御報告する予定になっておりますので、事実関係等詳細は、その発表を是非聞いていただきたいと思っております。誰がやったか、どの規模でやったかということは別にいたしまして、証券取引等監視委員会としては、法令に基づいて適切に判断をして行動していると、私は確信をしております。

問)

これも一部報道で、デリバティブ、金融派生商品の上場規制を大幅に緩和するとありますが、これに関しても大臣の所見があれば伺いたいと思います。

答)

それは、特に新しいことではなくて、今年成立いたしました金融商品取引法のコンメンタールを読んでいただければと思っております。

問)

消費税の導入の際に、例えば生活必需品などについて軽減税率を導入するかどうかということについて、昨日のタウンミーティングの席で、小泉首相や安倍官房長官が、その導入の必要性をにじませたということがありますけれども、これについての大臣のお考えはいかがでしょうか。

答)

現に、非常に高い税率のヨーロッパ諸国では、食料品等必需品に関しましては軽減税率というものを採用していますし、たしかゼロ税率の国もあったのではないかと思っております。消費税課税の際に、生活に最も必要な食料品について別の税率を使うと、一方ではそういう生活必需品に対する配慮ができますが、他方で複数税率を同じ税目で導入する結果、徴税コストが膨大になるということがあります。したがって、徴税コストと必需品への配慮をどうバランスよく考えていくのかということで、あまり低い税率のときに複数税率を採ると、徴税コストが嵩んで実際の税収の実が上がらないということがあって、どこがバランスするところなのかということは、今後の検討に委ねるべきだと思っております。

ただし、仮定の問題として、消費税がすべて社会保障目的税に使われるというときには、複数税率が本当に必要なのかどうかという問題は当然あります。ですので、実は複数税率の問題は、税率の水準がどの程度なのか、その場合の徴税コストはどうなのか、社会保障目的税を入れた場合にはその必要性があるのかないのか、こうしたことを含め全体で考えていかなければならない。しかしながら、ヨーロッパ諸国が複数税率を入れている、しかも食料品等に入れているというのは、それなりの社会的背景もあるし、社会的ニーズもあったからだというふうに私は考えております。

問)

今の複数税率の件なのですけれども、低い税率で入れても、あまり意味がないのではないかというふうに伺ったのですが、よく巷間、消費税率が将来、仮定の話として2桁、10%以上になった場合には、やはりこの複数税率を検討すべきではないかという議論がよくされていると思うのですけれども、この複数税率を検討すべき、あるいは検討してもよい税率のレベルというのは、大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

それは、実際計算してみないとわからないのですが、複数税率を入れるときの困難さというのは、1つは、食料品とは何か。塩ジャケは食料品なのだろうけれども、スモークサーモンはどうなのかと。イクラの瓶詰めは食料品かもしれないけれども、キャビアはどうなのかとか、トリのペーストはいいけれども、フォアグラはどうなのか、生活必需品と言えるのかという問題がある。ですから、食料品の定義をどうするかという問題が、1つはあります。

それからもう1つは、食料品そのものに対して軽減税率を与えた場合、それを包んでいる瓶だとか段ボールそれから、それを運んでくる運賃も課税商品ということで、そういう普通税率の課税商品と軽減税率対象品目とが混じった状態の品目が取り扱われる結構手間のかかる複雑な仕組みになってしまう可能性があります。それはもちろんコンピュータがこれだけうまく動いている世の中ですから、できるとは思いますけれども、かなり手間もかかる。すなわち、徴税コストも相当なものになるのだろうということが想像されますから、徴税効率ということも当然考え、そういう場合の徴税コストも検討しなければならない大事な側面になるだろうと私は思っています。

問)

レバノン情勢なのですが、アメリカとかの調停の動きが出てきているようなのですけれども、閣議でそのようなお話というのは出なかったのでしょうか。

答)

出ておりません。

問)

先日、小泉首相もイスラエルを訪問していることですし、日本としても働きかけをした方がよいのではないかと思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

答)

我々の生活感覚からいうと、非常に遠い地域ですけれども、中近東は日本にとっても、政治経済上極めて大事な地域。また、パレスチナに対しましては、ODAを含めて日本政府は相当のことを今までもやってまいりました。目の前で数多くの人達の命が失われているということは、国際社会の一員としては、放置してはいけないと私は思っております。とりあえずは、ライス長官が行っておられますし、また国連でどういう枠組みであの地域の平和と安定のために物事をやっていくのかということはまだ決まっておりませんけれども、日本が国際社会に対する責任を果たすという意味では、国際的な枠組みの中で十分力を尽くさなければならないと、そう思っております。それがまた、日本の大事な役目であると私は思っております。

問)

今年になって、シティバンクですとか、それからHSBCですとか、外資の銀行の在日支店でシステム障害が散見されておりますけれども、このことについて御所見をお願いします。

答)

あれは、金融機関だけを責める話ではなくて、多分、お得意さんのコンピュータとのシステムの相性の問題があって、金融機関が一方的に責められるようなシステム障害ではないというふうに私は認識しております。むしろ、取引先のコンピュータプログラムに、若干問題があったのではないかというふうに思っております。解決いたしましたので、それは乗り越えられたと思いますが、これは金融機関のシステムだけではなくて、顧客のコンピュータシステムもしっかりしていないと取引は成立しないですし、それが全体に影響を与えるというのは好ましくないわけですが、これはやりながら悪いところが発見できるという世界でもあるので、今回の件は9億円が送金できなかったという比較的大きくないものだったので、またシステム障害も克服できましたので、ほっとしているところでございます。

問)

自民党総裁選なのですが、先週末に福田元官房長官が、総裁選への出馬を辞退するという報道があったと思うのですが、それについての受けとめ方をお願いします。

答)

私は、総裁選挙の知識は新聞を読んでしかないので、特にコメントすることはありません。

問)

関連なのですけれども、御自身の総裁選への出馬に対して、何か変化はございますか。

答)

いや、考えたことはないです。

(以上)

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