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与謝野財務大臣兼金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成21年9月4日(金)10時32分~10時49分 場所:財務省会見室)

【冒頭発言】

閣議は予定通り行われましたが、案件通りでございました。閣僚懇も数分で終わって、特にお話しすることはございません。

【質疑応答】

問)

先日、民主党の岡田幹事長から官邸に政権移行の協力要請がありました。財務省関連と思われるものについては、予算の執行状況に関する情報開示などが挙げられているわけですが、大臣としてはどのように対応すべきとお考えなのか、また、16日に首班指名が行われるまで予算の執行の権限というのは現閣僚が持つ形になりまして、制度上は民主党の意に反するような予算執行の前倒しみたいなことですね、駆け込みというんですかね、可能になってしまうんですが、大臣はどのような原則で政権の移行が行われるべきとお考えでしょうか。

答)

まず、政権移行などという大げさな表現を使うまでもなく、政府は対国民という関係では連続して存在するものですから、我々としては国会勢力としての首班、これができました場合にもきちんと事実や法律に基づいて、新たな政権が仕事が出来るようにきちんとバトンタッチをするというのが当然の責任であって、そのことは進んでご協力をしなければいけませんし、それに対しては誠実な対応をしようというのが現政府及び政府を構成する諸官庁の一貫した態度であると思っております。財務省もその例外ではありません。なお、既に補正予算として国会のご承認をいただいたもの、あるいは当初予算としてご承認をいただいたもの、いずれも執行の過程にあるものがあるわけでして、それは自然体でやるしかない。財政当局としては自然体で物事をやっていくということであって、予算の中には特に地方自治体との関連のものもございますので、国会でご承認をされた予算というものは、今なお有効であるということを前提に行政は進めざるを得ない、そのように思っております。

問)

民主党の人事なんですが、昨晩、民主党の鳩山代表が小沢代表代行を党本部に呼んで、いわゆる幹事長の就任が決まったわけですが、この人事をどのように受け止められるでしょうか。

答)

民主党の人事にはコメントするという立場にはございません。ご成功をお祈り申し上げたいと思っています。

問)

関連して自民党の総裁選なんですが、現在、28日の投開票の日程が一応出ているわけですけれども、16日の首班指名の前までに新総裁を決めたらいいんじゃないかというような議論もありまして、民主党の体制が小沢幹事長など、だんだんと固まってくる中、自民党はどのような、党勢の建て直しも含めて総裁選、どういった形であるべきなのか、お考えをお聞かせいただけますでしょうか。

答)

2つ意見がありまして、1つはやはり、新たな総裁を決めるのであれば地方の党員、あるいは国会議員がオール参加の上で丁寧に総裁を決めた方がいいと、こういう有力な意見もあります。また一方では、早く決めて首班指名に臨むべきだ、両方なかなか有力な意見なんですが、最終的には党の執行部が総務会等、あるいは多分来週両院議員総会もありますが、こういうところで諮ってきちっと決める必要があると思っております。

問)

与謝野大臣と小沢さんとは囲碁のライバルでもあり、師弟関係でもあり、小沢さんはずっとここのところ野党でもあったので、政治的にもライバルだったわけですけれども、そういうお立場から振り返って、小沢さんの人柄、政治的手腕についてどのようなご印象を持っているか、改めてお聞かせ下さい。

答)

私はあまり政治的に小沢さんと何かおつき合いがあったということはない。むしろ議員としては大先輩という意識がありましたが、まあ、碁を打って感じるのはやっぱり、肝心な時には慎重に考える方だと。手どころでは相当時間をかけて、慎重に判断すると。一見荒っぽそうに見えますけど、なかなか考えどころは考えられる方だというのが、私の率直な印象です。

問)

ちょうど今ぐらいに、竹下副大臣が、G20の件で出発する頃だと思うんですが、政権移行前でなかなか振る舞い方というのは難しいと思うんですが、大臣から竹下副大臣にG20についてどういったことを指示されたりとか何かありましたでしょうか。

答)

結局は、昨年始まりました国際的な金融危機というのは、各国の努力だけで乗り越えられる部分と、やはり国際的な協調、これはIMFであれ、FSBであれ、あるいはG20であれ、G7、G8であれ、やっぱりそういう場での国際協調というものがないと、これは解決しないという一貫した姿勢を政府も持ってまいりましたが、今回の竹下副大臣のお仕事もそういう国際協調が最も基本の基盤として存在するということをご認識の上、いろいろ日本の立場を主張されると思います。日本としては、例えば役員報酬の問題なんかは何の異論もなく受け入れられるところですけれども、やはり自己資本比率とか自己資本の内容とかというものは、日本の金融界の実情とか信用収縮に対する影響とか、そういうものを十分考えて世界各国で決めていただく必要があると思っております。それから、規制に関して言えば、やはり去年から1年間で少し目立って、これはちゃんと直さなければいけないというものは、簿外債務、連結対象の子会社じゃないんだけれども、たくさんの債務を所有しているという、事実上金融機関本体の債務になっている部分、そういうものに対するきっちりしたけじめをつけなければいけないし、情報開示というものがなければいけないし、それからもう一つは、やはりCDSとか色々なものがありましたけど、これも決済市場がないということ。これはCDSの問題が出てきてから決済をするんだということなんで、やはり金融商品に対する決済可能な場というのを世界的に考えないと、ああいうデリバティブに対する市場の評価というのは生まれてこない。もっぱら格付け会社の格付けに頼っていると。こういうことは、世界中で協力して直していかなければいけないことだと、私はそう思っております。

問)

関連で、自己資本比率の規制について、現状ではまだ景気が本格回復に至ってないから、この時点ではやっぱりやるべきではない。例えば、現在そういう議論もすべきではないというお考えでしょうか。

答)

議論は大いにしたらいいと思いますけども、実際にそういうことをするのであれば、各国の金融情勢もよく見なければいけませんし、それぞれの国の金融機関の持っている経営の体質、そういうものを勘案してやらなければならない。一律に数字でこういうふうにやれば健全性が達成できるという話とはちょっと違う。やるにしてもきちんと実情に応じ、タイミングを図ってやる必要があるというのが、政府の基本的な考え方です。

問)

先程発表された4-6月期の法人企業統計で製造業の経常損益が黒字に転じたということですが、これは景気の底入れ、底打ちを改めて確認したというご認識なのか、まだ二番底の懸念は消えていないとお考えなのか、大臣のお考えをお聞かせ下さい。

答)

あの数字は楽観的に見てもいけないし、悲観的に見てもいけない。いわば日本の経済全体が底抜けしないという意味での消極的な評価をいただけるものではないかと、そういうように解釈しております。

問)

今、民主党の方では財源をどうやってひねり出すかということを考えていらっしゃるんですけれども、一般論としてで結構なんですけども、補正予算にしても当初予算にしても事業を停止した場合に、そこを財源としてすることが出来るのか。それとも、決めていた事業を停止した以上、借金までして決めた事業ですから、国債で借りる借金を減らすべきなのか、そこについての大臣のお考えはどうでしょうか。

答)

まず、政府がやっている事業というのは多岐にわたりますから、なかなか今のご質問に一般論としてこうですというお答えが出来ないのは大変申しわけないんですが、やはり事例に応じてそれぞれ判断していくしかないと思っております。例えば、予算や補正予算が通って事業をやっていると。これは、実は地方の予算との関連で事業として成り立っているという場合、中央政府が遡及的に物事を変更していいのかどうか。地方議会の意思、地方住民の意思というものが地方議会での予算の審議、条例の審査で出来上がってしまっているような場合、そういうものまで変えることが出来るのかという、法律論でもあるし政治論でもある問題があるわけです。ですから、我々としてはベストを尽くして予算も作り、補正予算も作ったわけですが、政権につかれましたら、財務省はもとよりあらゆる情報開示をして、あるいは執行状況等も分かる限度いっぱいで新政権に、あるいは新政権の財務大臣にお示しするわけですから、その上でご判断いただければと思っております。

問)

G20の関係なんですけれども、今日、一部で報道があったんですが、アメリカとヨーロッパが排出権取引の国際市場を提案するという報道が一部あって、そうなると、日本は国内市場も整備出来ていない段階で議論は相当遅れることになりかねないと思うんですが、その事実関係と大臣のお考えについては如何でしょうか。

答)

私、実はこの排出権市場というのはあまり詳しくないわけです。何か人によっては、これは第2、第3のデリバティブだという方もおられるので、これについてはやはり世界の環境問題としてとらえる部分と、世界の金融デリバティブ市場の問題としてとらえる側面と、政治的な問題としてとらえる側面、やっぱり総合的に政府の、あるいは政治の判断が求められるところではないかと思っております。

(以上)

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