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亀井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成21年11月13日(金)9時03分~9時28分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日の閣議は、別に皆さん方に報告するようなことはございません。

【質疑応答】

問)

今日、貸金業法改正のプロジェクトチームが設置されるということなのですが、以前、大臣は、「運用(上)の検討をしていく」とおっしゃっていましたが、プロジェクトチームの設置というのは、どういう狙いがあって、あと、主な議論のテーマはどのようなところにしていくのか、というのを教えてください。

答)

これは、6月の法律の施行に向かって、それを施行するに当たっての運用上のいろいろな問題点があるのか、ないのか。恐らく、「ない」というわけはないと思うのだけれども、そういうことをこの際検討して、施行についてできるだけ万全を期したい、ということで、大塚(副大臣)君があれになって今日から始めています。彼も忙しいですね。

問)

「運用上の検討」と、今、おっしゃっていましたが、具体的に、今の時点で「ここが問題だ」と大臣が感じられている部分というのはあるのでしょうか。

答)

一つは、この総量規制があるけれども、多重債務者に関しての情報というのが一元化されている状況ではないから、そのあたりの実態がどうなっていて、運用上どうすればそうした問題がスムーズに解決できるか、というようなことも一つの問題点だろうと思います。とにかく、政府系金融機関や普通の金融機関がきちんとこの融資をしていくということが基本なので。それがなかなかされていかないので、そういうところに行くべき人が高利のサラ金にお金を借りている、という実態がありますから、前から言っているように、日本の金融機関が、これは政府系金融機関を含めて、残念ながら、今まで本来の機能を果たしていない状況があります。これを直さなければ駄目ですね。そういう面について、金融庁も、今度、(金融)検査マニュアルを、今、本当に抜本的に変えますから、それを今、検討している最中ですけれども、金融検査のあり方を含めて、そうした日本の金融が機能をきちんと果たしているのかどうか、ということをきちんとしないでおいて、そういう貸金業についてのそういう改正をやっても、これはいろいろな問題が起きてくるので、そういうことが、私は基本的には大事だと思っていますよ。そのことを抜きにして「どうだこうだ」と言っていてもしょうがない。

問)

今、お話にも出ました金融検査マニュアルの改定についてなのですが、「早ければ今週中にもまとまる、大臣のところにも報告が上がるだろう」とおっしゃっていたのですけれども、現在の進捗状況はいかがでしょうか。

答)

大塚副大臣のところに、事務レベルで検討している状況が来ているようですけれども、再度、私は、大塚大臣に、「もう金融検査の理念、思想ががらっと変わっていくわけだから、それに基づいた新たなマニュアルをつくるというような気持ちでやらないと、一部手直しをするみたいな話ではない」ということを、この間、言っておきましたから。だから、今日は持ってこないのではないかなと思いますね。そういうことで、ついこの間、私は「そういう形で上げてこないと、パーッと放り投げるよ」ということを言っておきましたので、今、一生懸命やっているのではないですか。

問)

貸金業(法)について、総量規制であるとか、あるいは上限金利の引き下げについては見直すお考えがない、ということでよろしいのでしょうか。

答)

さっきも冒頭にも言ったけれども、現時点で、私は、そういうことよりも、今の政府系金融機関を含めて、金融機関がきちんとした融資行動をしていくということをやっていくべきであって、そういう中で、今の改正(貸金業)法、これについてのスムーズな実施が行われれば良いと思っています。

問)

貸金業のことなのですけれども、いわゆる、個人で営業されているような小さな事業者の方で、消費者金融から借りていて、ここしばらくの規制強化で借りられなくなっている方が随分いらっしゃるという話になっているのです。そういった方に向けての対策であるとか、セーフティネット的な融資だとか、そういったものまで今回のワーキングチームで検討されるようなお考えはありますでしょうか。

答)

いや、だから、今、申し上げたと思うのだけれども、そうした少額の融資、緊急的な融資、そういうものに対してもちゃんと応じることができる態勢をつくるのが国の責任です。だから、またこれは、政府系金融機関を含めて、民間金融機関の責任なのですよね。自分たちが高利の利益を得れば良いみたいなこと、ハイリスク・ハイリターンみたいなことでやっていって解決する問題ではない。ヤミ金にどんどん流れていくようなことがあるとすれば、これはまさに、日本の金融政策全体が間違っているということになるのです、基本的には。

問)

そういった少額の融資についての新しい対策をつくるといいますか、激変緩和措置というのですか、そういうものを…。

答)

激変緩和ということではなくて、そんな小手先のことを考えているわけではないのです。だから、私は、「金融思想は変わった」と言っているのですよ。あなたの社の金融思想と違うんです。わかりましたか。(隣席の)そちらの社とも違うんです。しかし、そちらの社なんかは変わってきましたよね。私の金融思想にだいぶ理解を示すというか、変わってきました。あ、首を振っているから違うのですかね(笑)。よくわからないですね。

問)

金融以外の話で、今日、オバマ(米)大統領が来られて、その訪日に関してご感想があれば、というのと、いわゆる原爆の被災地という、広島とかの訪問が期待されていたようなのですが、現状、ちょっと厳しいという見方もありますけれども、そのオバマさんの核廃絶への取組み等を含め、ご所見があれば教えてください。

答)

私は、5月の連休明けに、もう政権を代えることができるのは必至だと判断したから、国会をサボってワシントンに飛んで行って、オバマ政権のセイモア調整官、アジア担当のベイダー大統領特別補佐官などにも会って言ったのは、「今までのオバマ大統領の核廃絶への強いアピールを大変評価する。しかし、それにさらに重みを持たせるためにも、「謝ってくれ」とまでは言わないけれども、広島の原爆記念碑の前で核廃絶のアピールをされれば、大統領の重み、真意が世界につながっていくだろう、広がっていくだろう」というアドバイスをしたら、2人とも真剣に、「これは良いご提案をいただいた。大統領に伝えて、大統領の訪日のスケジュールも非常に厳しいことが予想されるので、今ここで、ミスター亀井に「やります」などと私の立場で言えないけれども、真剣に前向きに大統領と協議します」ということは言っていましたね。

鳩山総理との間で、日本とアメリカとの関係はもちろんだけれども、この世界をどうするかという、そういう両国の責任のある共通の立場から、世界全体をどうするのか、アジアをどうするのか、という大きな視点からの意見交換をやってもらいたいと思います。

問)

確認のためなのですけれども、総量規制の延期は可能ですか。

答)

どういう意味ですか。よくわからないです。

問)

「今度の制度の見直しを検討する」とおっしゃったのですけれども、総量規制が来年6月に実施されると期待しているのですけれども、この延期は協議の中で可能ですか。

答)

私は考えていません。

問)

今日、貸金のプロジェクトチームが検討を始めますけれども、これはいつまでに結論を得るのでしょうか。

答)

「いつまで」ということは別に、来年6月が実施ですから。だから、実施について環境を整備していくことですから、「何日までにやれ」という性質のものではないです。6月より先(あと)になっては困るけれども。対応すべきものは、出来るだけ早く対応した方が良いことはあるけれども、これは検討次第ですよね。検討の結果、どういう対応をするか、というのが決まっていくものですから、今から期限をつけて、1週間以内だとか2週間だとか、そんな性格のものではないですよね。

問)

いわゆる危機対応策で、日銀がCPの買取りをやめる、という話がある一方で、財務省といいますか、政策投資銀行は継続する、ということをどうも決めるようなのですけれども、これは財務省、政策投資銀行の考え方のほうがまっとうであるととればよろしいでしょうか。

答)

私は、非常に控え目な男ですから、よその省庁その他について、そんなことをどうこう言うつもりはないけれども、日銀がもっと実体経済をしっかりと見なければ駄目ですね。私も長い間、政治家をやっているけれども、かつて自民党の政調会長という形で、日銀の政策その他についてもいろいろな形であれしたこともあるけれども、もっと現実を、経済の底流を見る目を持たなければ駄目ですね。私は、数字だけを判断したら駄目だと思います。数字の奥にあるものを見る力が日銀にあるかどうかが大事なのだけれども、見ていると、どうも、それがちょっと弱いのではないですか。これは、今始まったことではないけれども。

問)

日銀としては、多分、CPに関係するのは大企業が多いですから、大企業のほうはもう大体大丈夫だから、という判断だと聞いていますけれども…。

答)

いや、「大企業は大丈夫だ」と言って、大企業がちゃんとした経営をやっていて大丈夫なら良いけれども、何でも下請いじめをして、「下請の中小・零細企業に入っていく利益を大企業がポケットに入れてしまっているという経済構造を変えなければ駄目だ」ということは、私は前から言っているでしょう。国民経済全体が活性化して上向いているのかどうか、ということを考えないと、上面だけ、上澄みだけ良くなってきていたって、その下部構造が弱ってしまっていれば日本経済全体としてはどうしようもないのですね。上部構造などはすぐ動いてしまうのです、こんなものは。そういう意味でも、トータルな判断を。それが大企業というのは、いざなぎ景気とかといって、各(々)合わせれば、内部留保だって100兆円以上ではないですか。ポケットの中に入れて持っているのですから。そういうことだけをもって、私は判断すべきではないと。

昨日も私のところにだいぶ電話もあったけれども、やはり大企業から地方の中小企業への発注が急激に落ちていますよ。悲鳴を上げている電話が、私のところにもだいぶかかってきましたね。トータルの数字でも、「設備投資の力が弱い」と言っているけれども、「大企業から仕事が来ない」と言って、悲鳴を上げているのではないですか。部品、その他を受けるでしょう。そこが、仕事がバーッと来なくなったと言っていたな…。昨日、新潟からもかかってきたし、いろいろなところからかかってきていましたね、私のところに。

それは、アメリカの外需にしても、アメリカは失業率が上がっているでしょう。そういうことの中で、アメリカの富裕層だけの消費とか、いわゆる民間企業の、消費、設備投資、そういうものが本当に堅調に今の状況から抜けていけるのか、ということになると、アメリカ自身が、これは所得、失業率を含めてトータルに上がっていく状況がないと、日本からの輸出だってそんなに伸びないですよ。だから、アメリカが冷えているわけだから、そういう中で、鳩山総理の言っている「外需よりも内需を重視」、これは正しいのです。だけど、その内需をどう出していくか、という努力をしないで、「内需は大事だ、大事だ」と言っているだけでは内需は出てこないのです。

具体的な、今、来年度予算編成に向けての(事業)仕分けをやっているけれども、私は、そうした、経済を成長させていくという視点からの仕分けがなされているかどうか、ということも一つのポイントだろうと思います。仕分け人が、ただ「不要だ」と言うことだけでの仕分け。これも大事です。不要なものを切っていくことは大事だけれども、同時に、この事業は経済を成長させていく、国民生活をちゃんとプラスに向けていく、そういう力がこの予算要求の中にあるのかどうか、という判断を、やはり仕分けの中でしていくということを、1時間の中でやっているのですかね。ちょっと心配なところはありますね(笑)。

だから、そういうことを含めて、来年度予算編成、1月に予定された補正予算等を含めて、中身で内需を拡大できるのかできないのか、セーフティネットだけで内需が出てくるのか、子ども手当だけで内需が出てくるのか、そういう、非常に現実的な判断をしながら予算編成に取り組んでいかなければいけないと思います。総理にも、また基本政策(閣僚)委員会も開くようですから、そういう全体についても、私の立場から、(単に)一閣僚というのではなくて、そういう立場からも話をしようとは思っていますけれども。

問)

会計の話なのですけれども、以前もお伺いしたかもしれないのですが、国際会計基準の関係で、今のところ、2012年をめどに、上場企業、割合大きな会社だと思うのですけれども、そこを対象に国際会計基準を適用するか決めると。3年後ですけれども、そういうスケジュール感はあるのですが、これについては、今のところは変えないのか。それとも、そもそもそれも変えようというお考えなのか。

答)

これは、今はグローバルな時代ですから、理想で言えば、世界中の会社が同じような会計基準でやったほうが便利であることは間違いないです。しかし、それぞれの国の経済には、個性もあれば歴史的な経緯もある中で会社を営んでいるわけですから、そういう意味で、金太郎飴のようにピシッと日本の企業の企業会計を合わせていかなければならない、ということではないと私は思うのです。時間をかけて、世界で、日本だけを合わせるというのではなく、世界も合わせなければいけないわけでしょう。世界中が一つの方向にまとまっていくということは良いことですけれども、何か世界のものがあって、日本がそれに合わせていけば良いというものではないので。逆に言うと、世界の企業会計基準を日本が引っ張っていくぐらいの経済力が日本になければいけないのです。

問)

その議論の中で、要するに、適用するなり、(議論の)中に入って日本基準に引っ張ってくるぐらいの勢いで交渉するというやり方と、そもそも全く受け入れない、「日本基準でいきます」というやり方と、2種類あるような気がするのですけれども。

答)

2種類って、単にきちんと大根を切るみたいに分けるものでもないけれども、これは、「日本だけが特別な道を歩みますよ」というわけにはいかないですね。もう国際取引もして、いろいろなこともやっているわけですから。そうはいかないけれども、もう短絡的に外国に切り目を合わせていけば良いというものでもない。

問)

今のところは、2012年とまだ先の話なのですが、今、出ているそのスケジュール自体を白紙にするという考えではない…。

答)

そういう気はありません。だから、それは日本だけのひとり相撲ではないですからね。

問)

事業仕分けなのですけれども、仕分け人について国民新党は、「国民新党から入れてほしい」というのと…。

答)

「入れてほしい」などと言わないですよ、全然。

問)

あと、外国人、市場主義者のような人がいるので、差し替えを要望されておりましたけれども。前者については亀井亜紀子(参議院議員)さんが入るようですが、差し替えというのはされないようですけれども、その結果については納得されていますでしょうか。

答)

別に私は、うち(国民新党)の者を入れるとか入れないとか、そんな次元の話をしているのではないので。そうした、いわば予算編成の一過程としてそういうことをやっていくことについて、その中に、仕分け人という中に外国人を入れていくということはどういうことなのだと。何と言ったって、これは権力の行使ですよ。鳩山(総理)さんが、所信表明演説でも「いわゆる弱肉強食の市場原理至上主義と決別する」ということを言っているでしょう。総理自らが言っておられるわけですから。そのもとでの予算編成の作業というものを。やはり政策とは予算なのです。そういう総理が否定しているものを信奉してどんどん推進してきた、それに手を貸してきた人を、そういうこと(事業仕分け)に入れていくということについて、「どういうことなのだろう」ということを私は言っているのです。だから、仙谷(行政刷新担当大臣)さんのほうから「亀井亜紀子を入れてください」ということで、うちの政調会長が「では入りましょう」と言った、ということを聞いたから、「それは結構だ」と。

そういうことではなくて、菅(副総理)さんが「開くよ」と言うから、今度の基本政策(閣僚)委員会で話をしようと思うけれども、やはり、補正予算、来年度予算編成に向けて3党でどうやってそれをやっていくのか、という一つの仕組みをきちんと明確にしてもらった方が良いだろうと。基本政策(閣僚)委員会で、でき上がったものを持ってこられて「了承しろ」と言われたって、私みたいな阿呆な頭で、そんな一瞬で判断できるわけはないので。そのつくり上げていく過程の中に、やはり国民新党、社民党もきちんとコミットしていてはじめて3党の協力の中、合意の中で予算ができ上がっていくわけで、こちら(国民新党、社民党)は全然コミットしないでいて、ポッと基本政策(閣僚)委員会で、「できましたから見ておいてください。閣議に出します」と言われても困ってしまうわけですね。だから、「そういうことのないような一つのやり方を具体的に考えようではありませんか」ということは、今度、提起しようと思っています。

(以上)

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