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与謝野内閣府特命担当大臣(金融、経済財政政策)記者会見要旨

(平成18年9月1日(金) 10時09分~10時31分 於 金融庁会見室)

1.発言要旨

今日は防災の日でございましたので、7時50分から官邸地下の危機管理室で、7時15分地震が発生したとの想定で、諸々の訓練を行い、それぞれの役所の役割を確認いたしました。

また、その後の官邸での会議では、石原東京都知事並びに日銀の福井総裁ともテレビ会議を行いまして、今日の訓練は終了したところでございます。

閣議がございまして、総務大臣、厚生労働大臣から失業率、及び有効求人倍率について御報告があり、失業率は△0.1%の改善、有効求人倍率も1.07から1.08に上昇したという大変喜ぶべき御報告がありました。

閣議終了後、郵政に関する会議があり、私の印象では、来年10月の本格スタートに向けて着実に準備が進んでいるという印象を受けました。

次に、足利銀行について金融庁の立場を御説明申し上げます。

まず私から概要を御説明申し上げ、後ほど事務方から詳しく御説明申し上げます。ゆっくり読みますので、ノートを取っていただければと思います。

表題は、足利銀行の受皿の検討について。

足利銀行については、平成15年11月に預金保険法第102条に基づく一時国有化措置を講じて以降、様々な経営改革等の取組が進められてきたところでございますが、今般、こうした取組が着実に成果を上げていることを踏まえ、同行の受皿について具体的な検討を開始することといたしました。

受皿の選定に当たっては、まず第1に金融機関としての持続可能性、第2には地域における金融仲介機能の発揮、3番目としては公的負担の極小化、こういう3つの基本的な視点に立って検討を進めてまいります。その際、かねてから申し上げているとおり、地域の意見にもしっかりと耳を傾けていく所存でございます。

選定作業の進め方について申し上げます。

第1段階として、概ね2カ月後を目途に受皿に求める基本的な条件を提示して、候補先を募った上で審査を行います。

第2段階としては、この審査を通過した候補先に事業計画の提出を求め、候補先を絞り込みます。

第3段階としては、絞り込んだ候補先に譲受条件等の提出を求め、最終的な受皿を決定する。

こういった3段階の手順を考えております。

選定作業の過程においては、中立的な外部有識者の方々から、専門的立場でのアドバイスを受けるとともに、地域の意見を伺う場として足利銀行の受皿選定に関するワーキンググループを立ち上げ、随時開催する予定でございます。

私どもとしては、足利銀行が受皿への移行後においても、栃木県を中心とする地域で利用者の信頼を確立し、金融仲介機能を持続可能な形で発揮できるよう、適切な受皿の選定に向けて努力いたしたいと考えております。

詳細については、先ほど申し上げましたように、事務方から御報告を申し上げます。

スケジュールでございますけれども、第1回会合は9月5日火曜日になる予定でございます。そこで、完全な見通しはできませんが、最終決定にどのぐらい時間がかかるのかという問題ですが、見通しは確たるものは申し上げられません。しかしながら、過去、これらの問題を処理したときの経験から言えば、概ね1年ぐらいではないかというふうに推測ができます。

以上でございまして、後ほどワーキンググループのメンバー等につきましては、事務方からメンバー表を添えてお話し申し上げますが、座長ほか4人の方々に御参加をいただくと。これは、学者、経団連の御関係、公認会計士、法律専門家、弁護士と、こういう5人の構成になっています。

2.質疑応答

問)

足利銀行の関連ですけれども、どのような経営理念や目的を持ったところが受皿にふさわしいと考えていらっしゃるのでしょうか。

答)

まず、銀行として、また金融機関として成り立たせるということが最も重要でございますから、資本の充実もさることながら、やはりきちんとした経営理念を持った経営陣が受皿の中に存在するということが大事だろうと私は思っております。

さらに、やはり足利銀行は地域銀行でございまして、栃木県の経済を担っているわけですから、資本の論理だけではなくて、地域経済を本当に心配してくださる方、また地域経済とともに生きようと思う受皿であることが望ましいと思っております。

それからもう一つは、政府の立場からすれば、当然なるべく高く買っていただきたいと。これは公的負担を極小化するという意味でございます。

問)

デフレ脱却について、この間総理がウズベキスタンでの懇談で任期中の宣言にはこだわらないという考えを強調されて、大臣と竹中総務大臣のお名前を挙げて指示されていると。

ただ、これまでお二人の閣議後の会見の発言を聞くと、デフレ認識について大臣と竹中さんの考えにちょっと違いがあるのではないかと感じているのですけれども、今後お二人で調整するお考えはあるのでしょうか。

答)

ないです。

問)

足利銀行の件で、先ほど色々お話を伺いましたけれども、改めて大臣から今の足利銀行の現状、及びこの3年間の取組についてどのように総括しているか、お聞かせください。

答)

はっきりした数字が出ましたのは、今年の3月の決算期の数字で、私どもが想定したよりもややいい決算であり、それから不良債権処理も進み、債権区分も全体の景気の上昇とともに多少変わったということも貢献しております。

また、足利銀行には、横浜銀行から地域金融に詳しい方が行って、今経営に当たっておられますが、本当に使命感を持ってやってくださっていると同時に、足利銀行の行員の皆様方の、やはり自分たちの銀行を立て直すのだという気持ちも非常に強いですし、また県知事を始め地域社会も自分たちの地域の銀行である、足利銀行を盛り立てようという雰囲気も非常に強い。そういう意味では、我々が考えていたよりも半歩、一歩、立て直しのスピードが上がってきていると思っております。

問)

栃木の地元にこの件をご説明するとか、声を聞くというような機会を近く設ける御予定はございますか。

答)

これはまだ確定ではありませんけれども、今月の中頃、知事を始め県の関係者が上京されるということですので、その時に、私や五味長官を始め金融庁の幹部でこの状況をきちんと細部にわたってご説明したいと思っております。当然、栃木県の御意見は、私どもは大切にするつもりでございます。

問)

足利銀行の話でスケジュールについて、最終的な受皿の決定は確たるものは言えないということではあったのですけれども、役所のサイクルとして、夏に人事異動があって、いわゆる事務年度が変わっていくわけで、概ね1年と素直に受けますと、来年のこの時期と考えられますが、ややそれよりももうちょっと早く、少し暑いくらいまでには何とかというお考えでしょうか。

答)

御心配ありがとうございます。

この種の話は、誰がいるからこうするという話ではなくて、行政というのは定められたルールに従って淡々とやっていくということですから、誰が金融庁の幹部であろうが、一度始めたことは、そのレールの上に乗って淡々と進んでいくと思っております。

問)

景気の認識について、昨日公表された7月の鉱工業生産が、前月比マイナス0.9とやや大きなマイナスで2カ月ぶりに低下していると。しかも、IT関連の在庫の積み上がりも見られるということで、やや景気の減速感がここに来て強まっているのではないかと思われますが、改めて景気の認識についてお伺いできますか。

答)

日本の景気というのは、単に日本国内の経済の状況だけで決まるものではなくて、やはり米国経済、アジアの経済、ヨーロッパの経済、それから我々がコントロールできない原油価格等々が複雑に絡み合っている結果が日本の経済の状況だと思います。

ただ、色々な専門家に話をお伺いすると、対外的に様々な不安要因があり、将来不安はあるものの、国内を見る限り、あらゆる指標は改善の方向にベクトルが向いているということで、今若干の上下のふらつきはあるでしょうけれども、全体として日本の景気が腰折れするというようなことを心配する必要は全くないと私は思っています。

問)

今の関連でも、月例経済報告が近いですが、今までは日本の景気は回復しているという表現になっていますが、これをさらに「拡大する」というような表現になるとか、あるいはもう少し上目に変更するお考えは大臣にはありますか。

答)

それは、9月15日に月例経済報告がありますが、その前には内閣府の専門家たちとよく討議をして、全体的に、CPIだけではなく、ありとあらゆる統計に照らしてどう判断するかを決めていかなければならないと思っております。

問)

足利銀行について具体的なことになりますので、お答えできるならお考えをお聞かせいただきたいのですが、ワーキンググループが中心に今後地元の要望なりを吸い上げていくことになると思うのですが、具体的にどのような形で進むのかというのが1点と、ワーキンググループの中に必ずしも栃木県経済に詳しい方がいらっしゃるのかということについて地元では若干心配もあるのですが、大臣はどのようにお考えになっていますか。

また、できれば地元ではワーキンググループでのオブザーバーといった形で地元の人間が入れるようになればという考えもあるのですが、そういったことは今後検討の課題に値するのかどうか、この3点についてお聞かせください。

答)

ワーキンググループでは、やはり選定作業といった具体的な中身も見ることになります。それぞれ民間企業が提案されていることもありますので、ものを考え、審査する過程はワーキンググループのメンバーに原則としては限られるべきだと思っております。

しかしながら、当然ヒアリングもやりますから、栃木県の知事を始め地元の経済界、議会等の方々の意見は本当に耳を澄ましてよく聞くつもりでございます。

問)

貸金業制度の見直しの関係で、少額短期の特例措置の必要性について大臣はどのようにご認識していらっしゃるのかというのが1点と、今の金融庁で検討している案だと、特例措置が廃止されずに特例期間が終わった後も残ってしまうのではないかと懸念する声も上がっているのですけれども、それについて大臣の御所見をお願いします。

答)

2点目につきましては、そういうように私は理解しておりません。

それから1点目については、この前の記者会見で申し上げましたように、最終的には利息制限法の20%に出資法の上限金利が一致するような世界をつくるわけですが、少額短期というものの必要性については党の意見にもございましたので、色々厳しい条件をつけた上で短期間、激変緩和的な意味を含めて認めることは政治的にはあり得る話だと思っています。

問)

今の特例の話ですが、今伝えられている案だと金利を下げるまでに3年、その後の特例期間が5年ということで、これはちょっと短いというよりは長いのではないかという声も出ていますが、これについてはいかがですか。

答)

これは党の方で検討してくださると私は思っております。

私個人は、9年かかるというのは長いという説だろうと思いますし、そんなに長い期間必要かなという思いもありますけれども、党の方がその部分については政治的な御判断をしてくださるものと私は思っています。

問)

足利銀行の関係ですが、地元では行政や経済団体から既に、外資は困るとかメガバンクは困るとか、実名を挙げて隣県や地元の金融機関はちょっととか、受皿金融機関の選定について、会見や文書で色々な消去法的な意見が出ていますが、これらはすべて意見として考えるのか、或いは、さっきおっしゃられた3条件の中で、他の条件との比較衡量の中で判断していくのでしょうか。

答)

地元の方がどうお考えになるかは全く自由だと思いますが、金融庁の立場、予断を持たず、内外無差別であるというきちんとした立場で物事に対したいと思っております。

(以上)

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