渡辺内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成19年10月2日(火) 10時46分~10時07分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

おはようございます。本日の閣議について、私の方からの報告事項はございません。

【質疑応答】

問)

郵政民営化ですが、改めてですが、滑り出しについてこれまでトラブルや報告がないかどうかについてお聞かせください。

答)

大きなトラブルがあったという話は聞いておりません。局によってはちょっと列ができたとか、小さなシステム不具合、パスワードの変更が集中したりしたことで一部、局部的にそういった不具合があったという話はありますが、大きなトラブル、大きな不具合というものはなかったと聞いております。

問)

サブプライムローンの問題ですが、欧米の金融グループの決算が出てきたり、ニューヨーク株式市場も最高値を更新したということで、現在のところ、どういう見解を持っておられるかお聞かせください。

答)

株価についてはコメントいたしませんが、IMFのレポート等にもありますように、これは油断大敵という感覚で臨んでいきたいと考えております。引き続き、(金融市場)戦略チームには議論をしていただく予定になっております。

問)

いよいよ、休会しておりました国会が始まりまして、これから本格的な論戦がねじれ国会の中で進んでいくわけですが、昨日、所信表明がありまして、その中に改革について方向性を変えないというような文言も含まれていたのですけれども、所信表明をお聞きになっての感想を、率直にお聞かせください。

答)

福田総理のお人柄がよく現れていた演説だったのではないでしょうか。短い期間に、よくあそこまでまとめられたと思いました。以前からも申しあげていますように、福田内閣はより丁寧な手法で、物事を一つ一つ解決していくという方向性を取っているわけでございます。そういった手法などについても、言及があったものと思います。いずれにしても改革という言葉が何回出てきたか、数えておりませんでしたけれども、改革の方向性が変わるということはなかろうと思います。

問)

証券税制について、いよいよ本格的な論戦がこれから始まります。これまで、大臣は非常に高いハードルであるということをおっしゃっておられましたが、民主党もなかなか反対という態度を緩めず、また、公明党も世論を警戒して延長をしない方向との動きもあります。これまで「豊かさ実感」ですとか、「貯蓄から投資への流れ」ということをおっしゃっておりましたが、なぜ重要なのか、今、損しても、数年後の日本の経済にどうしてプラスになるのか、この辺を、なかなか難しいかと思いますが、改めて具体的におっしゃっていただきたいということと、今後の協議にどう臨むのか、その辺についてお聞かせください。

答)

日本人は本当に一生懸命働いて、富を蓄積してきたのですが、その富の蓄積の個人版が、個人金融資産、1,550兆円を超える資産になっているわけです。したがって、これを上手に使ったり、運用したりすると、まさしく個人が豊かさを実感できることにつながっていくのです。しかし、不幸なことに、日本ではずっとデフレが続いてまいりました。金利も超低金利状態であります。一方、諸外国では、例えばフランス人は日本人よりもかなり違うお金の運用の仕方をしているのです。いわゆる預貯金ももちろんありますが、リスクマネーとして投資をしている部分はかなりシェアがあります。その次が、アメリカ人ぐらいだと思いますが。そういう具合にリスクマネーとして運用をしている国々と日本を比較してみますと、(日本ではリスクマネーの)シェアが非常に低いことがあります。大半が預貯金という形で、これはデフレの下で超低金利ということでありますから、金利収入で豊かさを実感しようと思っても、これはできない話であります。経済がある程度成長していけば、そういうリスクマネーとして運用した分については、まさに豊かさを実感できる使い方ができるのではないでしょうか。その意味で、折角稼いだ富を預貯金の形で運用する部分があまりにも多いものですから、なかなか豊かさの実感に通じていっていないのだろうと思います。

金融資産の中で、配当とかキャピタルゲインとか言うものも、利子所得と別立てで、利子所得よりもより優遇して、税を組み立てていくという過渡期の処置が今までのやり方であったわけです。考えてみれば、こういう非常事態対応でやってきた税制というのは、構造改革という側面を考えれば、より恒久化してよいのではないかという形で、配当税制については恒久化の要望を出したところです。これを実現するためには、いくつかのハードルを越えなければいけません。まずは、(財務省)主税局の壁、主税局のハードルがあります。与党・税調のハードルがあります。そして、国会のハードルがあります。いずれも簡単に越えられるとは思っておりませんが、国民の多くがこういう税制が必要であると考えていただけるのであれば、これらのハードルは越えていくことができるということを申し上げております。

問)

国民を説得できるとお考えでしょうか。

答)

なかなか、これはPRが足りませんと、賛同者が増えにくいということもあるのではないでしょうか。一生懸命PRをしていきたいと思っております。

問)

昨日、日銀短観が発表されまして、大企業と中小企業の格差がやや広がったという内容でした。これについて大臣はどのような認識をお持ちでしょうか。

答)

日本の景気を支えてきた一番大きな要因というのは、輸出主導だったと思います。ですから、大企業、製造業は非常に良いわけです。世界経済と繋がっている地域もこれまた良いわけです。一方、非製造業、中小企業、世界経済と繋がっていない地域というのは、残念ながらあまり良くないという状態が続いているわけでして、非製造業や中小企業と景気の良いところで、再びギャップが広がっているというのは、非常に良くない傾向だなという感じを持ちました。

問)

昨日の所信表明演説に戻るのですが、公務員制度改革について、福田総理は公務員が誇りを持てる制度にといった内容だったと思います。安倍内閣は公務員制度改革を戦後レジームの一環と位置づけていたことに比べると、だいぶニュアンスが違うという印象を持ったのですが、大臣はあの件についてどのようにお聞きになっていたのでしょうか。

答)

この前の国会までは、日本の公務員制度のマイナス要因といいますか、負の遺産を取り除く作業だったと思います。例えば年功序列主義や各省斡旋による縄張り主義などの除去が、前国会で仕上がったわけでありますから、これからの公務員改革というのは、より前向きの明るい公務員制度改革を目指していくべきだと思うのです。ですから、そういうトーンの違いが総理のレトリックの違いとなって表れたものではないでしょうか。もとより、安倍内閣においても優秀な人材が公務の世界に入って来てもらうのは当然のことでありまして、公務員がやる気と気概、誇りと情熱を持って仕事ができるように改革を進めていくというのは当然のことでありまして、そういう当たり前のことを福田総理が改めておっしゃられたものだと思います。

問)

昨日の所信表明演説でも、地方への気配り、地方重視というのが非常に前面に押し出されています。自民党執行部も、「地方、地方」と地方一色という感じですけれども、公務員制度改革、独法の改革ですとか、市場の活性化という国民に見え難い部分もあるかと思うのですが、そういうことを進める大臣から見て、「地方、地方」という大合唱は何か影響するのでしょうか、またはセピア色に見えないでしょうか。

答)

地方が頑張っていただくことというのは、日本全体にとっても大変大事だと思います。例えばサービス産業というのは、非常に大きな塊になっていますけれども、これなどは地方、中小企業、非製造業というところに多く広がっていたりするわけです。こういうところが、もっと生産性が上がって、イノベーションが行われて、もっと人を雇用するようになるということになれば、日本経済だって停滞していた部分が上向きになっていくわけでありますから、大変結構なことではないでしょうか。ですから、地方がより元気になってもらうための方策というのは是非必要だと思います。なぜ地方が元気でないのかと言ったら、元気でないところは、相変わらずデフレ経済が続いているということに他ならないわけです。デフレが続いているというのは、簡単なことでありますけれども、需要と供給のギャップが相変わらず続いているということなのです。ですから、この需給ギャップを埋める方策を安倍内閣以来採ってきているわけでして、福田内閣でも全く同じなのです。つまり、需要の掘り起こしは、まさに地域活性化。自分たちのアイデアでお宝発掘をやりましょうという方向性は相変わらず同じです。一方、供給サイドの過剰供給構造の背景には、残念なことにまだ過剰債務という問題が残っているわけでありますから、総理の所信表明でもありましたように、地域力再生機構の創設など地域再生を進めていくという件がありますけれども、そういうところに需給のミスマッチ解消の方策をより具体化していくということになっているわけでして、これは大変結構なことだと思います。

問)

サブプライムと欧米の金融機関の決算に戻るのですが、個別で言うとシティが減益、UBSが赤字ということになりましたけれども、サブプライムによるこうした動きをどう見るのかということと、日本の金融機関が9月末で決算をしめるのですけれども、金融庁としてサブプライムの保有状況などこれまで調査してきていると思うのですが、9月末決算に与える可能性についてどのように見られているかということについてお聞かせ下さい。

答)

巨大複合金融機関の決算については、詳しく承知はしておりませんけれども、日本の金融機関は、9月中間の決算報告をいずれやることになるわけです。サブプライムローン問題が、日本の金融システムを直撃するような事態にはなりませんということをかねて申し上げている通りでございます。リスクがどのくらいに広がっているのか、はたまたサブプライムの入った証券化商品をどのくらい買ったりしているのかというのは、かねてより調査をしているところでありますから、もし問題が見つかれば、早目に手当てをするという方針は変わっておりません。日本の方は、早い話がこの10年間金融問題のオンパレードだったわけでありますから、そういう制度は非常に完備をしているわけです。イギリスのように法律がなくともそのコモン・ローでできるという国はそれで結構でありますけれども、日本は成文法があって制度がもう整っているということでありますから、ご心配には及びませんということではないでしょうか。

問)

サブプライムローンで言いますと、2週間後に予定しているG7で主要なテーマになると言われています。金融機関のリスク管理、サブプライムローンを組み込んだ商品の評価のあり方、こういったものを各国で協議すると。それまでの間に日本の当局としてできること、そしてこのG7に対して打てる対策、対応というものはどういったものがあるのでしょうか。また、大臣がやられている戦略チームの今週以降の協議はどうなっているのでしょうか。

答)

G7は額賀大臣がご出席されますので、G7の対策の方は額賀大臣に聞いていただければと思います。私の方の戦略チームは、財務省にも加わっていただいていますし、日銀の現職の局長にもおいでをいただいております。今後、G7や各国の証券監督当局、中央銀行、その他関連のところの様々な情報も収集しながら議論を進めてまいります。かねて論点になっております格付機関の問題については、他の各国の状況も見ながら、日本として考え得ることについては勉強をさらに進めていきたいと思っております。

(以上)

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