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中川財務大臣兼金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成21年2月13日(金)9時47分~10時08分 場所:金融庁会見室)

【冒頭発言】

閣議では特にございませんでした。

【質疑応答】

問)

改めてになりますがG7についてです。実体経済の現状認識と、どう底割れを回避するかといった点が1つの焦点になるのかなと思っておりますけれども、その点でどういった合意形成なり協調を目指されるのかということが1つと、それから金融機関のトップの例えば報酬を制限するですとか、そういった金融機関の倫理に関するルールといったところも議題になると伝えられていますけれども、その点も含めてご所見をお伺いしたいと思います。

答)

この後ローマにG7で行きますけれども、先日ガイトナーさん(米財務長官)のところでG7の蔵相が電話で会談をやりましたが、多分その延長戦になるんだろうと思いますね。4月2日のG20(金融・世界経済に関する首脳会合)に向けてG7でやるべきことをやっていくということだろうと思います。具体的には多分、アメリカのこの前の金融救済システムについてのまず説明を聞いて、その上で今お話があったように、これが果たしてアメリカの金融安定化策、あるいはABS(資産担保証券)等の債券の買い取り策、あるいは倫理、所得制限云々かんぬんということも含めてご説明があると思いますので、その時に先日の電話会談でもフランスのラガルドさん(仏経済産業雇用相)からバイアメリカン(条項)というか、保護主義について議題にしたいという話があって、みんなもアグリー(同意)しましたので、やはりその保護主義をどういうふうに、保護主義と国際協調というのは多分裏返しの関係になると思いますので、その辺のことも含めて話をして、日本としては幾つか具体的な提案をしたいというふうに思っておりますけれども、これが4月2日のG20に向かっていい方向性につなげられるようにしていくことと、目下の状況の認識と各国の対応策をみんなで意見交換をして、そして多分国際協調をしっかりやりましょう、保護主義を止めましょう、国内でやれることは出来るだけやっていきましょうということの確認になっていくんだろうというように思っております。

問)

麻生首相がこれまで郵政民営化に賛成ではなかったですとか、そういった発言をして波紋を呼んでいるところですけれども、この是非についてお聞きしたいのと、それに関して昨日小泉元首相が「呆れる」といった発言をして、それも波紋を広げているというところなんですけれども、この件に関する受け止めも併せてご所見をお願いします。

答)

あの時点でどうだったかということに関して言えば、あの時の解散の前の閣議で麻生さんも島村さんも私も異議を唱えたんです、閣議で。その後何回か議論をし、最終的に当時の島村農林大臣が閣議室に2人だけで小泉総理と話し合いをして、最終的に島村農水大臣は辞任をされました。私も当時の麻生総務大臣も総理のご判断だから止むを得ませんということで了解をしたという、これは解散の話ですけれどもね。でも解散の引き金は郵政民営化云々でしたから、そういうことがあったということは私自身の話、それからその時麻生総務大臣が発言されたことは私も記憶をしております。それは当時の話を総理がおっしゃっているのであって、見直しをやるべきことはやっていきましょうということを総理がおっしゃっていることは、私はそれはそれで私は理解が出来ることだと思っています。昨日の小泉元総理のご発言につきましてはちょっと詳しいことは分からないので、小泉総理は郵政民営化、それから四社化について強いご意思を持っていらっしゃるということを昨日の時点でも改めて分かったなというふうに思っておりますけれども、これは総理のご発言、それから元総理のご発言として色々意見があってもいいのではないかなと。これから仮に何かをやるにしても、与党と政府とで話し合いをしたり作業をしたりして決めていくことですから、この時点で何かを言ったら何かがぶっ壊れるとかということじゃなくて、色々な意見があっても私はむしろいいんじゃないのかなと。それよりも昨日の野党の対応のような、一旦公党間で決めておいたことを二転三転したり、あるいは今までの慣例なしに質問通告をしないで質問をして、その答弁がけしからんとかけしかるとか言って本会議が混乱したり、あるいは衆・参の財政金融委員会が混乱することの方がよっぽど、今の経済状況を考えた時には私は問題が大きいというふうに思いますね。そのことは閣僚懇でも私申し上げました。

問)

関連でお尋ねします。昨日の小泉さんの発言の中で郵政だけではなくて定額給付金に関係しておっしゃっていたのは、これは財源法案に関係する発言だったものですけれども、3分の2を使ってまで成立させる法案だとは思えないという趣旨の発言がありまして、近日中に想定される衆院での3分の2を使った再議決に賛成しないとも受け取れる、それを示唆するような発言だと思うんですけれども、この点についての受け止めは如何でしょうか。

答)

あの方も賛成したんでしょう。一旦賛成して党で決定したものを今頃反対とか何とかというのは、ちょっと総理までやられた方がそういうことを言うというのはちょっと理解に苦しみますね。反対したとか欠席したというんだったら話は別ですけれども、党内手続あるいは衆議院での手続含めて粛々と、あの方も含めて決められたことを、総裁までやられた方が今頃ああいうふうにおっしゃるというのはちょっと理解に苦しむなと思いますね。

問)

閣議の後に大臣、総理と官房長官とお話をされていたようなんですけれども、差し支えなければどのようなお話をされたのかお聞かせください。

答)

今日これからG7に行きますので、それについての若干の打ち合わせをしました。

問)

日本として具体的な提案をするとのことですが、差し支えなければお聞かせください。

答)

これはその場でお話をして、その後多分こういう機会があると思いますので。

問)

そのG7絡みで改めてお伺いしたいんですけれども、保護主義という言葉が1つのキーワードになってくると思うんですけれども、日本は当然物を作って輸出してそれで稼ぐという形の国ですから、保護主義というのが一部の国で出て来つつあるこの状況は日本にとって良くはないと思うんですけれども、具体的にどういう発言というのはさておき、日本として今回のG7でどういう立場でイニシアチブなり何か提案なりをした上でリードしていきたいとお考えですか。

答)

輸出で稼いでいることは間違いありませんけれども輸入でも稼いでいる国ですから、エネルギーとか食料とかですね。だから円高というのは国会答弁的に言うと両面あるんだと思います。輸入が安くなるということと外貨を稼いでくれる方の輸出がダメージを受けるということと。この話と保護主義とは私は分けてちょっとお話をしたいと思いますけれども、保護主義は良くないと思います。これは大恐慌の時のスムート・ホーリー法ですか、あれをアメリカがどんと出した結果、世界的に保護関税を引き上げてブロック経済化をしてしまった。保護主義というのはその国にとってはプラスかもしれないけれども、トータルとしては絶対的なマイナスになると。合成の誤謬というやつですかね。だからアメリカ、あるいはヨーロッパでも一部やっていますし、WTOに入っていませんけれどもロシアもやっているし、インドもやっている。WTO的に見れば問題があるようなことをやっているということを、今まで日本に対して自由化、自由化と言っていたアメリカやヨーロッパが、あるいはほかの国々がこういう状況になると保護主義に走るというのは、これは絶対的に私は悪だと思っていますので、これは何としても阻止しなければいけませんし、各国とも多分言葉としてはみんなそうだと、WTOの世界でもG7の世界でも保護主義は良くないよねというのが今までの流れですし、これからもそうでしょうけれども、言葉は言葉として実際にそういうことをやるとすれば、日本としては断固たる対策、対応を取っていかなければいけないと思います。

問)

先程の郵政の件なんですけれども、今大臣は政府のお立場でいらっしゃいますが、今の自民党を考えた時に、特に若手の方を中心にさきの郵政選挙で当選された方がかなり多くいらっしゃる中で、最近麻生総理のご発言その他諸々の経緯があると思うんですが、支持率が低い中でどうしても秋までに総選挙を戦わなくちゃいけないという現実の中で、こういう郵政の発言が出ることが動揺を広げる原因になっているんじゃないかと思うんですが、本業は官房長官や幹事長のお仕事かもしれませんけれども、今自民党の中で今後どのように選挙に向けて結束していくか、チームワークを高めていくか、大臣としてはどうすればいいとお考えか教えてください。

答)

直接的には総理が、自分も反対していました、四分社化は見直す必要がありますという1週間程前の予算委員会での発言が直接的にはきっかけになったんだろうというふうに思いますけれども、やっぱり選挙を控えて、しかも厳しい状況の中で国民に受けるような対応を、特に若手の人たちがしたいというのは、それは私も経験しましたから分からないではありませんけれども、しかし党の幹部とかトップをやられた方が、今自民党とか自分の選挙よりも、日本がこの数カ月間あるいは1年か1年半、総理のお言葉では全治あと2年数カ月かかるこの経済危機をどうやって乗り越えていくかという、その真剣な議論をして前向きな話をするということが今一番大事なのではないかと。一昨日、あるところで私が講演をやって、一部報道されていますけれども、皆さん方も含めて日本が沈没することと、それから誰かが何を言った言わないとかということと、どっちが今大事なんだろうかということを是非よく考えて、それは我々も、あるいは政治家全体も、あるいは日本の非常に重要な役割を背負っているマスコミの皆さん方も、是非そのことを考えていただきたい。アメリカも議会あるいは民主党、共和党、色々やっていますけれども、こんなことで政治が前に動かないという状況というのは、日本のある意味では特異的なことだろうと思っておりますので、是非、我々はもう常に責任を感じながらやっているわけですから、この厳しい状況、来週10-12(月)のGDPが発表になりますけれども、みんなが厳しい厳しいと言っている状況、あるいは雇用状況、生活状況を考えた時に、やっぱり政治と、それから政治の緊張関係にあるマスコミの皆さん方が、何が今一番大事なことなのかということをみんなで考えてやっていくことが大事なんじゃないのかなというふうに思っています。

問)

政治を動かすために、やはり解散をもうちょっと早くするということや、政権の大連立も含めて、何か大きな枠組みで政治を動かす必要性は感じられませんか。

答)

感じていません。解散というのはいずれは、今もお話があったように9月までにありますし、いつあるか分からないですけれども、それは政治のある意味では空白にもなりますから、今政治が思い切ったことをやっていく、つまり私が言いたいのは何も政府・与党の言うとおりに何でもやれ、進めるということではなくて、国会でも私言っていますように、野党の提案でもいいものはどんどん取り入れてきたつもりですし、これからも取り入れるつもりですから、是非野党の皆さん方もこのことをご理解していただいて、昨日のようにひたすら委員会を延ばすとか、本会議を混乱させるためだけの目先の戦術で、昨日は勝ったのか負けたのかという評価は知りませんけれども、これでもってまた1日審議が遅れてしまったと。結論が先延ばしになってしまったという事態は何としても避けてもらいたいなというふうに思います。解散はいずれあって、その審判はいずれ僕らは国民から受けるわけですから、それよりも今日明日あるいは年度内というものを視野に入れてやっていくということが非常に大事なことじゃないのかなと思っています。

問)

G7なんですけれども、前回のG7とかあるいは金融サミットの時期に比べまして、輸出産業を中心に日本の実体経済が大きく悪化していると、それから貿易赤字も拡大しているという中で行われるわけですけれども、その要因として円高が進んだということもあると思うんですが、今回為替についてG7で議論の対象になる可能性というのはあるんでしょうか。

答)

私は輸出が減っている、輸入も減っていますけれども、輸出が減っているのはやっぱり世界経済が悪くなっているのが最大の原因だと思っています。為替がもちろん交易条件が少し悪くなったということは事実ですけれども、やっぱり売り先が無くなった、中国、アメリカ、ヨーロッパを含めて無くなった、これが最大の原因だと思っていますので、やっぱり世界経済を良くしていくということが大事であると同時に、日本の国内での経済の牽引というものが早急に作られるべきだというふうに思っております。従って、その為替云々の話はもちろん大事でありますけれども、G7でこの為替の問題というのはどの程度話されるのか、私から特に持ち出す考えはございませんし、為替については急激な変動がないようにしていくという基本姿勢は、常にアメリカ、ヨーロッパにも伝えていますので、聞かれればそれを申し上げるということです。

(以上)

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