与謝野財務大臣兼金融担当大臣臨時閣議後記者会見の概要
(平成21年9月16日(水)9時37分~10時00分 場所:財務省会見室)
【冒頭発言】
本日9時から開かれました閣議において麻生内閣が総辞職をいたしました。約1年間皆様方にお世話になりましたことを冒頭感謝を申し上げたいと思っております。本日従いまして私の役目も終わる、そういうことでございます。ありがとうございました。
【質疑応答】
- 問)
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今日最後の会見ということですが、改めて任期を振り返られてご感想をお願い出来ますでしょうか。
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総裁選挙をやっている最中にリーマン・ブラザーズが破綻をするということがあって、それ以来、世界の金融はご存じのように信用不安、信用収縮、また日本の金融機関もいわゆるクレジット・クランチというものを経験したわけです。昨年の秋は特にひどくて、本当に名のある会社が資金繰りの困難に直面しているというふうな話もあって、非常に我々不安を募らせていた。また株価も低迷をして2-3月は7,000円をちょっと超えるという水準まで行ってしまった。昨年10月以降半年間ぐらいは輸出が約半減したということで、外需の部分がはげ落ちるということがありまして、日本経済の全体の行方がどうなるかと、政府も財界の方も国家がみんな心配したわけですが、一応色々な施策をやって国会でご承認をいただき、また世界経済も国際協調路線の中で各国が非常に協力し合った。これが功を奏して信用不安も随分和らいだと思っております。従いまして麻生内閣がやりました経済政策は、いまだ評価は最終的なものは定まらないにしても、当面の危機は脱したという点では評価を是非していただければと思っております。
- 問)
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ご自身として何かやり残したことという思いがあるのであれば、それを伺いたいのと、あと民主党を中心とする新しい政権に対して望むことは何か、この2点をお願いします。
- 答)
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私は梶山静六先生が官房長官をやっている時に官房副長官をやっておりまして、その時から梶山官房長官が財政再建をやろうということで、今この財務省で最高幹部になっておられる方々と一緒に財政再建法の第1号を作った、また骨太2006も作った、あるいは昨年の財政に関する中期プログラムを作った、こういう意味でやはり財政の健全性というのは政治にとって大きなテーマだという認識を持ちながらやってきた私としては、引き続き政治の中で財政の重要性が正当に議論されることを強く望んでおりますし、民主党の方々も一旦政権の座に座られて国を運営するということになりますと、やはり税財政の重要性というのは現実の問題として考えざるを得なくなる。その時により客観的、理性的な判断が出てくることを私は期待して止みません。
- 問)
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次の財務大臣に藤井さんが内定したということなんですが、これについてのご感想をいただけますでしょうか。
- 答)
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藤井さんとは仲良しなので、本当に胸襟を開いて今までお話し合いをしてまいりましたので大変適任の方がなられると思っております。藤井さんは多分財政再建のことは、財政健全化のことは何から何までお分かりの方なので、特に何か申し上げるということはございません。
- 問)
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金融担当大臣ですが、郵政問題と兼ねられますが亀井さんということで、これについてもご感想をいただけますでしょうか。
- 答)
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亀井さんと金融というのはあまりイメージとして結びつかないんですが、亀井さんは実際は自民党の政調会長をやっておられて政策には極めて明るい方なので、多分難なくこなされると思っております。
- 問)
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その亀井静香さんが新しい金融担当大臣に内定されましたが、昨日の会見で、新しい政策の中で融資の返済を猶予する、いわゆる利払いだけすればいいというような貸し渋り・貸しはがし法案みたいなものを早急にやりたいというのを表明されています。それについてのご見解と、あと今回、藤井さんと亀井さんで財金が分かれることになったことについて改めてご見解があれば教えてください。
- 答)
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民間の金融機関に向かって元本の返済を3年間リスケジュールしろという話をまず命令出来るかどうかという法律上の問題があります。既存の契約の変更を法律で命じることが出来るのかどうか、そういう法技術的な問題があって、仮に命令出来た時にデフォルトを起こしたという場合は誰の責任にするのかというような問題もあるので、徳川時代の徳政令みたいな話かなと思っているんですけれども、そういう点は民法上の原則とか政府の保証というのがどこまで及ぶのかと、これは法律上の問題、予算上の問題、よくご検討されてやられたらといいと思っています。そのこと自体、技術的に可能であって、なおかつ社会的、経済的な必要性があるという判断は判断としてあるんだろうと思っています。
財金分離というのは、役所が違っちゃうと財務省のカルチャーと金融庁のカルチャーというのは違っちゃっているので、1人の大臣がやっていたからカルチャーが近づくかといったら、そんなことはない。金融危機なんかの時はお金を持っている財務大臣と金融担当大臣が一緒だと便利だということは言えるんですけれども、1人でやっても2人でやってもそう差異はないんだろうと思っています。
- 問)
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大臣はこの大臣在任中にいったん宗旨替え、衣を脱がれて財政出動を主導されてきたわけですけれども、今後、野党には転じられますけれども、この財政再建の問題を野党の政治家としてどのようにご発言されて、考えていかれるか、改めてお聞かせください。
- 答)
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やっぱり日本の財政の状況というのは、1年2年で直るはずもないようなひどい状況になっている。ですから10年後どうするのか、20年後どうするのか、中期的あるいは長期的に財政再建目標を立てて、そちらの方向に少しずつ進むと、そういう意思を政治が鮮明にする必要があると思っております。今年の春、税法の附則で通しました中期プログラムも、そんながっちりしたスケジュールではないですけれども、やはり一定の方向性を示していると。そのためには歳出・歳入一体的な改革が必要だということで、政権をとられれば、いずれ民主党も財政再建目標、それに至る道筋、こういうものをお示しになるということにならざるを得ないと私は思っております。
- 問)
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民主党が脱官僚ということを掲げているのですが、大臣はこの1年間、3大臣を兼務されて、政治と官僚の距離はどうあるべきか。またこの1年間感じられた官僚の仕事ぶりについてはどう評価されておりますでしょうか。
- 答)
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政治家と官僚というのは感情や情実でつながるべき部分ではなくて、やはり理性と理論の部分でつながらなきゃいけないと思っています。それで時々、官僚指導という言葉が使われたんですけれども、今回民主党が脱官僚と言われている以上、物事の方向性をきっちり出す、それに関する資料を作ったりというか、雑事をやったりというのは、それは官僚が得意な分野でやったらいいと思うし、なおかつ方向性を出しただけでは駄目なので、出した方向性についてはきちんと政治が責任を取ると、これがやはり本当の政治主導という言葉だと思っております。従いまして、民主党から我々が気がつかなかったような新しいアイデアとか、新しい発想が出てくるということを国民は期待しておられますし、官僚の方々もそういうフレキシブルなアイデアが出てくることを多くの官庁が期待しているのではないかと、私はそう思っております。
- 問)
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この1年間の官僚の仕事ぶりについてはどう評価されておりますか。民主党が言うように政治が主導しなければいけないような問題点があったかどうかということは、いかがでしょうか。
- 答)
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昨年の2度の補正、今年の当初予算、今年の補正予算、全部これは政治主導で作りました。そういう意味で官僚が作ったものとは違う。もちろん技術的なスクリーニングはやりましたけれども、やっぱり基本的には政治が主導的な立場で物事をやってきた1年だったと思っています。
- 問)
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実際に間もなく鳩山さんが首班指名されると、自民党から民主党に政権交代が起きるということなんですが、その政権交代が起きたということを実際どのような時に一番実感するかということと、党派は別にして政権交代が実際に起きるような世の中になったことについてはどうお考えになるでしょうか。
- 答)
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どこで実感するか、多分、今日、本会議場に行って実感するんじゃないかなと思っています。政権交代というのは別にそんな驚く話ではなくて、恐らくこれから行ったり来たりということになるんじゃないかなと思っています。
- 問)
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政府と日銀の意思疎通のあり方についてお伺いしたいんですけれども、新しい民主党政権になりましたらば諮問会議を廃止する方針が決まっていますが、これまでは政府と日銀の間では月例経済報告の関係閣僚会議ですとか、少なくとも月2回の諮問会議、計月3回程度意見交換をする場があったんですけれども、これが減ることによる弊害ですとか、回数ではないと思うんですけれども、政府と日銀の意思疎通のあり方について今後何かサジェスチョンがございましたらお願いしたいんですけれども。
- 答)
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日銀法では日銀の独立性を掲げていると同時に、政府と日銀は協力するという話も実は一方で書いてあります。これは政策決定会合の時には財務大臣、今までは経済政策担当大臣が出席をして発言することが出来た。あるいは政策決定を延期してほしいという権限は一応日銀法上与えられているわけで、これが形式的にはそうなんですけれども、それ以外にやっぱり財務省あるいは金融庁等々と事務方同士でよく情報を交換し、世界情勢を研究しというのは、それは今まで通りきちんとやられた方がいいのではないかと思っております。ただ、新しく出来た日銀法も10何年になりますけれども、やっぱり金融政策と政治との間に一定の距離感を置こうという、世界のほとんど標準になっているような考え方を日本でも取り入れたと。それは今のところうまく動いているのではないかと思いますし、新財務大臣になられる藤井先生もその辺のところは非常によくお分かりの方でございます。
- 問)
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自民党の総裁選なんですが、谷垣さんが立候補を表明されました。大臣はこれまで30代、40代、50代という若手が望ましいということをたびたび発言されたかと思いますが、谷垣さんについての評価、感想はいかがですか。
- 答)
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物事を順番よく考えているので、総裁選挙の話は首班指名が終わってから考えようということで、今全く感想がないのと、党内情勢をよく勉強していないという問題があるんですけれども、避けなきゃいけないのは派閥の大御所が集まって、ああでもないこうでもないと決めること、これは避けなきゃいけない。やっぱりさわやかに総裁選挙をスタートさせて、全国の党員で物を決めていただく、これがいいんじゃないかなと思っています。出来れば30代でも40代でも50代でも若い方にやっていただきたいなというのが私の変わらざる気持ちです。
- 問)
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今日が最後の閣議となったわけですが、麻生総理からはどのようなお話がありましたでしょうか。
- 答)
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閣僚懇の発言は多分官房長官からご紹介になると思います。
長い間お世話になりました。ありがとうございました。
(以上)