与謝野財務大臣兼金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成21年7月3日(金)8時57分~9時08分 場所:財務省会見室)

【冒頭発言】

ただいま本日の閣議が終了いたしました。

まず、天皇陛下御在位20年記念貨幣の発行について申し上げます。本日の閣議において天皇陛下御在位20年を記念するため、国家的な記念事業として記念貨幣を発行することとし、その図柄等を定める政令について決定をいたしました。図柄は皆様の前にご用意してあるとおりでございます。

次に、平成21年度の予算執行調査については、73件の調査を実施しておりますが、そのうち調査の終了した57件について、今般調査結果を取りまとめました。そこで本日の閣僚懇談会において私より、今回の調査結果を平成22年度概算要求や今後の予算執行に確実に反映していただきますようお願いしたところでございます。

以上でございます。

【質疑応答】

問)

今大臣からご紹介のあった予算の執行調査ですけれども、今年は大臣としてはどういった姿勢でどういったチェックをより強化していきたいとお考えで、どのくらいの無駄取りを出来ればいいなとお考えでいらっしゃるのか、その点についても大臣のお考えをお聞かせください。

答)

これは全体の無駄が総額幾らぐらいかというのはなかなか予想出来ません。やっぱり1つ1つの事業について、事業そのものが適正な事業だったかどうかという観点もあるでしょうし、また予算の執行について迅速性、的確性、あるいは例えば入札の手続のあり方、そういうことを万般調査していくということで、初めに総額幾らという考え方は実はございません。しかしながら、対象にしたものはしらみつぶしに見ていくと、それは大事なことだと思っております。

問)

最近予算を立てる上で財源をどうするかというところになかなか苦慮されているわけですけれども、もちろん予算を決めた後で無駄がないかをチェックするのも大事なことだと思うのですけれども、なかなか予算を編成する段階でこういった結果的に無駄だというものがチェック出来ないのかということについて、大臣はどのようにお考えかお聞かせください。

答)

予算というのはただ財務省が作るわけではなくて、各省あるいは与党の皆様方、あるいは野党の皆様方からのご要望、あるいは国民の各層の方から上がってきたご要望、こういうものを総合してやります。1次的なチェックは各省でやります。それから2次的なチェックは主計局であり、最終的には与党のご判断も仰ぎながらやっていって、編成過程では相当なチェックが実はされているわけでございます。そこでひとつは、予算を作る時に政治的な判断というものがあって、これはやっぱり最終的には国会のご判断に委ねるという部分があります。それから政策は、この政策は必要だというものとこの政策は必要でないという客観的な判断ではなくて、むしろ主観的な判断によっている、よらざるを得ない政策もあって、それはこの政策は必要だとある党が主張する、この政策は必要ないと主張すると。これは客観的に議論しているように聞こえるんですけれども、実は最終的にはそれはそういうことを主張されている方の主観的な価値判断が違うことによって生ずる無駄、無駄でないという議論で、ここは永久に平行線になっちゃうわけです。これは国会の中での議論を聞いていても、結局無駄、無駄でないという部分は神学論争的になりがちでございます。ただ、明らかに会計検査院が指摘されるような無駄というのは、これは許しがたい無駄なので、こういうものは徹底的に排除していくということは言うまでもないことだと思っております。

問)

今回の予算執行調査は当初予算の執行調査専門だと思うのですが、補正予算に盛り込まれた国立芸術メディアセンター、いわゆるアニメの殿堂と言われるものが無駄ではないかと、自民党内からもそういう声があるのですが、それについてはどのように…。

答)

それは遊びに使うと錯覚した人の言う議論で、あれは趣味の場所ではなくて、やっぱり日本が今人知れず非常に世界から評価されているコスメティックスとかファッションとか建築デザインとか、一部の映画、映像、アニメ、漫画、歌謡曲も入れたジャパンポップス、こういういわゆる無形文化的なものというのは意外にこれからの日本の売れ筋なわけです。我々の生活の糧を確保してくれる分野なわけですから、その先行投資的にああいうものを作ろうというのは別に麻生内閣で始まった話ではなくて、安倍内閣の頃から営々と専門家が議論をしていて、福田内閣の時には閣議決定までしているわけでございます。ただ、シーリングとの関係でなかなか予算がとれないということでございましたが、今回は景気対策ということで需要も創出しなければならない、そういう有効需要をどこで創出するかということであれば、あのメディアセンターというのは将来大きな果実を生むであろう投資先の1つだという認定をして作ったものでございまして、趣味、遊びで作ったものではない。自民党の一部でそういうことを言われる方はまさに知識不足、勉強不足、判断力不足と言わざるを得ないと思っております。

問)

景気がまだ本格回復ではないという話もあるのですが、金融政策とか、金融庁が今とっている空売り規制とかに対して、そろそろ出口をどうするかというような議論も必要になるのではという意見も出ています。金融危機対応業務、財政出動も含め、出口戦略について現時点でお考えがあれば教えてください。

答)

そういう問題について全く無頓着であったり、論議をしないというのは不健全な状態なので、やっぱり今とっている日銀の金融政策、政府の財政政策というのはこういう予想しなかった極めてまれにしか起こらない異常な事態に対する対応だと考えることが普通であると思っております。ですから、そういう意味では識者が出口を議論されることは当然であります。けれども、出口をどの辺に設定したらいいのかということはもう1つの問題で、これは景気の動向を見ながら判断をしていくべきものであると思っておりますので、これは林芳正さんにご質問をいただければ、もっと的確なお答えが出てくると思います。

(以上)

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