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渡辺内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成19年9月25日(火) 9時25分~9時44分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

おはようございます。

安倍内閣は本日、総辞職をいたしました。

内閣総辞職にあたっての総理大臣談話というのがあります。

「まず始めに、国民の皆様に対し、職責を全うすることができなかったことについて、心よりお詫び申し上げます。

昨年9月に内閣を発足して以来、『美しい国創り』を掲げ、イノベーションとオープンを軸とする成長戦略を進めるとともに、教育の再生や公務員制度の改革、地方分権改革など、戦後長きにわたり続いてきた諸制度を大胆に見直す『戦後レジームからの脱却』を進めてまいりました。また、この間、基本的価値を共有する国々との連携強化、アジア地域の平和と繁栄に向けた取組、気候変動問題の解決に向けた『美しい星50』の提案など、『主張する外交』を力強く展開してまいりました。

1年間という短い期間ではありましたが、戦後初めての教育基本法の改正、憲法施行後60年間にわたり整備されてこなかった憲法改正のための国民投票法の制定、防衛庁の省への移行など、戦後の政権が成し得なかった改革を成し遂げ、また、社会保険庁の廃止・解体、財政規律の強化、道路特定財源制度の見直し、米軍再編などの課題についても、その道筋をつけることができたことは、ひとえに国民の皆様のご理解とご助力のおかげであると心より感謝を申し上げます。

今後、新たな内閣のもとで、時代の変化を見据えた新たな国づくりが、力強く進められることを切望しています。

ここに、これまでの国民の皆様のご支援とご協力に対し、重ねて心より御礼申し上げます。」

という談話でございます。

この後、総理からお話がございまして、これは官房長官のほうから詳しくお話をされると思いますが、正確な表現ではないかもしれませんが、「山積した難問を前に、断腸の思いである」ということを言っておられたのが印象的でございました。

私の方からは以上であります。

【質疑応答】

問)

本日、安倍内閣が総辞職したということですけれども、閣僚としてのお立場から、1年間で終わった安倍内閣をどう総括されますでしょうか。特に、構造改革路線の継続を掲げながら、国民に十分受け入れられなかったのではないかと思われることについて、どのようにお考えでしょうか。

答)

私は、曲がりなりにも安倍内閣のチャーターメンバーでありました。最初は、ご案内のように金融、それから経済財政担当の副大臣を仰せつかってきたわけでございます。その後、ピンチヒッターで行政改革・規制改革担当大臣となり、再び金融大臣として(金融庁に)戻ってきたという経緯がございます。この間、安倍内閣は大変なスピードでいろいろな課題と取り組んできたと思います。例えば、私が副大臣のときには、貸金業法の大改正を行いました。これは今まで、議員立法で行ってきたことを大転換する、抜本改正の名にふさわしいことであったと思います。これによって、日本の金利の体系が非常に歪な形であったものが、正常化に向けて動き出すことが予想されます。これも大変な金融の構造改革であったのではないでしょうか。また、行革大臣として携わってきたのは、先程申し上げた公務員制度の改革でありました。これも、郵政改革を遥かに上回る極めて困難な課題とされていたのを、見事に成し遂げました。これは、公務員改革の第一歩に過ぎませんけれども、こうした大改革を60年ぶりにスタートし、それを成し遂げてしまったということであります。また、小泉内閣の積み残しの課題でありました、社保庁の廃止・解体、これも成し遂げたわけでございます。そういったことを考えれば、大変なスピードを持って改革を矢継ぎ早にやってきたというのが私の印象であります。言ってみれば、攻めて攻めて攻めまくる、という内閣だったのではないでしょうか。こうした改革路線は次の内閣においても、仕掛り品がたくさんあるわけでございますから、これを是非継続していただきたいと思っております。

問)

週末に自民党総裁に福田氏が選ばれまして、昨日は自民党四役が決まりましたが、 大臣は今回の自民党総裁選挙の結果をどう捉えていらっしゃって、党四役は改革を進めるのにふさわしいメンバーだとお考えでしょうか。一部の閣僚については留任するとの報道もありますけれども、大臣ご自身は現時点までにご自身の処遇について、福田氏などから伝えられていることはありますでしょうか。

答)

まず、最後の質問からいきますとそういうことはございません。たぶん、私は留任しない方の組に入っていると思います。総裁選については、麻生候補が予想外の得票をしたということがやはり特徴的だと思います。福田候補が語っておられましたように、今時派閥の締め付けというものが昔のように機能するわけがない、これを端的に示した数字だったと思います。また、党四役については、派閥の領袖クラスという顔ぶれでしょうから。言ってみれば、民主党小沢さんが38年選手です。一方、福田康夫さんは17年選手です。こういう差が歴然としてあるわけです。自民党の政治モデルでいきますと、30年以上かからないと総理総裁の座はとれない、というモデルがやはり大転換を既にしているということが、このことを取っただけでもわかると思います。一方、党四役は派閥領袖クラスではないかということですが、考えてみれば、先程申し上げたように安倍政権というものが、攻めて攻めて攻めまくる、そういう政権であったのに対して、福田政権というものは相当守りの政権にならざるを得ないだろうと思います。党四役の顔ぶれを見ますと、言ってみれば、クリンチの上手な方々が、勢ぞろいしたということが言えるのではないでしょうか。

問)

ご自身はおそらく、留任しない方とおっしゃっていましたが、考えられる根拠はあるのでしょうか。

答)

政治家の直感です。理由はありません。

問)

新しい大臣がご自身なのか、他の方なのかはともかくといたしまして、次期政権への金融大臣、行革大臣それぞれに是非ともやっていただきたいこと、やらなければいけないことを教えてください。

答)

まず金融大臣には、日本の市場がもっと活性化して然るべきであるにも関わらず、残念ながらこの程度に終わっているところをきちんと構造改革を進めていただきたいと思っています。また、サブプライムローン問題は、IMFの報告にもありますように、相当長期化が予想されるわけでありますから、この観点での危機管理はきちんと対策を講じていただく必要があろうかと思います。私の短い期間に金融市場戦略チーム会合を2回開いております。このチームの非常に特徴的なところは、他の審議会とか、懇談会とは違って、大学の先生が一人も入っていないということであります。つまり、マーケットの最前線でこうした問題と日々対峙しておられる方々を中心に人選をしておりますので、このチームは是非、引き続き継続してこの問題にあたっていただきたいと思います。また、行革大臣としては、繰り返し申し上げますように、公務員制度改革はこれからがいよいよ本番です。採用から退職に至るまでの人事制度の全体パッケージを議論し、また、官と民との垣根を低くすることを担う官民人材交流センターを立ち上げるわけでありますから、こういった仕掛りの仕事を引き続き、その原点を忘れずにしっかりと進めていただきたいと思っております。

問)

今の行革に絡むのですが、大臣の肝煎りで、公務員の労働基本権の問題でいま専門調査会を開いていらっしゃいますけれども、これについてはどのように引き継いで欲しいという思いがあるのでしょうか。

答)

これも、小泉内閣の時にできた専門調査会ではありますが、私が今年の初めに聞きましたら、「この専門調査会は出口のない議論をしているのです」という話でした。出口がないというのは、とんでもないではないかと。きちんと結論を出して欲しいということで、10月を目途に結論を出していただくように進めていただいているわけですから、スケジュールどおり来月にはそれなりの結論を出していただいて、来年の通常国会に出すプログラム法案に反映していただきたいと思っております。

問)

今日閣議で、安倍総理が久しぶりに公の場にいらしたと思うのですが、昨日の会見でも顔色も悪く、表情がかなりやつれられているように我々は受けたのですが、今日大臣が総理を目の前にした感じで、総理の表情や話し方などについてどのように受け止められましたか。

答)

昨日、テレビで見た感じでは大変痛々しいイメージだったのですが、今日は昨日よりそのようなイメージは薄れていたように思いました。我々の前に出てこられる時には、相当気合を入れて出てこられるのだと思います。2週間前よりは確かに痩せておられて、2週間前に比べれば大変な状況なのだなという思いはいたしましたけれども、相当気合を入れて、「気張って」と栃木弁では言うのですけれども、そういうことから、それほど弱々しいというイメージは、今日はございませんでした。最後に一人一人と握手をして、お出になりました。最後には拍手がおきました。

問)

大臣から総理に何か言葉を一言でもかけられたのでしょうか。

答)

「ゆっくり休んで下さい」ということを申し上げました。政治家というのはついつい無理をするものです。自分は元気だということを見せんがために、ついつい無理をして、治る病気も治らなくなってしまうことはあるわけです。ですから、この際総辞職をされるわけでありますから、ゆっくりと休んでいただくことが何よりではないでしょうか。

問)

先ほど、金融の構造改革について、もっと活性化になって然るべきなのだけれども、次期政権ではこの程度ではなく、もっときちんとした構造改革をとおっしゃいましたが、このきちんとした構造改革、大臣が念頭に置かれている優先順位が高いものを具体的に挙げていただけないでしょうか。

答)

まず、金融商品取引法が今月末スタートいたします。まだスタートしていないわけですから、いろいろとご批判、使い勝手が悪そうだなどという話が聞こえるのはわかっております。しかし、これはまさしく日本市場の活性化のためには必要な改革だったわけです。投資家保護を基本として、市場の公正さ、透明性などをきちんと確保しながらリスクマネーを日本市場に呼び込んでいくという背景があるわけであります。したがって、こういう基本的な市場周りのインフラを乗り越えて、まさに日本市場が世界に冠たるマーケットとして活性化をしていくわけでありますから、まずきちんとこの態勢をとっていただきたいと思います。それから、利用者の観点からいきますと、どうしてもリスク過敏症から脱却できていないわけです。なぜこれだけリスク過敏症に陥ってしまっているのかというと、やはり、デフレから脱却できていないところに最大の理由があるような気がいたします。日本人はリスクをとらない民族なのだ、という俗説を私は信じません。日本人のDNAの中には、リスクをとる感覚が大変兼ね備わっているわけであって、我々の祖先を見れば、それは明らかなのです。例えば戦前のちょっとした産業資金というのは、間接金融ではなく、資本市場から調達をしていたわけです。そして、その資本市場を支えるお金持ち階級がリスクマネーをきちんと供給していたわけです。また遡って、先物取引のマーケットを(世界で初めて)開いたのはまさに大坂(大阪)だったわけであります。そういうことを考えれば、日本人のDNAの中に、マーケットの中でリスクをとっていく感覚が脈々と息づいているわけでありまして、こういうところをもっと掘起しをしていくことが大事だと思います。やはり、年末に向けた税制改革というのが非常に大きな要因になろうかと思います。衆参の国会のねじれの中で、どこまで我々の目論見が実現できるかは不透明でありますけれども、税というのは、非常に大きな要因の一つではなかろうかと思います。

(以上)

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