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渡辺内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要
(平成20年6月10日(火)09時32分~09時43分 場所:金融庁会見室)
【大臣より発言】
おはようございます。
本日、多重債務者対策本部として、多重債務問題改善プログラムのフォローアップ報告について、持回りにより了承をいたしました。
また、多重債務者対策本部長として、多重債務者相談強化キャンペーンの実施を決定いたしました。昨年12月に実施した全国一斉多重債務者相談ウィークの一斉実施方式を改め、本年9月から12月までのキャンペーン期間中に無料相談会を実施するものでございます。
詳細は総務企画局企画課信用制度参事官室までお問い合わせ下さい。
私の方からは以上です。
【質疑応答】
- 問)
-
排出量取引の件でお聞きしたいと思います。昨日、福田首相が秋に排出量取引の導入をするという方針を示しました。産業界ではかなり反発も強い問題でありますけれども、大臣はどのように受け止められているのかというのが一点と、併せて金融庁としてはこれまで銀行、保険会社の業務範囲規制の見直しという形でこの問題に関わってきたと思うのですけれども、今後、その市場創設が最大のミッションとなると思うのですが、既に取り組んでいることも含めて今後の対応をお聞きしたいと思います。
- 答)
-
低炭素社会の実現、低炭素革命を行うというのが福田内閣の大方針であります。2050年までに半分以上のCO2(二酸化炭素)の削減をしていこうということでありますから並大抵の努力では追いつかないわけです。ありとあらゆる仕掛けを作りながら、この低炭素革命を実現していく必要があります。その点で排出量取引というのは大いに効果を発揮できる仕掛けであろうと思っております。金融庁といたしましても、国会で成立をいたしました金融商品取引法改正の中で排出量取引についての規制緩和を行っております。こうしたマーケットを安定的なものにすることによって、排出量取引の円滑化を進めていく必要があるかと思います。
- 問)
-
先週発表された野村證券のインサイダー取引事件に関して、再発防止策が盛り込まれた社内調査報告が発表されたわけですけれども、大臣の報告書に対する評価をお聞きしたいのですが。
- 答)
-
野村證券の社内調査の報告でございますが、これについて私も拝見しました。さらに中身について今精査をしているところでございます。
- 問)
-
再発防止策の実効性についてはいかがでしょうか。
- 答)
-
そのあたりについて今精査をしているところでございます。
- 問)
-
中小企業に対する金融について伺いたいのですが、景気の不透明さが増す中で中小企業に対して金融機関による貸し渋り、若しくは貸し剥がしといったものが強まってくるという形の懸念があると思うのですが、このあたりの大臣のご所見をお聞かせください。
- 答)
-
これについて私も相当心配をいたしております。過日、貸し渋りと言われる実態について調査・分析をし、その対応策を早急に練るように事務方に指示をいたしております。副大臣が各地でこうした問題のシンポジウムを開いております。この問題には金融庁を挙げて取り組んでまいります。
- 問)
-
長期的ですが、ミドルリスク、ミドルリターンのようなリスクを金融機関が取るというような、こういった中小企業融資の整備の必要性についてはどうお考えでしょうか。
- 答)
-
全くそのとおりです。こうしたリスクに見合ったプレミアムの世界が日本の金融機関には非常に乏しいという実態がありました。したがって、ミドルリスク、ミドルリターンの金融ビジネスが残念ながら非常に低調であったと思います。こうした中リスク・中リターンの金融ビジネスを始めようとしてうまくいかない失敗事例が出たり、一体どういうところにその原因があるのだろうかと。やはりこの中リスクの金融が充実をいたしませんと、市場メカニズムの働いた金利体系はできあがりません。それは言うまでもなく、借り手のよりよい金融サービスを受ける機会を奪ってしまっているわけでありますから、中リスクの金融ビジネスを育てていくことは喫緊の課題であると思っております。
- 問)
-
原油高について伺います。史上最高値をニューヨークで更新しまして、土日でもエネルギー大臣会合で深刻な懸念を示した共同声明が発表されました。この中で原油高の背景について詳しく分析するというような形で合意がなされたわけですが、昨日、経済産業省の事務次官から、金融的な影響が大きいと、「怒りすら感じる」というような発言があったわけですが、大臣は原油高の背景について、改めて何が要因であるというふうにとらえていらっしゃいますでしょうか。
- 答)
-
投機による部分が何十ドルかあるという指摘はかねて言われていたことであります。昨年、サブプライム問題が起きて以降、サブプライム関連の事件といいますか、問題が起きるたびに株式市場が下落し、株式市場からお金が逃げ出して原油市場その他の商品市場にお金がいくという現象がございました。したがって、当面の課題としてはやはり金融市場、なかんずくLCFI(巨大複合金融機関)の抱えている問題についての根本的な解決が必要であろうかと思っております。金融・資本市場が残念ながら未だに不安定な状況を続けております。国債とのスプレッドもアメリカ・ヨーロッパのマーケットではまだ続いているわけであって、そうしたお金が取りにくい状況が一方においてある反面、金融・資本市場から商品市場にお金が流れるという現象が続いているわけであります。したがって、目先の解決策としてはやはり金融・資本市場の安定、これが第一義であろうかと思います。
(以上)