亀井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要
(平成21年11月27日(金)8時57分~9時20分 場所:金融庁会見室)
【大臣より発言】
おはようございます。
私のほうから、今も、ちょっと事務方から連絡が入ったのですけれども、為替レートが、また今、85円50銭まで下がっているということなのですが、今日の閣僚懇で、まあ「閣僚懇の中身は言うな」ということらしいのですけれども、そうとばかりは言っていれないので申し上げるけれども、こうした急激な円高が起きているということについて、G20や国際会議が何度も開かれている中で、こうして為替レートが急速に、乱高下というよりも、一つのドル安というようなトレンドが急速に進んでいるという、そうした状況に対して、我が国自身がこれにどう対応するか、ということとあわせて、アメリカや国際社会に対してこれの対応を求めるべきではないか、ということを、私は、(藤井)財務大臣にもお話をいたしまして、また、菅副総理に対しても、経済財政政策の責任者なので、「こうした一つの、もう円高のトレンドというような状況が非常に急激な形で進んでいるときに、それに対しての経済財政運営、やはり、これは機動的にやっていくべきなので、そういうことに対して、この政権はきちんとやっていく必要があるんじゃないの」と、補正予算、来年度予算編成についても、「マニフェストを実現するということも大事だけれども、そうした国内の経済にきちんと対応していくという、そういうことをやるべきではないですか」ということを、私は、申し上げました。相変わらず菅副総理は、「知恵を出すんだ」、「知恵を出すんだ」という話でございまして、知恵にはお金が必要な話であって、お金を伴わない知恵だけで我々が生活できるのだったら、こんな簡単な話はないのでね。どの政権だって、一生懸命知恵を出してきているわけですけれども、それだけではやはり実効性が伴わないので、やはり、そのぐらいはお金でしていく、ということは、どんなに財源が厳しいときでも避けられなかったことなのですね。そういう意味で、今後、この政権が非常に厳しい対応を迫られていくであろうと思います。あえて今日は、そういう注意喚起をしておきました。
それと、基本政策(閣僚)委員会のワーキングチーム。昨日、2回目をやりましたけれども、今後、うち(国民新党)としては、当面は補正予算、また、引き続いて、来年度予算についての国民新党の考え方を、強く政府サイドに伝えるという努力を、今、一生懸命やっております。
【質疑応答】
- 問)
-
先ほど、円高についてお話があったのですけれども、政府、日銀の今後の介入については、大臣はどのように考えられているでしょうか。
- 答)
-
今、申し上げたでしょう。私は、日銀は日銀としての対応をされていくと思いますけれども。やはり財政・金融政策、両両相まっていかなければ、特に、国内政策については、やはり財政、これがやはりきちんとついていかないといけないわけですから。総理も言ったように「内需拡大をしていく」という、そういう政策についてどうやっていくか、ということだと思いますよ。日銀はそれぞれ独立性がありますけれども、日銀が、今の状態をどう考えるかと。日銀としても、言い分がないわけではないと思うのです。もう、相当な金融緩和政策をやっている中で、「お金は余っているのではないか」という見方があるのですね。このお金が、産業活動、国民生活にきちんと使われていっていないという、そうしたいわば内需ですね。内需が不足してデフレギャップがどんどん開いているというような、そういう状況の中で、ある意味では、そういう日銀の感覚みたいなものはあるだろうとは思いますけれども、しかし、それにしても日銀としての果たすべき責任はきちんと果たしていかれると思います。いくべきだと思いますね。
- 問)
-
それと、郵政(法案)が審議入りしましたが、今後の見通しについてはいかがでしょうか。
- 答)
-
これは見通しといって、成立するに決まっているという話でね。何の心配もしておりません。
そこで記者がにやにやして、「そうはいかんぞ」みたいな顔してるけどね。
- 問)
-
日銀への対応なのですが、今、こういう、日銀も低金利の政策をしていて、日銀も、更なる緩和が難しいという立場もあると思うのです。亀井さんとして、日銀の独立性に配慮されているのは分かるのですが、念頭にどのような緩和策があるか、というのはございますか。
- 答)
-
私がちょっと何か言うと、今までもあなたたちが、ねじ曲げた上で針小棒大にバアっと報道してしまうからね。お酒を飲んで話をするようなわけにいかないから、注意をして話さなければいけないと思うので(笑)。それは日銀として、今の状況をきちんと判断をして、日銀としてやれることをぜひやってもらいたいと、そういうことに尽きますね。そういう面では、政府が采配をできないわけですからね。
- 問)
-
今日、参議院の(財政金融)委員会のほうで、中小企業金融円滑化法案(中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律案)が採択の見通しと。そのままいけば、来週の本会議で上がるということになるのです。今のところ、そういう見通しの中で、大臣の感想というか、自民党欠席の中でこのままいくような観測もあるのですが、いかがでしょうか。
- 答)
-
もうそれは、自民党は中小・零細企業や商店、サラリーマンの生活はどうなってもいいと思っているのではないですか。自転車に乗って、庶民の生活を見てまわっているのではないのですか。そうではなくて、ひっくり返っちゃったのか(笑)。
私は、この間も言ったけれども、このモラトリアム法案というのは、金融庁の狭い守備範囲において、中小・零細企業対策として、効果を上げると思いますけれども、もうそれだけでは駄目なので。何度も言うように、「一気通貫」でやらなければ駄目だと。
特に、今日も、有効求人倍率とか、そういうものは若干改善されていたという、上がったみたいですけれども、私は、非常に厳しい状況が続いていると思いますよ。今、怖いのは、事業継続の意欲を持たなくなっている人が、もう急激に増えていることなのです。先に光が見えないということですね。「今、悪くても、来年になれば、まあ、また仕事も出てくるわ」という、そういう期待感があったのですね。ある面はのんきかもしれないけれども。そういう期待感の中で仕事を続けていたのが、そういう期待感がどうも持てない、というような空気が出てきてしまって、傷がでかくならないうちに「早目に店閉めちゃえ」という、「返済猶予してもらったって、もうそれは先延ばしだ」という。また、新しく事業資金も借りるようになっても、そうした、新しい事業展開なんかをする意欲すら持たなくなっているのは、今、物凄く増えていますよ。これは、数字に表れない部分ですね。これは、自主廃業という(ことで、)倒産とかそういう数字ではない。
だから、ある面では、日本経済はもう無気力化しているのですよね。私は、これが一番怖いと思いますよ。死に物狂いで頑張ってもうまくいかない、という状態ならまだしも、もう気力を失ってきた状況というのは大変な話なので。私が、しつこく言っているように、仕事を出していく。特に、中小・零細企業や農村や漁村に対してそういう手を打つ、ということをやらなければ、上っ面の数字だけで見てやっていては、大変な事態になると思いますよ。
もう大企業なんていうのは、この2、3年、稼ぎまくっちゃって。あなた方の会社もそうだろうけれどもな…。そうでもないのか(笑)。ほとんどのマスコミが涸れて来ているな。これは天に唾しているのですよ。景気を良くするような政策を「やるな」、「やるな」と言って、あなたたち自身が書きまくるから景気が悪くなって、広告料は入らないし、コマーシャルは使わないようになるしね。この間、ナベツネ(渡邉恒雄 読売新聞グループ本社代表取締役会長)さんにそう言ったら、「いや、そうだな」って言っていた。あなたの社も、今度、何か儲け損ねたのだろう。それはそうですよ。君がそんなことばっかり言っていたら、それは会社も不景気になりますよ。ごめんね(笑)。
- 問)
-
いやいや。赤字になっても、ちゃんと聞くことは聞きますから。
- 問)
-
金融の法案の話なのですけれども、施行のめどと、あと、これまでの国会審議の中で、やはり実効性の問題ですとか、あとは金融機関の経営の健全性が保たれるかどうかですとか、あとは財務が見えにくくなるですとか、いろいろ指摘が…。
- 答)
-
これは、こんなことはもう、金融庁の主が変わったのでね。金融庁は、今までの小泉・竹中のあれ(路線)ではないのです。威張るわけではないけれども、(大臣は)私なのですよ。頭は悪いけれどもね。頭は悪いけれども、私は、心根だけはしっかりしているつもりなのです。そうした状況はつくりません。もう、監督指針や金融検査マニュアルは、今、仕上げの段階に入っていますから、でき上がったら皆さん方のところにもお届けします。それで、今、あなたがおっしゃったようなことが起きないような、金融庁の監督・検査を徹底的にやりますから。
今から、もちろん監督指針、本当に変わったのですよ。ちゃんとコンサルタント的な業務を果たしているかどうか、というのが、行内での勤務評価のあれ(基準)にするようにしてしまったのですよ。(勤務評価)しているかどうか、そこまで踏み込んだのですからね。これは、本来は、「金融庁がそこまでやるのはやり過ぎではないか」という批判を言われる前に、私の方から先に言っておくのですが、(批判が)起きる危険性があるぐらい、そこまで踏み込んだのですよ。従来のような、ちゃんと儲けているか、というだけの勤務評定ではなくて、そういう地域における社会的責任、また貸し手としての社会的責任、コンサルタント的な、借り手を育成していく、育てていくという、中長期に立ったそういう努力をその行員がやっているかどうか。それを行員の勤務評定にしているかどうか、ということまで、金融庁の監督・検査の指針の中に入れてしまったのですよ。これは、あなたたちは、早速、「けしからん」と言って、書きそうですけれども、もう覚悟しているから、幾らでも書いてください。書きそうだけれども、そこまで踏み込んだのですよ。だから、今までの監督・検査とはがらっと変えてしまった。
- 問)
-
すみません、施行のめどは。
- 答)
-
いや、だから、法律が成立したら直ちに施行しますからね。だから、マニュアルもそれに間に合うようにきちんとやります。もうだって、今、11月末でしょう。年末の資金繰りという問題はありますしね。
- 問)
-
先ほど、大臣は、閣僚懇の中で、「円高が進む中で経済財政運営を機動的にやっていくべき」というふうにお話をされたというのは、逆に言えば、今の政府の経済財政運営が、非常に危機感が薄いというか、そういったご認識…。
- 答)
-
いや、そこまでは、私も閣僚の1人ですからね。「そこまで言った」といって報道してもらったら困りますよ。そういうふうに書いて報道したら視聴料は払わないですよ(笑)。そうではなくて、そういう注意喚起をした、ということであって。私も閣僚の一員で、鳩山政権を支えている立場ですから、鳩山政権がちゃんとやらないことは、私にも責任がある話ですからね。私は、他人事であるように考えていませんから。
- 問)
-
先ほどの閣僚懇で、円高に関連して、「アメリカとか国際社会に対して対応を求めるべき」と藤井(財務)大臣に申し上げたと。大臣の考える「対応」というのは何か、ということと、これに対して藤井(財務)大臣はどういうふうに答えられたか、お教えいただけますか。
- 答)
-
そこまで、閣僚懇の中(味)までは言いません。そこまで言い出したら、平野(官房長官)さんが怒るから、そこまで言いません。
- 問)
-
日本郵政の関係です。一昨日、中間決算が発表されまして、減収減益でした。特に、郵便事業の赤字が目立ちます。このことに、世界的に郵便事業は構造的な厳しい状況になるわけですけれども、この中間決算をどう評価するか。
それともう1点、それに絡んで宅配便事業ですね。日本通運と一緒にやっている宅配便事業も、抜本的な立て直しのために日本郵便が完全子会社化してしまえば良いのではないかと、そういった計画案もあるようですけれども、そのことについて大臣はどうお考えでしょうか。2点お願いします。
- 答)
-
これは、決算内容はそうだと言うけれども、事業体自体がめちゃくちゃですよ。それは、西川(前日本郵政社長)さんは一生懸命頑張ったんだろうけれども、方針が間違えているのですから。「西川(前日本郵政社長)が幾ら頑張ったってそうはいかない」というのは当然の帰結ですね。
とにかく、もう郵便事業は、ガタガタになっていますよ。それは「遅配だ」なんて言っているけれども、とにかくもう、郵便事業は本当に、まずモラルが落ちてしまっているからどうしようもないですね。やる気がなくなっている局員が非常に多くなっているのですよ。何度も言うけれども、監視カメラが局長を覗いて監視したって、監視したからって働くものではないですよね。そういう中で、全然、局員同士が協力できないでしょう。狭い、ちっぽけな郵便局を3つに仕切ったら、行き来できないのですよ。そういう中で仕事をやらせて成績が上がるわけがない。これは当たり前の話です。あなたの社のように、モラルが高くないのですよ(笑)。
それともう一つ、あれは、前から問題になっている(という)ことは私の耳に入っているけれども、もう一度、これをどういう形で、ゆうパック、きちんと立て直していくかと。これは齋藤(日本郵政)社長も、今、頭を悩ませて考えている最中ではないですか。やはり、あれは一緒になって、間違いなく失敗でしたね。だからって、放っておくわけにはいかないから、これをどういう形で立て直すか、それだけではなく、全部の事業を、今、本当に新しい事業展開を含めて、郵政と我々、こちらの大塚(副大臣)君をはじめ、長谷川憲正(総務大臣政務官)等と、こちらのプロジェクトチームと、また国民新党、民主党、社民党の3党と、新しい事業をどういうことをやるかということを、それぞれ、今、一生懸命、具体的な検討に入っていますから。これを急がなきゃいけませんから。来年の通常国会では基本方針を出していかなければいけないから。曖昧なものにするわけにはいかないので。
本当のことを言うと、私は、これをやる、これをやる、と決まっているわけではないのですよ。あなた方も、良い知恵があったら教えてください、本当に。私は、口先で言って、本当にない頭で考えているのですけれども。そうはいっても、なかなか新しい事業展開といってもいろんな問題がありますよね。地域金融にしたって、やはり信金や信組、地銀との関係もあるし、融資ノウハウを、能力をどう高めるか、というような問題もあるし。今、そういう能力を持っていないのですから。それをいつまでも、では他の地域金融機関に頼っての運用をやるのかという、そういうことではいけないしね。そこは、今、一生懸命考えています。
パスポートなんかは、大体、具体化していくと思います。あるいは、年金の問題等も、これは、今、折衝に入っていますしね。介護関係、どこまで踏み込んでいけるかと。介護企業の人たちは反発するかもしれないけれども、反発というよりも補完をしてあげるというようなやり方での事業展開にできるので。そういう意味では、やり方はいろいろあると思いますよ。かんぽの宿だって、旅館、ホテルにだけ使うというのではなく、別な使い方だってあると思うしね。単純に官営ホテルを作ってしまったみたいな形になってしまうと、その地域の旅館業やホテルの方にとって大変な話になるわけですから、これなんかも、そう単純に、お金をどんどんつぎこんでいって、「ではホテル経営をどんどんやらせよう」というわけにもいかないし、いろいろ難しい問題があるのですよ。何か知恵があったら、本当に教えてください。
もう、嫌がらせ質問もないですか。最近は、みんなあんまり嫌がらせを言わなくなりましたね(笑)。私も拍子抜けしているのですよ。少し刺激があったほうがおもしろいのですけれどもね(笑)。
(以上)