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与謝野財務大臣兼内閣府特命担当大臣(金融・経済財政政策)閣議後記者会見の概要

(平成21年5月1日(金)9時49分~10時07分 場所:金融庁会見室)

【冒頭発言】

閣議は案件通り進みまして、特にお話しすることはございません。また新型インフルエンザの第2回目の会合がございまして、新たな対処方針が決定されました。

【質疑応答】

問)

今お話のあった新型インフルエンザですが、国内で感染者が確認された場合には様々な活動に制約が出てくると思われますが、大臣ご自身は新型インフルエンザの経済への影響についてどうお考えになっておりますでしょうか。

答)

こういうものが出た時には、過剰反応もいけないですし、また、物事を軽く見るということも避けなければならない。やはり科学的な根拠に基づいた客観的な行動というものがすべての関係者に求められると思っております。

財務省、金融庁としては、必要であれば持てる政策手段を、あらゆることを動員して対処していくということで、政府全体が一体となって国民の不安を除去するように努力をしなければならないと思っております。

問)

昨日、経済産業省から生産関係の指標が発表されまして、改善を示したのですが、今朝発表された雇用関係の指標については悪化が示されました。また、物価についても下落しているという指標が示されていますが、それらを踏まえて、現在の景気認識についてどうご覧になっていますでしょうか。

答)

失業率も上昇している。有効求人倍率も下がっている。そういう中で、私共が「経済危機対策」で出来るだけのことをしようと、特に、雇用対策、あるいは中小企業・中堅企業の資金繰り対策と、考えられるあらゆることに手を打ってありますけれども、日本の経済の現在の状況というのは、輸出部門、すなわち外需の落ち込みというものが主たる原因でございますので、これは容易には回復しないと思っております。

外需の落ち込みを内需ですべて代替するということは、もとより不可能でございますけれども、我々としては成長率で1.9%、おおよそ2%の回復を目指してやっているわけでございまして、奇しくも昨日の日銀の経済に関する見通しでは、今年度の経済に関してはマイナス3.1%という中央値が発表されましたけれども、これは内閣府の見通しのマイナス3.3%と極めて近い数字でございまして、今年度はマイナスになる。しかし、内閣府、日銀共に来年度は若干であるけれどもプラス成長になるということでございますので、今年1年は耐えて、次の明るい展望が開けるまで、あらゆる面で耐えていくということが大事ですし、また、失業あるいは資金繰り倒産を出来るだけ避けるために万全の措置をしたいと思っております。これの基礎となる平成21年度の補正予算の国会での審議に、全力を尽くしてまいりたいと思っております。

問)

生産関係の指標については多少の明るさが見えたのではないかというような見方も出来るかと思うんですが、それについては。

答)

在庫調整をずっと進めてきて、若干、鉱工業生産が前月比プラスになっているというのは、朗報ではございますけれども、ただ、経済に対する下振れリスクというのはまだまだ存在しているわけですから、政府としてはそういうことにも十分注意を払いながら、政策運営に心がけていきたいと思っております。

問)

大臣はかねてからアメリカの大手会社の経営問題について懸念を示されていたと思うんですが、今日の未明ですが、ビッグ3の一角であるクライスラーがチャプター・イレブン(米連邦破産法第11章)を申請しました。日本企業及び日本経済への影響についてどうお考えになっておりますでしょうか。

答)

アメリカのクライスラーがああいう結末を迎えたわけですけれども、アメリカ政府もこの破産法適用の手続を迅速に終了したい、また、アメリカ政府もカナダ政府と共に十分な資金援助を行う、ということでありますから、アメリカの代表的な企業の1つであるクライスラーが、一日も早くいい姿になることを願っております。

クライスラー等には日本の部品会社などが納入をしております。1週間ぐらい前から、二階経済産業大臣に様々なケースについてどういうことを想定しておけばいいかということを伺ってまいりましたが、経済産業省の現在までの検討の結果は、当然ながら部品メーカー等は影響を受けるけれども、前々から備えていた部分もあって、影響は極小にとどめられるというお話でございます。仮に何かあれば、財務省、金融庁としても経済産業省とご相談しながら、これに対する対処に関しても万全を期したいと思っております。

問)

最初の新型インフルエンザの関連なんですけれども、大臣は明日からインドネシアでアジア各国の閣僚が集まる国際会議に出られるわけですが、アジアといえば前回SARS(重症急性呼吸器症候群)でも経済的なダメージがあったところで、こういう場で何らかの意思の確認ですとか、あるいは協調みたいなものを、まだ早い段階とはいえ、示すことは考えられるのでしょうか。その辺についてお考えを聞かせてください。

答)

この問題は一国の問題ではなくて、世界的な規模での流行のおそれ、あるいは我々が属しているアジア地域での流行のおそれというものがあるわけでございます。これは我が国だけの問題ではなく、地域全体の問題として考えていく必要があり、また、日本として提供出来る医学上の知見、医薬品、ワクチン、こういうものも自国のみならず他国に対してもどのようなことが出来るかという国際貢献、アジアの地域に対する貢献ということも併せて考えなければならないと思っております。アジア開銀の総会でも当然このことは話題になると思いますが、我が国としては国際協調の立場ということをきちんと認識していただく必要があると思っております。

問)

今ゴールデンウィーク中なんですが、経済対策として高速道路の値下げをしたということで今年は通常よりも大きな人出が見込まれているんですが、対策の効果が表れているということだと思うんですけれども、これについての受け止めと、この対策を国民にどういうふうに活用してほしいかというメッセージのようなものがあれば教えてほしいんですが・・・。

答)

平成20年度の1次補正、2次補正、当初予算というものが、予算面、制度面で実際に少しずつ動き出してきた。特に高速料金の1,000円というのは色々な面でいい影響を持っていると思います。

21年度補正の中でも様々な対策が盛り込まれておりまして、こういうものは予算の執行という面で一日も早く実行出来るように、国会審議に対して政府としては誠意を尽くしてまいらなければならないと思っております。多分、20年度の1次補正、2次補正、当初予算に対する評価も少しずつ頂けると思いますし、また、21年度の補正というのは極めて大きなインパクトが実際にはある、というふうに私共としては信じてお願いをしているわけでございます。

問)

三井住友フィナンシャルグループとアメリカのシティが日興コーディアル証券の売却について基本合意しまして、近く正式に発表される見通しではあるんですけれども、あれだけ大きな規模の証券会社が銀行の傘下に入るということは初めてかと思うんですけれども、今回の枠組みと銀証の一体化が進む状況についてどのように見ていらっしゃるのかお願い出来ますでしょうか。

答)

銀行と証券の間の壁は取り払うということでもうこの10年来やってまいりましたので、銀行が証券会社を傘下に収めるということは不思議な話ではないと思っております。実際にきちんとした合意が調印され、どのような形で発表されるかということを注目して見ているという現段階でございます。

問)

先程のCPI(消費者物価指数)についての質問に関して、これは1年半ぶりに物価が下落に転じるということで、警戒すべき物価の動きというふうにお考えになっていらっしゃるのかどうか。この中身についてはどういうふうに分析されていらっしゃいますでしょうか。

答)

多分、物価の下落というのは色々な要因で出来ていると思います。原料や資源の値が下がったということ、日本の為替が強くなったということ、それから経済成長率が落ちておりますから、やはり消費が減退しているということ、色々な要因がありますけれども、大きくデフレの方に経済が振れたというのには、消費者物価指数で判断するということは早計であると思っております。

問)

明日からのアジア開発銀行総会で大臣も演説される機会等あると思うんですが、どのようなことを主に訴えていくかという、そのお考えをお願いします。

答)

アジア開銀というのはアジアにとって極めて重要な国際機関でございまして、ここの活動を充実するために日本がどのようなことが出来るか、これが我々としては最も大事なところでございます。特段新しいことを申し上げるわけではなくて、やはりアジア開銀自体の活動の充実と、従来から政府が一貫してとってまいりました姿勢、これの中身をしっかりさせるということが、アジア開銀の総会に臨む我が国の姿勢であると思っております。

問)

保険会社の話なんですが、アメリカのハートフォード生命という会社が、日本で展開している保険事業で新規の契約を6月から、日本とイギリスなんですが、新規契約を止めるという発表がなされました。この経済危機が保険業界にもじわじわと影響を与えているようなんですが、それについてのご所見をお願いしたいんですが。

答)

その話はまだ私は報告を受けておりませんので何ともコメントのしようがありませんけれども、一般的に言えば、経済の不振が保険業界にも及んでいるという、あるいは金融危機が保険会社にも及んでいるだろうということは、容易に想像されることだと思っております。この個別案件についてはまだ報告を受けておりません。

(以上)

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