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与謝野内閣府特命担当大臣(金融・経済財政政策) 記者会見要旨

(平成18年9月19日(火) 10時30分~10時51分 於 金融庁会見室)

1.発言要旨

閣議は案件どおりでございましたが、金融庁関係の案件が2件ございましたので、御紹介申し上げます。

まず、北朝鮮のミサイルまたは大量破壊兵器計画に関連する資金移転を防止する等の措置について、閣議了解されました。詳しくは、官邸の方から御説明があると思いますが、金融庁の関連では、いわゆる本人確認、組織犯罪対策法上疑わしい取引の届出を金融機関に対して要請することが盛り込まれておりまして、金融庁としてはしっかりと実施してまいる決意でございます。

次に、本人確認法の政令改正が決定されました。本改正は、マネー・ローンダリング、テロ資金対策のため、各国において1,000ドルないし1,000ユーロ相当額を超える送金に係る本人確認を強化するとの国際的要請を受けまして、10万円を超える現金送金などを行う際に、金融機関に対して送金者の本人確認等を義務付けるものでございます。本改正は、来年1月4日に施行される予定でございまして、それ以降はATMでは10万円を超える現金の振込ができなくなるなど、利用者に御不便をおかけする面がございます。

しかしながら、この改正は、マネー・ローンダリングやテロ資金対策という目的のために国際的要請を受けて行うものでございまして、ぜひ御理解と御協力をお願いする次第でございます。

なお、現金ではなく預金口座を通じて振込を行う場合には、ATM、窓口のいずれにおいても、引き続き従来と同様のやり方で振込を行うことが基本的に可能でございます。

金融庁としてはこの制度の円滑な実施に向け、金融機関に適切な体制の整備を要請するなど、引き続きしっかり取り組んでまいります。

以上です。

 

2.質疑応答

問)

先ほど閣議の前に、安倍官房長官のところにいらっしゃったようですけれども、今日のテーマは。

答)

今日は、22日に諮問会議がございますので、諮問会議の時は通常、総理、官房長官に事前の簡単な説明をすることにしておりました。今回は、22日に諮問会議でございますので、その説明を行いました。本間先生始め内閣府の事務方が全部行きまして、私は部屋に入ってから出るまで一切発言をしておりません。

問)

安倍長官から、特に今後のこと等について指示等はありませんでしたか。

答)

ないです。

問)

竹中総務大臣が先週金曜日に任期途中で議員辞職されると表明されたことについての感想と、竹中大臣のこの5年間やってこられたことへの評価をお聞かせください。

答)

小渕内閣の頃から存じ上げていましたけれども、私が竹中大臣と仕事の面で非常に密度の高い接触を始めましたのは、もちろん郵政改革を軌道に乗せるということで、郵政改革に関しては、一昨年の後半また昨年の前半と、ともに全力を尽くしたと私は思っておりまして、郵政改革の同志だと私は思っております。

去年の暮れから今年にかけては、経済学のよき教師と思っております。

問)

貸金業制度の見直しについてなのですが、先週末に自民党の方で制度改正の内容について合意がなされました。金融庁がまとめた案と比べまして、特例の年数や金利等で若干変更が加えられていると思うのですが、自民党が先般まとめた内容について、大臣の評価をお願いします。

答)

まず、特例措置だけに捉われて物事を評価することではないと私は思っております。特例の部分を全部外して貸金業の評価をしていただくと、まことに厳しい案になっているのではないかと思っております。それは、参入条件にしましても、純資産の問題、資格の問題、1つのコンピュータシステムに加入しなければならない問題と、いずれも非常に厳しいハードルが設けられています。

それから、過剰貸付については、やはり100万円を超えると借方の収入もきちんと調べなければならないということで、原則、年収の3分の1が貸付限度となります。これは、すべての貸金業者から借り入れている積算残高でございますので、そういう意味では過剰貸付についても、極めて厳しいことになったと思います。

金利については、いわばグレーゾーンを廃止するわけですが、その新しい金利体系に移行するのは3年後ということですから、システムの構築等や政省令の整備等を考えますと、金融庁の仕事も認可法人の仕事も、相当急がれると思っております。そこから20%、18%、15%の金利が実現するわけですから、今までとは全く別の世界が現れるということです。

その間、グレーゾーン金利で契約した場合は、やはり最高裁の判例が極めて有効でして、恐らくグレーゾーンの金利で契約するリスクを取って大手の業者は少なくなるのではないかと思っております。そういう意味では、金利体系全体が20%に下がるのが、やはり大きなところでございます。

その他を見れば、広告も自主的には決めるけれども、広告の仕方については認可となり、テレビのコマーシャル、新聞広告、屋外広告、すべて規制の対象になるということでございます。

特例、特例といって、何か特別に業者寄りにものを決めたのかといえばそうではなく、激変緩和的な部分がやはり必要だろうという意見は貸手側にも借り手側にもあったわけでして、そういう意味では、自民党は特例期間を2年という最小限のものにし、また特例金利を25.5%にしたというのは、やはり自民党の良識が極めて強かったのだろうと思っております。

それでは金融庁はどうなのだといいますと、やはり金融庁としては、前にも繰り返して申し上げましたように、自民党・与党が作りました紙に忠実に案を作ったらどうなるかということで1案を差し上げたわけでして、それを自民党・与党の方できちんと整理整頓し、料理をされたということだと思います。

問)

基準地価について今朝発表がありまして、三大都市圏では地価の上昇傾向がより鮮明になり、全国おしなべて見ても、下げ止まり傾向が一層鮮明になったと思うのですけれども、今回の地価の調査結果について、まず大臣の御所見を伺いたいと思います。

答)

三大都市圏の地価は、今日初めて判ったわけではなくて、最近では上昇傾向にあり、土地の需要も非常にあるということです。また、地方での下落率が2%から3%になっております。これは、いわゆる資産デフレ、資産デフレと言っていたものに、全国的に一定の歯止めが掛かり始めたと私は理解しております。

問)

金融担当大臣として伺いたいのですけれども、各金融機関の中で、この不動産投資や不動産を担保とした融資が、またここに来て盛り上がってきている動きが見られます。日銀などは、不動産投資へのリスク管理をしっかり見ていこうという姿勢を打ち出しているのですけれども、これについてはいかがでしょうか。

答)

まだバブルの教訓は残っておりますし、金融機関がバブル期のように一斉に間違った方向に進む、あるいは不動産投資を計画する人が資産価値の上昇だけに着目して投資に走るということではなくて、やはり前提は違っているにしろ、どれほど正確かは別にして、一応収益計算はして、収益還元価格で資産を取得しようという、いわば学習効果がまだ残っておりますので、私はバブルの発生ということはあり得ないと思っております。

問)

北朝鮮への金融制裁の点で、金融庁の役割についての御所見を、改めてお願いします。

答)

金融庁の役割は2つあり、1つは本人確認ということです。取引が他人の名前や偽名で行われたりするのはテロ対策ということもありますけれども、それ以前に、銀行取引や税務上の問題等々として、その方が本人かどうかを確認することは、銀行の責任になっております。

今回は、やはりそういう送金事例に関しては、きちんと本人確認をしていただくということです。あらかじめ本人が確認されている銀行口座から引き落として送金するような場合は、もうこれは本人確認がされているので必要ないと。ただ、本人確認はしっかりやってくださいということを金融機関に申し上げる、これが1つです。

それから、組織犯罪処罰法の中に、疑わしい取引を銀行が認識した場合には、それについて一定の事実を確認したり、届出をするということが組織犯罪処罰法に書いてございます。これは、犯罪収益に関わる話なのですけれども、その疑わしい取引についてしっかり見張っていてくださいということをお願いすることが金融庁の2つの大きな仕事であると思います。

外為法自体の法律の運用は、財務省の所管でございます。

問)

貸金業法の今後の国会の見通しについて、臨時国会も含めて、今の時点でどうお考えなのでしょうか。

答)

党の方では、調査会長、小委員長に最後は一任しましたけれども、若干の宿題が残っているのではないかと思っております。それは、公正証書の取り扱いの問題、それから金利の20%、18%、15%の刻みの問題を最終的に決めなければいけないという2つが残っておりまして、恐らく自民党の方は、公明党の方とちゃんと御相談になって、これらの問題についても宿題の答えを出して来られると。

 

そうなりますと、全体として、今度は与党の紙が金融庁に返ってまいりますので、私どもは私どもの宿題をちゃんとこなして、金子金融調査会長はあくまでも政府提案でやれというお気持ちが強いので、次にここに座られる方が一生懸命やってくださるのではないかと思っています。

問)

22日の経済財政諮問会議について、小泉政権下では最後になると思いますけれども、この内容とかアジェンダはどうなるのでしょうか。

答)

アジェンダは2つありまして、1つは資産債務管理についてです。これについては、本間先生を始めとして諮問会議の下でいわゆる調査会をつくりましたが、そこから中間報告的なものが出てまいりましたので、その御報告に5分、それから谷垣大臣から予算の概算要求状況の報告が5分で、あとは懇談10分でおしまいということです。その後、総理を中心に、夕食をとりながら意見交換ということです。

問)

政策決定プロセスについてお伺いしたいのですけれども、議員辞職された竹中さんは、どちらかというと一点突破型の政策決定をされたのに対して、大臣はどちらかというと調整型というようにこれまでよく言われてきました。それは現実的な対応だと大臣はおっしゃっていた気がします。この間、大臣がそういうプロセスを採られた思いというのを改めて伺いたいということと、新しくできる新政権でも、そういった調整型の政策決定プロセスが有効に働くのかどうかについて、2つお伺いしたいのですが。

答)

物事ができればいいのでしょうという考え方をとれば、一直線に行く方法もあるし、急がば回れという方法もあるし、みんなを納得させながら物を決めていくという方法もあるし、千万人といえども吾往かんという方法もあるし、それはある種人生観の差みたいなものがあって、いずれも有効な方法だろうと私は思っています。

(以上)

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