渡辺内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成19年11月13日(火)9時25分~9時45分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

本日の閣議についての報告事項はございません。

【質疑応答】

問)

この10日間くらいサブプライム問題を契機に日経平均がどんどん下がっていまして、昨日は一時、1万5千円を割り込みました。この原因として、サブプライム以外のCDOなどの証券化商品などの格付けがどんどん下がって価格が下がるという現象が続いています。これまで大臣は早期発見、早期治療ということをおっしゃっていましたけれども、この早期発見、早期治療が各金融機関の間でできているのかということと、あと当局にできることは何があるのでしょうか。

答)

それぞれの金融機関において、適時開示をしていただくのと同時に、金融庁としてもいろいろな形でヒアリングを進めております。その過程で早期発見、早期治療という方向性が確認されるわけですが、まさに手抜かりなくやっているという状況でございます。

問)

今後の見通しとして、さらに損失が広がるというふうにお考えでしょうか。

答)

現在までのところ、日本の金融システムに大ダメージを与えるような状況になるという具合には考えておりません。しかしながら、かねて申し上げているように、相当長引くことが予想されるわけでありまして、まさに油断大敵であると言ってきたとおりであります。CDO関連の商品が疑心暗鬼に包まれて、値段が付かないものも出ているわけでありますが、いずれにしても疑心暗鬼を晴らすのに一番良い方法というのは、その中身をきちんと開示をするということです。それが行われていないとますます不安になり、疑心暗鬼が晴れないということになるわけでございますから、そうした観点からそれぞれの金融機関においては努力をしていただきたいと思います。

問)

証券税制に関してですけれども、このサブプライムを原因に株価が下がっているという状況が、この議論にどのような影響を与えるのか、また今でも与党の公明党は慎重な姿勢を示しているのと、民主党も基本的には単純延長に反対という考えですけれども、共通点を生み出すことは可能だと考えていますか。

答)

証券税制について我々は、株価動向に関わらずに配当税制の恒久化とキャピタルゲイン課税の延長を言っているわけです。株価以前の話として、我々の主張は同じであります。一方、株価が下がることによって、やはりこういう状況であれば、危機モードの延長というのも考えられるのではないかという判断も一部あろうかと思います。そういった判断については、まずは与党の方で行っていただくことになろうかと思いますが、いずれにしても私どもの立場からすれば、結果が大事でございまして、我々の要望が基本的に認められることによって、こうしたマーケットの影響が更に拡大することは回避できる力が働くものと思います。

問)

IOSCOの会議が先週開かれて、閉幕しましたが、アメリカのSECのコックス委員長と大臣が会談をされたと思うのですけれども、今回のサブプライム問題、または格付会社の取扱いについてどういう意見交換をなさったのでしょうか。

答)

コックス委員長も元政治家ですし、私も政治家ですから、細かい話はしておりません。私の方からは喩え話でございますが、日本でBSEが出たときに消費者が大変疑心暗鬼に包まれました。しかし、日本ではその後、万全の態勢を作り上げて消費者の安心を回復することが出来ました。例えば、全頭検査とか、トレーサビィリティー(追跡を可能にする仕組み)とか、こういう手法を確立しました。これは政治家同士の会話と思って聞いていただければ結構ですけれども、コックス委員長の方から「でもBSEがでると相当牛を処分しなければいけませんよね」いう話がありました。確か、私の記憶では日本ではそれほど牛は処分されていません。農家一軒の一緒に飼っている牛が処分された程度でございまして、大量に牛を処分したイギリスとかアメリカとはちょっと違った解決法を採った記憶がございます。こういうのは全く別次元の話ではありますが、疑心暗鬼という観点からいきますと、非常にシンボリックな話です。例えば今、仕組債みたいなものが、トレーサビィリティーがあるかといえば全くありません。これはトレーサビィリティーがないことが、セールスポイントみたいな作られ方をしているわけでございまして、そういったことについては、今後IOSCOのみならず、いろいろな機会を通じて検討がなされていかなければならないと思っております。コックス委員長からは、IOSCOの会議でもご挨拶されましたように、日本の教訓というものをよく学んでいきたいと、こういう低姿勢のお話がございました。

問)

IOSCOで、サブプライム問題でタスクフォースの設置が決まりましたけれども、来年3月の金融安定化フォーラムでの報告ということですが、世界的な連携の対応の道筋が立ったというように思えますけれども、改めて日本の貢献をどのようにしていくのかということについて教えて下さい。

答)

これはご案内のように、タスクフォースを立ち上げて、証券化商品に関してリスク管理、情報開示のあり方、価格評価のあり方についてレビューをしてまいります。このタスクフォースで確かな成果がでるのが一番いいですね。タスクフォースは来年5月パリで行われるIOSCO年次総会において、最終レポートを出す予定になっていると聞いております。ご指摘の金融安定化フォーラム(FSF)の会合に一定の報告を行うことを目指しているわけでございます。

問)

新テロ対策特措法が今日、衆議院を通過する見通しということで、与野党の間では解散という可能性も取り沙汰されておりますが、大臣は解散についてはどう見ていらっしゃいますか。

答)

解散については一切しゃべるなという指令が出ておりますので申し上げません。官房長官に聞いてください。

一連の党首会談の背景でございますが、直接的なきっかけということではないですが、背景にあるのは中東情勢だと思われます。例えば、アフガンの治安も相当悪化をしている。お隣のパキスタンでは、非常事態宣言が出されている。イランのウランの濃縮核開発も全く解決の目途がたっていない。パレスチナ情勢も好転していない。イスラエルとシリア、レバノンとの関係もそうである。こういったところが、日本の政治にも背景として、相当影響は及ぼしているのかなという気はいたします。

問)

昨日、総理の訪米の予定が発表されましたが、訪米に関して、何か期待されることとかあればお聞かせください。

答)

これは、首脳同士の会談でございますから、いろんな問題が話し合われるものと思います。総理もサブプライム・ローン問題から端を発した世界の金融・資本市場の動向については、大変ご懸念をお持ちだと思いますので、こうした問題についても、忌憚のない意見交換をされるものと思います。いずれにしても、この種の話は日本だけで解決できる問題でもなく、アメリカだけで解決できる問題でもない。まさに、国際連携が必要でございますから、率直な話合いが行われることを希望します。

問)

JASDAQで、NEO市場が開設されました。国内の新興市場は地方市場にもたくさんあり、地方の新興市場は低調でありますが、その辺の現状とNEOへの期待というところをお聞かせください。

答)

今日、NEO市場の開設にあたり、私もテープカットを行ってまいりました。こういう新興市場が、言ってみれば、嵐の中のスタートとなったわけでございますが、私が挨拶の中で申し上げてまいりましたのは、こういう危機というのは、いつまでも続くわけではない。必ず、いつかは終わりが来る。そうすると、次の未来がそこから始まるわけでございまして、嵐の後を考えたいろいろな取組を行っていくことが大事だと思います。NEO市場などは、非常に斬新な発想で、非常に技術力の高い会社にスポットを当てて、上場をしていく方針だと聞いております。今日も、ユビキタスという会社が上場をしたと聞いておりますが、技術評価委員会というのがあるのです。その四半期ごとに技術評価を行い、ディスクロを行っていくという非常におもしろい試みだと思います。こうしたベンチャーが上場を果たすまでには、短期間でできるところもあれば、相当、長期間に亘るところもあれば、いわゆる、死の谷を越えられなくて、もがいているところもあれば様々だと思います。上場に至るまでの仕掛けも何か必要になるのかという気もいたしておりまして、こうした技術力のある企業が公開に至るまでには、おそらく、相当、長い足のリスクマネーを取り込む必要があろうかと思います。そうした取組をどういう形でやっていけるかというのが、一つの課題であろうかと思います。それぞれの地域において、それぞれの取組が行われることを期待いたします。

問)

サブプライムの関連に戻るのですが、この問題は相当長引くことが予想されるという発言をされておられますが、危機はいつまでも続くものではないと、いつか終わるというお話でしたけれども、この混乱はいつごろまで続くというふうにお考えでしょうか。

答)

いつまで続くかということは申し上げませんけれども、これは、私が就任した時から申し上げてまいりましたように、そう簡単には終わらないと思います。これが延々と続くのかと言えば、それは、必ず終わりが来るわけですから、そういう時には、逆に日本市場がさらに競争力を高めるチャンスになるかもしれません。ピンチをチャンスにするスタンスが大事だと思います。チャンスをピンチにしてしまうのは非常に良くないことです。

問)

検査の話ですが、ゆうちょ銀行に通常検査が入られましたが、大臣は常々、民間金融機関と同じ目線で検査を行うということをおっしゃっておられますが、どのように検査を行うのでしょうか。

答)

これは特別扱いということではございませんで、金融庁のホームページに検査対象機関というのは公表しているかと思います。そういう基本に則ってやっていくだけのことでございまして、是非、ゆうちょ銀行にはいつも申し上げますとおり、民間金融機関になったわけでありますから、民間金融機関としてのコンプライアンス態勢を確立していただくことが大事だと思います。

(以上)

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