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茂木内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成20年9月5日(金)12時17分~12時32分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

既に事前にご連絡申し上げておりましたように、閣議の後すぐ官邸のほうで第1回国家公務員制度改革推進本部顧問会議が10時30分~12時00分まで予定されておりまして、それがありました関係で、会見の時間が遅れまして恐縮いたしております。

今日の閣議後の閣僚懇談会におきまして、「安心実現のための緊急総合対策」の推進状況及び今後の取組みに関しまして、関係各大臣から発言がありまして、私のほうから中小企業金融の円滑化に向けた金融庁の取組みといった形で、以下の報告をさせていただきました。

まず、中小企業金融の実態把握のために、8月でありますが金融庁の幹部を全国の地方に派遣いたしまして、金融機関のみならず、借手の中小・零細企業からも直接ヒアリングを行いました。その結果、中小企業等から業種によるバラツキはあるものの、実体経済面の厳しさを指摘する声が多かったところであります。中小企業の業況は極めて厳しい状況にあり、適切かつ積極的な金融仲介機能の発揮が求められているものと承知をいたしております。

こうした状況の下、民間金融機関は、借手企業の経営実態や特性に応じたリスクテイクとリスク管理をきめ細かく行い、中小企業に対する円滑な資金供給の確保と自らの財務の健全性の維持とが、好循環をもって実現していく状況を目指していくことが重要と考えております。大体金融庁の文書ですと、リスク管理が先にきてリスクテイクが後に来ることが多いのですけれども、今回はあえてリスクテイクとリスク管理という順番で説明をさせていただきました。

それから、金融庁としては、9月2日(火)でありますが、公表いたしました「中小企業金融の円滑化に向けた今後の対応について」に掲げております、3点でありますが、1点目が、きめ細かな実態把握と中小企業金融の円滑化に向けた監視の強化、2点目として、金融機関等への金融の円滑化の働きかけ、3点目として、実態を踏まえた適切な検査・監督行政の推進、この3項目に沿って、中小企業金融の円滑化に取り組んでまいります。

具体的な取組みとして、まず9月2日に、主要行を含めました民間金融機関すべてに対して、中小・零細企業に対する金融の円滑化を、文書により速やかに要請したところであります。

金融検査におきましては、今後、中小企業の実態を踏まえた円滑かつ積極的な金融仲介機能が発揮できる態勢が構築されているかを重点的に検証することとしております。また、重要な問題に焦点をあてた、金融機関の自主的な経営改善につながる検査を行う。裏返せば、重箱の隅をつつくような検査であったり、金融機関が貸出に対して過度に慎重になるような検査を行わないということになってくると思いますが、そういった方向であります。また、金融機関にとっての検査負担の軽減を図ってまいります。これらの方針について、すべての検査官に徹底をし、金融機関、中小企業経営者等にも十分に説明をし、実践をしてまいります。

中小企業に対する円滑な金融は、金融機関の最も重要な役割の1つであると認識しており、今後とも、民間金融機関による中小企業に対する金融の円滑化を図るべく、各般の施策に取り組んでまいります。

こういう報告をさせていただきました。

私のほうからは以上です。

【質疑応答】

問)

海外のほうで、三菱UFJフィナンシャル・グループが、米証券リーマン・ブラザーズへの出資を検討しているとの報道が一部あるのですが、それに対する現在のご認識と、日本の(金融)機関が海外進出への動きを強めていることに関してどのような見識をもたれているのかお願いします。

答)

報道については承知をしておりますが、その一方で本件につきまして、三菱UFJフィナンシャル・グループは「報道されているような事実はない」という旨のコメントをしていると聞いております。ご案内のとおり個別の金融機関の経営判断にかかる事項につきましては特段のコメントは差し控えたいと思っておりますが、グローバルな金融市場が一体化していく中で、日本の金融機関が、もちろん経営の適切な判断の下でグローバル化を進めるということについては、私は歓迎したいと思います。

問)

自民党の総裁選で、経済対策が焦点の1つになりそうだと思っているのですが、この自民党総裁選の経済対策の議論で、どのような話し合い、議論が進むことを期待されていますか。

答)

今回の自民党の総裁選はしっかりした政策論議が進むということを期待いたしております。今のところ4人の方がお出になるということで、まだ他にもあるかもしれませんけれども、名前で言うと「あさののぶこ(麻生太郎、与謝野馨、石原伸晃、小池百合子)」ということになるのでしょうか。前回は「あさがきこうぞう(麻生太郎、谷垣禎一、福田康夫、安倍晋三)」で、名前からいうと「あさがきこうぞう」より「あさののぶこ」のほうがバランスがいいのかなと思っておりまして、それぞれ財政再建について、また、景気対策について幅広い見識を持たれていますので、そこの中でしっかりした議論が進むと私は期待いたしております。

問)

景気対策に関連してなのですが、今般、金融庁で証券優遇税制をまとめられましたが、高齢者(高齢者投資非課税制度)、小口(小口の継続的長期投資非課税制度)の2本柱で1,360億円ほどの減税効果があると試算されているようですが、赤字国債もささやかれる中で、財政の問題として証券を優遇することへの減収、それと実際の財政規律をどのように解決していこうというお考えでしょうか。

答)

今回の総合経済対策「安心実現のための緊急総合対策」につきましては、赤字国債の発行に頼らないという中で行う、という基本方針の下で進めさせていただいております。そして、税制に関しましては、まさにこれから与党との協議、また財務省との調整で出てくる問題でありますけれども、当然減税に伴います減収もあり、それが経済にどれだけの効果を及ぼすのか、こういう両面からしっかり議論していかなければならないと考えておりますが、金融庁といたしましては、今の「貯蓄から投資へ」の流れを加速するために必要な税制だと考えております。

問)

国際会計基準について伺いたいのですが、前回の大臣会見で「日本としてはコンバージェンス(収斂(しゅうれん))が最重要」とする一方で、日本企業に対して一般的に国際会計基準の使用を認めるかについては、「いくつかの論点をこれから詰めていかなければならない」、「関係者の間で幅広く議論していく必要がある」と認識を示されたのですが、これはコンバージェンスが終了する2011年以降の国際会計基準の導入の是非について議論していく必要があると、そういう解釈でよろしいのでしょうか。

答)

コンバージェンスが重要ということは言っておりません。前回の会見では、私の記憶が正しければ、日本としてはまずコンバージェンスを最優先課題として進めていく方針というのは変わっていないということであります。その下で、東京合意の話をさせていただいたり、何点か、既にプロ向け市場の話をさせていただいたり、それから確か監査人の話を含めて4点ほど検討事項として話をさせていただいたところであり、基本的に1週間でスタンスは変わっていないと思っています。

問)

「金融庁ほか関係者が国際会計基準の検討」という報道もあったのですが、この点の事実関係はいかがでしょうか。

答)

新聞で、経団連(日本経済団体連合会)、公認会計士協会、金融庁の方で検討という感じの報道があったのは存じ上げておりますが、今の基本的な方針というものは変わっていません。ただ、今後の問題につきましては、当然、議論の観点としてそういった問題も出てくるのではないかと思います。

問)

今後の議論として、国際会計基準で財団(国際会計基準委員会財団)のガバナンス(統治)の問題も4つの中で上げていらっしゃいましたが、このガバナンスは欧州主導との指摘もあり、これが改善されない限り導入については慎重であるべきと、そういう考えなのでしょうか。

答)

必ずしもそういう言い方をしたわけではなく、前回は4点、国際会計基準に基づく財務報告の執行の適切性の問題、それから今ありました、財団のガバナンスの改革の状況、これについてはコックス委員長とも議論してきたところでありますが、それから投資家や監査人等に対する教育であったり、研修の状況、さらに諸外国やプロ向け市場における国際会計基準の運用状況、とこういう4点を上げさせていただいたかと思うのですが、こういった問題をきちんと詰めていく必要があるということであり、これがネックになっているからやりませんとかやるとかいう問題ではないと思います。

問)

今日の株式市場で金融株を中心に値下がりが続いており、年初来安値ということがあり、ニューヨークも下がってアジアも下がっているということで、金融市場の現状についてどのように見られているか聞かせてください。

答)

株価については、恐縮なのですがどうしても同じような形の答弁になってしまうのですが、1つの要因で決まるわけではなく、様々な要因を背景にして市場で決まっていくものであり、なかなか変動要因というものを1つのタイミングで特定するというのは困難でありますし、当局としてのコメントを差し控えたいと思っておりますが、確かに昨日ニューヨークのダウも相当下げておりますし、それから、今日の午前中も東京市場は下げているようであり、いずれにしても株式市場の動向は引き続き注視をしていきたいと思っています。

問)

自民党総裁選の話なのですが、先ほど「あさののぶこ」とおっしゃっていたのですが、大臣として意中の候補が今の時点でいるということがあるのでしょうか。

答)

今の時点で4人の方ということであります。例えば、金融関係の問題につきましてといいますか、「貯蓄から投資へ」の流れを作るということにつきまして、麻生幹事長がいち早く方針を打ち出されたことは高く評価しておりますし、税制については連携しながら改正をこなしていただいたということはございます。ただ、私としては麻生さんが出るということが決まっている中で、与謝野さん、石原さん、そして小池さんが手を挙げたということについては、よく決断していただいたと思っていまして、やはり政策論議をしっかりすることによって、もう1回国民の負託に応えられるような自民党を作っていきたいという思いを共有いたしております。私は大臣としても行政改革、そして公務員制度改革といった分野を担っているわけでありまして、改革をしっかり進めていただける候補という観点から自分の今後の対応を決めていきたいと思っております。

(以上)

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