亀井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(雑誌・フリー等の記者)

(平成21年11月13日(金)9時30分~10時05分 場所:金融庁大臣室)

【大臣より発言】

今日は、閣議で、何も皆さん方に申し上げるようなことは別にありません。

【質疑応答】

問)

フリーの高橋清隆と申します。

次年度予算の更なる削減に向け、事業仕分けが進んでいますが、財政政策の有効性をきちんとご認識の大臣としては、現在の進行状況をどのようにご覧になっていますでしょうか。

答)

いや、私は、(平野)官房長官にも菅(副総理)にも言ったのですけれども、補正予算にしても、来年度予算編成も3党連立のもとでされるわけですから、その仕組みをやはりきちんとされないと。仕分け人の中にも2党が入らない、仕分けの中身についても外国人が…。私は別に、偏見を、私は外国人大好きですから。金髪女性も大好きだけれども(笑)。偏見はないです。そうではなくて、誰だって考えればわかるので。皆さんお分かりのように、やはり予算編成というのは権力作用そのものですよね。「これは良い」、「これは悪い」みたいな仕分けについて、外国人がそれ(事業仕分け)をやるということについては、私は、「やはり基本がおかしいよ」ということを言っています。

それと鳩山さんの施政方針演説でも、「弱肉強食の市場原理至上主義の政治から決別をする」ということを、所信表明でもはっきり言っているわけですからね。ところが、小泉政権下、あるいは自公政権下で、それを慫慂(しょうよう)し、推進することを一生懸命やった人たちを、予算のそういう仕分けの中にコミットさせていくということは、やはり基本的な考え方としてはおかしいのではないかと。(だから)といって、政府が諮問委員会だとか審議会だとか、あるいは今度のような作業(事業仕分け)をやる場合のお手伝いに、金太郎飴みたいに同じような同質な人ばかりを使えなどと、私は、そんなことは考えない。考えないけれども、いわゆる政権の姿勢として、施政方針演説でおっしゃったことは、やはり明確にそういう具体的な仕事の中で示していかれないと。本当に決別されるのか、されないのか。そんなことをやっていたらわからないでしょう。だから、そういう極端な人を外して、あまりそうではない、しかし、いろいろな意見を持っている人などのお手伝いをいただくとか、やはり、そういうことをやるべきなのだろうと思うと。そういうことについても、2党には何ら相談がなかったわけですし、そういうことについて注意を喚起した、ということですけれども、菅(副総理)さんが、「今度、基本政策(閣僚)委員会を開きますから」ということを言っているので、そこで、補正あるいは来年度予算編成に向けて、これは3党政権でやるわけですから、「どういう予算編成を3党合意と3党作業の中でやっていくのか、そういう一つの仕組みなり道筋をちゃんと決めようではないか」ということを、私は、菅(副総理)さんには言っておきました。「わかりました」ということは言っていたけれどもね。(そう)でないと、国民新党や社民党抜きで、査定から、また実際の予算付けから全部やって、基本政策(閣僚)委員会で「これでできました。補正予算ができました。来年度予算ができました。はい、了承してください」と言われたって、こんなアホな頭で「ああ、結構です」と判断できるわけがないではないですか。やはり、それはきちんと、国民新党も社民党も、編成過程の中で3党合意に基づいてのいろいろな考え方を予算の中に入れていく、一緒に考える、というプロセスがないと。そういうのでは、「持ち帰らせてもらいます」、「ああ、では10日間ぐらい時間を下さい」になってしまう。それは、大塚(副大臣)君とか田村(大臣政務官)君のように頭脳明晰なら、その場で「おお、わかった」と言えるけれどもね。(そう)でないと、閣議決定できないですよ。(基本)政策(閣僚)委員会で認めないと、閣議決定できないのですから。だから、そういうことのないようにすることを考えたほうがよいのではないかと。今、(予算)査定の一環としての(プロセスの)中に両党が入っていないから、「そういう形で全部いってしまったら大変なことになるよ」という注意は喚起しておきました、ということです。

問)

フリーランスでやっております須田と申します。

今の事業仕分けに関してなのですが、この事業仕分け人というか、チーム、亀井(亜紀子 参議院)議員が入ったというのは、私は当然だと思いますけれども、これは、国会法上の規定に照らし合わせてみますと、国会議員の兼職禁止規定というのがありますよね。そこからすると、今の法律の枠組みの中では、要するに、権力を行使するこのチームの人たちというのは、国会法上、違反ではないかと。この辺は、国会法の改正であるとか、あるいは行政刷新会議の立法措置というのを講じる必要はないのでしょうか。

答)

政治主導ということで、政治家が、予算編成についても主導権を持ってやる、という意味でやっているのですから、私は、それには当たらないと思うのですけれども。とは言っても、仕分け人のお手伝いさんを見ていると、テレビ中継のもとで、ハッ、ハッ、と(即断すると)いうのが事実上の…。仙谷(行政刷新担当)大臣は、「それは最終決定ではない、最後は政治家が判断するんだ」と言っておられるけれども。先ほど言ったように、事実上、仕分けに対して強い影響力行使を外国人までしている、というようなことは、私はおかしいと思うけれども、国会議員というのは、あれではないですか。国会法等の関係でも、別に政治主導でやっているのですからね。

問)

でも、政府のメンバーになってしまいますよね。この辺はどうなのですか。

副大臣)

あれは、あくまで参考のために、まず仕分けをしていただいているという位置づけですから…。

問)

では、権限はない、ということでよろしいのですか。

副大臣)

これは、権限はないです。ただ、枝野(幸男 衆議院議員)さんたちも参加して、政治家も関わって、まず参考のための分類をしているので、当然、「その出た結果は参考にさせていただきたい」という建てつけですから、権限はないです。

問)

フリーの岩上です。

これは以前、私が質問させていただいた特別会計のお話なのですけれども、「ペーパーが手元にないので、ちょっと詳しくは話せないが、特別会計に切り込めば50兆円ぐらいのお金が出てくる」というお話で、「国民新党で調べてある」ということをおっしゃられていたと思うのですが、国民新党のほうに問い合わせて調べていただいて、事務局長さんから(資料を)お出しいただいたのですけれども、このペーパー1枚しかないということでした。伺っていたお話と若干イメージが違うのと、特別会計のほうから20兆円ずつ3年間借り入れて60兆円、一般会計に繰り込み、そして、それを用いて景気を浮揚させて、後々、10年かけて返済していくというか、特別会計のほうに返していくというような、どうも(そういう)イメージに見えるのですけれども、このことを指していらっしゃったのか。あるいは、この考えでよろしいのか。また、この考えが3党間ではどのように話し合われているのか、そのあたり、ぜひお話を伺いたいと思っています。

答)

簡単に言うと、特別会計というのは各省が抱えてしまっているでしょう。剰余金などが出てきたような場合でも、そのまま積んでいってしまうのですよ。だから、そこらを厳しくするのはもう言うまでもないけれども、積み立てなどしないで、これを予算の財源として使うとか、そういう、まず頭を切り替えていって、不急不要なもの、例えば、年金特別会計の積立金だって、百何十兆円あるでしょう。これは今すぐ年金を払うわけではないでしょう。その年金はもうおかしくなってしまっているのですけれども。そういうものを極端な言い方で言うと、例えば、ちゃんとした予算をつくって、経済が活性化して税収が上がってくれば、年金財源だってつくれるわけですよ。だから、政治的に考えるのではなくて、財源なるものは、幾らでも膨れたり縮んだりするのです。それは、特別会計で幾ら年金などを積み上げてみたところで、経済全体がずっと収縮していってしまったら、少々の年金を積み上げても年金が支払えなくなってしまうのです。だから、そういう面で言うと、年金などの今の制度は変えなければいけない。この政権は、変えると言っているのですけれども、今の制度を当面運用するという中で、では、どれだけお金が必要なのか。そうすると、この部分は別にこの中から引っ張り出して一般会計的に使っていったって良いのではないか、という運用も、知恵も出てくるわけです。だから、そういうことをやはり弾力的にやっていかないと、積み立てたものが将来使えなくなる危険性があっても、そのまま積んでおくと(いうのはいかがか)。

そういう、例えば、家の中ではそうでしょう。話が長くなるけれども、例えば、将来、子供が学校に行くのに学資を積み立てておく。子供が大きくなって学校に行かなければいけないからどうすれば良いかと。(だから)積み立てておくと。それは神棚のそばに置いてこうやって積み立てて。これも大事なのですけれども、いくらそれを積み立ててみたって、お父さんの稼ぎが悪くなってしまったら、お父さんが病気になってしまったら、神棚に積んでいたその積立て自身の意味がなくなってしまうのです。だから、それをちゃんと使えるようにするためにも、現にお父さんが病気でどうしようもなければ、その中から一部使って、お父さんに卵を食べてもらい、肉を食べてもらい、酒が好きならちょっとは酒を飲んでもらって、元気を出して働いてもらうということを考えなければいけないのです。そういうことをやらないで、特別会計やその他に積み立てていってしまっていると。今の、こんなことを言っては話がちょっと横へ飛ぶけれども、税収がこれしか上がらないから国債が840~850兆円になってしまって、そういう重圧があるから、もうこれ以上借銭はしてはいけないから、だからお父さん、「もう肉は駄目よ、何も駄目よ、おかゆだけよ」というようなことをやったら、それは一家がもたなくなりますよ、長期的に。

だからそこを、国民新党が言っているのはそうではなくて、「家計全体を豊かにして活力があるようにするためには、やはり働き手が働けるようにしなければ駄目だ」と言っているのです。お父さんが元気になれば、お母さんも元気になって、一家の収入が増えるような状況をつくらなければ駄目だと。だから、それで鳩山総理にも言うのですけれども、それは「子ども手当も良いけれども、そういうことも良いけれども、お父さんがやはり病気になったり、職がなくなったり、お母さんが亡くなったりしてしまったら、いくら子供が隣のお父さんやお母さんから少々お小遣いを貰ったって、それでは食べていけないのです。やっていけないのです。やはり一家としての収入が増えていくということをやらなければ駄目ですよ」ということを、もう閣僚懇でも私はずっと前から言っているのです。その視点がないと、やはり一家の経営がうまくいかないのと同じで、国の経営もうまくいかないのです。

だから、これは、特別会計だって同じなのです。これは、やはり貯金なのです、こんなものは。だから、今、一時的にあれしても、それは弾力的に、それで経済が活性化していくなら、国民生活がちゃんとしていくなら、一部流用したって構わないぐらいの判断で、特別会計と一般会計を一体的に考えていかなければいけない。残念ながら、今までは、私も(自民党)政調会長もやっていたけれども、それを、もう特別会計は別だと、不急不要であろうが、余っていようが、もうそれは関係ないのだと(決めつけている)。片方で、これは一般会計が「入るをもって出ずるを制す」という形で運用してしまっているでしょう。そうではなくて一体的に、神棚に置いている子供のための貯金でも、お父さんが稼いでくる収入も、基本的には一緒なのです。というのが国民新党の考え方であり、私の考え方でもある。これは、金融(担当)大臣としての立場で、政府としての立場で言っているのではありませんよ。そういうことで、私は総理にも、連立ですからね…。

問)

「お父さんの弱った体に滋養のあるものを」という比喩で大臣がおっしゃられているのは、例えば、地方の建設業に対する予算配分とか、そういったことを指すのでしょうか。

答)

だから、私は菅(副総理)や総理などにも言っているのですけれども。またちょっと一度、私は総理に会って具体的な話をしなければいけないと思っているのです。やはり、スクラップだけではなくてビルド、これは原口(総務大臣)も前原(国土交通大臣)も閣議でしょっちゅう言っていますよ。だから、やはり無駄なもの、不急なものは切っていかなければいけないけれども、同時に、やはり、切るだけではなくて元気が出る手立てをしなければいけないわけです。だから、個々の家庭を豊かにすることは大事なことなのです。自民党がやらなかったことを、(自民党は)団体だとか、まとめて面倒を見ているでしょう。(他方、)やはり、民主党政権が優れているという点は、もとは個だ、家庭だと。また、家庭を構成している一人一人だと。それを大事にして豊かにすることが、やはり基本だと。これを忘れていたのではないかと。それを忘れて、前の道路だけ広げてあれしていくことばかり考えていたけれども、家庭の中の生活をちゃんとすることが大事ではないか、という視点は正しいと思うのですよ。

だけれども、さはさりながら、やはり前の道路ももうぐしゃぐしゃになって、ちょっと台風が来れば崩れるような状況にしていたら生活ができなくなるわけです。だから、個々の家庭の中の生活を豊かにしていくという、高校のあれ(授業料)の(実質)無償化、子ども手当も良いですよ。やはり、そういうこともやると同時にそうしたことをやることは、決して無駄なことではないのです。目の前に、そんなに大きな道路は必要もないのに大きい道路にして、水も井戸であれちゃんと(供給)されているのに、大きい水槽をつくって必要もない水を供給するような、そんなことをやったら、「そのメーカーが助かるとか、儲かるから」と言って、そういうことなどをやる必要はない。だけれども、やはりちゃんと水が飲めるのか、井戸から汲み上げできるのか、ということは考えなければいけないわけです。

だから、そういう意味での社会資本の整備を含めて、無駄ではないものがあるのではないかと。だから、この間、私は、菅(副総理)にも言ったのです。「例えば、エコ住宅をやったらどうだ」と。エコカーとか、いろいろやっているでしょう。あれも、非常にある程度効果が出ましたよね。そうすると、住宅だって、今、(新設住宅着工戸数は年率換算で)74~75万(戸)でしょう。一時、130万(戸)ぐらいだったのが、そこまで落ちてしまったでしょう。これなども100年もつかどうかは別として、ちゃんとした日本の森林資源もきちんと活用するようなことを含めて、エコ住宅を思い切って推進していくことに対して、補助金を自由に出していくようなことをやっていくということは、決して無駄なことではないのです。やはり、そういうようなことをやっていけば、これは直に内需に出てくるわけです。子ども手当だけではなくて、雇用も生まれるわけでしょう。

だからそういうことを、例えば、地方だったら、開かずの踏切がいっぱいあるわけでしょう。東京だってあるでしょう。そういうものを立体交差させるだとか、あるいは防災公園を地方の都市にもどんどんつくっていけば、地震が来ない間は、おじいちゃんやおばあちゃんや子どもの遊び場にもなるでしょう。緑がいっぱいにもなるわけですから、良くできているのです。あれは、環境大臣が見ているのですけれども、「環境をやる」と言っているのですから、これは農水省とのあれになるかもしれないけれども、例えば、町いっぱいの運動をやったら良いではないかと。植樹などはそんなにお金がかからないのですから、町いっぱいの、並木だけではなくて、日本中の都市を緑で埋めてしまう。そういうことは、何も無駄なことではないのです。これは、環境にもなるし、それで内需が出てくる。これは、ゼネコンの仕事ではない。地方の小さな庭をつくる。建設業(の関与する割合)は半分以下になるでしょう。

あるいは、がけ崩れその他、今、危ないところが何万カ所もありますよ。特に、九州などはシラス地帯ですから、ちょっと雨が降ると、私は出水のところのときにはすっ飛んで行ったのですけれども、あのとき、被災者の家族を新聞記者と間違えて私が怒鳴りつけたものだから、マスコミにだいぶ批判を受けてしまったけれどもね(笑)。ただ、なだらかなところですし、誰が考えても、素人が見れば土石流災害が起きそうな感じは特にないのです。ところが、さすが建設省です。危ないと思って、砂防ダムを上流に2つつくっていたのです。だから、あの程度で終わったのです。あの時は、あれがなければ、一挙にビィーッと割れて、物凄い被害を受けていたのです。だから、マスコミは「公共事業は悪い」というのは言うけれども、そういうことは書かないのですよ。

だから、そういうことを含めて、飲んだり食べたりも大事ですけれども、やはり、そういう地方の生活を守るための公共事業等とかはたくさんあるのです、そういったメニューは。

問)

「コンクリートから人へ」というスローガンを、非常に大きなスローガンとしてこの内閣は掲げているわけですけれども、つまり大臣は、「コンクリートと人のバランス」ということをおっしゃられているのですか。

答)

だって、この建物(金融庁)だって鉄筋とコンクリートでできているでしょう。それは、象徴的に言ったのですよ。鳩山総理が言ったのは、象徴的に。今まで必要もないのに、いわゆるそういう建物ばかりつくれば、これは市町村長もいけないのですよ。何とか会館とか何だかんだつくると、「仕事をした」と住民が思うから、数回しか使いもしないような会館をどんどんつくってみたりもしているし、そういう公共事業だって必要がないのもやはりやっているのです。私は(自民党)政調会長のときに、223の公共事業、ダムとか道路の事業をピシッと、私がやった(削減した)のは、約2兆8,000億円ですよ。威張るわけではないけれども、誰からも、総理から命令されたわけでもないし、何とか諮問会議をつくってやったわけではない。私の判断で2兆8,000億円、10日間でやったのですよ。

だから、それぐらい無駄なものがあるのです。だから、それ(スクラップ)はやらなければいけないけれども、今、言ったような、必要でかつ内需が出てくる事業がいくらなのか、今度、ちょっと私が具体的に総理に言いますから。そういう内需を出すこと、政府の直接支出で内需を創出する、ということをやはりやっていかないと、来年、この内閣は大変な話になってしまうと思います。それはだって、前政権というのは、102兆(円)の予算を組んだのでしょう。それを何か、今度、3兆を切ったやつで、その範囲内で1月に補正をやるとか、もう上限を決めてしまってみたいな話もあるでしょうけれども、それでは駄目なのです。来年度予算だって、「国債発行を抑えなければいけない」と、馬鹿みたいに「長期金利が上がった」だとか、また、今、下がってきているでしょう。その長期金利が上がった影響は出るけれども、だって、今年の6月ごろというのは1.5(%)ぐらいだったでしょう。今で1.3(%)ぐらいでしょう。だから、そういうものはあるけれども、トータルな政策をちゃんとしないと駄目なのです。

私は日銀とも長いつき合いがあるけれども、見ていて日銀が一番間違っているのは、一時的な数字だけにとらわれてやるから、日銀の判断がいつも間違えるのです。成長率だったら、その数字の中にあるものをちゃんと見ていかないと駄目ですよね。未来につながっていく成長率なのか、一時的な成長なのか、その成長の中身が、あなた方みたいな(恵まれた)方たちがお金持ちになっていくような中身なのか(笑)。そうではなくて、みんなが幸せになっていくような中身の成長率なのか、中身を見なければいけないのです。それをやらないで、数字(を見る)だけで、「後半で持ち直した」とか、そんなことを言っていては…。今も、下(会見室)の記者会見でも、そういう日本経済について、いざなぎ景気で、大企業は、本来なら下請のポケットに入るお金を召し上げて、従業員の分のポケットに入るお金を召し上げて、100兆円以上の内部留保をつくっているでしょう。そういう上澄みだけ見て、「日本経済は大丈夫だ」と言っては駄目なのです。それを支えている中小企業や零細企業、一般国民がどうなのか、ということを考えないと、日本経済の将来というのも倣え(ならえ)ないのです。

アメリカでもそうでしょう。大塚副大臣も思うと思うけれども、アメリカでは失業率が上がっているでしょう。所得だって上がっていないのですから。そういう状況の中で、本当に日本向けの、アメリカのいわゆる内需というのが増えていくのかといったら、これは、そんなに期待できませんよ。アメリカの政府支出で、日本のものをどんどん買ってくれるということにはならないですよ。やはり、アメリカ国民がそれだけの消費の力が出てこなければいけないのです。

そういうことを含めて、(経済を取り巻く)環境は非常に厳しいので、厳しい中で内需をどう出していくか、ということをもっと真剣に考えなければ、今度の政権は駄目なのです。あなた(大塚副大臣)なども、ちょっと言ってください。私は国民新党だから、私が言うとあれなので(笑)。あなた(大塚副大臣)が言うと影響力があるのですから。本当に私は、今、大変な危機感を持っているのです。それは、飲んだり食べたりだけでは生活できないのですよ。飲んだり食べたりもできなくなるのですよ。

問)

フリージャーナリストの佐々木実といいます。

昨日の朝日新聞の朝刊について伺いたいのですが、朝日を含め、一部の新聞が、ガイトナー(米)財務長官にインタビューをして、郵政事業の見直しについてもその中で質問があって、それに対して、亀井大臣が会見で反論したという…。

答)

私は、反論したのではないですよ。

問)

それで、要するに、「切実に日本が閉鎖的と思うなら、おれのところに来い」と。ただ、これはアメリカの政府の財務長官のコメントに対して、日本の担当の大臣が「おれのところに来い」というのは、要するに…。

答)

だから、「文句があれば」と言っているのですよ。

問)

というか、しゃべり方として、完全に礼を失していて、この大きな問題をやるのに全然緊張感がないのだなという、ちょっとがっかりした、スキャンダルみたいな記事だと思うのです。

答)

いや、そんなことはないですよ。

日本の金融政策なり、郵政を含めた政策について、アメリカがアメリカ経済に対しての影響とか、世界経済への影響について危惧(きぐ)があると思っておられるのなら、私に会見を求められれば良いのですよ。そういうことでしょう。来られればいいのであって…。

問)

それは言い方がありますよね。朝日(新聞)は意図的に、多分、そこをとっていると思うのですが…。

答)

私は乱暴者ですから。だけど、私はガイトナー(米財務長官)さんに直接そんな無礼なことを言っているつもりはないですよ。

問)

いや、でも新聞ではそうなってしまいましたよね。

副大臣)

(ここは)質問の場ですから。ご自分の意見を言う場ではないですからね。そこは、徹底してください。

答)

あなたは、「亀井が乱暴だから国際感覚がない」ということで批判すればいいけれども、そんなことを、それは「来い」と言ったって対等ですから、「come(カム)、 come(カム)」と言った、という話ではないですか、「来い」と言って…。

問)

でも、ガイトナー(米財務長官)が「亀井、来い」と言ったら、これは大問題ですよね。

副大臣)

こういうことになると成立しなくなりますよ、皆さん。やはり、みんな質問したいわけでしょう。こういうやりとりをしていたら、成立しなくなりますよ。それは、皆さんもジャーナリストだったら、ちゃんと考えなければ。

答)

「行儀が悪い」と言ったって、私はもともと行儀が悪いのですから。

問)

私は、そうは思っていないのです。

答)

今さら行儀良くはならないですよ。私は、アメリカにも乗り込んでいった(ときも)、セイモア大統領特別補佐官に、「亀井静香をCIAが暗殺しない限りは、新政権はあんたたちの言いなりにならない」と、これも行儀が悪い言い方ですよね。これを言ってきましたよ。

だから、それは、言葉というのはいろいろあるけれども、「私のやり方に対して異議があるならおいでください」ということを言っただけの話です。ああいう会見で短絡的な質問が来たから、そう言っただけの話でしょう。それをあなたが「マナーが悪い」と言うなら、私にマナーを躾(しつ)けてくださいよ(笑)。

問)

(月刊)リベラルタイムの大沼と申します。

郵政で、今後、第三分野、あるいは郵貯の限度額の引上げというのは、大臣はいかが考えておられますでしょうか。

答)

いや、これは、競争力。やはり民間とゆうちょ銀行とは競争力をイーブンにしていかないと、民間の金融機関が音を上げてしまうという面もありますし、一方では、預金者の立場ということもあるし、いろいろなことを考えて、判断しなければいけないことですけれども、今、これをすぐ郵政民営化の見直しの中で見直すなどということは、私は、別に考えているわけではありません。これは将来、ゆうちょ銀行の170兆(円)のお金を、今のように8割ぐらいですか、国債にこれを運用していくみたいな状況ではなくて、地域社会のため、日本経済全体のため、あるいは世界のために、それをどううまく使っていくか、という視点からも、これは検討しますから。そういうことを全体の中で考えていくところだけれども、今の1,000万円の枠を外すみたいなことを、今、考えているわけではありません。

問)

「財界」の大浦と申します。

今の国債の話に関連してなのですけれども、では、誰がその国債をどういう役割で買い支えていくのか、ということは、今後、議論を多くしていかなければいけないと思うのですが、これに対しては、誰に向けてメッセージを発信しようとか、今、具体的に考えていることはありますか。

答)

これは、国債というのは国が国民からお金を借りる話ですから、本来であれば、国民1人ひとりというか、これは買っていけば一番良い話ですけれども。それを金融機関が買ったり、いろいろな団体が買ったりしているわけですけれども、それを、ただ、郵便貯金があるからそこに引き受けさせれば良い、という、いわば義務みたいな形で課していくのではなくて、国債がもうちょっと多面的、多様的に国民から買ってもらえるようにしていく、というのが一番良いのではないですかね。

問)

幅広く国民に…。

答)

かつては、郵政民営化の一つの理屈はそうだったのですよね。ところが、全然関係ない、変わっていないですよね。純ちゃん(小泉純一郎元総理)がやった4年間でも、別に変わっているわけではないのですよ、全然。

問)

フリーの竹川と申します。

国民新党として、「日経225先物」の廃止を唱えていらっしゃったのですが、亀井大臣は、大臣になられてからもそのお考えは変わっていらっしゃらないのかどうかということと、民主党とその件に関して特に協議されたことはあるのでしょうか。

答)

いや、民主党とはあまりこの問題は協議していないでしょう。

副大臣)

していないです。

答)

全然していないと思いますよ。いろいろ証券業界の、今、デリバティブ商品ですとか、もう舌を噛むようなものばかり、なんだか分からないようなものがたくさん出ていますよね。うち(金融庁)の監督下にもあるわけですけれどもね。いろいろな金融派生商品で、どんどん知恵を出しながら、金融工学とかといって出ている。私はそれを否定しないですよ。そういうことをどんどんやることで、活性化につながるなら別に良いのですけれども、いわば「虚」の部分ですね。経済における「虚」の部分を、お互いに売り買いする中での利益というか、これがどんどん膨らんでいって、それが最終的には「実」の経済との関係で非常に隔離していった場合は、その分が跳ねてしまうのです。サブプライム・ローンがそうでしょう。そういうことが起きないような、やはり、基本的には、実体経済あっての金融経済なのです。

だから、そういう面では、そういう金融派生商品などについても、「これは良いアイデアが浮かんだ、これを商品化して売り出して儲けてやれ」ということだけを無制限にやっていて、プロとプロとの間でそうやって、「儲けた」、「損した」と言っている分は、まだ罪がないかもしれないけれども、それを一般の投資家にまで、「これは凄いな」というような形で、一般投資家までが、その危険性もわからないで吸引されていって踊り狂うというような、バブル化していってしまったら、これは大変な事態になるわけですから、そこらは金融庁としてよく見ておかなければいけない面だと思っています。そのことは、個々の商品について、私自身が中身を詳しく知っているわけではないけれども、特に、国民新党の検討の中で、やはりそういう意味で、私が、今、言ったような視点から取り上げたのではないかと思うけれども、今、そういうことを金融庁の政策として具体的に検討しているとか、3党で取り組んでいるということはありません。

(以上)

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