渡辺内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成19年12月21日(金)10時10分~10時45分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

おはようございます。

本日、閣議後の犯罪対策閣僚会議において、反社会的勢力に対する金融庁の取組みについて発言をいたしました。発言内容は次のとおりです。

「近時、暴力団など反社会的勢力の資金獲得活動が巧妙化しており、関係企業やファンドを利用するなどして、通常の経済・金融取引を装い、巧みに取引関係を構築するケースが見受けられます。

金融庁は、これまでも本人確認や疑わしい取引に対する的確な監督対応などに努めてきたところでありますが、更に、先般政府における指針が定められたことを受け、当該指針の周知及び監督指針の改正を進めているところであります。

また、金融商品取引業の登録審査において、暴力団と関係のある者を排除する法令等の改正を実施しております。

金融庁としては、引き続き、関係省庁・業界団体等とも連携しつつ、金融取引等からの反社会的勢力の排除を徹底してまいる所存です。」

それから、「金融・資本市場競争力強化プラン」につきまして、先週、14日経済財政諮問会議で検討状況を報告いたしました。作業が概ね終了いたしましたので、本日後刻、発表をさせていただきます。このプランは、第一に金融・資本市場の信頼と活力、第二に金融サービス業の活力と競争を促すビジネス環境、第三により良い規制環境、第四に市場をめぐる周辺環境、の四点にわたって、競争力強化のための具体的方策を包括的なパッケージとして盛り込んでおります。金融庁としては、このプランに盛り込まれた諸施策を、スピード感をもって着実に実施に移してまいりたいと考えています。このプランの詳細については、公表の際、事務方より説明をさせていただきます。

それから、閣議後、総理とお話をいたしました。独法(独立行政法人)改革の残り2つについての話でございます。

住宅金融支援機構につきましては、総理からこのような最終案であるということで紙をいただきました。住宅支援機構は、一般個人向け直接融資から撤退するなど、民間金融機関の支援、保管に徹しているが、今後さらに環境対応住宅施策の推進、住宅の耐震化、高齢者対応-これは低所得者を含みます、―などの新たな住宅政策の方向性を踏まえ、特殊会社化を含め機構のあり方を検討し、2年後に結論を得ることとする、というものでございます。

なぜ2年後かという点でございますが、同じく特殊会社として日本政策金融公庫が来年の10月にスタートをいたします。この新公庫が発行する債券には、政府保証をつけてもいいし、つけなくてもいいと、こういう縮図になっております。したがって、この新公庫の債券発行の状況を見て、この住宅金融支援機構が特殊会社化しても調達コストが上がるか上がらないか、そういったことが分かるわけでございまして、そういう観点から2年後に結論を得るということにしたという説明でございました。私の方は了解をいたしました。

次に、都市再生機構でございますが、ちょっと長いのでございますが、読み上げます。これは未定稿でございますので、また正確なものが出てこようかとは思います。

都市再生機構が行う都市再生事業は、防災性の向上や環境の改善など公の政策目的に資するものに限定する。賃貸住宅事業については、高齢者、子育て世帯等の社会政策的に配慮が必要なものへの供給に重点化する。居住者の居住の安定に配慮した上で、賃貸住宅の削減を含むストックの再生・再編を行う。市街地再開発事業の施行等に伴う賃貸住宅の新規供給についても、原則行わない。関連会社等との随意契約を廃止する。上記の政策目的に沿って業務の見直しを行った上、これらの業務に則した組織形態を検討し、3年後に結論を得ることとする、というお話でございました。

これについて、さらにお聞きをしましたところ、都市再開発については、計画中、実行中以外の新規事業については、原則禁止をするというお話でございました。また、防災、社会保障、環境、こういった政策目的に重点化をした事務事業にしていくと、こういうお話でございました。私の方からは、3年後というのが余りにも長過ぎるのではないでしょうかという疑問を呈したのでございますが、3年後に結論というのは、これは譲れないというお話でございました。

そこで、私の方から提案をいたしております。つまり、この3年間の間に関連会社等との随意契約を廃止するわけでございますから、3年間、関連会社、ファミリー会社への再就職を禁止してはいかがでしょうかと。これはなかなか法的にというのは難しいとは思いますので、関連会社の天下りをやらないという取り決めを行うということになろうかと思います。当然、あっせんもしないということになるわけでございます。

そして、過去の随意契約の結果、関連会社に蓄積された内部留保については、手段、方法はいろいろあると思いますが、これを独法に返還をさせると、こういう提案を私の方からはいたしました。つまり埋蔵金の返還を求めるということであります。

これについて、総理の方からは、ガバナンスの内閣一元化の中で、他の法人についてもこうした発想が適用できるように考えていくべきではないかというお話がございました。それはそれで大変結構なことだと思いますが、とりわけUR(都市再生機構)については、膨大な数の関連会社、ファミリー会社がございますので、これは先行して天下り禁止と埋蔵金の吐出し、これをやらせるべきではないでしょうかと、私からはさらにお話をしたわけでございます。

総理の方からは、否定的な発言はございませんでした。前向きに検討していだたけるものと思っております。

私の方からは以上であります。

【質疑応答】

問)

先ほどの競争力強化プランですが、これによって、本当に日本の金融機関が欧米や中国・シンガポールの新興市場に勝っていけるのかどうか、日本の金融市場、金融機関の現状の実力の評価と、このプランの効果への期待をお聞かせください。

答)

日本の金融機関は、相当長い間、大変苦しんでおったと思います。しかし、不良債権問題からもメガバンクは脱却をしております。また、バーゼル II の先行適用といったことも功を奏して、サブプライム・ローンの被害は比較的少なくて済んでいる状況にございます。こうした状況というのは、まさに今の世界的な金融資本市場でのマネーの偏重を考えると、ピンチはチャンスという言葉がピッタリ当てはまるのが日本のおかれた環境ではなかろうかと思います。したがって、いかにこの日本市場の競争力を強化するかということを考えてきたわけでございまして、この競争力強化プランは、まさにそういった要請に答える内容になっているかと思います。これを具体化し、それをできるだけ早く実現をすることによって、日本市場の競争力が見違えるように蘇ってくる、そういうことを我々は念願をし、かつ、その目標に向かって邁進をするつもりでございます。

問)

URの方ですけれども、総理が3年後に結論というのは譲れないんだと、その理由は何かおっしゃっていましたか。

答)

要するに、先ほど申し上げたような業務を限定していくと、こういう作業をやるというわけですね。その社会政策的な事業に賃貸住宅などは重点化をしていく、スリム化をしていくということでしょうね。賃貸住宅の削減を含むストックの再生・再編を行うということでございますから、スリム化をしていくと。新規の事業は都市再開発とか市街地再開発に伴う賃貸住宅の新規供給もやめると、こういうことでございますから、まさにスリム化が行われる。そして、関連会社との随意契約も廃止されると、競争的な契約に移るということでございますから、当然のことながら、毎年1,000億円以上投入をしている財政資金も小さくなっていくことが予想されるわけでございます。3年後と時間を区切ってございますし、また、私が先ほど申し上げましたように、随契とセットの話で行われてきた関連会社への天下り、それから内部留保の関連会社への蓄積、こういったものをあわせてご検討いただけると、こういうことでございますから、3年後はちょっと長過ぎるとは思いましたが、いつまでも結論を引き延ばすわけにはいきませんので、私も了解をしたところでございます。

問)

先ほど総理に随契とか内部留保の吐出しを提案されて、独法全体でしていきたいというようなお話があったということですけれども、それを今回整理合理化計画に盛り込むのか、それとも運用の中でそういったことをやっていくのか、そこら辺はいかがでしょうか。

答)

後者の方だと思います。今からこうした具体的なことを盛り込むにはちょっと時間が足りません。したがって、ガバナンスの内閣一元化ということは、これは大きな目玉として掲げているわけでありますから、まさにこの議論の中でガバナンスの一元化を行った上で、URだけではなくてほかの法人についてもこうした問題を検討していこうと、そういうご趣旨だったと理解しております。

問)

URについてはですね、大臣が視察したときも高齢者の方なんかが心配をされていたかと思うんですが、今回の見直しでそういうところに影響があるか、ないか、この辺は。

答)

これはまさにそういう高齢者の社会政策的な配慮が必要な方々への供給に重点化をすると、こういう方向性でございますから、その点のご心配は要らないのではないでしょうか。

問)

重点化ということの意味というのは、高齢者の方々への配慮をよりアップしていくとか、そういう方向だということですか。

答)

賃貸住宅事業については、高齢者、子育て世帯等の社会政策的に配慮が必要なものへの供給に重点化をするということでありますから、政策目的がはっきりしたところに特化をしていくという方向性ではないでしょうか。

問)

モルガン・スタンレーがサブプライムの損失を受けて、中国系政府ファンドの出資を受け入れるということなのですけれども、政府系ファンドが民間金融機関に資本参加していくという動きについてはどう評価していらっしゃいますでしょうか。

答)

ソブリン・ウェルス・ファンドの分析につきましては、私の下の金融市場戦略チームで議論をしていただくことになっております。既にアブダビ投資庁がシティに対する資本増強に協力するということが報じられておりますし、ソブリン・ウェルス・ファンドが国際的な金融・資本市場の中で無視できない存在になってきているのは確かでありますから、まずは調査・分析をよく進めていきたいと考えております。

日本が銀行の資本不足に直面して、公的資本注入を行うスキームを作ったわけですが、ソブリン・ウェルス・ファンドが日本の公的資金の役割を果たしているという状況かと思ったりもしております。いずれにしても、資本が足りないという状況については、注意深く見ていく必要があろうかと思いますので、できるだけ早目に戦略チームの皆さんにはお集まりいただいて議論を再会していきたいと考えております。

問)

将来日本の銀行に資本参加するような事態になっても、特に問題ないとお考えでしょうか。

答)

まずは、どういう行動、そして運用方針を採って運用をしているのか、機会があればそうした方々に直接会って、お話を聞いてみたいと考えています。

問)

独法に戻りますけれども、これで整理合理化計画、大筋で固まったかと思うんですけれども、今回の計画について大臣の評価を教えていただきたいのと、あと大臣、常々官邸でも(官房)長官が応援してくれているとおっしゃっていましたけれども、最終局面の調整状況を見てですね、関わり方、どうだったのかというのを教えてください。

答)

今回、相当、難航した上での最終結論だったわけでございますが、なかなか100点満点というわけにはいかないと思いますけれども、ぎりぎり合格点はいただけるのではないかと思っております。総理、官房長官が最終局面において登場していただいたのは、大変私にとってはありがたいことだったと思います。私は総理から使命を帯びてこの仕事を始めたわけでございまして、ただ総理や官房長官というのは、広く全体を見て最終的な調整を行わなければならない立場でありましょうから、私にとっては若干不十分ではございますけれども、これも結論を、時間を区切って出さなければいけないという点ではやむを得なかったのかなと思います。

問)

骨抜きであるとか、先送りというような評価が目立つのですけれども、こういった評価についてはどうお考えですか。

答)

一部をとってそういう評価をする動きはあろうかと思います。しかしぜひ全体を見て判断をいただきたいと思うのですね。確かに一部において、小さなところを持ってきて、今まで大臣折衝のタマでなかったところを持ってきて、大臣折衝のタマであったところを逃してしまうなんていう、その企画があるいはあったのかもしれませんけれども、私の方はそういったことについては、シナリオは全く知らされませんでしたけれども、逐一クエスチョンをしてその大臣折衝のレベルに話を戻したこともございましたので、そういったことを考えていただければ、全体として見れば、決して骨抜きとかにはなっていないと思います。

問)

大どころの2つで、住宅金融支援機構は民営化という文言が含まれたと、しかしURの方は文言的には特殊会社化も株式会社化も言われていないんですけれども、これについてはどうお考えですか。

答)

ですから、3年後に、この3年間の間に極力スリム化を図っていくということです。新規事業から撤退をしたり、賃貸住宅事業は重点分野に特化をしたりとか、そういうことを行っていくわけです。問題が多いと言われた随契もやめると、ですから私のようにさらに天下り禁止、それから埋蔵金の吐き出し、ここまでやれば、相当すごい改革になる可能性は高いですよね。ですから、こういうことがきちんとできるかどうかをまさにこの3年間、注意深くウォッチをしていくことが大事だと思います。当然この3年間の検討というのは、国交省にやってもらうということにはならないわけですね。私の方からは行政減量・効率化有識者会議がしっかりと議論をやってきていただきましたので、ぜひこの行政減量・効率化有識者会議で3年間検討させてくださいというお願いはしてございます。

問)

これについては、決して後退ではないということですか。

答)

ですから、3年間で、先ほど申し上げたような中身がきちっと実行されるということにおいて、これは後退ではないと思います。なおかつ行政減量・効率化有識者会議でこの3年間のフォローアップと3年後に出す結論を検討させていただければなお結構だと思います。

問)

大臣、これで大方固まったんですが、来年以降、通常国会以降、随時、法改正にも入っていくかと思うんですが、ねじれ国会の中で、民主党をはじめ、野党の理解を得られるのかどうか、得られるとお考えでしょうか。

答)

これをいつ法案にするかは、まだそれぞれいろいろな独法の個別法もございますし、それから通則法の改正が必要なものもございますし、国会のスケジュールについてはまだ今申し上げる段階にはございませんけれども、民主党においても1年後に整理合理化計画をつくって3年以内でそれを実行すると、廃止、民営化、その他の措置と、こういうご計画でしょうから、ぜひ私としては建設的妥協点を見出していきたいと考えております。

問)

大臣、16法人の統合、もしくは民営化というような形でコストがどれだけ削減できるのか、どれだけ今回の合理化の成果が出るのかというところ、効果が出るのかというのはちょっと不透明なところがあると思うんですが、そのあたりはいかがですか。

答)

これは今の段階で数字のお示しは残念ながらできません。いずれにしてもこうした整理合理化計画によって財政資金が圧縮され、むだ遣いが省かれ、必要なサービスが向上するということが求められるわけであります。まずはこの整理合理化計画をきちっと実のある中身に仕上げるということが大事だろうと思います。

問)

ファミリー企業も含めて独法全体のむだとか埋蔵金というのはどれぐらいあるとご覧になっていますでしょうか。

答)

残念ながら、この数字、具体的な数字は試算がございません。しかし先ほども申し上げたように、埋蔵金が内部留保という形で蓄積をされていたり、あるいは特会のお金がじゃぶじゃぶ流れ込んで、それが埋蔵金ではなくて、御殿に変わってしまったりとか、あるいは埋蔵金として蓄積されずに消費されてしまったりですとか、そういったことがたくさんあるのだと思うのです。そういう点については今回の整理合理化計画を中心にしてさらに見張っていく必要があろうかと思います。

問)

町村官房長官が関係閣僚との折衝の際に、今、大臣がおっしゃったシナリオは(大臣には)全く知らされていなかったということについて率直なご感想を改めて聞かせてください。

答)

そうですね、どういう事情でそうなったのかは存じ上げませんけれども、私は突然聞かされて黙っているという人間ではございませんので、その案を聞いて即反論をするわけでございますから、余り意味はなかったのではないかなという気はいたしますね。

問)

URへの天下りをやらないという方向ですが、これは都市再生機構への天下りをしないという取り決めのことなのですが、都市再生機構の職員がということなんですか、それとも国土交通省の方も含めてですか。

答)

要するに、独法本体と関連会社との随契というのは実は天下りとワンセットだったと思うのです。緑資源(機構)が典型例ですよ。ですから、関連会社が多いところで、随契の比率が非常に高いというのは、当然の結果として埋蔵金が蓄積していくと、こういう構図になっているわけですから、まずは随契を廃止するということを決めたわけですね。だったらついでに天下りも規制強化をしたらいかがでしょうかと。天下りをやめさせたらいかがでしょうかと、また内部留保も吐出しをさせる、減資をしたり、いろいろな方法が考えられると思いますので、そういうことをやっていただければ、これはめぐりめぐって国庫にも貢献をすることになるのではないでしょうかということを私は申し上げたわけでございます。

問)

大臣、住宅金融支援機構の特例会社化の検討の是非で新金融公庫の債券の出具合を見てという表現をされました。これは、政府保証が付かないような債券が積極的に出るような環境になったら住宅金融支援機構を特例会社化するメリットというのか、特殊会社化する環境にあるという、そういうお話なのでしょうか。

答)

要するに、これは特殊会社か株式会社かの議論の中で、いや、独法でないと要するにスプレッドが拡大して調達コストが高くなってしまうんだ、ということを再三おっしゃられたわけですね。それに対して我々は、独法でなくとも何ら困ることはないのではないですか、(政府)100%出資の株式会社であれば、調達コストが高くなるというのはちょっと考えにくいことですよね、ということを申し上げたわけでございます。そもそもこの住宅金融支援機構が出すMBS(貸付債権担保債券)(の格付)はトリプルAなのです。しかし機構本体はダブルAです。証券化商品というのは数多くそういう現象が見られるところであります。ですからこれもまさにその証券化商品の設計の仕方こそが最大のポイントなのであって、機構本体が独法から100%出資の株式会社になっても何らこれは変わることはないと我々は主張してきたわけです。ですから、その一番手っ取り早い例として、日本政策金融公庫が来年10月にスタートするわけでして、ここが政府保証付きでもいいし、なしでもいいと、どちらでも債券発行ができるようになっておりますので、ここの先行的な状況を見て、参考にして、2年後に結論を出しましょうと、特殊会社化を含めて機構のあり方について結論を出しましょうということにしたわけでございます。

問)

足利銀行の受皿選定の進捗状況を教えて下さい。年内決定というスケジュール感もあったように思われますけれどもいかがでしょうか。

答)

年末も差し迫っていて、長々とやるつもりはございませんけれども、年内という限定付きでなくてもよいのではないでしょうか。1年も2年もかけてやるわけではございませんので年内と区切る必要はないと思います。

問)

大臣、先ほど独法改革で100点満点とはいかないけれども、ぎりぎり合格点だと思うとおっしゃいましたけれども、ご自身でどの程度満足されているのかということと、本当に点数を付けるんだとしたらどのくらいか、教えてください。

答)

点数は皆さんに付けていただくしかありませんけれども、私としては合格点に乗ったなという感じは持っております。点数は何点であるかは申し上げません。

(以上)

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