山本内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成18年12月1日(金) 9時27分~9時46分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

昨日、貸金業法が衆議院を通過いたしまして一段落いたしました。皆様のおかげでございました。また、原案が全ての政党からご支持を頂きまして賛成、しかも討論がございましたが賛成討論であったということでありまして、大変うれしい限りであります。ただ、質問ではかなり厳しいご指摘も頂戴をいたしましたし、今後多重債務問題に対しては、さらに注意深く実情を把握しながら来たるべき多重債務対策本部立ち上がりました後に、鋭意検討を重ねていきたいと努力したいと思っております。

続きまして、閣議の様子からご説明いたします。まず、内閣府大田大臣から19年度予算編成の基本方針についてご説明がございました。それを受けまして、総理からも19年度予算編成の基本方針についてのコメントがございました。美しい国づくり内閣に相応しい予算とする必要がある、成長なくして日本の未来なしという理念で大胆に行財政改革に取り組むという決意が述べられました。財務大臣からも同様の基本方針のご説明がございました。高市大臣から少子化社会白書についてご説明があり、また、12月3日から9日までの1週間「障害者週間」を実施する旨ご紹介がございました。総務大臣からは18年度特別交付税12月交付大綱2,615億円の決定のご説明がありました。それから、労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果について総務大臣からご紹介がございました。完全失業率は4.1%となり、前月に比べ0.1ポイントの低下ということでございまして、労働力、失業率、堅調に上向いております。また同様の有効求人倍率について、厚生労働大臣からご発言があり、有効求人倍率は1.06倍、前月の1.08倍を0.02ポイント下回っているというご紹介がございましたが、評価としましては厳しさが残るものの改善が進んでいるというご説明を頂きました。ただ、これの詳細を見ますと、都道府県別の有効求人倍率、高知県が一番低くて、沖縄と青森がいるだろうと思ったら、それよりもまだ低かったことにちょっと失望いたしております。外務大臣がスーダンにおける平和の定着支援に対する緊急無償援助のお話がございました。先にご説明しました19年度予算編成の基本方針、ここで新成長経済に向けた改革の加速・深化というところでありますが、まず、我が国経済の現状と見通しという項がありまして、続きまして成長力強化という項がありまして、3番目の項で地域経済の活性化と再チャレンジ支援という項目が設けられております。地方の活力なくして国の活力はない、活力に満ちた日本経済は元気な地域経済に支えられて実現する、そして勝ち組、負け組が固定化することへの懸念など克服すべき課題に対処し、再チャレンジを支援するための施策を推進するなど、各般の施策に取り組むという基本方針の1ページ目に再チャレンジという項を設けていただいております。以上でございます。

【質疑応答】

問)

第三分野の保険商品の不適切な不払いですけれども、10月末での回答期限から1ヶ月が経過しております。ただいま金融庁の保険課で精査作業が進められているかと承知しておりますが、その進捗状況と、あと、いつ頃を目処に行政上の対応を目指していらっしゃるのか、そのあたりのご所見をお願いいたします。

答)

第三分野について精査をしてもらっておりますけれども、この不払いについての詳細につきましては、まだ、格別の報告を私は聞いておるわけではありません。従いまして、今日折角のご質問でありますし、早速不払いについての進捗状況等を確認をしていきたいと思っております。感想としましては、できるだけ早くいろいろ経営的判断に基づく改善が行われればありがたいと思っております。

問)

保険の関係ですが、先月29日、一部報道に山本金融担当大臣のインタビュー記事が掲載されました。この中で大臣は、保険会社は乗り越えなければならない大きな峠に差し掛かっていると。規模の利益を追求するならば、再編も考えてもらわなければならないというような主旨の発言をされたと承知しております。業界の再編についてどのような御所見をお持ちなのか、改めてご所見をお願いいたします。

答)

これはマーケットと経営というそういう考えから考えますと、まず、人口減少時代が来ます。そして、団塊の世代の大量退職もございます。また、さらには利用者ニーズの多様化、そして外資系保険会社の進出、国際的競争の激化、こういった今までとは違う状況が予測されます。このことに当たって、不払い問題、こういった不払い問題での業務経営体質と照らし合わせた時に、この新しい状況に頼るもの、それに十分配慮を頂きたいという一種激励を込めての私の意見をご披露させて頂きました。今後、今までどおりでよしとする経営者はいないでありましょうし、さらに努力を重ねていただきたいと。経営基盤の強化を図り、また不払い等不備のないように努めていただきたいということでございます。

問)

経済財政諮問会議の中で、山本大臣の発言として、金融検査マニュアルに再チャレンジ枠を設けるということを検査局で現在検討しているのだというような発言があったと伺っておりますけれども、この金融検査マニュアルにおける再チャレンジ枠というのは、一体どのようなものでしょうか。

答)

大田大臣のブリーフであろうかとも思いますが、金融検査マニュアルの中に枠ができるわけではありません。これは、金融検査マニュアル改訂に関する検討会で現在検討していただいている中に、再チャレンジ支援総合プラン、こういったことに関する個人保証に過度に依存しない融資手法の多様化、こういったものを盛り込んでいただきたいという主旨でありまして、枠という別に新たに別冊を作るようなそんなイメージが残ったのかもしれませんが、少しそれは誤解でございまして、信用保証協会の信用枠というようなイメージの枠的な話はしたような気持ちがありますが、別冊を作るというような話ではありません。

問)

自民党の振り込め詐欺撲滅ワーキングチームについて、これは菅総務大臣が発足させ、ただいま中野正志議員が座長として中心になり取り組んでおられることと承知しておりますけれども、来年の通常国会を目処に被害金の返還に向けた法案の提出に向けて、詰めの作業を進めています。これに対して金融庁として、どのように連携・協力していかれるのかご所見をお願いいたします。

答)

犯罪による収益、これは被害者にできるだけ返していくということが大事であろうと思います。その時にどのような手法があるのか。自力救済はもとより駄目でありますが、いちいち裁判を起こしてしか返せないというのも少し被害者の皆さんに対しては酷ではないか、特に高齢者の皆さんに対する配慮があっても然るべきではないかという観点から、今、金融庁の中で検討をしておるところでございまして、もう少しお時間を頂きたいと思います。

問)

今日、政府税調で答申がなされる運びになっておりますが、この中で証券税制について、07年度に元に戻そうと、本則に戻しましょうという方向で答申がなされるものと承知しております。これについて証券税制、今まで優遇措置を残した方がいいというお立場でしたが、改めてご所見をお願いいたします。

答)

証券税制も我が国税体系の中の一つでありまして、体系的に国内法の中で考えれば、本則というもので一応矛盾なく体系付けられているものであろうというように考えております。しかし、国内だけのドメスティックな観点からでは矛盾のない合理性のある20%税率であろうかもしれませんが、今現在の国際金融情勢、あるいはマーケットの国際化、特にキャノンにしましても、あるいはソニーにしましても株式の外国人シェアが50%を超えているというこうした現実の中で、謂わば国際的な資本の移動、あるいは資本の動きみたいなものを十分察知しながら、この部門は考えていかざるを得ないのではないか。もっと言いますと、三角合併も直近の視野の中に入って来るわけでありまして、そう考えた場合に、株式市場から外国人投資家を排除しておいて、株価総量の株式価値を下げた上で三角合併みたいなことになるという懸念は、私としては国益に反していないか。国家の税体系が矛盾ないという観点での作業を採るか、理屈を採るか、あるいは現実の国民生活一人一人の幸せを考えた時の政治的判断を採るか、この選択になってきたような気がいたしまして、ここは大変我が国の経済判断としては、私は非常に注目するところでありまして、是非とも現実論を採って遺漏のないように全体としての国益を損しないようにということを願うばかりであります。

問)

明日の視察について、鳥取県の地域金融機関の方と意見交換の場を設けられると思うのですが、この狙い、目的を教えて下さい。

答)

まず、再チャレンジの観点で明日は鳥取を視察させていただきます。午前中にドメスティック・バイオレンス。暴力やトラブル、家庭での問題でありますが、これは勝れて女性の保護の観点が必要でございます。特に精神的なダメージがあるわけでありまして、そうしたカウンセリングや、さらにその後自立されていかれる過程で、どのようにプライベートな世界へ公の作業が上手く入って行き、お手伝いができるかということについて先進的な取組みがなされているというように聞いておりますので、少し色々な方々から公の方々だけではなくて、現実のドメスティック・バイオレンスの当事者の皆さんからもご意見が聞ければありがたいと思っております。その後、午後からは地域金融機関との意見交換も考えているわけでございますが、この時に当たっては、昨日の経済財政会議でも少し議論をさせていただきましたが、謂わば再チャレンジ金融、つまり一旦失敗した人が、我が国では再び起業、事業を起こすことは困難であるということに関して、謂わば間接金融のイメージが強いわけでございまして、それ以外に何か方法論というのがないのか。特に地方、鳥取のようなサイズの小さな地方、人口の少ない地域での新しく再出発し、かつ、また起業していく人たちの支援に直接金融的な観点がどこかで採りえないのか。それは知事とも共通するところでありますので、地域金融機関の皆さんと一緒にそんなことを議論する場を設けてみたいというように思っているわけでございます。明日、さらに色々な人にお目にかかれるかもしれませんが、楽しみにしているとこでございます。

問)

再チャレンジでもう1点お伺いしたいのですが、寄付金優遇税制について、どれくらい具体的に話が進んでいるのか、見通しをお願いいたします。

答)

寄付金税制につきましては、6月の再チャレンジの中間まとめの段階からある程度下敷きは出来上がっていたようでありまして、そのことから考えていきますと、満を持した再チャレンジ税制の本命になるわけでございます。特に再チャレンジとして頑張っていただいている雇用、障害者を雇用したり、高齢者を積極的に雇用したりするところに対しては、地域がこぞって支援していくことによって、税の面だけでない、単に寄付金控除という意味を超えた多くのメリットが考えられていくわけでありまして、精神的なやる気の面も高齢者・障害者に与えることができるのではないかと期待しておりますので、この意味では大事な税制であると思っております。特に、総理もこれについては是非しっかりやるようにというお話をいただきましたので、これにつきましてのスキーム自体はもう出来上がっておりまして、後は税制調査会等のご議論を待つということでございます。

(以上)

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