与謝野財務大臣兼金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成21年8月11日(火)11時16分~11時39分 場所:財務省会見室)

【冒頭発言】

今日は閣議前に給与関係閣僚会議が開かれまして、人事院勧告の取り扱いについて協議をいたしましたが結論は出ておりません。閣議が行われ、特段ご報告すべきお話はございません。その後、月例経済報告等に関する関係閣僚会議がございまして、林大臣から経済の状況についてご報告があり、私からは平成21年度当初予算における公共事業等について6月末時点での契約状況、すなわち契約率は前倒し執行の対象ベースでは55.8%となっており、実質的に過去最高水準の前倒しを目指すとした今年度の施行方針に沿って積極的な施行がなされているという点についてご報告をいたしました。

【質疑応答】

問)

静岡を中心に大きな地震があったわけですけれども、朝の一連の会議で関連して与謝野大臣として何かご発言されたか、もしくは総理のご発言で何か印象的なものがあればご紹介ください。

答)

私からは発言はしておりませんけれども、関係閣僚からご発言があったということは承知しております。

問)

先日21世紀臨調の方で自民党、民主党を含む政権公約の検証大会というのが行われまして色々議論があったわけですけれども、特に自民党のマニフェスト、公約に対して、今まで前回の選挙で掲げておきながら実現出来てこなかったことへの総括がないというところが不満だという意見が挙がっていたんですが、それと関連して、じゃあ今のマニフェストはどうなんだと。消費税の引き上げを掲げているけれども本当に出来るのかどうか、そこら辺についての議論も挙がっていました。消費税の引き上げについての、出来るか出来ないかの点を踏まえてもう一度与謝野大臣のお考えをお聞かせください。

答)

その問題についての物事の考え方、タイミング、あるいはどのような目的で税制改正を行うかということは、実は各党の政権公約というよりは、税法の附則、あるいは政府が閣議決定をした中期プログラムに書いてあり、これが政治として決定した最高の方針であって、自民党の政策はその範囲内にあるということでございます。

問)

民主党の方の財源論で、与謝野大臣がまとめられた補正予算の基金について取り崩せばいいじゃないかという意見が前からあるんですけれども、現実問題として基金は既に国だけじゃなくて都道府県の方でも議会の決定を経てお金がまかれているわけですけれども、それを取り戻すということの政治的現実性、それについては、基金を取り崩すかどうかの是非もそうなんですけれども、取り崩すことが出来るのかどうかという現実性について大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

基金というのは国会のご審議を経て決まっているものでございます。予算もそうでありますので、基金を使って色々な仕事をされる方々は一定の予測可能性を持って仕事に取り組んでおられるわけですが、どこのどの部分を取り崩すのかということは不分明でありますけれども、民主党さんが政権をとった時には何が起きるか分からないという不気味なものを感じます。

問)

8月15日の終戦記念日が迫ってきているんですけれども、大臣として今年は15日の靖国神社の参拝について、行かれるのか行かれないのか、もしくは別の日も含めて、既に行かれたかどうかも含めて、今年はどう対応されるのかお聞かせください。

答)

靖国神社というのは私の地元の神社でございますから、あそこでお祭りが行われたり、桜の花の頃はいっぱい桜が咲いていますので見に行ったり、そういう日常的なことは今までもやっておりますけれども、議員になってから8月15日という日を定めて靖国神社に伺ったことは1回もありませんし、今回もそのようになります。

問)

先程消費税の話が出ましたけれども、改めてなんですが、税法の附則で引き上げの前提として経済状況の好転と書いていますけれども、これはもう少し具体的に言うと、どういうふうに好転というのは判断するのかその辺のお考えをお願いします。

答)

単純に潜在成長力が実現出来たとか、こういう数字がこうなりましたとかということではなくて、すぐれてそういう数字を含めた総合的な判断を政府も国会もされるということであると思っております。私は過日も申し上げましたけれども、この間、私の地元の候補者、共産党の候補者、3人で討論する機会を与えられまして、私が申し上げたのは、民主党の政策は個別の政策の是非はともかくとして、今回掲げている政策の全体像は明白に北欧型社会民主主義、高福祉高負担の世界であって、おそらくざっと見で民主党の政策をきっちり実現しようと考えれば、消費税を25%ぐらいにしないととても間に合うものではないということを皆さんにご紹介をしたわけですけれども、民主党の言っておられる政策というのは、それ自体が自己完結性はあるにせよ、それが実現した社会ではものすごく高い保険料、ものすごく高い税というものが出てくるということは、やっぱり是非民主党には親切に国民にご説明いただきたいものだと思っております。

問)

今日、月例経済報告がありまして、昨日も景気ウォッチャーの中で長雨が景気に対して、特に消費に対して水を差すんじゃないか、冷やすんじゃないかというふうな見方が出ているんですけれども、景気ウォッチャーの先行きもマイナスに転じたんですが、今日も災害がありました。こうした長雨ですとか災害とか、景気の先行きに対して、特に個人消費の先行きに対する大臣の見方をお伺い出来ますか。

答)

おそらく選挙が終わった9月からは、平成21年度補正予算の契約もどんどん進んで、その分は確実に経済に寄与すると思っていますし、アメリカ等でも全体ではないですけれども希望が持てる状況であるということを言う方が多くなってまいりましたので、外国との関係でも日本は持ち直してくるのではないかと思っておりまして、街角景気ウォッチャーの判断というのは極めて正確で鋭いことが多いのですが、4カ月連続してプラスだったので、今月はちょっと一休みという感じで、これが別に悪化に転じたという話をされているわけではないんだと思っております。

問)

自民党のマニフェストで、今後3年間で40兆から60兆円の需要を作り出して、雇用を200万人分生むというふうにされていますが、それに必要な財政出動の財源というのは何か特別な枠を確保するとか、何かそういうお考えはあるんでしょうか。

答)

これは色々な経済対策を打って経済が自律的にそれだけの雇用を創出出来るようにしようということで、財政を通じて直接雇用を創出するという話とは違うのではないかと思っております。

問)

ご感想でもいいんですが、先週芸能界で薬物汚染の問題が、覚醒剤とか大麻とかの問題が結構騒ぎになったんですけれども、財務省は税関を持っていて薬物の水際対策とかそういうものにも取り組んでいると思います。何かご感想でもいいので、最近国民の中で薬物が蔓延しているんじゃないかという雰囲気が、懸念が一定程度あることについて何かご感想なり、対応策があれば教えてください。

答)

まず薬物犯罪というのは、人が人をぶって怪我をさせたという個別の犯罪とは違って、銃刀法もそうなんですけれども、犯罪として広がりを持ってしまうということが1つあります。ですから、犯罪の中では特別な分野という認識を持って対処しなきゃいけない、これが1つです。それから薬物の場合、ほとんどの場合、非・反社会的な組織の資金になっている、これが1つです。従来、覚醒剤の系統というのは台湾ルート、韓国ルートというのがあったんですけれども、台湾当局も韓国当局も非常に努力をしてくださいまして、このルートはほぼ全滅したと言われています。今言われているのは他のルートでして、これを水際でどう止めるかという問題、これも携帯電話、GPS等々が発達して、非接触売買あるいは物の交換ということが行われたり、およそ悪いことをする人たちも知恵の限りを尽くしているということで、1つはそういう税関とか海上保安庁とか警察の能力自体を高めると。水際でも高めるし、大量の取引に対する、あと厚生省の麻取の能力を高めると、こういう部分が必要なんですけれども、この犯罪の一番大きな特徴というのは、覚醒剤中毒になると非可逆的に人体に影響を与えるところで、他の薬物ですと止めると戻るというところがあるんですけれども、覚醒剤は止めても戻らないという、このところがやっぱりまず社会的に分かっていただくということが非常に大事なこと。それから中毒患者が犯罪を犯す傾向が強くなっていることが1つ。やっぱり覚醒剤事犯に対しては社会自体がもっと厳しくやらなきゃいけない。じゃあ厳しいというのは一体何なんだと。私がいつも考えているのは、刑の問題が1つありますけれども、末端のいわゆる売人というのを捕まえても、組織や上に行かないんですね、調べても。ですから、そういう意味ではもう少し覚醒剤に関しては司法取引のあり方とか通信傍受のあり方とか、そういうことを考える、あるいは家宅捜索令状の範囲を広くとるとかという、やっぱり捜査の面でやらないと、末端はどこかの盛り場で薬を売っていた、捕まえたというんですけれども、上に伸びないというのがこの特徴なので、上に伸びて覚醒剤等薬を扱っている組織に致命的な打撃を与えるような、そういう捜査方法というのを覚醒剤に限っては適正手続として許してよいのではないかと私は実は個人的にはそう思っていますが、なかなか賛同者が得られない。

問)

靖国参拝の問題なんですが、例年はこの季節には議員になってからいらしていないということなんですけれども、そういった行動をとられておられる理由について補足をいただけないかと。

答)

理由があるから行かないのではなくて、理由がないから行かない。

問)

公示前1週間というような時で、明日は自民・民主両党首の討論会も予定されています。かなりこの局面での大きなイベントだと思うんですけれども、その論戦に大臣はどのようなことを期待されるかということを伺いたいんですが。

答)

やっぱり民主党が発表された政策全体をどう見るかと。これは民主党のよきアドバイザーである寺島実郎さんも日経新聞に書かれていますけれども、これは北欧型の社民主義、高福祉高負担、これも1つのあり方だと私は思いますけれども、実は国民が選択しているのは民主党か自民党かということではなくて、どういう社会を目指すんですかと。消費税が25%になろうとも、あるいは稼いだものが手元に25%しか残らなくとも、やっぱり民主党の言っているああいう高福祉高負担に行くのか、今のような中福祉中負担、直さなきゃいけないこともあるんですけれども、そういう社会を目指すのか。個別の子ども手当がいいのか悪いのかという話は、実はほとんど問題の本質を突いていない。あるいは高速の料金をどうするかということも問題の本質は突いていない。どっちに行ってもいいと思うんですよ。それは国民のご選択。消費税が25%の世界に民主党と一緒に行くのか、中福祉中負担で行くのか、このご選択を国民にお願いしている。麻生さんと鳩山さん、いい勝負だと思うんですけれども、麻生さんの方がやっぱりちゃんと今までやるべきことをやってきたと、その部分を少しは評価していただけないかなと思っています。連立構想が崩れた時の小沢一郎先生のコメントは、民主党は政権担当能力がないと、あれからどのぐらい成長されたのかなと楽しみにしております。

問)

最初の方に戻るんですけれども、地震の影響で、地震で金融機関とかそういった影響が出ているのかどうか、それから金融庁、財務省として何か対応することがあるのかということ、お聞かせください。

答)

この記者会見直前の状況では、金融機関からの混乱の報告は1つもございません。

問)

随分さかのぼるんですけれども、消費税なんですが、具体的な単純な数字じゃなくて、すぐれて総合的な判断のもとに税率を触る場合は行動に移すということなんですけれども、もう少し目安みたいなものでも示しておかないと、消費税を触りたくないというのは時の政権の常ですので、政治家にとってはなかなかややこしい問題ですので、先へ先へと行ってしまう可能性が高まると思うんですが、そこら辺はどういうふうにお考えでしょうか。

答)

これは諮問会議の議事録等をよく読んでいただきますと、その景気回復の定義が明白に示されておりまして、先に先に延ばすということを考えてやっているわけではありません。財政再建をするというのは喫緊の課題であるというのは我々の強い認識でございまして、先に先に延ばそうというのは別の方々の間違いではないかと思っております。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る