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与謝野内閣府特命担当大臣(金融・経済財政政策) 記者会見要旨

(平成18年9月15日(金) 11時07分~11時36分 於 金融庁会見室)

1.発言要旨

閣議は、案件どおりでございました。

また、閣議終了後、月例経済報告等に関する関係閣僚会議が開催され、お手元の配付資料に基づき高橋統括官より御説明がございました。

今月の景気判断については、「景気は、回復している」としており、先月から判断を変更しておりません。

今月の特徴としては、2006年4-6月期の法人企業統計季報が公表され、設備投資が前期比+5.7%となっており、企業収益も経常利益が16四半期連続で増益になるなど、引き続き企業部門の改善が続いております。

物価動向の判断につきましては、「消費者物価の前年同月比は上昇しているものの、石油製品その他特殊要因を除くとゼロ近傍で推移している。ただし、海外経済の動向などが今後の物価動向に与える影響については注視していく必要がある」としております。

今回の物価判断は、「物価が持続的に下落する状況にはない」ということを意味しており、デフレ脱却の判断を示したものではありません。そうした状況に後戻りするリスクとして、今後の海外経済動向などが残っているものの、国内の需給状況の改善が続いていることから、先月と比較して判断を一歩進めたものと言えます。

以上です。

2.質疑応答

問)

デフレ脱却宣言は見送ったということだと思うのですが、政策の基本的態度のところで、「デフレからの脱却を確実なものとし」という表現が削除されています。8月と9月で何がどう変わったのかを教えてください。

答)

物価の動向は、国内要因からは大丈夫だろうと。しかし、海外の経済状況がどう変化していくかというリスクを抱えている物価状況だということが基本的な考え方です。

問)

年度内にデフレ脱却を確実なものとするというのが政府の公約だったのですが、大臣の今のお考えとして、その時期の見通しはいかがでしょうか。

答)

これは、専門家が客観的かつ冷静に判断したものでございますから、この表現を是非率直に受けとめていただきたいと思います。経済に影響を与えるような物価下落というのは、既に済んでいると私は思っております。物価を論ずる時のその幅というのは、0.何%という非常に小さい数字でありますし、また、8月に消費者物価の基準改定といった一過性の要因で下がったように見えますけれども、そういうことも全部考えた上で、国内経済から来る物価下落要因は、ほぼ今後ともないだろうという判断。しかしながら、日本の物価動向はやはり海外経済から当然影響を受けるわけで、そういうものを勘案すれば、全く後戻りする状況がないと断定的に言える段階ではないというのが、この月例経済報告でございます。

問)

北朝鮮へのいわゆる金融制裁に関連して、大臣のお考えをお尋ねいたします。北朝鮮が行っている不法行為や国際社会に与えている脅威の水準から見て、政府が今準備している金融制裁の要件が整えば、大臣は直ちに発動すべきであるとお考えでしょうか、それとも、北朝鮮の一段の行動を見てから実際の発動を検討すべきとお考えでしょうか。

答)

日本は、北朝鮮との間でいろいろな難しい問題を抱えておりますが、それは拉致であり、またミサイル発射であり、核兵器開発であるということです。これは、いずれも国際社会全体として対応しなければならない問題であると思います。拉致の問題は、日本だけの問題のように見えますけれども、この点については国際社会も支援してくださると私は信じております。

そうなりますと、6者協議もなかなか開催できないという状況があり、また、再度のミサイル発射があるのではないかという韓国からの一部報道、核実験が近づいているのではないかというワシントンでの報道等々を考えますと、国際社会全体として何らかの行動をとる必要があるということになれば、当然、日本もその一員として、日本が採り得る措置をもってその国際的な行動に参加する必要が出てくると思います。

ただし、これは大きな外交問題であり、当然単に金融庁として判断する話ではありません。政府全体として一定の行動をしなければならないという時には、金融庁は金融庁の持ち場である金融にかかわる部分について、いつでも政府全体の方針に沿えるよう準備はしておかなければならないと思っております。

問)

今日から株の夜間取引が始まりますが、これについてどのような所見をお持ちでしょうか。

答)

株の夜間取引は、恐らく投資家にとっては便利なものになるに違いないと思っております。特に、昼間働いて、夜に投資活動をしようという個人にとりましては、これまでのような時間的制約から解放されることは大変便利なのではないかと想像できます。一方では、夜間取引の場とは、東証や大証等に比べて市場規模が非常に小さく、取引数量も非常に小さい中で、価格形成が公正に行われるか否かを常に注意深く見ていかなければなりませんし、市場規模が小さいだけに、インサイダーや相場操縦など、証券取引法違反の行為が発生しやすい状況になる。これは相当、市場開設者も我々も注意していかなければならないと。

また、株式会社が何か発表する時には、東証での取引が閉じてから発表していましたが、東証が閉じてすぐ夜間取引が始まると、多分、企業は、発表をする時に大変短時間で行わなければいけないのかなということも多少心配しております。

問)

今回の月例経済報告の「政策の基本的態度」では、「デフレからの脱却を着実なものとする」という表現から、「物価の安定基調を確実なものとする」という表現に変わっていますが、この「物価の安定基調」について内閣府としてどういう定義をしているのかお伺いしたいのですが。

答)

デフレでも、インフレでもない状況という意味です。

問)

デフレでもインフレでもない状況というのは、人や立場によって、その幅は非常に分かれるところだと思いますが、大臣は日ごろ、金融政策については日銀の独立性を尊重するとおっしゃっていますが、非常に幅のある言葉として「物価の安定基調」という言葉を定義されると、場合によっては日銀の金融政策に政治介入の余地を広げるリスクが広がることにならないのでしょうか。

答)

ならないと思います。日本国政府が、日銀の金融政策に介入するというのはあり得ないことで、もちろん日本銀行の金融政策に意見を言うことはできますけれども、今年の量的緩和解除あるいはゼロ金利からの離脱に際して、いずれも小泉内閣は日銀の独立性を尊重し、それによって日銀及び日本経済のクレディビリティを高めようとした。私はこの状況は全く変わって行かないと思っております。

また、日銀の目標、目的はやはり物価安定でして、まさに政府と日銀は、「物価安定基調」という言葉を通じて同じ考え方を共有しているということを示したと理解していただきたいと思っております。

問)

今まで政策態度の表現を変更するのは、「骨太の方針」や「改革と展望」など閣議決定があった時に、変わることが多かったのですが、月例経済報告は閣議決定ではない文書で、安易に表現を「デフレ脱却」から「物価の安定基調」と変えてもよいものなのでしょうか。

答)

よいものです。

問)

そうすると、これから政府として、「デフレ脱却」ではなく「物価の安定基調」が目標になってくると考えてよいのですか。

答)

英語を日本語にしただけですから、どうぞそう理解してください。

(以上)

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