渡辺内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成19年11月27日(火)9時35分~9時56分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

本日の閣議について報告事項はございません。

【質疑応答】

問)

幹事から数点お伺いします。まず、独立行政法人の整理合理化についてですけれども、有識者会議の現段階の状況の報告と、改めて大臣のこの問題に対する方針をお聞かせ下さい。

答)

独法改革がいよいよ佳境に差し掛かってきております。本年中の整理合理化計画をまとめる予定でございますから、先だっても進捗状況について総理には報告をしてございます。ある程度まとまりました段階で、改めて総理に報告いたします。6年たちまして、独法制度の根本からの見直しを今回は行うわけでございます。したがって、毎年行っております見直しとは今回はかなりレベルが違うわけです。独法制度の総論部分についても聖域なき見直しを考えてまいりました。事後チェック型のシステムにし、予算においても単年度主義ではなく、複数年度主義を導入し、経営の自由度を高めて経営の効率化を図っていこうという趣旨でスタートしたわけでありますが、この趣旨が十分活かされていない、どうしても各省ひも付きのガバナンスの甘さが出てきてしまっているではないか、という指摘は総理もしていたところでございます。このガバナンスの強化を目指し、また、これは独法制度の経営の自由度を損なうことにはならないわけでございますから、より事後チェックを強化していくということでガバナンスの内閣一元化という方向性が出てきたわけであります。制度の詳細については、今検討しておりますので、そういったことがまとまりましたらまた報告をさせていただきたいと思います。

問)

先だって総理に報告されたとき、総理はなんとおっしゃっていたのでしょうか。

答)

総理はとても前向きでした。独法改革については非常に熱心でございます。個別の独法についてもご説明をいたしましたけれども、ほとんど大半、方向性は一致しておりました。私が思いも付かないようなことも指摘をされたりして、改めて私も独法改革は一生懸命やらないといけないと肝に銘じた次第です。

問)

サブプライム問題ですけれども、大臣の私的懇談会でやられている戦略チームの第1回目のレポートが出るという予定になっていると思います。今回出されるレポートの中で、根本的な今回の問題の原因ですとか、今後の対策、こういったものはどのように盛り込まれるのでしょうか。

答)

サブプライム問題がこれだけ全世界的なマネーの変調要因になってしまった、その根本原因は、やはり不確実性というところにあるのではないでしょうか。つまり、計測可能な不確実性はリスクと一般に言われます。しかし、計測不可能な不確実性は、まさに真の不確実としてリスクとは言わないわけです。したがって、真の不確実性というものがこのサブプライムやその仕組商品に出てきてしまっているということが言えるのではないでしょうか。ここの不安心理が晴れませんと、なかなかこの問題は解決していかないような気がいたします。

日本の十数年の経験から、相当学ぶことはあろうかと思います。日本は何度も危機に見舞われて、相当時間はかかってしまったわけですけれども、この危機管理については制度的にもまたいろいろなノウハウを蓄積してきておりますので、おそらくそういう教訓はいろいろな面で使えるのではないかと考えております。

問)

先だって米国SECのコックス委員長も日本のノウハウをということをおしゃっていたと思うのですけれども、今回のサブプライムに活かせる、過去の日本の十数年経験した危機から学んだ教訓にはどういったものがあるのでしょうか。

答)

やはり、いかさまをやらないということだと思います。何もなかったかのような、表面を取り繕うために飛ばしをやったり、真実の開示をしなかったり、そういうことが不安心理に拍車をかけてきたのではないでしょうか。またもう一つは、火事の真っ最中に、「誰の責任なんだ」という議論がございました。責任追及というのは非常に大事なことですが、物事の優先順位を時間的に考える必要があると思います。つまり、まず火事を消す、消した後で責任追及や原因究明を行う、こういうことだと思います。したがって、火事が燃え盛り、さらにそれが広がろうとしているときには、まず火事を消すことが必要だということも日本の教訓の一つだったと思います。

日本では結果として、資本増強、それから破綻処理、預金保険法でいきますと、一号措置から二号措置、三号措置、こういう危機対応の方策を作りました。それだけではなくて、不良債権の買取りも積極的に行いました。また、日本の銀行は持ち合い株式を大量に保有をしておりましたので、株式取得機構を作り、かつ日本銀行までその株式を買い取った、こういう政策までやったわけであります。まさに危機対応としては、相当すごいことをやってきたのが日本だったと思います。ただ、時間がかかりすぎたということも教訓の一つだったと思います。そういったことはおそらく、今回のいろいろな問題について何がしかのサジェスチョン(示唆)になるのではないでしょうか。

また、おそらく今回の世界的な危機においても議論がなされうることはモラル・ハザードの問題だと思います。仮に財政資金を導入するという場合にはまさしくモラル・ハザードの問題と直面をするわけでありますが、こういうことは日本においてさんざん議論されてきたことであって、先ほど申し上げましたように、危機の段階においてどういう手順をとるかということは必要だと思います。

問)

足利銀行の中間決算が昨日発表されました。債務超過額も減って2,900億円となりました。先週の木曜日(22日)に残った陣営から最終計画が出されていますけれども、プランをご覧になっての率直なご感想をお聞かせ下さい。

答)

受皿問題については一切コメントしないことになっておりますのでご勘弁いただきたいと思います。足利銀行の決算については大体順調に推移しているという感じを受けております。ただ、もう4年経ってしまっているわけです。したがって、4年間国有銀行としてやってきたわけでして、なかなか国有銀行としては思い切ったリスクを取る決断というのが難しいこともあったのだろうと思います。言ってみれば、手枷、足枷のある状態での経営でございますから、そういうレベルでは順調に推移してきたということは言えるのかもしれません。

問)

サブプライムの問題に関連して、先ほど危機の段階に応じてどういう手段を採るかが重要ということだったのですけれども、今のアメリカのサブプライム問題の段階から言って、アメリカの当局などが、例えば金融機関に対する公的資金の注入ですとか、より突っ込んだ対策を採る必要があるべきとお考えでしょうか。

答)

人様のことでございますので、私の方からコメントはいたしません。

一般的に日本の教訓として言えることは、日本もよく言われたように“too little too late”(小さすぎ、遅すぎ)では駄目なのです。また、先ほども申し上げましたように、飛ばしなど表面を取り繕うやり方で日本は失敗をしてきたわけですから、そういう教訓は是非活かしていただきたいと思います。

問)

関連で、日本の金融機関のサブプライム問題への対応というのは、教訓が十分活かされた対応をしているとお考えでしょうか。

答)

それぞれの金融機関が適切なリスク管理を行っていただくことが大事でございます。けがの功名ということもあったのでしょう、それ程大きなエクスポージャーも抱えていなかったということもありました。また、バーゼルIIを前倒しで実行してきたということも、今のところ被害が軽微で済んでいるという背景にあるのではないでしょうか。

いずれにしても、今の段階では損失も、業務純益の中で十分対応可能でありますし、金融システムに重大な影響を与える段階にはなっていないと考えております。それぞれの金融機関において、適切なリスク管理をさらに一層望むものであります。

問)

先週、いち早く主要金融機関のサブプライムの残高をまとめられました。世界の当局でもそのようなことをやっているところはあまりないと聞いているのですけれども、そういうことをされたのも、金融庁としての危機管理の教訓みたいなことを意図したものなのでしょうか。

答)

そうです。やはり状況がわからない、何がどうなっているのかわからないというのは、疑心暗鬼を広めるだけです。ですから、今の状況がこんな具合になっているということを明らかにすることによって、疑心暗鬼の罠に落ち込むことが回避できると思います。福田総理の適切な指示もございまして、「今の状況はどうなっているのか」というご質問に答える意味もございまして、先週の段階で発表いたしました。

問)

独法に戻りますが、11独法の廃止・民営化について、会議で総理に報告なされると報道されていますけれども、現在まで、この会議の結論について大臣はどのように見ていらっしゃいますでしょうか。

答)

11という数字は今初めて聞く数字であって、決まったわけでも何でもありません。まだ議論の途上にありますので、我々は聖域なき見直し、廃止・民営化をどれくらいの法人でできるか、最終的な詰めを行っているところであります。11と決まったわけでも何でもありません。いずれにしても、議論がある程度煮詰まった段階で、最終結論というわけではありませんけれども、総理には報告をしたいと思っています。

問)

総理への報告の時期はいつくらいを目途に考えていらっしゃいますでしょうか。

答)

そう遅くはならないうちに行いたいと思っていますが、状況は何とも言えません。

問)

先週の週末のテレビ出演で、特別会計の一部一般会計化について言及されたのですけれども、年内の独法改革が一巡した段階で次のテーマとして特別会計の改革に取り組むお考えはありますでしょうか。

答)

行革推進法の理念を考えれば、特会改革はこれで終わったと言って安心すべきではないと思います。5年で20兆円という目標、それが天井であるということにはなっていないはずであって、昨日の総理の参議院決算本会議においても、それでもう終わりだという話になっていないと思います。このような特別会計の世界が、「霞ヶ関埋蔵金だ」とどなたかおっしゃっておられましたけれども、そう言われても仕方がない状況だったのではないでしょうか。ですから、この特会改革というのは、20兆円で終わりということではなくて、さらに埋蔵金の発掘ができるのであろうと思うわけです。行革大臣の立場としては、「大いにやるべし、増税する前にやることがあるだろう」と強く申し上げたいと思います。

(以上)

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