山本内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成18年12月8日(金) 9時17分~9時28分 場所:院内)

【大臣より発言】

閣議の模様をお伝えいたします。官房長官からイラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更という発言がございました。また、外務大臣臨時代理からその旨の発言でございます。また、防衛庁長官からもその旨の発言でございます。国土交通大臣からは油等の汚染事件への準備、対応のため国家的な緊急時計画についてご発言がございました。厚生労働大臣からは先の第7回世界健康安全保障イニシアティブ閣僚会合の出席した模様の報告がございました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

証券の優遇税制ですが、昨日の税調小委員会でもだいぶ議員の方から撤廃反対の声がありまして、一部からは延長といいますか撤廃期限の延長論という意見も出ておりますが、改めてこの問題について大臣のご見解をお願いします。

答)

「貯蓄から投資へ」という流れというのは、ある程度この証券税制を導入してから実効性があったものと思っております。しかし、個人金融資産の中で株の占める割合というのがまだ10%程度で、特にドイツの18%、アメリカの25%、それに比べますと低いということは否めません。今後、直接金融というのが日本人の中で常識化されまして、起業、つまりビジネスを起こす時のツールとして必ずしも間接金融だけに頼らずに、自己調達するというようなそんな風な風潮を目指すためには、なお、こうした税制が有効であろうというように思います。特に公明党が懸念されている向きの金持ち優遇ではないかということに対しましては、私も意外でありましたが、個人で株式保有している方々の約25%ぐらいが専業主婦、本当にこれには意外でした。また、さらに25%が高齢者。半分以上が専業主婦と高齢者であったことであります。これはおそらく私の想像でありますが、昨今の低金利時代を反映して元本保証のわずかな金利でお金を置いておくよりも、どうせならという庶民のいつわらざる、そして正業についていない無職層の方々が自己防衛として、株式に投資をしているという現実を見ますと、むしろ、これは庶民のための金融資産としての位置付けが大いにできつつあるのではないかというように思っております。従いまして、この10%税制というのを20%まで戻すということの意味は、こうした人たちへの打撃になっていくので、むしろ富裕層ではなくて非富裕層のための税制という色彩が、むしろ10%を経験することによって強くなってきたというように思っております。さらに、株式における資産価値ということを考えますと、1989年12月29日に38,915円という数字をつけた時の東証の資産価値は610兆円でありました。16,000円で勘定いたしますと、300兆円以下になってしまうわけでありまして、そう考えていきますと、その1989年当時、3,000ドルしかなかったアメリカの株が現在は12,000ドル、すなわち4倍になり、我が国はここ18年間でむしろ38,000円が16,000円になるという2分の1か3分の1になってしまったということから考えますと、まさしく株式資産を減らしつつ、むこうは資産を増やしつつ、その中でいわゆるグローバル化、金融マーケットのグローバル化を味わうことによって、来年三角合併があるわけです。ですから、アウトイン、つまり外資が日本法人を買うというこの傾向が強まる中で、こうしたことにさらに、促進であればいいんですが、容易に外資が日本法人を買えるというようなことをあえて日本政府が率先してするということにおけるセンスは如何なものかというように思っておりまして、いわば国益を、そして日本の財産を国家財産を守るためには、どうしても10%を維持するという必要があるというように思っております。そして、最後に成長戦略の中で、今、製造業主体の景気の回復でございます。その製造業の実情は製造の現地法人化、すなわち国家間分業が極めて明らかになりつつある、つまり、外国で製造するというような方式がとられるものですから、国内におきましても、外国的な発想、すなわち多様な労働の中で派遣業だとか、請負業になるわけでありまして、非正規労働者がここから減っているわけでございます。そう考えれば、これから産業構造は、単に製造業に頼らずに、新しくサービス業、そしてサービス業の中に金融サービス業、これを加えて育成していく必要があろうというように思います。そんな意味では牽引企業に金融業やサービス業を加えていく。人が産業の中で働くことによって、それで伸びていくという、人中心の産業に改善していく必要があろうと思います。その意味での金融サービス業というのは大変重要な意味があろうと思っております。これを大事にしていくためには、やはりそこに10%というのが象徴的になければなりません。最後でございますが、国際競争力の中でやはり金融センターの奪い合い、或いは争奪みたいなことになりつつあります今日、株式市場がシンセン、上海、或いはシンガポール、或いはこれから天津というような動きの中で、日本の金融センターとしてのアジアでの中心の位置が揺らぐ可能性が出てきている。すなわち日本は10~20%という証券税制が、香港、或いはシンガポールでは0であるという、こういうことになりますと、欧米におけるその投資家もやはり日本で稼ぐよりは、そちらの方がというようなことでシフトされていくことに大変大きな懸念を持っているわけでございます。以上、長くなりましたけれども、10%維持というのは、私の方としましてはどうしても必要なものだということで対応しているところでございます。以上です。

問)

証券税制の優遇措置が長くなった場合、預金金利に対する20%の整合性について問題になってくるかと思うのですが、それについてはいかがお考えですか。

答)

預金金利の20%ということについては、特に法人税の場合に金利全部が法人税から控除されるという姿があり、他方証券税制が20%となると、法人税をかけた後に、また20%を取られるわけでありまして、二重課税となるわけであります。この二重課税ということは一見複雑にみえますけれども、法人税をかけて、なお、配当までと非常に負担感が多くなっていくわけであります。このことは企業から株を離していく、そういう傾向になるわけでありまして、調達コストの面も考えましても異常な税制であるわけであります。それから考えれば、これからの企業会計原則で国際標準に直していくことによって、アメリカ流、ヨーロッパ流の企業会計をやった場合には、株価に対する資産的評価というのが、企業会計上非常に重くなってくるわけでありまして、そう考えた時は、この二重課税というものは、グローバルスタンダードからすると少し異常な国である、そういう評価であります。従って今後、イコールフッティングといわれているグローバル企業にとっては国外脱出かという懸念もございますので、二重三重の意味で私は心配をしているわけでございます。

(以上)

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