渡辺内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成19年8月27日(月) 22時16分~22時40分 場所:内閣府本府522号室)

【大臣より発言】

この度、金融担当、並びに行政改革・公務員制度改革担当を仰せつかりました渡辺喜美でございます。どうぞよろしくお願いいたします。総理からこの担当を命じられましたこと、行政改革担当というのはだいたい想像はついていたのでございますが、金融担当というのは全く予期しておりませんでした。適材適所という観点から選んだということかと思います。もとより財務金融畑が長かったわけでございまして、行革担当になる以前、8ヶ月ほど前でございますが、金融担当の副大臣をやっておりました。そうしたことからご指名があったものと思います。8ヶ月も遠ざかっておりますと、勘が戻って参りませんが、しばらくすれば勘が戻ってくるのではなかろうかと思います。行政改革のほうは、引き続きの任務でございますので、どうぞよろしくお願いします。私の方からは以上であります。

【質疑応答】

問)

8ヶ月ぶりに金融のほうに戻られたということですが、この間もですね、主要行の収益力強化の問題ですとか、地域金融機関に関しても健全化というものが、若干遅れているということがあると思うのですけれども、金融の現状についてどのように思われていますか。

答)

分野によって違うのだろうと思います。保険の方は、いち早くビックバンに巻き込まれた業種であろうかと思います。そうしたビックバン先行組が、不払い問題等の問題に真っ先に歪みが出てきたといいますか、ビックバンの対応を焦ってですね、商品の乱開発等が起こってしまったんだろうと思います。そうしたことを監督の立場から冷静に見てきて、今日に至っているわけであります。一方、銀行の方は、メガバンクの方は不良債権にはめどがついたものの、なかなか欧米などのような収益力の水準にはまだ追いついていないというところではないでしょうか。従って、そういったまだ病み上がりで、かなり健康体にはなってきましたけれども、まだ、欧米の大手行のように積極果敢にリスクを取れる状況ではなかった。逆にそういうことがですね、今日のサブプライム問題においては、安全天国といいますか、そういった所にいた結果、健全性の問題にまで発展することがなく、今あるのではなかろうかと思います。いずれにしても、この問題は、きちんと注意しながら見ていく必要があるわけでございまして、そういった注意を怠らずに考えていきたいと思っております。

問)

今年6月の骨太の方針で、金融市場を強化することが明記されて、年末までに課題として残っていますけれども、いろんな切り口があると思うのですが、大臣としてはどの辺りに優先順位をつけて取り組んでいくお考えですか。

答)

やはりですね、日本が世界の成長とドッキングをしていく必要があろうかと思います。就中、アジアゲートウェイ構想において、アジアの成長と日本の成長をドッキングさせようという試みが行われているわけでございますから、そういった観点から、日本の金融資本市場が競争力の高い、かつお金を呼び込むことにおいて引けを取らない、そういった市場でなければならないと考えております。具体的な方策については、勘が戻りましてから、またお話をさせていただきたいと思います。

問)

先程の質問で、地域金融機関に関する御認識を伺えなかったのですけれども、一部には、まだまだオーバーバンキングというような見方もありますし、地域金融機関の現状について、大臣の地元である足利銀行の受け皿選定作業については大詰めに来ていると思うのですけれど、その点について金融担当大臣ということでのやりにくさというのがあるか、その辺りはどのようにお考えでしょうか。

答)

オーバーバンキングであるか否かについては、いろんな御意見があろうかと思います。それぞれの地域金融機関において、相当真剣な取組みが行われているのではないかと、私の方は認識をしています。是非、将来といっても、もう既に相当の競争激化の兆候がある訳ですから、そういったことを睨んだ体制づくり、方針を打ち出していただきたいと思います。また、足利銀行の受け皿問題については、御案内のように、今、第二段階の最終局面に来ています。ここにおいて、候補の絞込みが行われるわけでありまして、この絞込みを行った上で、第三段階に参ります。大体、スケジュール的には、今月というわけにはいかないでしょうから、秋口には、第三段階に移行できるのではないかと思います。その上で、最終的な受け皿の決定を行う訳でございますが、今の段階でいつ頃というのは、なかなか言えない、そういう状況であります。いずれにしても、これは、栃木県を中心とした地域において、長続きのする金融仲介機能の発揮をしていただくことなどの観点から、絞込みを行っていきたいと考えております。また、私の地元であるが故に、私が今までの路線と違ったことをやるのではないか、という御懸念をお持ちの方がいらっしゃるとすれば、その点は全く心配には及びません。これは、与謝野金融大臣の時にスタートいたしまして、山本大臣に引き継がれ、今日に至っているわけでございますから、そうした議論の積み重ねは、きちんと私の方でも守ってまいりたいと考えております。安倍総理からも、この問題については厳正にやっていくように、との指示をいただいておりますので、そういう方向でやらせていただきたいと思っております。

問)

シンガポールであったり、中東諸国で、公的な投資会社の設立や、年金の公的投資などの取組を進めていますが、日本においてもこのようなものを進めてはいかがか、という構想が進んでいるということなのですけれど、このことに対して、大臣としてどのようにお考えでしょうか。

答)

この問題は、外貨準備の運用という問題と同時に、日本の置かれた今の状況の両方を考える必要があると思うのですね。つまり、一方において、巨大な不均衡というのが存在をいたします。これは言うまでもなく、アメリカにおける三つ子の赤字、経常収支、財政、家計、この不均衡を埋めるために、世界中のお金、就中、日本、中国、産油国、こういった所のお金が流れ込んでいるわけですね。従って、こうした巨大な不均衡の調整が、サブプライム問題でちょっと危うい場面が、現に起こっているわけでありますから、こうしたことを考えた上での議論をしなければいけないと思います。つまり、軽々に今、日本の外貨準備について、その運用方針を変えるとかですね、そういったことは、当面、議論をすることも注意をしなければならないのではないかと考えております。

問)

独法の整理合理化について、間もなく提出されるかと思うのですけれども、仮にゼロ回答がほとんどだった場合、12月の計画策定に向けてどのように対処されるのでしょうか。

答)

ゼロ回答という噂は私も聞いたことがございます。従って、どういう見直し案が出てくるのか、大変興味深く見ております。もし、万が一、ゼロ回答という形で出てきたとしても、それで終わるわけではございませんで、そこからまた第二歩がスタートするわけでありまして、これは、総理から101独法を聖域なき見直しをするようにという強い指示をいただいておりますし、そのための総論的な基準についても、今月初めに作って閣議決定をしているわけでございますから、そういった基準に基づいて厳格に対処していく考えであります。

問)

2点お願いします。足銀の関係については、先ほどのご説明の流れで行きますと、事務方の検討を最大限尊重するというお考えなのかという点が一点と、政府系の投資公社、いろいろ検討・議論がありましたけれども、大臣ご自身は慎重であるべきだと、慎重姿勢で見ておられるということでしょうか。

答)

事務方の検討を尊重するというよりも、今までの議論の蓄積がございますので、そういったものを踏まえてこれから議論を進めて行くということに他なりません。また、国富の運用について申し上げましたところは、目先の話をしているだけでございまして、中長期の話はまた別途議論があろうかと思います。こういう非常に微妙な状況の中での議論は、注意をしなければならないということを申し上げただけのことでございます。

問)

金融商品取引法では、ファンドが監督規制の対象になります。あわせて、サブプライムの問題でもファンドの動きについて様々な議論があります。ファンド一般の問題について、大臣のお考えをお聞かせ下さい。

答)

サブプライムの話は、ご案内のように、どこにリスクがあるのかちょっとわからなくなってしまっているというところに、非常に厄介な問題があろうかと思います。実はこの問題は、2年以上前でしょうか、ニューヨーク連銀がCDS等について、その決済が、かなり時間がかかりすぎているのではないかという警告を発したことがあったかと記憶しております。従って、そういう観点から、この問題はかなり注意をして見ていく必要があろうかと思います。ファンドの中でも、そういったCDOやCDSがらみのものがあるわけでございますから、そういったことは、きちんと大変なことにならないようにウォッチをしていく必要があろうかと思っております。

ついでながら、格付機関について、今までは、言論の自由という観点から事実上、野放しになっていた。しかし、この問題が起こりまして、やはり格付機関の方についても、何らかのウォッチ体制は必要ではないかという海外の動きがございますので、こういったことは、我が国としても参考にしていくところが多いのではないかと思います。

問)

大臣はこれまで不良債権問題等で、かなりいろいろな政策提言をされてきたかと思いますが、副大臣の経験と、それと一回離れた時の見方を踏まえて、今の金融行政をどうご覧になられているのかということと、例えば、ここを組織論も含めて、こういうところを変えていったほうがいいのではないかという点があれば教えてください。

答)

そのあたりは、もう少し勘が戻ってから詳しいお話をさせていただければと思いますが、私が副大臣をやっておりました時には、調査部門が非常に弱いという感じを受けました。あの時は、確か、貸金業法の大改正をやっていた時ですが、日本の金利体系について、論文があるはずだと私が金融庁の方に言いまして、その論文を引っ張り出してもらおうとしたのですが、なかなかそれが見つからない。縦軸にローン残高、横軸に金利を取りますと、だいたいこういう、いわゆるフタコブラクダというグラフになっていくのですが、そういった論文が咄嗟に出てこないということがございまして、やはりこれは調査部門をもう少し充実をさせる必要があるのではないかと感じたことはございました。そういうことをかねてから言っているせいかどうか知りませんが、私の今回の秘書官は、そういうところから寄こしたということのようでございます。

問)

今回の内閣の改造で、閣僚のメンバーの顔ぶれを見て、やはり派閥の長が何人も登用されていますけれども、これは旧来型の自民党の人事のやり方ではないかという指摘もありますけれども、これについては、どのように受け止めておられますでしょうか。

答)

これはですね、先ほど総理の記者会見でおっしゃっていたことだと思いますが、適材適所ということを念頭において、人を選んでみたら、たまたまそうなってしまったということなのだろうと思います。私も先ほど、閣議の前の待合室で、つらつらと眺めていましたところ、だいたい2通りに分かれるのですね。1つのグループは、入閣3回、4回以上の組、その中に派閥の領袖の大臣も含まれるわけでございます。一方、初入閣が7人。そして私や大田大臣のように、初入閣とほとんど変わらないという2回組が2人。これだけ合わせると9名、総理以外17名以外の9名はほとんど初入閣に近い人達であるということを考えても、ベテラン組の個性が強いというか、重量級だ、体重が重いわけではありませんが、派閥の領袖とか、当選回数とか大臣の回数が多いという意味で政治的に重量級の方々がいらっしゃるがゆえに、ついついそちらの方に目がいってしまいがちでございますが、よく見ますと実にうまい具合に適材適所をやったものだなという気がいたしました。

問)

今回の公務員制度改革・行革担当と金融担当相を、カテゴリーでは金融庁という省庁から、一方で公務員制度改革という、なかなか難しいものがあると思われるのですが、金融庁側の意向も踏まえながら、大所高所から、これはどのように対応されるのでしょうか。

答)

朝の会見で申し上げたように、公務員制度改革・行政改革の方は、それなりに成果を出したものと、その成果に基づいた仕掛りの部分、これが共存しているのですね。従って、仕掛りのほうは、きちんとこれからその成果に結びつけていくという作業になります。こちらの方はですね、当面、法案の形でいきますと、来年の通常国会において、いわゆるプログラム法の形で、公務員の採用から退職に至る一連の人事制度の改革案をいわゆる全体パッケージとしてお示しをするわけでございます。従って、そういうことをやりながら、先ほどの独法もそうでございますが、金融行政の方を見ていくというのは、決して楽な仕事ではございませんけれども、金融の方は私がかねて関心を持って取り組んできた分野でございますので、勘が戻ってくれば、その両方をこなしていくことは可能ではないかと思っております。

(以上)

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