亀井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(雑誌・フリー等の記者)
(平成21年11月24日(火)09時26分~09時49分 場所:金融庁大臣室)
【大臣より発言】
今日は、別に、金融(担当)大臣、あるいは郵政改革担当大臣として皆さん方にご報告申し上げるようなことはありませんが、今日、閣僚懇でも大分議論があったのですが、先週、デフレ宣言をしたでしょう。そういう状況の中で、日銀は相変わらず眠り病にかかっていますから。これは、前からです。急に眠りから覚めるとは…。ああ、申しわけない。あなた(大塚副大臣)がいたときは良かったのか(笑)。
- 副大臣)
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いやいや、日銀は、大体判断が後ずれするのです。
- 大臣)
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彼(大塚副大臣)が、優秀なのが脱走してしまったから、良くなくなった(悪くなった)かも知れないけれど。そういう中で、一方で、やはりデフレを解消するには、これは、金融・財政、両方なのです。
簡単に言うと、需給ギャップが起きているわけですから、この現実をどう見て、どう対応していくかという。予算編成についても、(大塚)副大臣とか田村(大臣政務官)さんとかに申し訳ないけど、「財政は関係ないのだ」ということが伝統的に、「財政はあんまり関係ないのだ」というようなあれがあるけれども、国が出動しないで民間だけでうまくいくというのは、そんなのは理想社会です。理想社会なのだけれど、こういう、日本にとってはこんなデフレというのは初めてじゃないですか。しかも長期間続いて、もっと激しくなってしまって。どんどん国は縮んでいるのですから。GDPが500兆(円)切ってしまったでしょう。今、490何兆(円)ですか。ある面では、どんどん国が縮んでしまっているのです。「物が安く買える」と言うけど、買う人の収入もどんどん減っているのです。
こういう、ある意味では異常事態に陥っている、ということも、デフレ宣言をした政府はもっと認識しなければならない。これは、今日、菅副総理にもきつく言ったのですけれども、それを認識しないで、平時と同じような気持ちで予算を組んでいたら、これは大変な事態に陥ってしまう。日銀は寝ている。政府までもそういう感覚でいたら、私は、大変な事態になると。
そういう意味で、これは(金融担当・郵政改革担当)大臣として発言しているわけではない。これは、国民新党の代表としての発言なのですけれども、私が拒否権を発動するような事態になりたくないから、今週から、この政府の補正予算、来年度予算について、国民新党の考え方もできるだけきちんと反映をしたいと思っていますので。ワーキングチームをつくることにしましたから、そこでのカウンターパートが、野田(財務)副大臣と、あともう一人は、古川(内閣府副大臣)君ですかね。古川(内閣府副大臣)君はどこをやっているのですか。
- 副大臣)
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内閣府ですが、経済財政担当のほうで古川(内閣府副大臣)さんが…。
- 大臣)
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そうですか。その2人がカウンターパートで、国民新党、社民党の政策責任者がそれに加わって議論をやり、予算について検討していくということになりましたから、今週から、さっき福島(みずほ 社民党党首)さんとお話ししたのですけど、すぐ急いでこれを開始します。
そして、何といっても3党の連立ですから、やはり、政府としてはできるだけ、我々の予算に対する考え方も採用してもらうということでないと困るわけですから、その作業を始めます。そういうことで、拒否権を発動するなんて嫌ですからね。これ、あなた(大塚副大臣)と一緒に仕事やっていたのを「さようなら」ということになって、あなたは喜ぶかも知れないけれども(笑)。まあ、あなた(大塚副大臣)が、すぐ大臣になれば良いけれどもね(笑)。だけど、もうちょっとこの事態を厳しく考えなければいけないのです。本当、悪循環になってしまっているのですから。
あと、うちのほうは、ご承知のように、ちょっと自民党はいかん過ぎるでしょう。民の声を聞くというので、谷垣(自民党)総裁は自転車に乗ってまわっていたのでしょう。だけど、民は、金繰りに困っているでしょう。自転車でまわっていたって、これは商店だって、中小企業のおやじさんだって、金繰りが大変だって悲鳴を上げているのでしょう。それをちゃんと、そういうことについて、与党だけではなくて野党の共産党まで賛成しているわけでしょう。そういう法案の審議をストップかけているなんてことをやる。そんなことをやるから自転車でひっくり返って怪我してしまうのですよ、かわいそうですけど。喜んでいるのではない、かわいそうだけど。そうなってしまうのです。これは、象徴です。皆さん、「喜んでいる」なんて書かないでくださいね。だけど、本当、ちょっと今の自民党はひどいですね。それは、通してはいけない法律だったら、牛歩をやろうが、乱闘しようが、政党として徹底的に抵抗しなければいけません。しかし、こういうことをやっているというのは、ちょっとこんな自民党じゃ救いようがない。
今週、どうなるか知らないけれど、審議に入れるか。今日、入れるかもしれない。
- 副大臣)
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入れるかもしれないです。これから理事会ですので、まだ決まっていません。
- 大臣)
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自民党は野党慣れしていないのですよね。私も野党をやっていたことがあるけれども、本当に戦わなければならない、戦うときにはビャーッとひっくり返さなければいけないのです。自転車でひっくり返っていては駄目です(笑)。だけど、政権・与党もしっかりしなければ駄目ですね。しっかりしなればいけない。我々も頑張りましょう。
【質疑応答】
- 問)
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日刊ゲンダイの小塚です。
先ほどお話ししていた補正予算の話なのですけれども、政権内でちょっと温度差があるかなと思ってはいるのですが、今、ワーキングチームをつくられました。今後、どうやって国民新党の主張を通していかれようとしているのか、というのが一つと、「拒否権発動」と先ほどおっしゃられましたけれど、もしそれが通らなかった場合、政権離脱とか、それぐらいの覚悟も決めていらっしゃるのか、そのあたりはどうですか。
- 答)
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私は物事の悲観論者ではない。楽観論者ですから。ご承知のように、自民党と決別をしてグワッといっちゃったわけですね。私は、民主党も鳩山総理も、国家、国民のことを考えている政権、党だと思うから、我々の真摯な意見を、党のために言っているわけではなく、我々は、国家、国民のために言っているわけです。意見の違いがあるかも知れないけれども、それはやはりお互いに協議をしていけば、必ず我々の意見も、「全部してくれ」というわけにはいかないですが、きちんと作業してくれて、よりよき補正予算、来年度予算になっていくだろうと私は確信しています。
- 問)
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通信文化新報の永冨といいます。
郵政改革のことについてちょっとお伺いしたいのですが、大臣は「経営形態は事業展開によって決まる」と、よくおっしゃっているのですが、そこで、郵便局は少人数の郵便局が大変多く、なおかつ受託収入による経営をされているのですけれど、やはりそうしますと、受託料だけですと、稼ごう、稼ごうとしまして、今、化粧品とか家電の販売までやらされておりまして、「製販分離でなくて、基礎的な郵便、貯金、保険のサービスを一体でやるべきではないか」という声が非常に強いのですけれども、それについてちょっとお考えを。
- 答)
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私は前から言っているように、もう小泉さんがガタガタにした郵政事業を、その前の形にする気は全然ない。私は郵政族でもないし。そういうことではなくて、この北海道から沖縄までのネットワーク、今、田舎で拠点としてあるのは郵便局ぐらいです。農協の支所までなくなってしまったでしょう。町村合併で、そういう市役所の支所、ああいう地方のあれもなくなって。そういうところを、拠点で一生懸命働いている郵政の職員というのは、本当にまじめなのです。私もそうですけど、今の日本人は、怠け癖がついて気力もなくて、日本人の全体が駄目になってしまう。その中で郵政の職員というのは、明治以来のDNAの、雨の日も、風の日も、雪の日も、一生懸命働く癖がついているのです。その人たちが、それは化粧品を売るのも良いけれど、私は、それは地域のために、もっとあの人たちは働いてもらう余地があるのではないかと。
これを、齋藤(日本郵政)社長のもとで、新しい事業展開をどうしていくか、ということを、今、検討を始めたばかりですので、これは、(大塚)副大臣や(田村大臣)政務官もあれして。今、向こうから副社長に出てきてもらって、一緒にワーキングチームをつくって、どういう事業展開をやるか、という検討を、今、始めているところですけれども、もう、何でもやっちゃうと。前に、ここで(会見で)私が「ソープランドまでやるかもしれない」と言ったら、だいぶ批判されてしまったけれども(笑)。それは冗談だけど、そういう思い切ったことをいろいろやっていこうと。
それと、郵貯のお金にしても簡保のお金にしても、本当に国債とか、8割ぐらいがそんなものでしょう。もうちょっと地域の経済のために使えないか、地域の生活をしている人、1,000万円を限度に貯金している人だけど、その人たちの小口融資みたいなものにまで、その人たちが便利に借りることができるようなことまでやっていけないかどうなのか。これは信用金庫とか信用組合との競合の問題も出てきますから、その辺りは、よく注意して調整しないといけませんけれども、地域で集めたお金を地域の活性化のために、地域の人たちの生活のために使うというやり方というのもないかどうか。これを今、大塚副大臣が銀行協会等にも走って、金融機関との調整もやりながら、もう既に検討を始めています。残念ながら、今の郵政は、貸し付けたりするノウハウを持っていないのです。能力もない。だから、それを急に身に付けるというのもなかなか難しいし、逆に、火傷してしまいますから。だから、そこらをどうやっていくか、ということを含めて、今、検討を始めている最中です。急いで、今、何でもかんでもあなたたち(大塚副大臣、田村大臣政務官)に頼んで大変だけれども、やっています。
- 問)
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金融ファクシミリ新聞社の秦と申します。
昨日、大臣がテレビにご出演されている中で、「日銀はもっと社債を買い取るべきだ」ですとか、「円安介入すべきだ」という(出演者の)発言がありましたけれども、国民新党のワーキングチームとして、どのようなことを民主党のワーキングチームと協議して提言していくおつもりなのかということを教えていただければと思います。
- 答)
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これは今、明日ぐらいから始めることだと思うのですけど、政策責任者を迎えて具体的にそういうメニューの検討を始めますけど、景気についても、確かに菅(副総理)さんなんかが言うように、財政出動すれば良いというものではないのです。問題は中身なのです。これは田中康夫(新党日本代表)なんか言っているのは、彼が長野県知事のときに、なぜ公共事業反対のダムをこうやったかと。結局、長野県発注、また国が発注した公共事業、お金は全部東京へ来ている、それが実態です。ゼネコンです。ゼネコンの全部あれになってしまっている。そうではなくて、地域のちっちゃな中小の業者、それの懐にお金が入っていくような、確かに仕事をしていくような、そういう地についた、そういう公共事業でかつ無駄ではない公共事業というのがあります、幾らでも。
この間も、私は、総理とも「やろう、やろう」と意気投合したのだけど、これは公共事業ではないけど、エコカーと言っていたけれども、「エコ住宅をやろうじゃないか」と。総理と私が1時間ばかり時間をとって、「やろう、やろう」と言ったのです。それとか、緑のタウン、花と緑のまちづくりをやろうと。今日も、隣が(小沢)環境大臣だったから言ったのですけど、この間から言っているのは、「農水省、国交省と一緒になってやろうや」ということを言ったら、「やりましょう、やりましょう」と言ってくれてね。緑いっぱいのまちづくりを日本中やろうという。これは歩道なんか、並木をダッダッダッダッと植えていくというのもきれいなまちですよ。それで、今度は電柱から何から、東京電力なんか自分の敷地だと勘違いして、わずかな使用料で電柱を立てて商売しているのを、全部、地下へ入れる。国が思い切って援助してやれば良い。私は、政調会長代理のときから始めたのですけど、これをやはりやっていく。日本中やっていく。ズーッと。電柱がないまち、ズーッと日本中。これなんかもゼネコンの仕事ではない。地方の小さくて、どんどん潰れていっている建設業者の仕事でしょう。あるいは開かずの踏み切りなんて、これもゼネコンの仕事ではない。これなんかも、(通行を)ストップしないで、立体交差を掘っていけば良いのですから。通行止めしなくたって、地下を掘るような形で立体交差をやっていけば良いのでしょう。これなんか地方の業者がどんどんやれば良い。全国でドッドッとやったら東京でもどこでも膨大な内需が出てきます。無駄ではないでしょう。これを始めたら、仕事は当分ありますよ。ドッドッドッと。
そういう、あるいは防災だってそうでしょう。ちょっとした空き地があると、すぐディベロッパーがマンションを建ててしまって、あんなの国がバッと買って、そこを防災公園にして、地震が来ないときはお年寄りや子供たちをそこで遊ばせれば良いのでしょう。そういうような、これは無駄ではない、我々の生活を本当に豊かにしていく、そういう公共事業というのは、幾らでもあるのです。やはり、そういうようなものをやることが内需を出していって、これは今のようなことだけでは駄目ですね。自公政権のようなばら撒きでも駄目ですし、自公政権の延長線上のようなばら撒きをやったって、それだけでは駄目なのです。
私はよく藤井(財務大臣)さんに言うのだけど、子ども手当と言うけど、「子ども手当で景気が良くなる」みたいなことを藤井(財務大臣)さんが言うから、父ちゃんや母ちゃんが給料が下がって、ボーナスがなくなって、職を失っていっているのにどうするのと。子ども手当だけでは駄目なのです。そういう、やはり家庭を大事にするという、そういう点が、民主党の政策で一番優れている点なのです。自民党が忘れた点がある。自民党は団体なのです。上なのです。組織、団体にいってしまう。それを民主党は、農協ではなくて、その下のそこの農家の人の家庭を豊かにする、という戸別補償なのです。それは非常に優れているのです。だけれども、それだけで本当に仕事が出て内需が出てくるか、というと、出てこないのです。だから、そこらは、大塚(副大臣)君なんかも感じていると思うのですけど。
- 問)
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世界日報の野村でございます。
92兆円まで削減するという話なのですけれども、補正後の予算で(現状)102兆円ぐらいいっていると思うので、それを92兆円ぐらい削減すれば10兆円、GDP比にして2%、1.5%から2%ぐらいのそれを引き下げるような、大緊縮財政になってしまいますので、やはりここは財政再建原理主義と完全に決別すべきではないかと思っているのですけれども。
- 答)
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だから、今日も私は、菅(副総理)さんとちょっとやったのだけど、それは「まず予算の額ありき」では駄目なのです。「額ありき」ではなくて、この経済をどうするか、という視点から政府として、民間だけに任せておけないというのであれば政府がどういう手を打っていくか、という結果として予算の額が決まってくるわけでしょう。それを「最初から…」という、そんなことをやったら大変なことになります。10兆円削ったら、それは乗数効果なんかでやったら、4、5%はマイナスになりますよ。何とか言ったって、こんなことを言ってはいけないけど、自公政権がばら撒きをやったけど、やはりばら撒きだって経済効果があったのです。今、景気がどうにか持っている、持ってはいないのだけど、それでも若干まだ保たれている一つの要素は、やはりばら撒きが効いている面があるのです。無駄かもしれない。無駄でも効くのです。その現実はやはり認めなければいけない。だけれども、無駄をやってはいけない。無駄をやらないで、そういう、今から来年度予算、補正をめぐって、この政権の内部でもっともっと意見調整をして良い予算を組んでいく努力をしていかなければいけないと私は思います。
- 問)
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フリーの岩上です。
新党結成の構想ですけれども、いろいろと大臣も動かれている。木曜日にも平沼(赳夫 衆議院議員)さんのところに行かれたそうですし…。
- 答)
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あのときは、平沼(赳夫 衆議院議員)が、「あとの2人にも一緒に話をしてくれ」と言うから私が行ったのです。
- 問)
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それから、野田聖子(衆議院議員)さんにも声をかけたという話も…。
- 答)
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聖子ちゃん(野田聖子衆議院議員)(笑)にまで、まだ声掛けてないけど、その気なのですかね。あの人は素敵ですからね。
- 問)
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これからその予定は…。
- 答)
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彼女に気があるのなら私は大歓迎ですけどね。聞いていないな。
- 問)
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やはり、郵政民営化に反対をしていた自民党議員などをターゲットにお声を掛けていくと…。
- 答)
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そういう、民営化に反対しているとか、していないとかいうことではなくて。私は、人さらいを稼業にしているわけではないから。「考え方がほぼ一緒だから、一緒にやろうや」という人間が固まっていくのは自然の成り行きなのです。だから、そういう成り行きの中で、将来、何が起きるかわかりません。だけど、確定的にどうだこうだ、ということではありませんけれど、こういう時代になってくると、みんな「どうにかしなければいけない」という気持ちがグングン湧いてくる時節なのです、今は。その中で、いろいろな動きが出てくると思いますけれども、私は、無理やり人さらいをして数を集めてとか、そんな気は全然ありません。
(以上)