与謝野財務大臣兼金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成21年7月21日(火)8時37分~9時05分 場所:財務省会見室)

【冒頭発言】

朝8時から閣議が開かれまして、通常の案件のほかに総理からは解散したい旨のご発言があり、我々全員は閣議書に署名をいたしました。総理からは衆議院解散を断行したい、麻生内閣としては経済や金融政策を非常に強くやってきた。特に4回にわたる経済対策を行ったと。また国際的な問題についても、それぞれ責任を果たしていると。経済は明るい兆しを見せ始めているけれども、まだまだ油断はならないし、また、この東アジア地域では北朝鮮問題が不安定要因の1つとなっている。選挙としては安心社会をどう実現していくかということが1つの大きなテーマになると思っております。政府はこのまま続くので、それぞれの閣僚は国政に遺漏なきようというお話がございました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

閣議書のサインをされたということなんですけれども、解散のための閣議書なんですが、その時のご心情と麻生総理のもとで解散をして戦っていくということになるんですけれども、その判断をされた、大臣ご自身がそういうふうにサインされた理由について教えてください。

答)

まず1つは、みんなが気持ちよく選挙が出来るようにスタート時点においては混乱がないようにしなければならないという問題があります。かてて加えまして、総理がご自身で党員、国会議員のご意見を聞かれるという時間がこの後設けられますので、そういうことですから、現場の国会議員の声は十分聞かれる機会が出来ることになったと。これは選挙をやる以上、勝利を目指していかなければなりませんけれども、何か特別な方法があるわけではない。やっぱり自民党が愚直に律儀に政策を訴え、政治姿勢を訴え、今までの日常生活の上に立った政治活動を継続していくということだろうと思います。民主党は今や毎晩シャンペンを抜いて前祝いをやっている状態なので、我々はそんな浮わついた気持ちではなく、まさに我々こそが国を背負って立つ、社会を背負って立つという気概を持って清々粛々と静かに努力をしていく。それが今自民党に求められていることだろうと思います。

問)

今、大臣が愚直に律儀に政策を訴えていくというふうなことをおっしゃっていたんですけれども、与党の、自民党の方のマニフェストはまだ固まっていないというような状況だと思うんですけれども、政策上、今回の選挙戦で大臣が一番こういうものを訴えていくべきだというようなものがあればご披露いただきたいのと、あと争点として安心社会の実現というふうに総理からご発言があったわけですけれども、争点とまさしくしていくべきということはどういうことなのかというところを教えてください。

答)

政策に落とすと色々な政策になるんですけれども、基本的に安心社会実現会議の報告書のトーンにも出てまいりますけれども、その通奏低音として政治が国民に対して非常に優しい気持ちで政策を考え、それを行っていくという、勝者が勝って敗者が負けるというようなとげとげしい社会からもう少し優しみのある穏やかな社会に作り変えていくというのが現段階の自民党の責任じゃないかなと思っております。

問)

非常に各社の世論調査等でも厳しい支持率等が自民党に出ているんですけれども、こういうふうな厳しい選挙にならざるを得なかったような原因というか、理由についてどういうふうにお考えでしょうか。

答)

この時期はほとんど任期が切れている状態と一緒なので、選挙自体は避けがたいものであるわけです。低い支持率ですけれども、それを一挙に逆転するというような名案も秘策もありません。ですから普段どおり政策を律儀に訴え、やっぱり政治姿勢をそれぞれの候補者が有権者に理解をしていただくという愚直でまじめに活動を自民党のすべての候補者が展開していくと。そこに1つの可能性を見いだしていくと。これしかないのではないかと私は思っております。

問)

先程大臣からご紹介いただいた総理の発言なんですけれども、今回の選挙の争点として4回の経済対策、それと国際的な問題も責任を果たされてきたというご発言があったということですけれども、まさにこの4回の経済対策と経済分野での国際間の調整は大臣が担われてきたわけですけれども、総理のご意思を示されたんですが、大臣としての自信と今回の選挙に向けてのお気持ちをもう1回お聞かせください。

答)

実は自分で申し上げるのも大変恐縮なんですけれども、この4回の経済対策について強いご批判というのは実はいただいたことはない。むしろご評価をいただく場面が多い。これは多分、いわば有効需要を創出するということと、それから将来に向けてのイノベーションを図っていくという両面を経済政策としては持ってきた。福田さんの時から21年度補正予算まで、貫かれている思想は有効需要プラスイノベーションという両方が貫かれてきたと思っております。そういう意味では、80年前に経験したような政策的な真空地帯が出来て、そこに全部世界が落っこちていくということは今回はなかったと。特に国際協調も進み、国際的な連絡も進み、中央銀行間の意思疎通も非常に綿密・緊密だったし、一定の財政出動を各国がやろうということは、別に協定を結んだわけではありませんけれども、累次の国際会議の中で自然に形成されてきたコンセンサスだと思っておりまして、クレジットフローの面からも、あるいは有効需要の面からも今回は世界的な規模で連携がとられ、特にアメリカの方々は日本が有効需要、金融の側面できちんと国際的な責任を果たしたということで何回かの機会によくやってくださったという感謝の気持ちを伝えられているというので、麻生政権の経済対策は現段階で判断すれば成功というふうに、自分で点をつけるのも変なんですけれども、点をつけさせていただきたいと思っています。

問)

最近民主党は、民主党としてこれまで掲げてきた政策をどう担保するかというところで、財源をどう探すかということに必死になっているわけですけれども、この国にもうなかなかお金がないということを最もご存じのお一人だと思うんですが、大臣が。この選挙に向けて財源が厳しいんだということをどう国民に改めて訴えかけていかれるかお聞かせください。

答)

民主党は、私は国会で答弁したことがあるんですけれども、細川政権の時に福祉税構想というのを出してこられて、また今の民主党の幹事長の岡田さんが党首の時には消費税を上げないとやっていけないということで、そういうものを公約に掲げた時期もあります。政権取るまで政策が幻想や空想であることは、それはやむを得ないことかもしれませんけれども、やっぱり近づいたら本当に出来ますかということが問われるということでして、政権の前夜祭をやってばかりいないで、そういうことにも少しご努力をされた方が国民の幸せにつながるんじゃないかなと思っています。

問)

東京都議選ではかなり厳しい結果が出たんですが、大臣ご自身の東京1区の選挙について大臣としてはどのような見通しを持っておられるのかということと、どんなふうに戦うのかということをお聞かせください。

答)

選挙の世論調査というのはかなり当たるものでございまして、それを見てしまうと恐ろしくてもうやめるか、喜び過ぎちゃうか、どっちかなので、なるべく世論調査の数字は見ないように私も私の事務所もやっています。厳しいというのは直感的に分かりますので、それでも何か特別の方法があるのかというとそんなことはなくて、今までどおり愚直に粛々と丹念に整然とやっぱり物事を訴えていくということに尽きると、そう思っています。何かキーワードがあって、それを言うと全部の謎が解けるというような、そういうものはないんじゃないかなと思っています。

問)

先程政策面では自信があるということだったんですが、今までそういう補正予算も何回もやって、ご自身いい政策をやっておられたということなんですが、ここまで支持率が低くて、いわゆる国民的な評価が得られなかったのはなぜかということと、そういう中で解散をこういうタイミング的には、自民党にとっては悪いタイミングだと思うんですが、こういう追い込まれ的な解散になったという現状に関しての認識を教えてください。

答)

追い込まれ解散という朝日新聞の見出しは必ずしも正しくなくて、どうせ9月10日が任期ですから、8月30日とはあまり日が変わっていないということで、いずれにしてもあの時期に日程はセットせざるを得なかったと思っています。政策が良ければ支持率は上がるはずだ、そう考えるのは普通なんですけれども、やっぱり政策が良くても政策のタイミングとか、そういう諸々の付随的要素で評価が低くなったということで、麻生内閣にとっては非常に残念なことですが、まだ選挙が始まるまで17日間と、あと25日ぐらいあるわけですよ。我々は前祝いのシャンペンなど開けませんから、その間じっくり地元を歩いて政策を訴えてやってまいります。それは覚悟を決めた上で全候補者がやると思います。

問)

政権交代の可能性が、可能性の蓋然性としては高まっていると思うんですが、そういう中で行政の連続性とか、先程言った外交的な関係をうまく維持するために、万が一政権交代した場合の引き継ぎであるとか、そういうのがスムーズに行くように、政権・与党の責務として例えば事務方へ何らかの指示をするなり、そういうもし政権交代があった場合どうスムーズに引き継いでいくかと、そういう事務的なものというのは何かお考えございますか。

答)

新しい政権が出来れば、それは新しい政権の方針に従って日本の官僚組織全体が動いていかなきゃいけないわけですけれども、官僚組織というのはもともと法律によって作られていますから、官僚組織をいじる前にはちゃんと法整備をしなきゃいけないという問題があります。それは政権がこれがベストだというふうに考えたら、そうやられたらいいと思いますけれども。

問)

解散に署名をされた件ですけれども、両院議員懇談会はこの後あるわけですよね。まさに気持ちよく皆さんが選挙に臨めるかどうかはそこで意見が出てから、判断根拠にされるんじゃないかと思うんですが、時間的に順序が逆なんじゃないかと思うんですけれども、その辺はどのように理解したらよろしいんでしょうか。

答)

これは執行部が判断したことなので私はコメントする立場にないわけです。ですから11時半から始まりますから、それを執行部も総裁も党の候補者になろうとされている方の意見をよく聞かれて選挙に臨むというのは極めて大事なプロセスなので、そのプロセスを形式的に通り過ぎていくということではなくて、そこで何物かをつかみ取るという、そういう謙虚な姿勢で臨んでいただきたいと思っています。

問)

先程その麻生政権がやってきた経済政策というのを非常に評価されているというお話があったと思うんですけれども、その中に中期プログラムというのを作ったというのがありまして、これは与謝野大臣も非常に深くお関わりになったと思うんですけれども、今回の選挙戦ではその中期プログラムを作ったということについて有権者にどのように訴えられていくのか。要するに、景気の回復を前提として、消費税率をはじめとする抜本税制改革は必要であると、そういったようなことについて今度の選挙戦で自民党はどう訴えていくべきかというふうにお考えでしょうか。

答)

選挙になりましたらもう少し美しい表現を使って自分の政策をお訴えします。

問)

もし何か今念頭にあるのであれば、どういった表現で訴えるのか。

答)

それは企業秘密ですから。

問)

先程の両院議員懇談会の件ですが、形式的なものにしてはいけないということなんですが、自民党としてはこのプロセスを公開しないというふうに決めたということなんですが、それについてはどのようにお考えでしょうか。

答)

公開すると聞いています。

問)

麻生内閣はまだ終わりではないんですけれども、これまでを振り返って、例えばこの場でも大臣、副大臣の辞職会見が開かれました。ほかの役所でも何人かの閣僚が去られたわけですけれども、いい政策を掲げ、実行しながら大臣そうおっしゃるわけですけれども、いい政策を掲げながら、必ずしも各閣僚が麻生さんを支え切れなかったところがあるんじゃないかと思うんですけれども、そういった点を踏まえて麻生内閣のこれまでをどう評価されるかを教えていただけないでしょうか。

答)

これは党の中の友人と話しているんですけれども、政策的には外交・内政ともに失政はないというのが私達の判断です。政治家ですから色々なものを裁かなきゃいけない。その時に色々言われてしまったというんですけれども、麻生さんは善意の人ですから、その点はむしろご本人の問題でなくて、周りがうまく十分補佐出来ていなかったんじゃないかなと思ったんですが、麻生さんという方は、人間はいい人間だと、立派な人間だと私は今でも思っています。

問)

選挙の話ではないんですけれども、FX取引の関連で札幌の業者が金融庁に無登録で100億円を集めていて昨日北海道警の家宅捜索を受けましたけれども、その一方で、本日大阪証券取引所でFXの市場が誕生します。規制や活性化など今後のFX取引のあり方について何かお考えがあればお聞かせください。

答)

FXというのは為替差益・差損、為替の上下でいわば相場はあるんですけれども、500倍なんていう証拠金ではちょっと投機が過ぎるというので倍率を下げていくわけですが、その時にやっぱりちゃんと金融庁や何かの監督が行き届く体制をきちんとしておかないと、プロの投資家は別にしてアマチュアの投資家が被害を被るケースが出てくるというのは好ましいことじゃない、そう思っています。

問)

政策的な話で、今日解散したので廃案になった法案が幾つか出てくると思うんです。その中で株式買い取りの法案も成立が出来なかったということなんですが、設計図さえ作ればいいという考え方もあったと思うんですが、大臣としてはどのようにお考えですか。

答)

あれは壮大な構想でよかったと思うんですけれども、日経平均が7,000円の頃の話です。

問)

重ねての質問で恐縮なんですけれども、解散を決める閣議と懇談会の順序が先週末の時点との認識とは入れ違ったという話なんですが、懇談会で話をお互いにぶつけ合うことがいかに大事かというのは、大臣、先週繰り返し重ねて強調されたと思うんですが、順序が逆になったことで大事な会合の中身があまりないようなケースが出てくるかもしれません。その場合はしかしでも解散はもう決まっちゃっているわけなんですけれども、そこのところは大臣としては、可能性の問題ですけれども、許容出来得るというお考えなんでしょうか。

答)

この会合はやってみないと分からないという意味がありますので、11時半から多分オープンになって、テレビ等が入るんじゃないかなという気がするんですけれども、そうなればそこの様子は全部皆様方お分かりになられるので、意味のある会話がなされるのか、意味のないことになるのか、極めて大事な会議だと思っています。

(以上)

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